こんにちは。
35年とかブルーハーツを聴いていますが、今でも心の中でそいつたちが大爆発しています。
結論 : なんだ、ただの神か。
ブルーハーツは心のずっと奥の方の触れられない部分に触れようとするやさしさです。
いえ、完全に心に触れます。
その音楽のあたたかさがそっと心に触れて、その頼もしいロックンロールが、暗闇に落っこちそうだった誰かの心を引っ張り上げる音がいつだって聴こえます。
それは私の生きる勇気と覚悟になってます。
2024年現在、1st & 2ndアルバムなんかは既に37年前の音楽です。
ブルーハーツの名曲たちが現在でもカバーされたりして、CMソングなんかで流れたりもしてます。
ただの流行ではなく、普遍ということです。
私は40代ですが今の若い世代の人たちの胸にも、ブルーハーツは輝いていて響いているという実感があります。
ずっと人の心を動かし続けるバンドです。
今を生きることに命をかけている本人たちからしたら過去の音楽またはバンドなのかもしれませんが、私には今でも最初と何も変わらず響いています。
1秒で初期衝動が蘇るリアリティ。
断言しますが、私はブルーハーツを聴かなくなることはありません。
その情熱と思いやりと棘と個性的な音がいつも必要です。
「時代は良くも悪くもなってない。いつだって今が最高。」
甲本ヒロト
THE BLUE HEARTS(1985〜1995)
いわゆる日本の『ロックバンド』です。
特にパンクロックが似合うバンドだし、その粗さの真ん中で際立つ“繊細さ”が特徴だと感じます。
ぶっちぎりに個性的なバンドはこの4人。
真島昌利:ギター
河口純之助:ベース
梶原徹也:ドラム
1985年に結成され、1987年にメジャーデビューしました。活動期間中に8枚のオリジナルアルバムと自主制作を含んだ18枚のシングルを発表して1995年に解散しました。
解散理由についてはベースの河ちゃんの宗教問題とか、ヒロトが抜けると言い出したらマーシーも抜けると言い出したとか色々と言われていますけど、終わったものは終わったのでどうでもいいと思います。
きっと本人たちも明確な理由とか言葉で伝えるのは無理なんじゃないでしょうか。
それよりも今でもブルーハーツが誰かの心を大きく動かしているということが重要です。
ブルーハーツというバンドが日本中にかなりの爪跡と思いやりを残したのは明らかです。
私は11才の時にブルーハーツに出会い、名曲「青空」の誠実さに心を惹かれてファンになりました。
誠実なもの、繊細なものが好きです。
その中にあるダイナミズムが心の真ん中で大爆発しています。
ストレスと共に生きる忙しい現代人は心を病んでしまいがちです。そうなってしまう前に休まなければいけないし、ダメだと思い込んでる自分のことさえも、そのままでいいんだと肯定できる健康な音楽です。
爆発的なエネルギーが湧いてくる曲だってたくさん存在します。
ウソのない真心でロックを奏でていると聴いた全員がわかります。
バンド名の由来はヒロトいわく、
「意味は無く、誰もが呼びやすい小学生でもわかるような英語で、バンドの音楽性が見えないような名前」
オリジナルアルバム売上ランキング
1.TRAIN-TRAIN(88.11.23)
2.BUST WASTE HIP(90.9.10)
3.STICK OUT(93.2.10)
4.HIGH KICKS(91.12.21)
5.THE BLUE HEARTS(87.5.21)
6.YOUNG AND PRETTY(87.11.21)
7.PAN(95.7.10)
8.DUG OUT(93.7.10)
有名なオリコンのデータです。
ちなみにシングルの1位は断トツで「情熱の薔薇」(51万枚)です。2位は「TRAIN-TRAIN」(26万枚)です。
売れたアルバムが自分にとって好きなアルバムとは限りません。売り上げ枚数が多いということは一般的な感性にもウケやすいのだという目安にはなるかもしれません。
とはいえ、ロックンロールにランキングなんか付けた途端につまらないものになります。
「売れているものが良いものなら世界一うまいラーメンはカップラーメンだ。」
甲本ヒロト
40代の私が1番好きなアルバムは、売上ランキングでは最下位だった7thアルバム『DUG OUT』。
2番目は4thアルバム『BUST WASTE HIP』。
