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★ロックンロールが鳴り響く!! ★ つまらない世界を照らす 馬鹿げた光

THE BLUE HEARTS

【THE BLUE HEARTS/ALL TIME SINGLES】オリジナルアルバム未収録曲網羅盤

投稿日:2022年1月15日 更新日:

こんにちは。

『ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜』は2010年リリースのブルーハーツのベストアルバムで、シングルコレクションです。

ブルーハーツの“全シングル”が網羅されています。

ブルーハーツは1985〜1995年まで活動しました。

結成から解散までに発表したシングル全17枚をカップリング曲もすべて含めて年代順にCD2枚組で収録しています。

オリジナルアルバム未収録のシングル曲とカップリング曲が多数あるのでレビューさせて頂きます。

それらの歌も心に響く名曲揃いです。

THE BLUE HEARTS/ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜(2010)

ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜(オールタイム・シングルス)はブルーハーツ解散から15年が経過した、2010年2月24日に唐突に発売されました。

発売にブルーハーツ自身の意思があったのかは分かりません。

この作品の前にも、ブルーハーツ解散後に発売されたベストアルバムは4つありました。

・EAST WEST SIDE STORY
・SUPER BEST
・THE BLUE HEARTS BOX
・Singles 1990-1993

シングルに特化して「全期間」&カップリングも含めた全シングルを網羅しているのはこの『ALL TIME SINGLES』が初めてでした。

現在でも全シングル集というは唯一です。

※13thシングル「パーティー/チャンス」に収録されていたそれぞれの歌のカラオケ2曲は未収録。

このベストアルバムの特筆すべきポイントは全曲がデジタルリマスタリングされていることにより相対的に音圧にまったく差がなく、昔のCDにありがちな音が小さいという問題がないことです。

当時のものより音が鮮烈になっています。

オリジナルアルバムはすべて揃えていても、当時の8cmのシングルCDは持っていないという場合には特にオススメです。

ブルーハーツは、オリジナルアルバム未収録のシングルのカップリング曲が名曲揃いであるという点に聴く価値があります。

心に残る歌ばかりなので、それらカップリング曲などのオリジナルアルバム未収録曲を聴きたくなるということが非常に多いです。

当時の8cmシングルCDを中古で探してコンプしていくよりも『ALL TIME SINGLES』は圧倒的に手軽です。

17枚のシングルが一つの作品になったことにより、それぞれの歌の音圧に差がない、統一されたということがかなりのメリット。

「リンダ リンダ」「情熱の薔薇」はオリジナルアルバム収録のアルバムバージョンとは結構アレンジの違うシングルバージョンで本作には収録されているので、そこにも聴きどころがあります。

個人的にはシングルのタイトル曲、カップリング曲をこの作品だけでまとめて聴けるところが重宝していて、所有する価値観になっています。

『ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜』収録曲

【DISC 1 】(1985〜1989)

1. 1985
2. 人にやさしく
3. ハンマー
4. リンダ リンダ
5. 僕はここに立っているよ
6. キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)
7. チェインギャング
8. ブルーハーツのテーマ
9. シャララ
10. チェルノブイリ
11. TRAIN-TRAIN
12. 無言電話のブルース
13. ラブレター
14. 電光石火
15. 青空
16. 平成のブルース

【DISC 2】(1990〜1993)

1. 情熱の薔薇
2. 鉄砲
3. 首つり台から
4. シンデレラ(灰の中から)
5. あの娘にタッチ
6. わーわー〈ライブバージョン〉
7. TOO MUCH PAIN
8. 泣かないで恋人よ
9. 夢
10. 皆殺しのメロディー〈ライブバージョン〉
11. 東京ゾンビ(ロシアンルーレット)〈ライブバージョン〉
12. 旅人
13. 台風
14. 1000のバイオリン
15. 俺は俺の死を死にたい
16. 1001のバイオリン
17. PARTY
18. CHANCE
19. 夕暮れ
20. すてごま〈ライブバージョン〉
21. 夜の盗賊団

「DISC 1」全16曲、63分。
「DISC 2」全21曲、79分。

合計37曲、142分の超長編のため、私の場合は1日にどちらか1枚しか聴けない感じです。

ベストアルバムなので、気分でかいつまんで聴くというのもありだと思います。

ブルーハーツは活動期間中の1990年にレコード会社をメルダックからワーナーに移籍したので、2枚のディスクはレコード会社別になっています。

それがすごくいい感じ。

活動期間の前半と後半で分けて聴けるというのは、わずかにある音色の違いという視点からも区切りがいいと感じるので、聴く側からしても都合がいいです。

単純に発表順で収録されているのも、ブルーハーツの歴史を辿る感覚なので楽しいです。

名曲ばかり。むしろ、名曲のみ。

シングル曲ばかりを評価する訳ではないけど、本作に収録された歌はどれも、やはりシングルとして発表するほどの“輝き”があります。

心に聴こえる美しいメロディ、気持ちが高ぶる個性的な歌詞、頭が冴えてくる圧倒的なインパクト、何もよりも覚えやすさがぶっちぎりです。

聴いていると常識など通用しない強いインパクトに圧倒されつつ、真っ直ぐな歌の誠実さに心が動くし元気が出ます。

ヒロトがメンバー3人に向かって言う悪口(1987年頃)

『マーシー』

だいたいねぇ、あのぉ、マーシーはですねぇ、顔が良すぎる。ずるい。モテすぎ。下半身は弱いよ。人の事言えませんけど私も。

すごく昔な、マーシーとな、風呂に行った時おかしかったな〜。マーシーと僕とブルーハーツの初代ベースのマサミと3人で、真冬のなぁ雪がちらつく夜にな、マーシーと僕とマサミはなぁ、海パン一丁でアロハ着てサングラスかけて洗面器持って風呂に行ったの。

そういうね、僕のノリについてくる人。

最低ですよ。

あのマーシーが、真冬にアロハに海パン一丁でサングラスかけて洗面器持って、そのノリにすぐ乗じるやつ(笑)

私と性格の合う人はみんなダメですね。

『河ちゃん』

太りすぎですね。(昔は)カッコ良かったよ、河ちゃんは。僕、河ちゃんに憧れたんだもん。それで僕のスランプみたいなやつを解消してくれたのも河ちゃんだし、すべて河ちゃんは僕の人生の伴侶ですね。

だけどね、音楽的にはね、一途すぎてね、見えてないとこもありますね。

河ちゃん!見えてねぇよ(笑)

でも、でもどこにも行かないで、ハハ(笑)

『梶くん』

梶原徹也、生意気。

最初のな、あのしおらしい徹ちゃんはどこに行ったの。河ちゃんに対して敬語、マーシーに対しても敬語、僕に対しても敬語を使ってた梶くんはどこに行ったの、帰ってきて、優しい梶くん(泣)

梶くん、暴力反対(笑)

 

2枚組のベストCDと一緒に、もう一つ強烈なものが同梱されています。

全15曲のPV集を収録した「DVD」が付属しています。

YouTubeにブルーハーツの公式チャンネルがありますが「旅人」のPVは観れません。このDVDには“放送禁止バージョン”とサブタイトルの付いた「旅人」のPVがしっかり収録されています。

『ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜 』は一時的に品切れになりましたが、初回盤が発売された2010年から10年後に再発売されて、現在でも購入できます。

2020年に再発売されたバージョンは内容は同じですが、ジャケットデザインが変更されました。

※解散決定後にリリースされた8thオリジナルアルバム『PAN』収録曲はシングルがリリースされなかったので、本作には『PAN』からの選曲はありません。

『ALL TIME SINGLES〜SUPER PREMIUM BEST〜』初回リリースから8年後の2018年にアナログ盤も発売されました。

レコード4枚組の超重量級です。

当時の定価も¥13,889+税と、私にはそっちも超重量級でした。高い。

とは言え、手に持つと度を超えてズッシリしているし、レコードラックに並べると分厚い背表紙がかなりの存在感を放っているので所有する喜びはとても大きいです。

肝心の音もハッキリしていて好印象。

残念ながら、限定生産だったのでアナログ盤は既に売り切れ。中古は高値が付くかもしれませんので、定価との折り合いをつけつつ買うのが良さげです。

DISC 1 meldac side(1985〜1989)

「DISC 1」は初期のメルダック時代のシングル8枚、全16曲が収録されています。

シングルのタイトル曲はブルーハーツ好きではない人でも知っているほどの名曲ばかり。

オリジナルアルバム未収録のシングルタイトル曲、カップリング曲が多数収録されているので、私はどちらかと言うと「DISC 1」のが視聴頻度が高いです。

「1985」「人にやさしく」「ブルーハーツのテーマ」「チェルノブイリ」辺りはシングルでしか発表していない名曲たち。それらが1枚のアルバムに入っていると、歌の存在感の大きさを改めて気付く熱い体験をしました。

前期ブルーハーツの、反骨精神剥き出しの自分に対して誠実な音が聴こえてきます。

私の心が激しく動く瞬間が多いです。

『ドブネズミの詩』(ブルーハーツの本)より

“わけわからない田舎もんだったからや、東京に行って音楽やりゃあなんとかなると思うとった。その結果がブルーハーツ。”

M1「1985」(1985)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録曲

自主制作 SINGLE

ブルーハーツの始まりです。

これぞビートパンクだ!と聴けばすぐに耳の感触で分かります。

ブルーハーツがまだインディーズ時代だった頃の1985年12月24日に都立家政スーパーロフトというクリスマスライブの会場にて自主制作ソノシート(ペラペラのレコード)として200枚だけ配布された曲です。

その日のライブで演奏もされました。その後は1987年7月4日の日比谷野音公演でしか演奏されていないということです。

「1985」のソノシート、私はさすがにこれは持っていません。

2023年にヤフオクに出品されていたのを見ました。20万円ぐらいで落札されていました。「1985」のソノシートに100万円の強気な価格を設定していた出品者も見ました。ずっと入札されてませんでした。

私はそう呼ぶのは好きではないけど、「1985」は反戦ソングと言えそうです。

とは言え、退屈でつまらないそこら辺の反戦ソングではなくて、驚異的に異質なインパクトがあるパンクロックです。

“ジャカジャーーーン!!!”と高らかにギターが鳴り響くイントロは『THE BLUE HEARTS』と書かれた垂れ幕がゆっくり上がっていくのが見える感じで、気分が高揚していきます。

聴こえてくる音が若々しく、初々しくもありますがいつも求めているブルーハーツです。

パンクに合う親しみやすいメロディ、テンションが上がる尖ったギターソロ。

私の場合「1985」は歌われる歌詞に気持ちが鼓舞するというより、疾走するパンクアレンジに心を奪われます。

パワフルに歌うヒロト。力強さとあたたかさの両方を聴かせるパンクロックのボーカリスト。

ノイジーに歪んだマーシーのギターは簡単そうに聴こえますが、実はすごく細やかな演奏だと感じます。その音はキンキンしてて、パンクロックの鮮やかな光になってます。

世界に一つの魅力的な感性。

若さ故なのか全員の一音一音が激しい。力一杯、全力、全開という言葉が似合います。

世界で一番の突撃音。

この歌は突撃してる音が聴こえるのが特徴。

本作収録曲でこの歌だけ音が違います。

ただの私の聴感の問題なのかもしれないけど、割と軽めな音でインディーズっぽさがあるという印象です。音圧も少し低い感じ。

それが見事に素晴らしきパンクロックの音になってます。

歌詞 : 誠実なパンクの、ただならない反戦ソングだと感じました。

1985年のブルーハーツに見えてた世界、または日本。

この歌詞に人間の愚かさがものすごく表現されています。神様も住めないほど汚れてしまっている空と、誰が作った物でもない海まで山分けしようとする人間のバカさ加減というは驚きの言葉と痛烈なビートでした。

