こんにちはUMEです。
「YOUNG AND PRETTY」は1987年リリースのブルーハーツの2ndアルバムです。
ブルーハーツは「日本人」としての正しさよりも『人』としての正しさを音楽で教えてくれます。それが心に刺さる要素です。
“どパンク”な印象の1stと比べるとアレンジが多彩になりました。
このアルバムにあって1stアルバム「THE BLUE HEARTS」にはなかった一番のポイントは初のマーシーボーカル曲が2曲も収録されたことです。
曲順、アルバムの構成については当時はまだCDよりもレコードが主流だった為か現在のCD1枚としての流れというよりはレコードのA面とB面として制作された印象が強く出ています。12曲44分というめちゃくちゃ丁度いい演奏時間です。CDが当たり前になってからは世に出るアルバムの曲数もトータルタイムも長くなった印象があります。聴きやすいのはブルーハーツがやってる長くない方ではないですかね。ジャケットデザインもCDで見るより大きいアナログレコード盤の方がしっくり来ます。
THE BLUE HEARTS/YOUNG AND PRETTY(1987)
このアルバムには聴きやすいメロディセンスと強烈な歌詞の曲が多数存在しているのでリリースから34年経った今でも猛烈に聴きたくなる1枚です。とはいえ、前半(A面)は疾走感があるアレンジに一回だけ聴いてインパクトを与える歌詞と興奮気味に楽しめますが、後半(B面)に入るとあまり馴染みのないアレンジの曲が所々に配置されているので少しダレるのも本音です。
・個性派な曲が揃っている
・1stや6th「STICK OUT 」のイメージで聴くとハズレる
1stアルバムの“どパンク”なイメージのままこのアルバムを聴くとアレンジが多彩になっているので、なんか違う感があるかもしれません。
8ビート以外の曲があったり、ヒロトのブルースハープの音が多く使用されていたり、何よりマーシーボーカル曲が2曲入っています。1stアルバムとは違うアレンジにレコーディングは難航したようです。しかしその分、1stアルバムより曲に個性が出ています。
マーシー作の「ロクデナシ」シリーズも、痛烈な叫びである「チェインギャング」もこのアルバムに収録されています。若い頃のマーシーのフラストレーションがよく表現されていて共感できること間違いなしです。作詞作曲の比率を見ると今作はヒロト5曲、マーシー7曲とマーシー密度高めです。
前作に比べアレンジが多彩になって音楽性としての“どパンク”ではないですがパンクの精神性はどのアルバムのブルーハーツにも健在です。つまりこのアルバムはパンクです。
今作「YOUNG AND PRETTY」で挑んだ多彩なアレンジ、音楽性こそがその後のブルーハーツの良き個性に直結しているのは事実です。
M1「キスして欲しい(トゥー・トゥー・トゥー)」
作詞・作曲/甲本ヒロト
このアルバムで唯一のシングルです。ブルーハーツの人気曲です。(トゥー・トゥー・トゥー)というのは曲の中で何度も歌われるフレーズですが、音を言葉にしたようなニュアンスのサブタイトルが目に付きやすくていいですよね。今となっては女性ボーカルでよくカバーされている印象があります。わかりやすいラブソングですね。
アルバムのスタートは「ジャーーーン!」と豪快にマーシーの歪んだギターの音が炸裂します。この時点で心を掴まれます。ギター初心者にも取っ付きやすいコード中心の演奏が冴えてます。河ちゃんのコーラスも2枚目のアルバムにしてすでにブルーハーツの胸熱ポイントの一つになってます。
“どこまで行くの 僕達今夜 このままずっと ここに居るのか はちきれそうだ とび出しそうだ 生きているのが すばらしすぎる”
すごい感情が剥き出されている歌詞です。生きていることがすばらしすぎると思えるほどの嬉しさが伝わってきます。それにしても何回キスして欲しいって言うんだ。歌っているヒロトにその恥ずかしさはまったくないのが魅力です。
こちらは実写ではなくアニメーションですね。実写で観たかったなというのが個人的な本音です。
「キスして欲しい」のシングルCDはこんな感じでした。
M2「ロクデナシⅡ(ギター弾きに部屋はなし)」
作詞・作曲/真島昌利
若いパンクスが主人公である歌詞のストーリー性がインパクト大です。マーシーが部屋を探していた時に不動産屋に断られたという実話です。かなり勢いのある2ビートで攻撃性を感じます。こういう一見青臭いと言われてしまいそうな曲が年をとってからも当時と同じように共感できるのがブルーハーツのすごいところです。「ロクデナシ」シリーズ大好きです。
“ボクの着てる服が気に入らないんだろ? ボクのやりたい事が気に入らないんだろ? ボクのしゃべり方が気に入らないんだろ? ホントはボクのことがうらやましいんだろ?”