どちらも無意味な勢いだけでない隙間のある感じが心地いいからです。
好ましい繊細さと、言葉の深みがあるのも好きなポイントになります。
歳を重ねるごとに自分のアルバムランキングは変わってくるので、その辺りも音楽の楽しいところです。10代20代の頃は勢いのある1stアルバム『THE BLUE HEARTS』と6thアルバム『STICK OUT』が好きでした。
オリジナルアルバム全8枚をリリース順に紹介していきます。
ブルーハーツはアルバム発表の度に音楽性が多様になっていきますが、根底にはパンクの精神性がいつもあります。
光ってる生命力がそのまんまロックンロールになった真っ直ぐな音楽。
ロックの太々しさもいい感じで、いつもキラキラだしギンギンです。
聴きながら、誰も“生きない”は選べません。
1. THE BLUE HEARTS(1987)
“パンクの初期衝動” 1stアルバム。
最初に聴くべきアルバムです。
パンクの粗さと、とてつもない勢いで突き抜けてます。ギンギンです。
これドーピングしてるのか⁈、、、と思ってしまうほどのやつ。
『THE BLUE HEARTS』収録曲
1.未来は僕等の手の中
2.終わらない歌
3.NO NO NO
4.パンク・ロック
5.街
6.少年の詩
7.爆弾が落っこちる時
8.世界のまん中
9.裸の王様
10.ダンス・ナンバー
11.君のため
12.リンダ リンダ
全12曲、34分。
収録シングル曲「リンダ リンダ」
・激しい衝撃を伴う個性のパンチ力
・日本の誇る“同調圧力”は通用しない
デビューアルバムにして日本のパンクの大名盤。トータルタイム34分と、とてつもない勢いと爆発寸前のエネルギーで駆け抜けます。
爆発寸前じゃなくて、大爆発中でした。
マッハ50のパンクロック。
これを聴くタイミングが若ければ若いほど、強い衝撃を伴います。
誰にとっても今日が一番若い日です。
歪んだ音が特徴的なパンクアルバム。
すぐに覚えて歌える印象的なメロディと歌詞の誠実な主張が心に刺さります。
鋭い攻撃力も抜群です。
聴こえてくるすべての音が冴えてます。
音は歪ませまくったギターがこれぞパンクと感じる“荒々しさ”が決定的なアルバムです。
整ったメジャーな音に作り込まれてしまっていない、その瞬間のリアルな音が鳴り響く。
このファーストアルバムは聴いておかないと「組織のイヌ」で人生が終わってしまいます。
そんな生き方を絶対したくない人には超オススメです。
「死んだら死んだでいいさ、なんて俺は言えないわ。俺は生きていたいんよ。」
甲本ヒロト
2. YOUNG AND PRETTY(1987)
“揺るがない反骨精神”2ndアルバム。
折れない、負けない、ひるまない!
他人の謎のルールにイライラした日のマストアルバム。
『YOUNG AND PRETTY』収録曲
1.キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)
2.ロクデナシⅡ (ギター弾きに部屋は無し)
3.スクラップ
4.ロクデナシ
5.ロマンチック
6.ラインを越えて
7.チューインガムをかみながら
8.遠くまで
9.星をください
10.レストラン
11.英雄にあこがれて
12.チェインギャング
全12曲、44分。
収録シングル曲「キスして欲しい(トゥー・トゥー・トゥー)」
・マーシーボーカル曲がアルバム初収録
・思いやりがあり、一切の忖度はなし
ファーストと同じ1987年リリース。
1stアルバムのパンク一辺倒から脱却しようという姿勢が好印象な2ndアルバム。
2枚目にして新しい事に挑んだ若いパワー。
バンドは慣れないリズムにプロデューサーから何度もダメ出しされた、というエピソードがあります。
前半は素晴らしき毒のあるパンクサイド。
後半は新しい事へのチャレンジサイド。
そんな印象を受けます。
マーシーボーカル曲が初収録です。しかも2曲収録。マーシー作の「ロクデナシ」シリーズも痛烈な叫びの「チェインギャング」もこのアルバムに入ってます。
印象的なのは、若い頃のマーシーのフラストレーションが誰にでも共感しやすい言葉で分かりやすく表現されているということです。
それはキレッキレ。
なんといっても「反骨精神」です。
『YOUNG AND PRETTY』は、イライラした日にバッチリ合います。