「僕たちを縛りつけて 一人ぼっちにさせようとした 全ての大人に感謝します。1985年 日本代表 ブルーハーツ」

歌詞には載っていないですが、最後のこの言葉の衝撃はずっと心に刺さっています。

これは実は皮肉なのに、そこには折れない反骨精神があり、大事なことに気付いてしまったという体験です。

歌詞にはないこの部分が一番印象に残るという場合もありそうです。

1985年に「日本代表」と叫んだその後のブルーハーツの活動と実績が証明している通り、この言葉に嘘偽りがなかったということが何より偉大です。

幻の曲と言われていた「1985」が一般的に聴けるようになったのは、1995年リリースのブルーハーツのベストアルバム『SUPER BEST』で初CD化された時です。

今ではベストアルバムには入っていますが、シングルCD化はされていません。

カセットテープなら私にも自作出来ます。

M2「人にやさしく」(1987)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録曲

自主制作 SINGLE

1987年に自主制作盤シングルレコードとしてリリースされました。

決して無意味に頑張らせようとはしない応援ソング。

これほど自分は大丈夫だと思えるやさしさの溢れる応援ソングはなかったです。難しい言葉は何も使っていないからストレートに届きます。

フラットな気持ちで聴くと効果抜群。

応援ソングといっても、「人は誰でもくじけそうになるもの」と、心の弱さも肯定してくれるあたたかい歌です。

強くはないくじけそうな人へそっと差し出す思いやり。

イントロなし。

いきなり「気が狂いそう!!!」と歌い出す衝撃のインパクト。

直後に続くコーラス「NO NO NO NO NO NO NO!!!」がパンクを聴いてると実感させます。

だからこそ“不快なパンク”に聞こえる常人がいるかもしれない。常人を目指してない変人の私はとてつもない興奮をしました。

この歌、なんか変だ!と。

変だというのは、どうでもいい音楽とは違ってて純度100%の魅力を感じるという意味。

変わった態度だ、と思った。

ストレートすぎるパンクロックの美しさに心を鷲掴みにされた瞬間です。

その衝撃から30年近くが経って、パンクロックって真面目なんだと気付きました。

「人にやさしく」は、嘘ばっかりでひどくつまらない愛の歌とかとは明らかに何かが違ってた。

明るい曲調。聴きながらだんだん凹んでいく人や、元気がなくなっていく人はいません。

素晴らしく馬鹿げたジャカジャカ系。

とは言え、無意味な勢いではなく折れかけた心を修正して、もう一度動かすためのパワフルな音。

一音毎に前に出る自分の心。

マーシーのノイジーなギターソロ。強烈なハウリングの音が入っていたり、自分を受け入れてはくれない世間をおちょくってる感じがたまらない。

歌詞 : ブルーハーツが真心で叫ぶ。

“ガンバレー!”

精神的に病んでいた期間があったのですが、その時は頑張れと言われると負担にしかならなくて、とっくに頑張っているんだと他人からのその言葉を完全に突き返していました。

そんな精神状態の時に「人にやさしく」を聴いて、この「ガンバレ」だけはヒロトの「ガンバレ」だけは素直に受け取れることに気付きました。他の「頑張れ」とは誠実さが違う。深くてあったかくて真心があって嘘をついていない本物の「ガンバレ」です。

真心で応援してくれるのか、口先だけのセリフなのか、または勝手な理想の押し付けなのかの違いです。

ブルーハーツは誰かの落ちかけた心を、頼もしい音で引っ張り上げます。

実は「人にやさしく」にはCDでは聴けない本来のミックスが存在します。

1988年3月21日にメルダックよりCD化されたが、実際には外部の手が加わり音が派手になった「リミックス版」であり、オリジナルの音はインディーズ時代に出したアナログレコード版のみである。

CDバージョンは音が遠いです。

レコードバージョンはすぐそこにブルーハーツがいて爆音で演奏しています。実在感がかなり違います。ヒロトがそこで歌っていて、マーシーがそこでギターを弾いてそこにあるアンプの音が生々しく聴こえている。

ウィキペディアの説明にもある「音が派手になった」これが悪さをしています。

CDバージョンには余計なギターが入ってしまってます。レコードバージョンはマーシーのギターソロの前のピックスクラッチの音なんかバカでかい音で入っているので生々しさに鳥肌が立ちます。

コーラスの音も違うし「ガンバレ!」の聴こえ方も違うから心への響き方が変わります。

1988年にシングルCD化された「人にやさしく」はもちろん、すべてのベストアルバムに収録されているものもCDバージョンの方です。

「人にやさしく」と「ハンマー」はオリジナルレコードで聴くのが正解です。ブルーハーツが意図したままの誠実な音がします。

M3「ハンマー(48億のブルース)」(1987)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録曲

自主制作 SINGLE c/w

サブタイトルは“48億のブルース”です。これは、1985年当時の世界の総人口のことです。2023年の世界の総人口は80億人以上。日本は1億2330万人で11位です。

このベストにはサブタイトルの“48億のブルース”がなぜか付いていません。

48億の個人的な憂鬱がテーマの歌です。

その重みに耐えかねて地球がきしんでる。今では当時よりも30億人以上も増えたわけなので、地球からしたらたまらないのかもしれません。

アレンジは心地よい粗さが突撃してくるパンクロック。傍若無人な若さが炸裂してる。

何ひとつ、きっちり整ってしまっていないのが特徴です。

折れない反骨精神がはみ出してます。

エンジニアが正しく音を整列させられる程、パンクロックはやわじゃない。

イントロで高らかに鳴り響くマーシーのギターは、反響音と指が弦を移動する音が際立っていてパンクのリアリティを放ちます。

歌い出しはサビ始まりの胸熱スタイル。

ヒロトが力一杯に歌って、マーシーが煌びやかに弾いて、河ちゃんが太々しく弾き、梶くんがガムシャラに叩く。

難しい演奏は一切なく、最低限のテクニックなのかもしれないけど、最大限の表現力。

私の感情へダイレクトに伝わるのがパンクロック。

この音は異質な感触がものすごくあります。

素朴な感じとか、身近な雰囲気というか、お金をかけて整えた音楽には絶対にない、すぐ側に感じる魅力です。

装飾してないそのまんまのブルーハーツ。

音に高級感はなくても、心が高揚感に満たされます。

ブルーハーツは、音が楽しいと書いて「音楽」ということを胸いっぱいに感じます。

そういうのが誰かの心を動かします。

「ハンマー」の聴きどころは途中でリードボーカルが野太い声のヒロトから、マーシーのしゃがれ声に変わる瞬間のスリリングさです。

マーシーが超個性的な声で“外は春の雨が降って〜”と歌うとセンチメンタル全開です。

おセンチな雰囲気だけど、すげえ尖ってる。

「ハンマー」の感傷的な部分で、心にグッとくる部分。

歌詞 : “ブルース= 憂鬱”を感じるけど、それを打ち砕く破壊力が表立っています。

絶望してしまうけど、心を閉ざさないでそれでも生きていこうよってポジティブで強力なメッセージです。

ブルーハーツが振り下ろしたスリリングなパンクのハンマーが私の心をぶん殴りました。

「人にやさしく」と同様に「ハンマー」もレコードバージョンの方がパンクらしい音がします。マーシーのボーカル部分なんかマイクに向かってマーシーが今歌っている生の声を聴いているようです。

ちなみに2017年に発売された『シングル・レコードボックス・セット』というブルーハーツの全シングルをEPレコード化したボックスセットがあります。

ジャケットを見ただけでもわかりますが、テキトーに作った感満載の商品です。

当然、その中に「人にやさしく/ハンマー」のレコードも入っています。

私は購入して確認しました。

これもCDバージョンの方です。残念です。

そうなると本当の音は当時のシングルレコードでしか聴けません。聴きたい場合は中古で当時の物を探して買うしかないです。ヤフオクなんかで割と出品されていますが、例のボックスセットの物を1枚ずつバラで売っている可能性もあるので注意してください。

M4「リンダ リンダ」(1987)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録バージョン

1st SINGLE

日本人なら誰もが知ってる名曲。

その聴き馴染みのある誰もが聴いたことのあるであろう「リンダ リンダ」はイントロにアコギが入っているアルバムバージョンです。

シングルバージョンは、ヒロトがアカペラで1番を歌います。

本人たちはこっちのシングルバージョンを気に入っていないようです。アレンジがいかにもメジャーっぽいからでしょうか。

短いですがメロディを奏でるギターソロも入ってるし、煌びやかさと親しみやすさがあるので私は好きです。

覚えやすいメロディ、記憶に残る歌詞、衝撃的な音楽、美しいドブネズミの感性。

歌自体が美しいです。

ドブネズミに憧れる素晴らしく馬鹿げた光。

1stアルバム『THE BLUE HEARTS』に収録されていた超絶シンプルな「リンダ リンダ」がアレンジを変えて、ほんの少しだけポップスに寄ったパンクロック。

ブルーハーツのパンクスピリッツは爆発してる。

速い8ビートがあって、キラキラのパンクギターが鳴ってて、土台には太く伸びやかなベースがある。ボーカルは唯一無二の存在感。

飛び上がるほどの勢いが、ビシバシと私の心のわだかまりをぶっ壊してく。

世の中の無意味な勢いに乗じる必要はなくても、この勢いには全身全霊で乗った方がいいです。

何より、決して負けない強い力が遂に手に入りそうだから。

歌詞 : 衝撃的。唯一無二な魅力。

ドブネズミが美しいとか、この歌に魅了されるまで思えなかったし考えた事もなかった。

歌い出しの「ドブネズミ〜」に圧倒されながらも、“決して負けない強い力”と歌う誠実さは「リンダ リンダ」にだけあるとてつもない力。

やっぱり「リンダ リンダ」の歌詞はロマンチックだしパンクだし惹かれます。

歌の意味なんか考えたって仕方がないです。作者のヒロト自身が分かっていません。

自分が感じたままが間違いないです。

M5「僕はここに立っているよ」(1987)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録曲

1st SINGLE c/w

アコギ基調なアレンジで「抵抗・反抗・抗議」する精神性パンク。

自分の信念のみを貫き通す歌。

どんなに劣勢な状況になろうとクソッタレと言い放つレジストソング。

ヒロトの感情的なハーモニカ入り。マーシーの超感情的なコーラス入り。魅力的です。

イントロで反抗開始のアコギが鳴り響く。

屈折していない正直者の心の音です。

これは「負けない、折れない、曲げない」奴にしか出せない音だなとすぐに分かります。

そいつは可能を不可能にする誠実な奴。

マイナー調な曲だけど、やたらと強い。主張が強い。一つずつの音も強い。刺激が強い。

耳触りは暗めなのに、音が光るのです。

マーシーのコーラスが感情的になりすぎてて本物の「エモい」が感じられます。

ブルーハーツが悪意に抵抗してる。凝り固まった頭の世間に反抗してる。違和感のある誰かの裏心に抗議してる。

全部を突き返すどころか破壊してる。

一人だけど、軍隊を率いてるぐらいの強さ。

感化されるのは自分の中の密かな反抗心。

ブルーハーツが“お前も抵抗しろ!”と、強い眼力で言っている。

自分という存在のままいる姿がカッコよすぎて、この歌の世界には本物の誠実さを取り戻す瞬間があります。

今日の自分はこうしよう。

納得できない事はやってやれない!!!