皮肉たっぷりでスカッとします。日本では個性のままいるのが難しいからこそこの歌詞は刺さるんですね。
“どこかのエライ人テレビでしゃべってる 「今の若い人には個性がなさすぎる」 僕等はそれを見て一同大笑い 個性があればあるで押さえつけるくせに”
この曲から30年以上も経った現在にこういう「ボケた日本人」としての価値観が劇的に改善されたかというとそんなことはないですね。みんなで同じものを目指しましょうという同調圧力が今でも余裕であります。当時と違うのはそれは「人」としては間違っていると気づき始めた人がわずかに増えたということでしょうかね。しかしながら気づいたことは確実に希望です。
M3「スクラップ」
作詞・作曲/真島昌利
イントロで河ちゃんが弾くベースラインが特徴的で気持ちが一気に高ぶります。一度聴いたら記憶に残るほどの名フレーズ。ラストのマーシーのギターソロも歌詞で主張しているのと同じパワーを持っています。キーボードの音が効果的に入っていることによって1stとの音色の違いを感じます。
“手にしたモノをよく見てみれば 望んだモノと全然違う しがみつく程価値もない そんなモノならいらないよ”
自分の経験から痛いほどよく分かります。1番の歌詞で歌われている“がまんして苦労して”生きた他人の人生で手にしたモノは自分が望んだモノと全然違うという人生において重要なことを歌っています。
“スクラップにはなりたくない スクラップにはされたくない ただ自分でいたいだけ”
サビの歌詞は信じ込まされた「みんなと同じ」ではなく自分は自分なんだという重大な気づきの主張です。
“クヨクヨしてもしょうがないから ビクビクしてもしょうがないから とりあえず今日笑いながら ドアを開いて出ていくよ”
クヨクヨじゃなくビクビクでもなく笑いながらです。この歌詞がポジティブで好感が持てます。最後の歌詞は笑いながら自分の人生を始めようということですね。
ブルーハーツには「哲学」を感じます。哲学の本を読むよりずっと分かりやすい。
M4「ロクデナシ」
作詞・作曲/真島昌利
マーシー作のパンチ力ありすぎる歌詞とブルーハーツに一番しっくりくる速いテンポの8ビートです。有名だし人気曲だけどシングルではありません。たくさんの人を救う名曲です。「青空」でも歌っている“誠実さ”がこの曲にもあります。自分に誠実にですね。
“役立たずと罵られて 最低と人に言われて 要領良く演技出来ず 愛想笑いも作れない”
人の感想ほど当てにならないものはなく、人のルールほど自分に合わないものはありません。
“誰かのサイズに合わせて 自分を変えることはない 自分を殺すことはない ありのままでいいじゃないか”
誠実さが溢れてる。この曲が発表されたのは1987年ですが今でも大して日本人の考え方は変わらない気がします。今の日本は右肩下がりなので、みんなと同じものを目指したらみんなと同じように右肩下がりに落ちていってしまいます。
“全てのボクのようなロクデナシのために この星はグルグルと回る 劣等生でじゅうぶんだ はみだし者でかまわない”
この歌詞の精神のが生きる知恵なんじゃないでしょうか。「ロクデナシ」が自分に気づくキッカケになるかもしれません。日本語であるブルーハーツの曲の意味をわかって聴けるなら日本人でよかったと思えました。M2「ロクデナシⅡ」からM4「ロクデナシ」まで続けて収録されたマーシー作の3曲は神がかっています。
M5「ロマンチック」
作詞・作曲/甲本ヒロト
前の4曲目まで疾走感とパンチ力のある曲で興奮しっぱなしで来ましたが、ここで流れるような軽快な感触のラブソングが入ります。ヒロトの歌詞が思いやりがあってやさしいラブソングなのでほっこりします。ロマンチストにしか作れません。マーシーのギターソロのメロディが恋心をよく表現しています。多用されているキーボードの音がこの曲を好印象な雰囲気にしています。