どうしても「一般的」を目指したくない人に、がっつりオススメです。
「ジョーにあこがれました。ジョーのようになりたいと思いました。ジョーのようになる それは 彼の音楽やファッションを真似る事じゃなく 誰の真似もしないことでした。」
甲本ヒロト
3. TRAIN-TRAIN(1988)
“心が激しく動く魅力”3rdアルバム。
どこかで間違って絶望へ向かっていた心を、栄光に向かって走らせる影響力があります。
この誠実な音楽が、誰かの生き方まで変える。
『TRAIN-TRAIN』収録曲
1.TRAIN-TRAIN
2.メリーゴーランド
3.電光石火
4.ミサイル
5.僕の右手
6.無言電話のブルース
7.風船爆弾(バンバンバン)
8.ラブレター
9.ながれもの
10.ブルースをけとばせ
11.青空
12.お前を離さない
全12曲、44分。
収録シングル曲「TRAIN-TRAIN」「ラブレター」「青空」
・心に刺さる名曲たちの絶大な存在感
・特にマーシー作の曲は繊細な感性で作られた名曲揃い
売上ランキングではこの3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』が1位です。
バラエティ豊かになったアルバム作りがブルーハーツにバッチリとハマっていて、それが広く世に浸透した要因なのかもしれません。
パンクの激しい勢いや攻撃力だけではないです。
ブルーハーツで初のベースの河ちゃん作の曲「風船爆弾」が収録されて、河ちゃんの曲作りのセンスが炸裂したという印象を受けます。
コンセプトアルバムとよく言われています。
アルバム全体で『TRAIN-TRAIN』というひとつの作品になっているということが、聴けば意識せずとも感じられます。
ここまで来るとすでにパンク中心の音楽性ではなくなってきます。それが一般的にも受け入れられたのかもしれません。
バラエティ豊かなロックアルバムを聴きたい場合はマストです。
大名曲「青空」も収録されています。
YouTubeのブルーハーツ公式チャンネルの動画で1番再生回数が多いのは「青空」です。
この『TRAIN-TRAIN』までが“初期3部作”なんて言われたりもします。
「青空」を聴きながら、誠実さとは何かを問われたい、という誠実な人に真面目にオススメです。
「おかしいって言われたら、それが自分なんだって誇りに思ってよ。もっとやってやれ。」
甲本ヒロト
4. BUST WASTE HIP(1990)
“全打席ホームランを狙う”4thアルバム。
突き抜けました。全曲名曲です。
レコード会社移籍後に発表した4枚目のアルバム。
聴こえる音の感触が少しにぎやかに、華やかになった印象があります。
『BUST WASTE HIP』収録曲
1.イメージ
2.殺しのライセンス
3.首つり台から
4.脳天気
5.夜の中を
6.悲しいうわさ
7.Hのブルース
8.夢の駅
9.恋のゲーム
10.スピード
11.キューティパイ
12.情熱の薔薇
13.真夜中のテレフォン
14.ナビゲーター
全14曲、52分。
収録シングル曲「情熱の薔薇」「首吊り台から」
・主張がある、毒がある、深い感受性がある
・陰と陽があって人間らしい
マーシーのコメントによると
「ブルーハーツの予定調和を打開しようとしていた時期」
その言葉通りの印象を受けるアルバムで、1stアルバムの音楽性とは明らかに違います。
ヒロト、マーシー、河ちゃん、3人のメロディメーカーのバラバラの個性がそれまでよりも際立っています。
私はこちらの方がバラエティに富んでいて好きです。
マーシーが精神的に病んでいたという時期の製作でもあり、休むことの重要性を歌った「脳天気」は名曲です。
ですので是非とも「脳天気」の歌詞に影響されてみてください。悩みなんかどうでもよくなります。
アルバム1曲目の「イメージ」から、いい意味でそれまでのブルーハーツと違うと感じられます。
河ちゃん作の「真夜中のテレフォン」にヒロト作の「ナビゲーター」といった名曲揃いの名盤です。
シングルでは圧倒的に売上枚数の多い「情熱の薔薇」は、一発録りのアルバムバージョンで収録です。パンクスピリッツ全開。
毎日が忙しくて、考える事も多くて、最近なんか疲れちゃってる人にも非常にオススメです。