歌詞 : 堂々とクソッタレと突き返すパンクの真面目っぷりが炸裂してる。

誰かに脅迫されるという、めちゃくちゃ怪しい雰囲気が漂う1番の歌詞には、わずかな不安を感じます。

なんとなく自分の心配事がひとつ増えたような錯覚もあります。

しかし、この歌の重要なのはそこじゃない。

サビでは自分の気持ちは誤魔化さずにクソッタレと言い放ち、いらないものを突き返す揺るがない抵抗が強靭です。

むしろ、粉々に破壊します。

歌にも演奏にもアレンジにも力の入るサビは、間違ったことに決して「はい」とは言わない誠実さに惹かれます。

3番で歌う「本当に大事なものだけ」、この言葉は一般論にはない“人”としての正しさなんだと共感しました。

世間から信じ込まされていつのまにか付いてしまった固定観念ではなく、自分の感性こそが100%であるという主張にも聞こえます。

爆音で鳴り響いたのは反骨精神。

絶対オレにアピールしてる。

M6「キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)」(1987)

作詞・作曲/甲本ヒロト

2nd SINGLE

ロマンチックなパンクロックで、分かりやすいラブソング。

疾走感があってとても親しみやすい歌です。

ラブソングと言えますが、そこら辺に落っこちてた愛については歌いません。何万個でもある愛はいらない。一つしかない恋。

シンプルすぎるアレンジと演奏が豪快です。

ギター初心者でも弾ける難易度の低さがブルーハーツの潔さ。

そこが大きな魅力と、心を奪う個性です。

豪快な音に聴こえる理由がそれだとハッキリしてるのが、ブルーハーツのパンクスピリッツ。

極端にシンプルなアレンジなのに、際立ってゴージャスな音です。だから何度聴いても強く輝いてます。

河ちゃんのファルセットのコーラスがキラキラした恋の気持ちを歌ってます。

マーシーのギターソロもキンキンな音で弾いているから、ときめく気持ちだけが光りながら存在します。

とても煌びやかで自分の恋心と同じ感触。

大切な人を思いながら「キスしてほしい」を聴けば、夜空を飛び回れる流れ星になれそうな勢いが自分に備わったことに気付きます。

ラストのサビを聴いている頃には、たくさんの星が勢いよく夜空を流れてます。

単純なパンクロックで夜空に星を輝かせるのが、ブルーハーツの優れた表現力。

歌詞 : 大きすぎる恋心が遂にはちきれ、とび出す瞬間を体現します。

この歌には下心と裏心で出来た愛はない。

真心だけで相手を好きな気持ち、特別な恋心が爆発中です。

愛の歌は魅力がない。恋の歌は刺激がある。

私のイメージですが、歌詞のその後は愛に成り下がった恋ではなく、終わらない恋に成り上がった2つの大きな笑顔が見えました。

M7「チェインギャング」(1987)

作詞・作曲/真島昌利

2nd SINGLE c/w

マーシーボーカル曲で名曲。

頭の血管がブチ切れそうな痛烈な叫び。

わずかに重苦しさのあるアコギの音色と、擦り切れそうなマーシーの歌声が心に突き刺さります。

ヒロトのハーモニカが切なくて、マーシーが歌う罪悪感みたいなものを煽ります。

効果的なキーボードも入っていて、歌をすごくドラマチックにしているのが好印象。

1番はマーシーの弾き語りスタイル。

マーシーが弾くアコギはものすごくいい音のするギターです。同じコード進行の繰り返しですが、常に音が前にあってその響き方まで記憶に残ります。

河ちゃんのベースはリズムというより美しいメロディです。これもインパクトのある印象深いフレーズです。

梶くんのドラムのリズムが突っ走りすぎずに、この歌に一番しっくりくるテンポを制御してます。

ゆったりしたテンポの中に度を超えた刺激がある歌。

6分近い長めの演奏時間の中には、落ち込んだ誰かの心を引っ張り上げるパワーがあり。

マーシーの叫びがリアルで、聴いていると心のガードしている部分にチクっと痛みを感じます。

とは言え、憂鬱に苦しんだ日にはマーシーが大いなる救いになってもくれます。

誰も言わない本音をギリギリの場所で歌ってるという印象。あと一歩下がったら落っこちる。

この歌声はただならない。聴きながら少しの緊張感があるかもしれない。

ギリギリとか、底の底とか、限界を体験した場合にしか作れない歌だと思うし、表現できない世界。

同じようにそれを体験した場合にしか感じられない痛みと苦しさがありそうです。

ネガティブに聴こえるかもしれないけど、結局はブルーハーツの真っ直ぐなパワーが、今日の憂鬱を打ち砕く。

分かりやすく言えばポジティブになれます。

歌詞 : 「キリストを殺したもの」という部分に問題があって1stアルバムには収録できなかったいわくつき。

自分の罪悪感とか、日本で生きることの息苦しさとか、決して他の誰も歌わない本音。

歌自体もそうだけど、歌詞もかなりギリギリだし、危うさを含んでいます。

「自暴自棄になっていた時期に作った」というのがマーシー本人のコメント。

1枚のシングルが「キスして欲しい」とマーシーボーカル曲の「チェインギャング」というのが豪華だと感じます。2曲共に2ndアルバム『YOUNG AND PRETTY』に収録されて、1曲目とラストの12曲目というポジションでした。

2ndアルバムに収録されたものも同テイク。

それとリマスター効果によってオリジナルアルバムに収録されていた「チェインギャング」よりも、音が鮮烈になっていました。

だから尚更に感じる痛みがあります。

M8「ブルーハーツのテーマ」(1987)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録曲

自主制作 SINGLE

1987年に自主制作シングルとしてCDでリリースされました。

この作品が自主制作になったのは、カップリングの「チェルノブイリ」にレコード会社からの発売許可がおりず、早く発売したかったメンバーの意向ということです。

後にせず思った時にやるのがブルーハーツ。

タイトルにバンド名が入っているので、初めて聴いた時はドキドキで期待しながら聴きました。

個人的にはベストソングとは言えませんが、本来なら1stアルバムの1曲目に入る予定だったバンドのテーマ曲です。

ギターがギンギンに鳴るイントロには微かな重みを感じます。

ヘヴィーなアレンジだなと思ってた。

イントロのギターのフレーズのままAメロへ突入。いつの間にか疾走感を解き放ったBメロを経て、サビで一気に突き抜けます。

その突き抜けっぷりは折れない反骨精神だけで成り立っています。

この頑丈で強情なサビを聴きながら何かを諦める人はいません。

間奏前の「ブルーハーツ!!!」と繰り返し叫ぶ彼らの歌声は爆発的でハイパワー!

その直後に入るマーシーのギターソロはチョーキングを多用していて、パンクのテーマにもなっています。シビレる。

イントロでは少しクールだったしヘヴィーだと感じたけど、ラスト辺りでは情熱的で爆発的だと私の感じ方が覆っていました。

それと音圧が高いというより、分厚い。

当時のシングルCDはどことなく音がペラペラに感じたけど、見事に改善されてドッシリしてる。

歌詞 : 自分の頭で考えて、「やる」ための起爆剤。ブルーハーツの根源。それに名言。

“あきらめるなんて死ぬまでないから”

サビのこの言葉が「ブルーハーツのテーマ」なんだと解釈しています。

ともかくやってみて、その後であきらめるのはありかもしれない。自分に合うかはやってみないと分からないし、嫌いなことをやり続けても仕方がないです。

でも好きなことは自分で探す、自分で作る努力は必要なんだということをブルーハーツが教えてくれました。

本当に好きなことだけは継続できます。

私はそんなことをサビのたった一言から学びました。

やりもせずに思ってるだけのダサい歌はブルーハーツにはありません。

ブルーハーツに一番似合わないのは、あきらめること、そんな風に思います。

「ブルーハーツのテーマ」のシングルCD購入直後にちょっとした驚きがありました。

当時発売された8cmCDシングルのメンバーのクレジットには「甲本浩人」(本名)と記載されているので一瞬戸惑ってしまいます。

M9「シャララ」(1987)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録曲

自主制作 SINGLES c/w

初回盤のこのベストアルバムの歌詞カードには作者が“真島昌利”となっていますが間違いです。作者はヒロトです。

ちなみにこの歌詞カードは歌詞の誤字脱字もあります。もっとちゃんと作ってくれよ。

歌の内容とアレンジの趣向のギャップに魅力と驚きのある不思議な感覚です。

実は重いテーマの内容をとてもポップなアレンジで歌う軽快さ重視なスタイルなので、聴感としては可愛さまで感じる明るいポップソング。

軽快ですが、無意味に振る舞う軽率な勢いとは違います。

速すぎず遅すぎない心地よいテンポ。

意外なほどいろんな楽器の音が入っていて楽しい歌。そのゴージャスさがそれまでの超シンプルなブルーハーツを覆す。

いつもと違う魅力です。

もしかしたらブルーハーツっぽくないのかもしれない。

でも根底にある精神はいつものブルーハーツだし、、、不思議だ。

間奏ではリコーダーが吹くメロディが印象的です。リコーダーの素朴な音は、優しい気持ちになります。

ビブラフォンの音もパンク+極上のポップスを演出するのに効果的です。

歌の最後では子供たちの明るく元気なコーラスも聴こえてきて、無垢な歌声に心がほっこりする名場面になってます。

コーラスに子供の声を使うアイディアを出したのはマーシーだそうです。大成功。

原爆とか戦争をイメージさせる暗いテーマを歌っているけど、めちゃくちゃ明るく軽快なアレンジが暗さをまったく感じさせないのがポイントです。

珍しく音数が多くて、弾けたポップス感が私には好ましいです。

歌詞 : 世の中のバカさ加減にやり切れない気持ちを表現したと思われます。

地球の危機だけど、それは誰か一人が悪い訳ではないから、全員で罪を分けようという大抵の場合は普段は考えることもない難しい内容です。

「シャララ・・・シャララ・・・」と、サビで子供たちのコーラスが入って楽しい歌にしか聴こえませんが、テーマは実は重いです。

でも聴き心地はすごくポップで明るいです。

不思議だ。

M10「チェルノブイリ」(1987)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録曲

自主制作 SINGLE (EP & CD)

イントロのキンキンなギターリフからすべての演奏に至るまでのアレンジが、ロックのカッコ良さの象徴みたいに感じます。

マイナー調で鋭利なパンクロック。

鋭いので耳への刺激は過激です。

チェルノブイリの事をまったく知らなかったとしても、心に何かは引っ掛かりそうな苛烈なビート。

凄まじい苦悩を感じます。

とは言え、嫌な感じではないです。むしろ、歌の内容に惹き込まれるいい感じ。

「チェルノブイリ」を聴きながら日本列島は頭の中に浮かんで来ません。決して他人事だからではないです。歌詞もメロディも強烈だからです。

歌では、汚れた世界を洗い流すような雨が世界中に降ります。

世界の美しさを考えているところがこの歌の大いなる希望。

間奏ではめちゃくちゃ鋭く尖ったマーシーのギターソロが炸裂します。

胸を締め付けるような緊迫感。

聴き始めてからずっと感じてたこと、マーシーの感情的なギターが曲の雰囲気を決定してる。

どこかで屈折せず、感情に直接響く歌。

歌詞 : テーマはタイトル通り、チェルノブイリ原発事故です。

どうすればいいのかわからない、第3の案が出てこない、そんなやるせなさを感じます。

社会派と言われることを嫌いながら、それをやると誰にでも伝わるメッセージになるブルーハーツの影響力はとてつもない。

「チェルノブイリには行きたくねぇ」

サビで歌うのは、すごい本音。当たり前の本音。あの娘を抱きしめていたいという個人的な感情と、どこへ行っても同じことなのかという罪悪感なのか皮肉か、そんなことを考えさせられるサビです。