歌詞の出だしは“シャララ・・・”で、これはヒロトが好きな言葉というか音ですね。よく使ってます。「ロマンチック」が初めてのはずです。他に有名な曲だとハイロウズの「日曜日よりの使者」とかですね。
“ああ 淋しくて たまらない ああ そんな2人が 会えたんだ”
似た者同士が出会えたんだなと恋愛映画の始まりみたいなものを感じてしまう。こういうのは割とありがちな事でしょうから自分自身の経験に重ね合わさずにはいられなくなります。
“いくつもの誤ちをして 遠回りしたけど もう 迷わない”
愛っていろんな「誤ち」があって傷つけ合ったり悪い事が起きたりするから今の信頼関係にたどり着くまでにはかなりの時間がかかったけど、本当に大事なのはあなただとはっきりわかったからもう迷わないよ、という確信をしているので、結構な長い時間を一緒に過ごした2人なんだと思ってます。それを乗り越えた関係は深い絆で結ばれています。自分も同じ経験をしてこの歌詞の意味がわかりました。
“せつない気持ちの分だけ 約束を果たそう ああ ときめいて”
成り行きや偶然じゃなくて約束です。たくさんの約束を果たすってことは究極に愛していますね。最後の“ときめいて”が重要です。約束を果たす時きっとその関係が何年経っていてもときめいているのは知っています。
M6「ラインを越えて」
作詞・作曲/真島昌利
ブルーハーツのアルバムで初のマーシーボーカル曲。この声はブルーハーツにはなくてはならない存在です。マーシーのしゃがれ声とヒロトのブルースハープは曲の聴きどころ。やっぱりボーカルが変わるとそこで雰囲気がガラッと変わります。
“色んな事をあきらめて 言い訳ばっかりうまくなり 責任逃れで笑ってりゃ 自由はどんどん遠ざかる”
歌い出しのこの歌詞は自由がどんどん遠ざかる原因です。自分にも思い当たる節はありますが、気づいた時が生き方を変えるチャンスです。
“満員電車の中 くたびれた顔をして 夕刊フジを読みながら 老いぼれてくのはゴメンだ”
こういうくたびれた考え方で生きてしまっていないか、当時の若者が今の老害になってしまっていないか一度自分を自問自答しました。今、自分が会社員をやっていてこの歌詞が胸に突き刺さってしまった。マーシーはバンドをやっていなかったとしても会社員はやっていないと思います。ラインを越えなければ見えないものがきっとありますよね。
“誰かが使いこなす ホンネというタテマエ 僕はラインを越えて 確かめたい事があるよ”
「ホンネというタテマエ」この表現は流石マーシーです。漢字ではなくカタカナというのも意味深でいいです。日常にこういう嘘がたくさんあります。嘘と本当のラインという解釈もできますね。歌詞のラインを越えて確かめるってすごい決意と勇気です。
M7「チューインガムをかみながら」
作詞・作曲/真島昌利
この曲からレコードでいうところのB面です。マーシーのアコギによるアルペジオで緩やかに始まりエレキのカウントで一気に勢いづくので興奮せずにはいられません。ギターソロの入るタイミングが早すぎず遅すぎずめちゃくちゃマーシーらしい感性だと感じます。それが決して難しいテクニックではない胸熱なメロディだからこそ心に響きます。
“セックスヘタでもいいだろう? ルックス変でもいいだろう? ヴィックスなめてりゃいいだろう? ソックス穴があいてるよ”