「人気が落ちて客が来なくなったら、また最初からやりゃあいいじゃん。」
甲本ヒロト
5. HIGH KICKS(1991)
“絶妙な脱力感”5thアルバム。
ブルーハーツがリラックスして、ポップ形式を取り入れたアルバム。
とはいえ、ブルーハーツに求める激しい勢いの歌も入っているし、カラフルな印象です。
『HIGH KICKS』収録曲
1.皆殺しのメロディ
2. M・O・N・K・E・Y
3.心の救急車
4.あの娘にタッチ
5.ホームラン
6.泣かないで恋人よ
7. THE ROLLING MAN
8.東京ゾンビ(ロシアンルーレット)
9. HAPPY BIRTHDAY
10.闘う男
11.ネオンサイン
12. TOO MUCH PAIN
13.さすらいのニコチン野郎
全13曲、52分。
収録シングル曲「あの娘にタッチ」「TOO MUCH PAIN」
・ブルーハーツ自身の力の抜け具合が絶妙
・過度に偏らない独特のバランス
いい具合に力が抜けたリラックスしたアルバムです。ブルーハーツがポップにカラフルになったという印象を受けます。
マーシーの言葉でもありますが「反逆的なメッセージをモロに出していない」5枚目のアルバムです。
聴くほどに名曲揃いだと気付く、後から来る名盤です。胸熱ソングの「闘う男」、思いやりに溢れた「ネオンサイン」辺りは聴けばいつも元気が出ます。
河ちゃん作の歌が2曲収録と、それまでになかったアルバム構成になってます。
ブルーハーツがアマチュア時代から演奏していた名バラード「TOO MUCH PAIN」がここに来てやっと音源化されたというエピソードがあります。
『HIGH KICKS』に収録された理由は、マーシーいわく「深い意味はない、忘れていたに近い感覚」ということです。
5thアルバムを初めて聴いた時の印象は、正直なところピンと来ませんでした。
が、それでは終わらない魅力が実は最初からあったんだと後になって気付きました。
聴き込むほどに、名曲が超名曲になる体験をしたアルバム。貴重な体験です。
勢いでぶっ飛ばすロックよりも、思いやりとか優しさを求める細やかな人にやんわりオススメです。
「なにかと比べてるんじゃないんですか?今というものを。比べられないのにね。」
甲本ヒロト
6. STICK OUT(1993)
“猛烈な疾走感”6thアルバム。
とんでもないの作りやがった!全曲炸裂です。
強烈なインパクト、凄まじき勢い、揺るぎない存在感を放ちます。
『STICK OUT』収録曲
1.すてごま
2.夢
3.旅人
4.期待はずれの人
5.やるか逃げるか
6.テトラポットの上
7.台風
8.インスピレーション
9.俺は俺の死を死にたい
10.44口径
11.うそつき
12.月の爆撃機
13.1000のバイオリン
全13曲、42分。
収録シングル曲「夢」「旅人」「1000のバイオリン」
・ヤケクソ気味の凄み
・シンプル・イズ・ベスト
ブルーハーツがパワーとスピードのロック、パンクに回帰した炸裂盤です。
誰もが期待していたブルーハーツが戻ってきたという印象を受けます。
テンポが早くて勢いのある曲のみで構成されたアルバム。そのため、抜群の聴きやすさがあります。
熱狂のライブのために作ったアルバムなのか⁈と感じてしまうほどの疾走感が支配しています。
ゴリ押しなパワーもあります。聴けば、ブルーハーツが今日のストレスをブッ飛ばします。
むろん、熱狂的に聴けます。
ぶっちぎりの勢いで聴けますが、繊細で深みのある歌詞も人の心を動かします。
凄まじいスピードとパワーの隣には、美しさがしっかり存在していて、それはブルーハーツのカッコ良さです。
なんといってもラストの2曲の展開。
感じるのは美しさ。
ヒロト作「月の爆撃機」、マーシー作「1000のバイオリン」この胸熱展開に発狂寸前に興奮します。
生きたいように生きていいんだなと奮起します。『STICK OUT』を聴きながら、自分はこの先へ行ける、夢に一歩近づいていると勘違いしたまま生きるのは最高に幸せです。
今から夢を叶えると決心できます。
本当はやりたい事があるんだけど普通が一番だしなとか思って、夢を叶えようか迷っている人に激アツでオススメです。
「何が正しいかなんてわからんでしょ。俺が死んでも答えは出んよ。そんなら好きだと思う事やるしかないんじゃないかなあ。」
甲本ヒロト
7. DUG OUT(1993)