ラストの「行きたくねぇ」と歌うボーカルがすごく強調される部分は、グッサリと胸に刺さります。

『ドブネズミの詩』より

“なんにも知らない人が「チェルノブイリ」を聴いて、自分でいろいろ本を読んだり考えたりしてくれれば、それでいいんじゃないかと思うよ。”

この歌はシングル「ブルーハーツのテーマ」の2曲目に入っていますが「チェルノブイリ」単体で自主制作盤レコードも発売されました。

シングル「チェルノブイリ」は片面EPなのでひっくり返した裏面にはレコードの溝がありません。


実は「ブルーハーツのテーマ」のシングルCDはこのベストアルバムとは曲順が違います。チェルノブイリが2曲目です。

①ブルーハーツのテーマ
②チェルノブイリ
③シャララ

という訳で、初めて『ALL TIME SINGLES』を聴いた時はわずかな違和感がありました。

M11「TRAIN-TRAIN」(1988)

作詞・作曲/真島昌利

3rd SINGLE

栄光に向かって走るブルーハーツの人気曲。

ただ走ってるんじゃない、突っ走ってる。ひた向きに、真っ直ぐに。曲がったことはしない誠実な歌。

一生懸命とか精一杯。

そうやって一生懸命やるからこそ楽しくなるという素晴らしきお手本。

精一杯デカい声で歌うクシャクシャな顔が似合う熱い感じ。

だからこそ感じる、生きてる人間の生命力。

大胆に取り入れたピアノが「TRAIN-TRAIN」の美しさになってます。

イントロなしでヒロトが丁寧に歌い出した隣に、澄んだピアノの音が寄り添います。

梶くんのドラムの激しいカウントが入るとバンドサウンドが一気に突き抜ける激情型アレンジ。

記憶に残りやすいマーシーのギターリフがキマッてます。

テンポやアレンジとしては抜群の勢いがありつつ、多くの繊細な言葉が胸いっぱいにジワーッと広がるいい感じ。

神曲のたたずまい。

歌詞 : 誰かが傷付いた汚れた世界を、誠実な今日に変えるポジティブな歌。

どこかで間違って絶望へ向かってしまっていた行き先を「TRAIN-TRAIN」が修正して、迷いなく栄光へ向かって走り出させます。

何人もの人の心を救います。

無価値な謎のルールに屈してしまうよりも、自由を求めるべきだと気付くきっかけ。

「TRAIN-TRAIN」というタイトルと歌自体のすぐ隣には、常に“自由”が接続されてる。

M12「無言電話のブルース」(1988)

作詞・作曲/真島昌利

3rd SINGLE c/w

3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』に収録されたものと同テイク。

マーシーの実話が元になっているという、苛立ちが募るブルース。心の底で苛立っているのが伝わってきます。

得体の知れない相手にほっといてくれと主張する心の叫び。

マーシーの感性での、無言電話に対する考察がすごく興味深いです。

怒りと同時に感じる切なさにグッと来ます。

ハイテンションではない、夜中の3時の落ち着いたテンポ。

ベースの音が強めで、耳へのわずかな圧迫感が心地よい。

小さいスピーカーで聴いたとしても河ちゃんのベースが強調されてて、素晴らしきロックの太々しさを感じました。

音の隙間を活かしたアレンジで少なめの音数だからなのか、録音がいいのか、実在感のある耳触りが特徴です。

ですが、2番からはマーシーがその隙間を埋めるかのようにいろんなフレーズをギターで弾きまくります。刺激的な音がしてます。

苛立ちと戸惑いの感情だけで表現するヒロトの歌心が際立ってる。

関係ない私まで迷惑行為に対してイライラしてきます。

キンキンなギターソロの根底で鳴っている河ちゃんのベースは絶大な存在感を放ちます。

この歌は、すげえいい音が鳴ってます。

ラストに入っているヒロトの電話に出る時のセリフ「はいー!もしもしー!!!」が、強気な態度でなんだかスッキリしました。

歌詞 : 詩人だなぁと感じさせる言葉の使い方とか言い回しが、心惹かれるポイントです。

この歌で言いたいことは、マーシーがよく歌詞で主張してる「ほっといてくれ」ってことだと私は勝手に納得しました。

掲載は出来ませんがレコードやCDの歌詞はマーシー本人の手書きなので胸が熱くなりました。マーシーの字は特徴的です。

M13「ラブレター」(1989)

作詞・作曲/甲本ヒロト

4th SINGLE

3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』に収録されたものと同テイク。

ちょっと切なくて、ほっこりする恋の歌。

下心で出来た愛じゃない、真心の溢れた恋。

あったかくて緩やかなアレンジと、歪んでいないクリーントーンは軽やかな気持ちになりたい時にピッタリです。

だけどこれはいま叶っていない恋なので、胸がキューッとするかもしれません。

パンクロックの荒々しい雰囲気ではなく、ジャンルなんか超えた歌心を楽しめるいい感じ。

他の誰かがこの歌をコピーして近しい雰囲気を表現するのは不可能だと感じる程の独自性があります。

耳への感触はすごく滑らかです。心への触り心地はしみじみともしています。スーッと入ってくる柔らかさは寝心地のいい布団です。

河ちゃんのファルセットのコーラスがふわふわの優しい心みたい。

もし「ラブレター」を不快に思う人がいるとすれば、それは好きとか嫌いではない“愛してる”の人だけだと思います。

歌がふわっとしてて柔らかさな感触なのに、どの瞬間もキラキラしてるのが衝撃的。

そこら辺にいくらでも落っこちてた“愛”が、この歌には1秒も存在しないからです。

ダメな大人は都合のいい愛ばかり歌う。

誠実なパンクロックは特別な恋を歌う。

歌詞 : 恋の相手への本当の気持ちが歌われる本音が胸キュンです。

聴いている私がちょっとだけ恥ずかしくなるくらいの、真っ直ぐな恋心が余裕で伝わります。

恋が叶っていないこの歌詞と同じ状況である場合は涙が流れそう。

なぜなら、ラストでは叶わぬ恋の相手に「あなたよ しあわせになれ」と真心で願う本物の気持ちがあるからです。決してそれは裏心では出来ません。

下心にうんざりする愛の歌の100倍の価値がある恋の歌。

M14「電光石火」(1989)

作詞・作曲/甲本ヒロト

4th SINGLE c/w

3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』に収録されたものと同テイク。

当時のオリジナルアルバムでは音圧が低かったけど、これは見事に改善されています。

とてつもない勢いでブッ飛ばしてくストレートなパンクロック。

「電光石火」というタイトルから1mmも逸れない稲光ソング。

カップリングというよりも、シングルのタイトル曲になっても納得する程のインパクトとキャッチーさがあって覚えやすいです。

ひたすら明るい曲調と流線型の美しいメロディ。超特急な歌詞と駆け抜けるテンポ。

「電光石火」を大好きになった人だけが並んで走れるブルーハーツの並々ならぬ疾走感。

歌の高速ビートに感化されて、いつも気持ちだけはとんでもない速度で突っ走ります。

何かモヤっとしたネガティブな思考をスッキリさせたい時には効果的です。

イントロなし。いきなりの全速力。

準備運動なんて関係なしでぶっ飛んでく。尋常でない疾走感がそこにあるだけ。

耳触りはほんの少しだけ音が整い出したパンクロック。初期の頃とは機材や録音技術なんかが良くなったのかもしれません。

そうじゃないかも、ブルーハーツの表現力や演奏力や突き抜けるためのパンクスピリッツが向上したんだな!

それがすごくいい感じです。

私をこんなに全速力な気分にさせたのが何よりの根拠。

大人になったら全力で走るとか意味のない何かを全開でやるって事がすっかりなくなったけど、そういう大人のサボり癖さえひっくり返すパワー。

ギンギンな戦闘力でぶっちぎるマーシーのギターソロも炸裂した瞬間に、また一つ私のテンションが上がります。

この歌は未来はまだ白紙だと言っています。

自分で決められます。

他人の圧力なんてなぎ倒して、自分の道をまっすぐに走ると私は決心しました。

歌詞 : 当たり前なのに誰もが忘れている超重要なポイントあり。

歴史の本の最後のページは白紙だから今は誰にも読めないという、ブルーハーツからの希望に満ちたメッセージ。

本当は決まっている未来なんて一つもないということ。それは自分で作れるということ。

こんなにも未来が楽しみになる歌はなかなかありません。

掲載は出来ませんが、シングルCDのジャケットの裏にはヒロトの手書きによる歌詞が掲載されています。

M15「青空」(1989)