2枚目のアルバムにしてすでにここまで気持ちよく韻を踏んでいるのに注目です。キレイにハマっていて心地いいです。マーシーの韻を踏むセンスにはいつも心を持っていかれてしまいます。他のアルバムの中にもこのセンスが多数存在しているので聴きながら探してみると楽しいです。
“先生 三角定規じゃ はかれないものがあります チューインガムをかみながら 生意気なガキでいてやる”
この曲の繊細な感性こそ三角定規じゃはかれません。
M8「遠くまで」
作詞・作曲/真島昌利
一番の難解で特殊な曲です。個人的にはこのアルバムの中で掴みにくさ聴きにくさナンバーワンです。いつもとリズムが違うからでしょうかね。今までのブルーハーツになかったこのリズムにドラムの梶くんはプロデューサーから何度もダメ出しされたということです。ブルーハーツに求めているキャッチャーさが欠けてしまっていると感じます。曲として印象に残りにくいかもしれませんがマーシーらしい歌詞は頭に残るのが名詩人な証拠です。
“言葉はいつでも あやふやなもので 僕を包んだり 投げ捨てたりする 僕をほどいてくれないか”
他人の言葉にしばられてしまっているということでしょうね。その言葉に救われたり傷つけられたりする気持ちが詩的に表現されていて感動します。そんなしがらみから解放してくれと自分自身に訴えているのだと解釈しています。7thアルバム【DUG OUT】にも言葉についてこれに近い内容の歌詞があります。
「トーチソング」作詞・作曲/真島昌利
“言葉はいつも空回りして 道の上をすべってく 方向音痴クルマにひかれ 今日も届かない”
この曲もマーシーの圧倒的な詩人ぷりが際立っているので聴いてみてください。アコースティック調のこちらは聴きやすい曲です。
決して「遠くまで」をディスってはいませんのでね。正直なところこの曲は印象が薄いですが、その代わりに収録して欲しかった当時のアルバム候補曲がありますのであとで紹介します。
M9「星をください」
作詞・作曲/甲本ヒロト
聴き慣れたリズムで安心してしまいます。「ロマンチック」同様に流れるようなテンポの気持ちいい曲です。この曲の歌詞には反抗的な言葉はありません。すごく丁寧な言い回しです。でも精神性はパンクです。これもギターソロのメロディが熱いです。この曲Bメロがすごく心を奪われる歌詞とメロディです。なにかのテレビ番組の挿入歌になっていた記憶がありますが定かではありません。星をテーマにした曲はロマンチックです。
“願いをかける 星さえ見えず そんな気持ちなんです
都会の空に星を下さい 雲のすきまに星を下さい”
1番のBメロとサビです。「ください」がタイトルはひらがなですが歌詞だと漢字になってます。どういう意図があるんだろう?都会での焦燥感から願いをかける星を求めているんでしょう。
M10「レストラン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ブルーハーツがまだ知名度のほとんどなかった時代からライブで演奏されていたという曲です。個人的になんとなく聴きにくい曲その2です。穏やかなテンポのスカです。聴きどころは楽しいリズムを弾く河ちゃんのベースです。レストランと連呼する“レストランに行きたい”という内容の歌詞ですが視点が違う。レストランでカツ丼、サラダ、冷やっこをお腹いっぱい食べたいという売れる前の食えない状況の自分たちの憧れと野良犬とかを重ねているのだと推測できます。
“明日 保健所が来たら 捨てられちゃうよね 僕たち レストラン レストランに行きたい”
曲調はスカだし明るい雰囲気なんですが歌詞を読むと実はすごく悲しい曲なのかもしれません。
“明日 どこかの交差点で ひきにげされちゃうかも みんなが笑ってる”
ひきにげされてるのに、みんなが笑ってるという客観的な歌詞が独特でヒロトらしいです。