“大らかで魅力的なバラード”7thアルバム。
嬉しくて涙が出るほどの、柔らかく大きな包容感がアルバムに存在します。
エレキというよりアコースティックな感じ。
私にとっては、後から魅力に気付いた“遅れてきた名盤”です。
『DUG OUT』収録曲
1.手紙
2.緑のハッパ
3.トーチソング
4.雨上がり
5.年をとろう
6.夜の盗賊団
7.キング・オブ・ルーキー
8.ムチとマント
9.宝もの
10.夕暮れ
11.パーティー
12.チャンス
全12曲、51分。
収録シングル曲「パーティー」「夕暮れ」
・心地よいアコースティック調
・ミドル〜スローテンポの曲のみ
前作『STICK OUT』と同時進行で製作された静かな方のアルバム。
当時のCMでは『STICK OUT』&『DUG OUT』を「パワーとバラード」と表現していました。
ヒロトいわく『STICK OUT』と『DUG OUT』は2つで1つのアルバムです。
あえて2枚組にしなかったのが、ブルーハーツの優しさだと思いました。2枚組では聴くのに気が重いからです。これなら気分で選べます。
勢い重視の『STICK OUT』とは対をなすようなアコースティックでゆったりしたアルバムです。それこそが『DUG OUT』の良さで私が大好きなポイントです。
後から名盤になるタイプのアルバム。
根っからのドギツイ系のパンク好きにはオススメしません。
パンクバンドで泣けるとは、、、そんな良さを『DUG OUT』から感じます。
落ち着いた印象のアルバムですが、根底にある情熱はとんでもなく熱いです。
それが余裕で聴こえてきます。
「夜の盗賊団」の静けさと、激しすぎる激情のギャップはヤバい状態です。
唯一無二の“激しいバラード”という奇跡。
マーシーが歌う「年をとろう」は、年をとることを肯定するという日本人にはあんまりない考え方の学びがあります。
“年はとりたくない”と嘆いて死んでしまうよりも、今すぐ取り入れるべき生き方です。
『DUG OUT』は希望が湧いてきます。
ブルーハーツがそっと希望を差し出しているからです。さりげなく、柔らかく。
一瞬の活力ではなく、長い未来を信じるための光です。
休みの日の午後なんかに落ち着いた気分で、のんびりビールを飲みたいという人にこっそりオススメです。
『DUG OUT』には心の“休憩”とかが似合うかもしれません。
「明日のための今日ではなく、今日のための今日ですよ。」
甲本ヒロト
8. PAN(1995)
“自由すぎる解散盤”8thアルバム。
4人それぞれの素晴らしき個性が、バラバラに詰め込まれたラストアルバム。
ソロアルバムの寄せ集めみたいな感じです。
他のアルバムの前に『PAN』を一番最初に聴くのはやめてください。
『PAN』収録曲
1.ドラマーズ・セッション
2.ヒューストン・ブルース(月面の狼)
3.もどっておくれよ
4.ボインキラー
5.花になったかまきり
6.バイ バイ Baby
7.歩く花
8.休日
9.トバゴの夢(キチナーに捧げる)
10.幸福の生産者
11.Good Friend(愛の味方)
12.ひとときの夢
13.ありがとさん
全13曲、64分。
『PAN』からのシングルリリースはありません。
・4人の個性が炸裂してる
・オススメではないけど飽きてもいない
レコード会社との契約が残っていたから作ったという解散アルバム。
メンバーそれぞれが自分の曲を別々に録音してきています。4人のソロ曲を集めたアルバムです。
最大の特徴は、4人全員がリードボーカルをやってます。
初めてドラムの梶くんの歌が聴けます。梶くんの歌はとてもあたたかいです。南国っぽい曲調で明るくて元気が出ます。
ヒロトの3曲は全部バラバラな音楽性だと感じるので、飽きずに楽しめます。カントリー調の「歩く花」は名曲です。
マーシーの3曲はソロでやっていた音楽そのまんまな感じで、私は好印象です。すごく気に入って、高校生だった当時はマーシーの3曲ばかりをリピートして聴いていました。
河ちゃんだけ4曲入り。抜群のメロディセンスが炸裂してます。何かを信仰している印象を受ける歌詞は難しいかもしれません。それも河ちゃんの慈悲深い個性です。
解散前提のラスト作。
まとまりのないバラバラなアルバム。
でもそれが『PAN』の面白さ。