作詞・作曲/真島昌利

5th SINGLE

3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』に収録されたものと同テイク。

個人的にはブルーハーツで一番聴いた回数の多い歌です。小学生の頃の私がブルーハーツを好きになったきっかけの1曲。

当時は分からなかったけど心を奪われたその理由は、歌が誠実だからです。

遊ぶことしか考えていなかった子供にもはっきりと伝わる誠実さがあったという訳です。

この歌はいい意味で何かが違うと感じました。

美音のアコギが魅力的なスローテンポ。

久しぶりに青空を見上げたくなる美しい詩。

自分の心の深い部分がキャッチする最大限に誠実なメッセージ。

歌の半分はヒロトとマーシーのツインボーカルなのが、度を超えて胸熱なポイントです。

キーボード入りのゆったりとしたテンポで、胸の奥に響き渡るようなシリアスな雰囲気が表立っているので、適当に聴き流せる歌ではないし、無視できる歌でもありません。

メロディが美しすぎて意識せずとも心にスッと入ってくる。

効果的なキーボードと、アコギの響き方が美しすぎて涙が溢れてしまいそう。

ヒロトとマーシーの歌い方、河ちゃんのコーラスの入れ方が感情的すぎて心が大きく動く瞬間が何度もある。

間奏でギターが歌うソロは、心の根底にある誠実さのメロディ。決して派手ではないけど聴感より先に感情に響く真っ直ぐな美音。

深刻なテーマに、真摯な態度で挑むブルーハーツの感情的な表現が最高すぎる。

「青空」を聴き終えた時に浄化されているのが自分の裏心。

歌のテーマは重いかもしれないけど「まぶしいほど青い空の真下」で生きてると実感できるからスッキリとします。

いつまでも魅力の減らない名曲。

歌詞 : 自分の頭で考えない多数派で、下心と裏心でしか行動しない誠実さのかけらもない奴を、遂に追い出す美しい世界。

少数派の誠実な人間が胸を張って生きれる唯一の世界。

最初からある青い空の真下で、今日から何かが大きく変わる手ごたえのある歌詞です。

今から35年前に初めて「青空」を聴いた日から、40代中盤になった今でも“誠実さ”とは何なのかをずっと考えている気がします。

一つだけはっきりと言えるのは、過去も今も自分なりの「誠実」で生きてるということ。

とてもいい歌だ。それは今でも影響を受けてる素晴らしく普遍的な歌だ。

M16「平成のブルース」(1989)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録曲

5th SINGLE c/w

この歌を発表したのは「平成元年」です。

マーシーボーカルで10分近い長編。

同じフレーズの繰り返しで割と単調ですが、歌詞の一言一句が興味深いので飽きずに聴けます。

ライブで演奏された当初は3分程度だったそうです。

ピアノには後のハイロウズメンバーでもある白井幹夫さんが初参加してます。

マーシーが偽物をぶった斬る、不快なものを容赦なく突っぱねる激情スタイル。

速すぎないロックンロールアレンジ。

古き良きロックンロールを何倍にも鋭くした音です。ピアノ入りのロックンロールは弾けてて華やかだなと感じます。

臨場感の溢れるこの音は、スタジオで一発録りしたと思われます。

マーシーがしゃがれた声で歌いまくる。

ロックンロールのギターも弾きまくる。

途中でロックンロールの名曲「Blue Suede Shoes」までブッ込んでくる凄まじさ。

この主張の強い歌声の前で怖気付くダメな大人がたくさんいそう。

豪快でクセが強くて鋭く尖ってて存在感のありすぎるロックのボーカリスト。

強く憧れます。

皮肉たっぷり、棘がある、毒もある、強烈なインパクトまである。

何よりも大胆不敵な魅力がある。

いい意味でやりすぎてる。

この凄まじき魂には誰も追い付けないと思われます。

演奏時間が10分近くあるので、聴くのに多少の体力は必要かもしれません。

でも全部聴くと通常の10倍の強気な気持ちがゲットできます。

ギターを弾きながら歌も歌うマーシーが、この10分間に全身全霊をブッ込んでいるのが熱く伝わってきます。

ちなみにマーシーはこの1989年(平成元年)にソロ活動も始めました。

歌詞 : 「いつまでたってもおんなじ事ばかり」と、マーシーにとっての事実をブッ放す真面目さに心を鷲掴みにされました。

平成元年からすでに世間に対して「いつまでたってもなんにも変わらねえ」と歌っているのが興味深いです。

今も大して変わってません。新しいものを怖がって何も変えようとしない状況にイライラする気持ちは、令和になった今でもそこら中にあります。

中盤では、いい人になった訳ではなくいい人ぶったらみんなにほめられたというのが皮肉でいい感じです。

ラストでは「ブルーハーツのマネすりゃいいんだろう」と、最高の皮肉が炸裂しました。

当時ブルーハーツのマネをしたようなバンドが増えていましたが、ロックンロールスターにもブルーハーツにもなれなかった印象があります。

マネするだけで、自分の頭では考えないバンドが増えたことにうんざりしていたのかもしれません。

『ドブネズミの詩』より名言をひとつ

“幸せを手に入れるんじゃない。幸せを感じることのできる心を手に入れるんじゃ”

DISC 2 WARNER MUSIC side(1990〜1993)

「DISC 2」はレコード会社移籍後のワーナー時代のシングル9枚、全21曲が収録されています。

こちらのDISC 2収録のシングルカップリング曲は、オリジナルアルバムに収録されているものと同じ曲の場合が多いです。ライブバージョン等のバージョン違いがいくつかあります。

徐々にブルーハーツのシングルに対する考え方が変わったような印象を受けます。

カップリングにはシングルだけのオリジナル曲をもっと入れて欲しかったというのは、私の本音です。

とは言え、後期ブルーハーツのプロフェッショナルな情熱が、光りながら鳴っている迫力の音が聴こえてきます。

前期よりわずかに滑らかになった音に、私の心が大きく動きます。

M1「情熱の薔薇」(1990)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録バージョン

6th SINGLE

ブルーハーツの中で1番売れたシングル。

51万枚でダントツです。

2位は「TRAIN-TRAIN」で26万枚です。3位の「夢」が18万枚です。売れた曲がいいものという意味ではありません。

発表から30年以上も経った今でもテレビで流れたりしていて、影響力の大きさを感じています。

誰もが聴き馴染みがあるのはこちらのシングルバージョンの方です。

アルバムバージョンは一発録りのシンプルなアレンジですが、シングルバージョンはキーボードが入っている、マーシーのギターが3本も重ねられているなどゴージャスな聴き心地でとても楽しいです。

アップテンポで情熱的なメロディの名曲。

梶くんの高らかに鳴り響くカウントから、歴史に残る名フレーズのイントロ開始。この時点で既に名曲のオーラを放ってます。

このシングルから急にどうしたんだ⁈と感じるほどに煌びやかな音になりました。

マーシーのギターなんか鋭くてキンキンしてます。音がキラキラ光ってる。

一発で記憶に残る覚えやすいメロディ。

普通とは視点が全然違っていた「幸せ」にちなんだ興味深い歌詞。

誰も追い付けない疾走感で突っ走りつつ、胸を熱くさせる細やかなアレンジ。

ヒロトの歌声は理屈で何かには当てはめられない特別な存在感。

感情が理屈を超えるほどの情熱だけがある。

「情熱の薔薇」の心震わす最大の特徴は、強烈に胸を熱くするサビを1回しかやらないという衝撃です。

サビばかりがもてはやされる今の音楽事情からは考えられないほど屈託した姿勢がパンクの精神性です。

それもあってか3分を切る演奏時間の潔さ。

歌詞 : 心のずっと奥の方にある情熱を歌っていると感じます。そこにこそ無視しちゃいけない大切なことがたくさんあると私は共感しました。

でも考えすぎはやめよう。歌はそういう悩ましいことではない。

歌詞の奥の方が心に入ってきた瞬間に、これはキャッチーさとノリだけの名曲じゃなくて、枯れずに生きていくために重要なことを歌っている超名曲だったんだと気付きます。

M2「鉄砲」(1990)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録曲

6th SINGLE c/w

ブルーハーツらしい激しいバンドサウンドが特徴的ですが、遊び心のある曲です。

演奏後にピアノの伴奏と声だけになって、みんなで「ミャ〜ミャ〜」言うコーラスがかなり印象に残ります。

これはマーシーの思いつきで入れたということです。ヒロトがインタビューで「マーシーが突然『俺はミャーミャー言う!』って言い出して聞かなかったんだ」と語っているのは興味深いです。

ヒロトが途中で笑いながら歌ってるのが聴けて楽しいです。

イントロから猛烈な打撃です。

終始、鉄砲が撃たれてる鋭利なアレンジ。ロックンロールでしか感じられない痛快な聴きごたえ。

心地よい圧迫感が最高です。

前期より少しだけ余裕を感じるヒロトの歌声は、とてつもない存在感がありつつ力みすぎていない自然な感じ。

ロックンロールの親しみやすさになってます。

絶妙な歪み具合の演奏にはかなりの圧力があります。音圧が尋常じゃない。

突然メロディアスになるBメロは、これまた1回しかやらない特別感。

激しすぎるギターソロ。強烈な刺激です。

ロックンロールな「鉄砲」のハイライトと言ってもいいくらい尖ってる。

ラストはみんなで「ミャ〜ミャ〜」言って、それまであった緊張感がほぐれます。

ほっこりする和やかな雰囲気。

シングルのカップリングというちょっと控えめなところに収めておける曲じゃない。

歌詞 : 意味はないけど語呂がいい。というよりマーシーが選んだ言葉の音がいい。

この時期のブルーハーツは予定調和を打開しようとしていたので、歌詞に深い意味はないのかもしれませんが、マーシーの繊細な感性は圧倒的に存在しています。

もしかしたら深い意味とかあるのかもしれないけど、意味とか考えず、ググったりなんかせず、力を抜いて楽しめる1曲として大好きです。

それでもどうしてもこの歌詞の意味を見出すんだ、とか始めると楽しめないかもしれません。

M3「首吊り台から」(1991)

作詞・作曲/甲本ヒロト

7th SINGLE

一体どんな歌なんだ⁈と興味をそそるタイトルに骨太なロックの大胆さを感じます。

結論としては、自己重要説。

説?いや、自己重要“伝説”。

タイトルのインパクトに引けを取らない一撃必殺な音です。シンプル・イズ・ベスト!!!

耳触りはシンプルなパンクロックだけど、やっぱり初期の頃より音が整ったという印象。パンクの粗さがなくなったとか悪い意味ではありません。

突き刺さる鮮烈な音です。

棘は余裕であります。倍になった魅力もあります。

マーシーのギターはどちらかというとバッキングに徹しているなと感じていたら、サビでは鋭いフレーズが飛び出して歌の最前線にまで出てきました。

尖ったギターに感化されて、吹き飛んでいくネガティブ思考があります。

短いですが、河ちゃんのベースソロが大爆発しています。ベースソロってブルーハーツではそんなにはないから超刺激的です。

フルボリュームでベースが弾くメロディに乗って、一歩前に出る心があります。

梶くんのドラムのリズムは一打ごとがフルパワーです。絶対に折れない芯がある。強い。

その打撃音を心の中まで取り込むと、一瞬で勝機が訪れる。

ヒロトの歌は度を超えている。こんなにも自信があって真っ直ぐでロックイズムな歌を表現できるのはこの人だけかもしれない。何より影響力がありすぎる。

間奏で嘲笑うヒロトが勇ましい。

この歌声は太々しい。私なんかもう負ける気がしない。

きっと神様がこの歌に嫉妬してる。

ボリュームは上げるほど、生々しいブルーハーツがその瞬間の魂のまま突っ込んできます。

歌詞 : 「確かなものは欲望だけさ」と胸を張って歌う正統派。

不幸になる“自己犠牲”なんかやめろという私へのアピール。

聴けばメラメラと自己重要感が湧いてきて歌詞のような「前しか見えない目玉をつけて」今いる自分のみに忠実になれます。

自分のラストシーンまで決定している凄み。

M4「シンデレラ(灰の中から)」(1991)

作詞・作曲/河口純之助

※オリジナルアルバム未収録曲

7th SINGLE c/w

河ちゃん作の胸熱ソング。

どこかで止まったままの心がもう一度動き出します。

あんまり人気ないっぽいですが、個人的には胸が熱くなるのでかなり好きです。

歌い出しは河ちゃんが歌ってます。

ずっと感じていたけど、やっぱり河ちゃんのメロディセンスは抜群だし、美メロです。

歌詞もシンデレラのストーリーをモチーフにしつつ、生きることにちなんだ重要な事を歌っています。

イントロから河ちゃんボーカル部分が緩やかに始まって、梶くんのドスドスしたドラムで一気に突き抜けたアップテンポになる熱い演出。

ポップでキャッチーなメロディが光ります。

メインのボーカルはヒロトですが、河ちゃんのハモリが最高です。

途中でヒロトとは声質の違う河ちゃんとのツインボーカルになる瞬間は感極まります。

一生懸命な河ちゃんの歌に真心を感じます。

シンプルなバンドサウンドかと思いきや、最後の方ではオーケストラも加わって盛り上げるゴージャスアレンジ。

ギターソロはすぐにマーシーが弾いていると実感できる感触と情熱的なメロディです。そのメロディを弾くこの音は感情を刺激する。

ギンギンじゃんか!

グッと来るこの感じはギターのメロディというより、心の込もった歌だ。

何度も聴きたくなるギターソロ。

これは胸熱ソングだ、と認識するためにやって欲しいことを全部やってくれたような歌だと思っています。

初めて聴いた時から一発で好きでした。

この歌、カッコいい!