M11「英雄にあこがれて」
作詞・作曲/甲本ヒロト
この曲も8ビートではない変わったリズムです。聴き馴染みのないリズムですが意外にも聴きやすい曲です。ヒロトの声がたまにかすれて聴こえるところに激アツな魂を感じます。英雄にあこがれる若者の歌ですが、この若者はよくあるカッコいい主人公とは違います。歌詞にも出てくる“はしっこ”がポイントです。真ん中じゃなくて、はしっこという表立っていないところで宣戦布告してる感じが共感できます。
『ドブネズミの詩』というブルーハーツの本の中にこういう心情なんじゃないかと思う一文がありました。
この発言が「英雄にあこがれて」に描かれているなと思いました。
“音もたてないですぎていく やり直せない日々 運動場のはしっこで 悪魔を育てよう”
歌詞の「音もたてないですぎていく」この表現は切ない感じがします。若者は納得していないしもちろん満足もしていない空っぽな心情なんじゃないですかね。こういうはしっこで宣戦布告する曲を精一杯歌うのがヒロトらしくて好きです。
M12「チェインギャング」
作詞・作曲/真島昌利
シングル「キスして欲しい」のカップリングにもなってました。すっかり有名になったマーシーボーカルの名曲です。ラストにしてこの圧倒的な存在感がたまらないです。歌い出しの“僕の話を聞いてくれ”が心の叫びを聞いてくれと訴えているように聞こえるほどの刺さる曲です。自暴自棄になっていた時期に作った、というのがマーシー本人のコメントです。
エレギではなくアコギを弾きながら、頭の血管が切れてしまいそうなほどに声を張り上げてマーシーが歌います。簡単なコードのみのアコギでの演奏ということが歌詞の叫びをより鮮明にしています。すさまじいほどの悲痛な叫びは命を削って歌っていると感じるので聴いているこちらにも伝染します。ヒロトのブルースハープが切なくてやり切れなさを煽り立てます。キーボードの音が効果的で曲の雰囲気をドラマチックにしていて重いテーマのこの曲を聴きやすくしています。
“僕の話を聞いてくれ 笑いとばしてもいいから ブルースにとりつかれたら チェインギャングは歌いだす 仮面をつけて生きるのは 息苦しくてしょうがない どこでもいつも誰とでも 笑顔でなんかいられない”
チェインギャングとは、アメリカのソウルシンガー「サム・クック」の同名曲からつけられたものです。ブルースとは「憂鬱」の意味合いです。憂鬱な気分になっている時にレコードのサム・クックが「チェインギャング」を歌っているのでしょう。続く歌詞は愛想笑いという日本人独特の世間体の仮面をつけて生きるのは息苦しいと素の自分が気づいた心にガツンと来る内容です。
“過ぎていく時間の中で ピーターパンにもなれずに 一人ぼっちがこわいから ハンパに成長してきた なんだかとても苦しいよ 一人ぼっちでかまわない キリストを殺したものは そんな僕の罪のせいだ”
当初は1stアルバムに収録される予定だったのが、この「キリストを殺したもの」という部分に問題があって見送られて今作に収録されたということです。自分の罪を「キリストを殺したもの」とまで言える思考の深さに驚きました。
355万回再生の激ヤバなやつです。激しく心の奥に突き刺さります。
ちなみにこんなタイトルの本も発売されていました。本人たちの執筆ではないですがインタビューは掲載させています。最後のページには「チェインギャング」の歌詞が堂々と1ページに刻まれていて叫んでます。
『僕の話を聞いてくれ』(1989)
前半(A面)と後半(B面)のラストにマーシーボーカル曲を持ってくるアルバムの構成は「YOUNG AND PRETTY」にしかない良さです。