もはやブルーハーツとしては機能していませんが、曲は割といいです。とはいえ、初心者の方には聴きやすいものではありません。
ヒロトは「(PANを)ずっと聴き続けるかもしれない」と語っていました。
私は聴き続けています。
もし中古なんかですごく安く手に入るならオススメ…ではないですが、とりあえず買ってください。
マーシーが歌う3曲がいいので、マーシー好きにはオススメです。
「やりたくなければ、やめればいいんだよ。ビートルズだってやめたんだし。」
甲本ヒロト
ALL TIME SINGLES(2010)
“オリジナルアルバム未収録曲網羅盤”ベストアルバム。
ブルーハーツをすべて聴くには必須です。
『ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜』収録曲
【DISC 1 】(1985〜1989)
1. 1985
2. 人にやさしく
3. ハンマー
4. リンダ リンダ
5. 僕はここに立っているよ
6. キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)
7. チェインギャング
8. ブルーハーツのテーマ
9. シャララ
10. チェルノブイリ
11. TRAIN-TRAIN
12. 無言電話のブルース
13. ラブレター
14. 電光石火
15. 青空
16. 平成のブルース
【DISC 2】(1990〜1993)
1. 情熱の薔薇
2. 鉄砲
3. 首つり台から
4. シンデレラ(灰の中から)
5. あの娘にタッチ
6. わーわー〈ライブバージョン〉
7. TOO MUCH PAIN
8. 泣かないで恋人よ
9. 夢
10. 皆殺しのメロディー〈ライブバージョン〉
11. 東京ゾンビ(ロシアンルーレット)〈ライブバージョン〉
12. 旅人
13. 台風
14. 1000のバイオリン
15. 俺は俺の死を死にたい
16. 1001のバイオリン
17. PARTY
18. CHANCE
19. 夕暮れ
20. すてごま〈ライブバージョン〉
21. 夜の盗賊団
全37曲、142分。
こちらはオリジナルアルバムではないです。
ブルーハーツのベストアルバム、シングルコレクションです。
CD2枚組。
全15曲のPV集を収録した「DVD」まで付いてくるゴージャス仕様。
私が聴く頻度はかなり高いベストアルバム。
タイトル通り活動期間中に発表したシングルのタイトル曲+カップリング曲をすべて網羅した優れものです。“幻の曲”と言われていた「1985」もバッチリ収録されています。
ブルーハーツのシングルはやはり名曲揃いです。
カップリングにも名曲が多いので、これからブルーハーツを聴いてみようという人にはオススメです。
とはいえ、このベストアルバムだけで終わってはいけません。
なぜなら、シングルベストでは重要な曲までは全然網羅されていないからです。オリジナルアルバムは1枚ごとに炸裂してます。
しかし、全8枚のオリジナルアルバムのみではすべてのシングル曲を網羅できません。
とりあえずまずはシングルからだろという人、または今からシングルCDを集めるの面倒くせえよという人に強烈にオススメです。
「僕は一貫して自己満足です。めざすものは。」
甲本ヒロト
人には持ってるものと持ってないものがあるけど、ブルーハーツはないものを探すより、今あるものを余計な装飾はせずに分かりやすい音楽で届けてくれた身近な存在だと感じます。
私はその音楽に共感しました。
ここにしかないものがあったからです。
ブルーハーツのそれぞれのアルバムは、気分に合わせて選べる“今日を生きるパワー”
どこにもネガティブは存在しません。
突き抜けたポジティブです。
彼らの誇らしげな音楽がいつも私の心を動かして、今でもブルーハーツのその音が生きる勇気になっています。
新しくブルーハーツに興味を持った人にもし万が一おすすめを聞かれたら、、、
私のおすすめの聴き方は1stアルバムからリリース順に、少しずつ変化していく音楽性を楽しみながら聴いていくことです。
それが一番スムーズだと感じます。
いきなり『PAN』から買って聴くのはやめてください。失敗します。
オレにはブルーハーツが聴こえる。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。