歌詞 : ありのままの自分で何かを始めるきっかけ。不幸に甘んじ続ける事なく、幸せに向かって前に出るための激励。

「涙はそのうち乾くでしょう〜」の河ちゃんが一緒に歌う部分の歌詞の言い回しはなんだか爆発的に励まされます。

過去はそのうち過去になるし、心配しても何も変わらないから「とりあえず始めよう」とブルーハーツのスタンスがしっかり入っています。

あの時止まったままの心がまた動き始めた。

M5「あの娘にタッチ」(1991)

作詞・作曲/甲本ヒロト

8th SINGLE

ポップに寄ったブルーハーツが聴けます。

結論 : これは恋の呪文だ。

“タンタカラッタッター”と歌うカラフルな感触で、楽しげアレンジの決定版。

ブルーハーツがわずかに脱力した感じが、歌の楽しさになっています。

手は抜いていません。

そのため、ブルーハーツのシングルの中では異質な魅力を放ちます。パンクのつもりで聴き始めた場合には、ブルーハーツっぽくないなという感想もありそうです。

でもやってる本人たちは相当楽しそう。

彼らの楽しさが伝わるのは間違いないです。

世界中の時計の針を止めてしまうほどの強い恋心をポップに歌います。

相手を好きな気持ちのレベルが違います。

この歌に「普通」なんて存在しません。そんなもん、通用しません。

イントロの音が出た瞬間にふわっとします。

思わず「あの娘にタッチ」のPVでブルーハーツがやっていた振り付けを一緒に踊りたくなります。

ガツガツとしていない、ふんわりとした柔らかさが幸せな気分を連れてきます。

耳触りもしっかりラブソングなんだけど、そこら辺にはいない“異才”が作ったもんだから、どこにも“普通”がなくて飽きる瞬間なんか一回もありません。

絶妙に脱力したヒロトの歌声は、心の優しい部分に触ってきます。

ポップなキーボードが恋心を華やかな光にしています。

ギターもこれまでに聴き慣れない感触です。

マーシーってこういうの弾いてもずば抜けた魅力があるんだと思った。

ギター奏法の名称とかを私は知らないけど、ジャカジャカ掻き鳴らさず、軽やかに楽しげにメロディっぽく弾く感じ。

一つだけハッキリと知ってるのは、このマーシーのギターは聴くと楽しくなるってこと。

「あの娘にタッチ」は丁寧な感じがします。

歌詞 : 恋の気持ちのスケールが標準的ではないです。

エジプトのピラミッドやU・F・Oの秘密基地の衝撃さえも超えてしまっている。

標準的ではないけど、他とは違う本物の恋心であるのは確かです。こういう大きさにならないのは、ただの愛。それを歌うとひどくつまらない。

この歌には、恋の呪文まで掛けられてる。

M6「わーわー〈ライブ・バージョン〉」(1991)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録曲

8th SINGLE c/w

この曲はライブバージョンですが、スタジオ録音のバージョンは存在しません。

ブルーハーツに求める潔いパンクアレンジ。

2分ちょっとの激情。

ノリノリなアップテンポでいい感じ。

ライブ録音とは言え、音質はしっかりしているので安心して聴けます。ノイズまみれの海賊盤みたいなことにはなってません。スタジオ録音並みの良音質。

勢いで聴いた方が楽しいかもしれない。

初めて聴いた時からすぐに心に残りました。

それは、マーシーのメロディを感じるから。

どうやら歌詞に出てくる「あの女」とは、60年代後半のアメリカの女性ロックシンガー「ジャニス・ジョプリン」のことだそうです。

と言うのはただのネット情報なので、人それぞれ対象は「どの女」でもいいと思います。

聴いていると、どんどん加速度を上げている感じにシビれます。

始まったら最後まで一気に駆け抜ける勢い。

パンクの疾走感がある。

剥き出しの感情がある。

ライブ録音だからこそのハイテンションがある。

マシンガンのようなマーシーのギターソロも炸裂してます。

ライブ会場のステージに置いてあったアンプから出た爆音が、スピーカーやイヤホンからもしっかり鳴ります。

凄まじいこの勢いはライブの音。真骨頂。

めちゃくちゃ短い歌詞を繰り返す歌ですが、サビの“わーわーわおわお”のヒロトとマーシーの掛け合いには異常に興奮してきます。

会場がすげえ盛り上がってるのが余裕で分かります。

歌詞が短いし、歌っているのは「わーわー」と半分ぐらいは擬音なのに想像を超えてドラマチックな歌。

ブルーハーツにしかない個性がある。

初めから正解が用意されていない、好ましい想像の余白に魅力があります。

歌詞 : マーシーが“ジャニス・ジョプリン”の歌を聴いて高まったただならぬ気持ちが伝わってきます。

深い意味はなさそう。

この後からは、シングルのカップリングにオリジナルアルバム未収録曲はありません。バージョン違いがいくつか入っています。

M7「TOO MUCH PAIN」(1992)

作詞・作曲/真島昌利

9th SINGLE

歌の繊細な世界に感情移入しがちで、涙が落っこちる名バラード。

決して大雑把には扱わないでください。雑に扱うと壊れてしまう繊細な心の歌。

こんなに痛みを伴う歌は他にありません。

感傷的ですが、前に出る決心と強さがあります。

力任せの男らしさとか、品のない女らしさとか、そういう浅はかな表面的なものは一切通用しません。

一度転んだからこそ知った世界。いつだって隣にあるのに経験しなければ見えない世界。

この歌には痛みを乗り越えていく強さが確実に存在します。

だから自分の心の一番深い部分や隠していた弱い部分が反応します。

イントロのハーモニカとピアノは切ない。

ヒロトが歌い出す少し手前からさりげなく入るマーシーのエレキ。か細く、美しい。

バラードを緩やかに歌うヒロト。歌に全振りして向き合ってる真摯な態度が、私の心の柔らかい部分にそっと触れてきました。

サビから入るアコギも美音です。強く主張している訳ではないのに、一度聴いたら記憶から消えることのない心で感じる音。

バラードの静けさの中で、小さく燃えてる炎をどの瞬間にも感じます。

ラストには燃え盛る炎に変わっています。

回想的な歌詞には、少しぼやけたカラーの映像が似合います。

非常に繊細なメロディには、細やかなで大らかな音の出るアナログサウンドが合います。

歌の奥にある強さは、新しい一歩を踏み出すための大きなきっかけになります。

長めのアウトロは情熱的な楽器の演奏です。それまでの静けさが輝かしい雰囲気に一変します。

眩しい光を放つマーシーのスライドギターは聴きどころ。

新しい一歩を踏み出した後の、希望へ向かって歩いていく大きな後ろ姿の音がします。

その一歩ずつが勇ましい。

歌詞 : 悲しみを乗り越えた勇気が胸に響きます。繊細な心で前に出ようとしてる姿が美しく、たくましいと感じます。

ラストの「何かがはじけ飛び散った」というひと言に大きな希望を見つけました。

どうにもならなかった事の終わりと、新しく動き始めた瞬間の強い心を感じたからです。

人生で何かが起きた時にはいつも、心のレコードプレーヤーがこの言葉を再生します。

はじけた瞬間の音と、同時に飛び散った眩しい光が、私の心の中で勇気に変わります。

M8「泣かないで恋人よ」(1992)

作詞・作曲/真島昌利

9th SINGLE c/w

しっとりとしたラブソング。

幸せに生きるための鋭いメッセージあり。

むろん、適当に聞き流せる部分はなし。

「泣かないで恋人よ」を聴きながら何かをあきらめる人はいません。一度あきらめて過去で止まっていた心が動き出すことはあります。

絶望する人もいません。あきらめる必要がありません。

とても柔らかな耳触りのアコースティック調。

ブルーハーツの滑らかな演奏に、アコーディオンやピアノも入ってバラードの美しさを引き立てます。

心が受け取りやすいゆったりテンポ。

聴けば「どうにかなるようになる」と、幸せに生きるための最高の考え方が手に入ります。

開き直って生きるというのは心を病んでしまわないためにも重要な考え方です。

この歌には励まされない瞬間がない。

マーシーのギターソロも歪んでいないクリーントーンで、恋人に寄り添う真心を奏でているよう。エレキが歌う恋の物語。

アレンジに疾走する勢いはないけど、何かを始めさせる強力なパワーがあります。

分かったことは、何もあきらめる必要がないということ。

歌詞 : きっと誰かの“あきらめきれぬ事”を叶えます。

遅すぎる事なんて本当は一つもない、という歌い出だしの歌詞がすでに超名言でビビります。

「泣かないで恋人よ」はラブソングとは言え、生きていくすべてのことに当てはまります。

歌詞を掲載できませんが、この歌は名言ばかりだという事だけは伝えたいです。

マーシー作の歌が2曲入りのシングルです。

浅い思考や無意味な勢いはなく、マーシーの深い感受性が一番前にありました。

でも悲しくて流れる涙ではなく、勇気を持った証の何粒かの涙です。

悲しいのは嫌いです。大嫌いです。ブルーハーツはそういうのはやりません。

M9「夢」(1992)

作詞・作曲/真島昌利

10th SINGLE

ブルーハーツの勢いが戻ってきたいうのが正直な第一印象です。

「あれも欲しい これも欲しい」というキャッチーなフレーズのインパクトが絶大。

夢を持とうとするのではなく、夢を叶えようとするきっかけになります。

イントロなし、サビ始まりの胸熱なビートルズスタイル。

私はいきなりのハイテンション。

猛攻撃だし、豪速球な勢い。

Aメロでのマーシーの歪んだギターのジャジャジャジャッ!と響くミュート音が荒々しいパンクロックを感じさせます。

アップテンポだからか、2:29という演奏時間の短さがそうさせるのか、展開が異常に早い感じがします。

どんどん進んで詰まるところがないです。

2分半の短い曲ですが、歌詞カードを見ると意外にも歌詞は長いです。胸熱な2分半のメロディにそれだけ凝縮されているということだと感じました。

全体に白井幹夫さんの軽やかなキーボードの音が入っていて、荒々しさと繊細さの両立を実現しています。

いらない音は一つもありません。

ヒロトの豪快な歌声は本物の夢だけは叶えさせる力強い動機です。

聴きながら自分の夢を否定してしまえる人はいません。

夢があるって輝いてる。そんな音がこの歌から聴こえてきます。マーシーが見て、叶えようとしてる夢が私の中に入ってきた。

マーシーと同じ気持ちだ。熱くなった。

余計な装飾はなしのストレートなロックンロール。

当時のシングルCDではもっと軽めの音に聴こえたけど、これは音圧が改善されてドッシリしてます。興奮必至。こっちのが好き。

歌詞 : 人間らしさが溢れていて好感が持てました。自分の夢に向かって生きているけど、やっぱり人間だから時々ビビってるのは誰でもそうなので共感します。

歌の感情がすごくリアルに伝わります。

オレもビビりながら夢を叶えよう。

M10「皆殺しのメロディー〈ライブ・バージョン〉」(1992)