「YOUNG AND PRETTY」のマーシーはめちゃくちゃ棘があって好きです。今でも聴きたくなるのはきっとその部分です。スカッとしたい時にこのアルバムでストレス発散しています。
秀逸すぎる未発表曲
今作「YOUNG AND PRETTY」に当初収録予定であった2曲「窓を開けよう」「ほんの少しだけ」は未発表曲とはいえ秀逸すぎます。どちらもヒロトの作詞作曲です。アルバム用の新曲「遠くまで」「星をください」が完成したことによりカットされたというわけですね。アルバムが14曲になったとしても是非とも収録してほしかったと思うほどの輝きを放っています。
「窓を開けよう」の方はDVD『ブルーハーツが聴こえない』にサビのみライブ映像が収録されています。その短い映像を観ただけでも、かなり気になる曲であることは間違いないです。この曲はマーシーのしゃがれ声のコーラスがバッチリです。
どちらの曲も大事なことに気づかせてくれるし、心に響く泣ける素晴らしい曲にも関わらず未発表のまま現在に至ります。
がしかし、動画の投稿者がどういう経緯でその音源を所有しているのか分かりませんが2曲ともにライブ音源がYouTubeで聴けます。興味があれば聴いてみてください。
どちらもライブ音源ですが割と音はいいです。
1stアルバム「THE BLUE HEARTS」も1987年のリリースなのでこの年には1年間に2枚のアルバムリリースをしています。当然いろんな事情はあったでしょうけど、そんなに急がずもう少し時間をかけて制作してもよかったのではないかというのはリリースから34年後の個人的な感想です。
2017年には今作も含めたブルーハーツの全オリジナルアルバムがアナログレコード化されました。「YOUNG AND PRETTY」はレコード盤の構成として制作されているはずですので、やっぱりレコードで聴くとバンドの制作意図がより見えてきます。
A面が終わったらB面にひっくり返すという作業が発生することによりCDとはまた違った気分でB面を聴き始めることができます。当時の音楽を聴く場合はそこが重要な気がしています。とは言いつつも僕が音楽を聴き出して好きになった小学生の頃にはレコードはすでにオワコンでした。そのように後追いとはいえオリジナル発売当時のその雰囲気を味わいたい人にはアナログ盤はオススメです。Amazonはまだ買えます。
88年のプリティパイナップルツアーの頃の【テレビ出演の映像】をYouTubeで見つけてかなり面白かったのでリンク貼っておきます。
演奏シーンではありません。4人が大阪の商店街を歩くという番組です。当時の4人のファッション、髪型、テンション、話し方など興味深いです。古いレコードや音楽のビデオに興味を示す姿が見所です。メンバーそれぞれの個性が際立っています。
もっと過激なパンクロックを心にぶっ刺したい人には1stアルバム【THE BLUE HEARTS】がオススメです。
次作である3rdアルバム【TRAIN-TRAIN】は音楽性がよりバラエティに富んだコンセプトアルバムになっているのでひとつの作品を楽しめたという充実感に浸れます。
オリジナルアルバム未収録曲が満載なベスト【ALL TIME SINGLES】
マーシーのソロも是非聴いてみてください。
ちなみに当時のカセットテープの「YOUNG AND PRETTY」はこんな感じです。カセットデッキがなくて聴けませんが、大事に持っています。持つと手に馴染む感じが懐かしいです。
カセットテープにもA面とB面がありますね。
他の作品では聴けない曲(バージョン)を含む【後期ベスト+前期ベスト】
ブルーハーツの一ファンとして。
ありがとうございました。