作詞・作曲/甲本ヒロト

10th SINGLE c/w

ここから一度、熱狂のライブ会場にブッ飛びます。

M10,11のライブバージョンは1992年6月2日に日本武道館で行われたライブ“HIGH KICK TOUR”FINALの1曲目と2曲目です。

ライブバージョンとはいえ音質はしっかりしているし、ブルーハーツの神がかった演奏にはテンションが上がります。

「夢」のカップリングとして勢いのある2曲をチョイスしたことがベストだと感じました。

3曲すべてが2分台の演奏時間なので、シングルCD1枚全部を聴いても7分半で聴き終わってしまいます。

勢いで聴くシングルになってます。

この高音質なライブバージョンは聴きごたえがあります。

5thアルバム『HIGH KICKS』に収録されていたジョーカー誕生の瞬間を感じさせるヤバめの歌です。

ライブバージョンになって、歌詞通りの“マシンガンのリズム”がリアルに炸裂します。

ハードなアレンジで攻撃的なパンクという印象で、ド派手なスタイル。

イントロから圧倒的。ベースとギターの猛烈なリフで迫って来る。逃げ出す隙がない。

マシンガンを撃ちまくる猛々しい音。

割と高速です。ライブなので更に高速になって突っ込んできます。

会場の爆発的なテンションが聴こえます。

次の「東京ゾンビ」もそうだけど、ライブでやった時がその歌の本当の姿なのだろうと、腑に落ちる感覚があります。

M11「東京ゾンビ(ロシアンルーレット)〈ライブ・バージョン〉」(1992)

作詞・作曲/甲本ヒロト

10th SINGLE c/w

前の「皆殺しのメロディー」からノンストップになっていて、ブルーハーツも私も高まったテンションのまま最後までブッ飛ばします。

ライブの臨場感がいい感じです。

こちらも5thアルバム『HIGH KICKS』収録のアップテンポな歌です。

この世で一番大胆な賭けをするギャンブルソング。

イントロなしの苛烈なパンクビート。

アレンジの疾走感と歌詞の過激さでとてつもないインパクトを誇ります。

ヒロトは「東京ゾンビ」をゾンビとは歌わないロックの太々しさを放ってる。

隣で歌うマーシーのコーラスは、ライブのその瞬間の生音になってます。そこにいる実在感にハッとしました。

ロックに一番いらない“曖昧さ”がこの歌にはまったくない。

ラストで嘲笑うヒロトは、パンクの素晴らしく馬鹿げたシンボルみたいだ。

オリジナルバージョンにはない、オーディエンスの凄まじき熱狂入り。

この日のライブのセットリストは次が1stアルバム収録の「NO NO NO」だったようだ。

M12「旅人」(1993)

作詞・作曲/甲本ヒロト

11th SINGLE

ピアノが冴えるロックンロール。

明るく軽やかで、突っ走りたくなる爽快なアレンジ。

過去で止まっていた心をブルーハーツが動かす奇跡。

テンションが上がる爆発的な聴き心地です。

左右の耳がすげえ賑やか。

キャッチーなメロディはすぐに覚えて歌えます。強烈なインパクトを持った歌詞が心の中で大爆発してる。

一箇所、ロックの何かがサンプリングされている仕掛けまである。

マーシーのギターが特徴的です。左にヘヴィーなバッキングと、右に軽やかなロックンロールギター。この人が弾くといつも度を超えたロックンロールになる。

歌を聴きながら感じること。

これは、、、

ロックンロールだ!

ブルーハーツの4人と白井さんが、とんでもないハイテンションで録音したんだろうなと思った。

鮮やかに突き抜けてる。

言い方は悪いですが、ドーピングでもしてるのか⁈というくらいのポジティブな音。

体調不良さえも改善しそうなほどに前向き。

一度止まった人生を新しくまた動かすための起爆音。

歌詞 : 歌っている通りに第一印象で幸せになります。

憧れるほどのカッコいい冒険心が一番前にある。歌詞の通りの強烈なインパクトがあるから、一発で歌のワクワクするストーリーが映像になって記憶に焼き付きます。

今生きてる人みんなが旅人だし、自分の生き方に自信を持つための応援歌。

「旅人」のPVはサブタイトルが“放送禁止バージョン”で、YouTubeの公式チャンネルでも観れません。

こういう感じです⬇︎

M13「台風」(1993)

作詞・作曲/真島昌利

11th SINGLE c/w

速さと強引さが際立っていて、タイトルそのまんまな凄まじい1曲。

フェードインのイントロは、遠くからだんだん近づいて来る台風です。

素晴らしき演出にゾクゾクします。

目の前に来た特大の台風が猛威をふるう。

困難をなぎ倒しながら突進したくなる猛烈な聴き心地です。

ギターソロなし、簡単なコードストロークのみの豪快なパンクアレンジ。

たったの2分21秒で、すべてのネガティブを破壊していく最強なやつ。

このベスト盤はリマスターされて音圧が高くなったから、台風の轟音をど真ん中で聴いている気分です。

耳への刺激は、突進していくパンクロックの一番近くにいる好ましい圧迫感。

アウトロには風が吹いていて、とてつもない台風があっという間に過ぎ去った後の変わり果てた景色を見せます。

それは、いらないものを台風が吹き飛ばした美しい景色に見えました。

日常に例えると、声がデカイだけで魅力のない奴を、誠実な人が怒鳴りつけて黙らせたみたいな感じです。

歌詞 : 脅威、猛威、記録破り。

責任なんか取る気はまったく無しの強引さ。

そんなお騒がせなやつに勇気付けられて、私のビビる気持ちがやり切る決心に変わるから不思議です。

「旅人/台風」はガムシャラな勢いのあるシングルだなと感じます。

M14「1000のバイオリン」(1993)

作詞・作曲/真島昌利

12th SINGLE

全員の胸を熱くするメロディ。

1回で記憶に残る壮大な歌詞。

何度も心が震えるギターリフ。

ラストではヒロトとマーシーの掛け合いボーカルが遂に私の心を撃ち抜く激情アレンジ。

これ、神が作ったのか⁈

6thアルバム『STICK OUT』では、心揺さぶるラストシーンでした。

イントロなし、いきなり熱いサビをブッ放す説得力。一瞬で名曲中の名曲に聴こえる。

しゃしゃり出てはいないアコギの音に心の柔らかい部分が笑顔になってる。

弾きまくっているという感じではないエレキは、一音一音に光る筋が通ってる。

なんとなく聴きやすいとか、この部分が好きだとか、そんなペラペラなものではなくて、4分弱のすべての瞬間が突き抜けてます。

Aメロは坦々としながらも激しく熱い。

真摯な態度のブルーハーツ。一直線からわずかも逸れてない強い眼力みたい。

太い芯のあるヒロトの歌が、ガツンとした生命力を放ってる。聴きながら“生きない”を選ぶ訳にはいかない。

道なき道をぶっ飛ばして生きたい。

間奏後のメロディからまた一つ熱い気持ちが上がります。

そこからラストのサビへ入って、ヒロトとマーシーの掛け合いボーカルで「1000のバイオリン」のハイライトへ。

カッコ良すぎるし、感動的すぎるし、爆発したい衝動まであります。

つまらない人生と負けっぱなしの人生は今日で終わりです。

今からは人並みを目指さず、、、

楽しい事をたくさんしたい。

おもしろい事をたくさんしたい。

そのために生きていたい。

歌詞 : すっかり有名になったサビの「ヒマラヤほどの〜」ってフレーズ。

大きい!凄まじい!ビシッとしてる!

心に刺さる!!! 突き抜ける!!!!!

この言葉の選び方はマーシーにしか出来ないし、歴史に残るズッシリ感。

唯一無二がいつもここにあります。

ロックンロールはやわじゃない。

このベストで聴くとすごい迫力の音です。

M15「俺は俺の死を死にたい(Alternative version)」(1993)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録バージョン

12th SINGLE c/w

マーシーボーカル曲。こちらのバージョンはデモテープに基づいて製作されているので多少の歌詞の違いがあります。

オリジナルバージョンと甲乙つけがたい別バージョンです。

特徴は、整えられていない至近距離の音。

マーシーの歌い方はこちらの方がドスが効いてます。ギターはもっと前に押し出された音です。つまりマーシーの存在感が近いです。

耳で感じるのは、実在感のある生音に近いという印象です。

ギターソロの時の音はかなりヤバい状態です。スタジオのアンプから出た音が、そのままお構いなしで突っ込んできます。

正気の沙汰ではないブッ飛んだタイトルは印象に残らない人はいません。

アレンジはロックンロール。但しギンギンなマーシー流。

マーシーが歌う以外ない、歌詞の太々しさとメロディの猛々しさ。

狂気じみてて常人なんか置いてきぼり。

ギターでぶん殴ってくる攻撃力まである。

マーシーの激しいシャウトもこのバージョンの方が迫力を増してます。

ヒロトの猛烈なハーモニカ入り。

そのすべてが耳元で鳴ってるリアリティ。

とんでもない歌作りやがって、心にはっきりくっきり焼き付いちゃったじゃないか。

歌詞 : 3番の1フレーズの歌詞が違います。

「生き延びたいとは思わない」がオリジナルバージョンとは違う部分です。オリジナルでは「無理して生き延びたくはない」でした。

歌詞以上に大きな違いもあります。

『STICK OUT』収録のオリジナルバージョンは最後がフェイドアウトして終わりますが、こちらの“Alternative version”の方はフェイドアウトせず演奏しきって終わります。

最後に深いため息のようなマーシーの声が聞こえてきます。

M16「1001のバイオリン」(1993)

作詞・作曲/真島昌利

※オリジナルアルバム未収録バージョン

12th SINGLE c/w

名曲「1000のバイオリン」のバンドの音が入っていないオーケストラバージョンです。

オーケストラが分厚い音でかなり盛り上げてます。

異色です。

私の体感ではこのバージョンが好きな人はかなり多くて驚きました。

テレビのCMでも「1000のバイオリン」ではなく、こっちの「1001のバイオリン」が起用されていたのにもビックリです。

人気あります。

タイトルの付け方がすごい好きです。1000に1を足して別バージョンにするセンスに共感します。

オーケストラアレンジによってマーシーの繊細な歌詞がより浮かび上がります。

イントロが鳴った瞬間、そこには指揮者が立っていて優雅な気分になります。

その前に勇ましい姿のヒロト。

オリジナルバージョンではすごくロックだったヒロトの歌が、クラシカルになってるのに刺激的です。新鮮さがあるからです。

クラシカルでオーケストラの演奏なのに太いロックを感じる。

ゆったりとスローテンポになったのに、意外にも「1000のバイオリン」よりも演奏時間は1秒短くなってます。

それが受け入れやすさになっているかもしれません。

歌詞自体はオリジナルバージョンとまったく変わりません。

M17「パーティー」(1993)

作詞・作曲/甲本ヒロト

13th SINGLE

本当のパリピには多分合わない私にとってのトリップソング。

ゆったり穏やかな歌なのかと思いきや、サビではにぎやかになるし、ラストなんかはヤケクソ気味の高速テンポになる最高な仕掛け。

“静”と“動”の激しいギャップが、心の奥の本当はやってしまいたい自分を呼んできます。

私もパーティーに呼ばれた気分。

両極端な雰囲気はトリップ状態へのきっかけにもなります。

そこに、タイトル通りのパーティーソングを感じます。

極めて少ない音数のイントロ。心が落ち着く静けさがあります。

その静けさの中で穏やかな雰囲気でヒロトが歌います。

これまでにいなかった新しい自分を引き出してしまいそうな独特のメロディ。

1番の途中から響く明るい音のキーボードが曲のスペースに広がりを出しています。相変わらず白井さんが、ブルーハーツの美味しいところを持っていった。

サビではバンドすべての演奏が入って、急に全開します。何も隠さない大盛り上がりなパーティーっぽさが急に現れます。

わずかに混乱し始める脳。

7thアルバム『DUG OUT』ではほとんどやらないマーシーのピックスクラッチも炸裂します。

但し、今回の場合は脳の興奮状態への入口になってます。

トリップしてるのか⁈と感じるほどのヤバめのギターソロ。驚異的なセンスのチョーキング多用で日常とは別の世界が見えてしまう。

ここにあるのは快感です。

「パーティー」を聴いていると、普段は潜在意識の中で物静かにしているアゲアゲな自分が覚醒する感覚があります。

五感以外の何かが動き出してる。

ラストはヤケクソ気味なテンポで完全にトリップ状態へ。

にぎやかなパーティーが開催されてる。

歌詞 : すごく人間の特徴を表しています。

本当は聞いて欲しい事があるのに、溜め息や舌打ちをひとりごとの中に隠してるという内容の一節。

日常の中にこういう気持ちはたくさんあるのでヒロトが代弁してくれたと感じました。

歌詞にある人の本音に共感できる事が、異常な興奮状態へのドアを開けているのかも。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

このシングルCDは厳密には「パーティー」「チャンス」のカラオケバージョンが収録されていて全4曲の構成になっています。

ブルーハーツのシングルCDでカラオケが入っているのはこのシングルのみです。

M18「チャンス」(1993)

作詞・作曲/真島昌利

13th SINGLE c/w

ラッキーなチャンスが必ず降ってくる心軽やかソング。

心穏やかに過ごしたい時にはピッタリ。

これは緩やかです。

さりげない希望だけがあります。悲しくなる人や病気になる人はいません。

健康的なアコースティックアレンジ。

この歌はアコギとハーモニカのこじんまりとした雰囲気から徐々に大きくなっていくのが特徴です。

2番から入るゲストミュージシャン演奏のスティールギターが渋いです。平日の疲れた心に染み入るような、広々としたカントリーっぽさが出ています。

サビのツインボーカルは圧巻です。

この曲ではヒロトは割と感情的ではない歌い方をしているけど、マーシーは感情全開で歌っています。ブルーハーツ独自のバランスのカッコ良さが出まくってる。

ヒロトとマーシーが真心で歌っています。チャンスは強引に掴むのではなく、誰の上にも降ってくる。

頑張らなくていいと思えました。

これからすべてが上手く行きそうです。

ラストは誰の心も前進するマーチング風のアレンジが胸熱です。

フェイドアウトせずスッキリ締めるのは、今ここに私のチャンスが降ってきた実感になりました。

歌詞 : 希望しかなくて非常に魅力的です。

誰の上にもチャンスは降ってくるというサビには何度も救われました。

本当は自分で掴みに行くことがチャンスではないです。チャンスというのは自分じゃなくて他の誰かが持ってくるものだから、そのことを知ってないと見逃してしまいます。

自分の上にだってチャンスが降ってくるのだから、いつでもそれを受け取る準備をしておこうという学びになりました。

M19「夕暮れ」(1993)

作詞・作曲/甲本ヒロト

14th SINGLE

ブルーハーツのラストシングル。

一般的な知名度は高くないかもしれないけど、ファンの間ではかなりの人気曲だと感じます。

SNS等で「夕暮れ」の歌詞を引用している文章を割と見かけます。それはきっと何度も聴いて心に響いた人たちです。

帰り道に赤い空の夕暮れに歩きながら聴きたい歌ナンバーワン。

しみじみするかもしれません。

生きる勇気が湧くかもしれません。

どっちも起こります。

それから、大切な人をギュッと抱きたくなる可能性は非常に高いです。

私は「夕暮れ」を再生するたびに、パートナーは今何してるかな?って考えながら心で聴いています。

聴きながら浮かんだ笑顔は恋心。

ライブバージョンではマーシーのメロディアスなエレキが炸裂しますが、このオリジナルバージョンはアコギ基調のふんわりした感触です。

心の柔らかい部分や優しい部分が反応します。

一つ一つの音と言葉を真心で伝えるミディアムテンポ。

7thアルバム『DUG OUT』の特徴である“大らかな雰囲気”が、この歌にもあります。

心にスッと入る柔らかいメロディ。

身近な幸せこそ生きてる実感と理由になるあたたかい歌詞。

優しい手でダイレクトに私の感情に触るアレンジ。

その奥の方で静かに燃え盛るロックンロールの情熱。

なだらかに鳴るアコギと、煌びやかに響くキーボードが心地いいです。

絶妙な力加減のヒロトの歌に心を奪われます。この歌にはコーラスは入っていません。歌うのはヒロトだけ。

間奏ではギターソロのメロディが夕暮れの空に美しい色を付けました。

アウトロにもギターのメロディがあって、まるで映画の感動的なラストシーンのようです。

「夕暮れ」に惹かれる一番の理由は、どの瞬間も美しいからです。

歌詞 : あらゆる幸せの感じ方について、という印象です。

人としてのあたたかさ、情熱の温度を感じます。癒し効果もあります。

テーマは難題にも感じますが、実はずっと前からすぐ側にある身近なことでした。

誰が見てもハッキリしているものは大した事ない。自分にとっての本当の幸せは、それがなぜ幸せに感じるのかハッキリしていない。

それに対し、あやふやなまんまでいいという歌詞には説得力があります。

私は「夕暮れ」を好きになり、なんとなく幸せって、最高の幸せなのかもしれないということに気付いてしまいました。

M20「すてごま〈ライブ・バージョン〉」(1993)

作詞・作曲/甲本ヒロト

※オリジナルアルバム未収録バージョン

14th SINGLE c/w

1993年6月1日の渋谷公会堂(STICK OUTツアー)でのライブにて収録された音源です。

音質に特に不満はないライブ録音です。

むしろ生音そのものです。

ヒロトが1番で歌詞を間違えているテイクをそのまま収録したのが、ライブの臨場感を伝えています。

オーディエンスの凄まじい熱狂入り。

とてつもない勢いがあります。

全開のボーカル、キンキンなギター、存在感のありすぎるベース、ビシバシとしたドラム、音場を広げるキーボード。

ロックンロールに足りないものはない。

6thアルバム『STICK OUT』の1曲目に収録されていた「すてごま」の本当の姿を見た。

スタジオ録音のものとは違う演奏のエネルギーに、テンションの高さを感じます。

褒め言葉として、ロックンロールに熱狂したアホがたくさんいる。すげえ!

バンドもオーディエンスもロックンロールの心得みたいな太々しさで成り立ってる。

バラードアルバム『DUG OUT』からのリカットシングルとして発売した「夕暮れ」に、なぜ勢いのある「すてごま」のしかも更なる熱狂のライブバージョンが収録されたのか謎です。

3曲入りの真ん中が突き抜けちゃってる。

否定してるんじゃなくて、激しい起伏のある素晴らしいシングルです。

M21「夜の盗賊団」(1993)

作詞・作曲/真島昌利

14th SINGLE c/w

ラストはバラードの名曲「夜の盗賊団」です。

これは渋い。でも相当に熱い。

ラストの激アツな展開は鳥肌が立ちます。

爆音スピーカーもいいけど、ブルーハーツの感情を耳に直撃させるようにイヤホンで聴くのもすごく合います。

名バラード。バラードなのに異常に熱い。

スローテンポなのにテンションは高い。

宇宙で一番感情的で激しい。

ライブでこの歌の前に、MCでヒロトは「静かな曲をやらせてください」と言ったら「えー」と否定的に返されていたけど、大丈夫!これは激しい曲です。

個人的にはブルーハーツの好きな曲の上位に入るので、再生回数はかなり多いです。

緩やかな梶くんのカウントで演奏開始した直後は、誰がどう聴いても静かなバラードです。

つまんないって、停止ボタンやスキップボタンは押さないでください。

なぜなら徐々に必ず激情しますから。

ヒロトが坦々と歌っていくのはマーシーが作った繊細な歌詞と、人の心を動かす大きなメロディ。

歌詞の情景が自分の経験と重なって映像まで浮かんでくる。

一度しかやらないBメロはマーシーの歌声も入って、けたたましく響くツインボーカル。

直後に奏でるギターソロはキンキンなチョーキングが沁みる、哀愁まで漂う激情スタイル。

気付いたら歌に感情移入しちゃってる。

まだこの名曲のハイライトが待っている。

ラストのクールでありながらも激しすぎる演奏、ヒロトとマーシーの掛け合いボーカル、心をブン殴ってくるシャウト。

「激」という言葉が似合います。

こんなにもぶっちぎりな魂の熱さはない。

※『EAST WEST SIDE STORY』という別のベストアルバムに「夜の盗賊団」の魅力的なバージョン違いが存在します。

リピート再生を押していた事に気付かず聴いていたら「夜の盗賊団」の後すぐにに1曲目の「1985」がかかりました。

それで気付いた事実。

最初と最後、10年の歴史をブルーハーツは作ったけど、そのロックへの狂熱は何も変わってないじゃんという事に胸が熱くなりました。

ひっそりとした「静」の中にある激しい「動」に胸が熱くなって涙が一粒落っこちたところで、ベストアルバムはおしまいです。

ものすごくボリューミーでした。大満足。

真っ直ぐなロックンロールの余韻が残る。

全体的に言えることは、全曲が当時のミックスより音が鮮烈になった。

圧倒的な音圧が特徴です。

ブルーハーツが爆発してる。

中古しかないですが、旧盤は↓

全37曲のここにしかない音と言葉の存在感。

ブルーハーツとは、人の心を動かす音楽だと新しく気付いたシングルコレクションでした。

『ドブネズミの詩』より

“人間が一番ふれることができないのが自分なんじゃねえの。それにふれようとするからブルーハーツがあるんだと思う。”

30年以上ブルーハーツを聴き続けて、その間に自分の人生で経験したたくさんのことを考えてみると、ブルーハーツの歌を聴いて気付いたことは多かったです。

何より自分の考え方を変えられました。

考え方を変えられる人は少数派です。それに気付いた方が幸せです。

“それにふれようとするからブルーハーツがある”

一ファンとしてその実感があります。


ありがとうございました。

また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。


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来ないと思ってた平和な世界。

一つハッキリと言えるのは、以前より明るい笑顔が増えました。

今年も私は「無理せず、気張らず、頑張らず」で行きます。

現在は読みにくさのあった古い記事から順に、より楽しいものに一新していく作業をしています。

クロマニヨンズの新譜が心に響き次第、レビューいたしますので、また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。

いつまでも幸せがありますように。

健康に心穏やかに、ロッケンロー!!

M☆MUSIC/UME

【クロマニヨンズNEWS】

【クロマニヨンズNEWS】

ニュー・アルバム『HEY! WONDER』
2024/2/7発売決定!

CDとアナログ盤が出ます。
完全生産限定アナログ盤はいつも通り良心的な価格です。
レコードの価格が高騰しまくった今の世の中で、普通に3000円て思いやりが溢れてます。

<収録曲>
1.あいのロックンロール
2.大山椒魚
3.ゆでたまご
4.ハイウェイ61
5.よつであみ
6.恋のOKサイン
7.メロディー
8.くだらねえ
9.ダーウィン(恋こそがすべて)
10.SEX AND VIOLENCE
11.不器用
12.男の愛は火薬だぜ ~『東京火薬野郎』主題歌~

今回も興味深いタイトルばかりで、既にテンションが上がってきました。
ツアーも楽しみです!

ニュー・シングル「あいのロックンロール」12/13発売決定!!

1.あいのロックンロール
2.SEX AND DRUGS AND ROCK’N’ROLL

CDと7inchアナログ盤が出ます。

ロックンロール尽くしなシングルで超楽しみです!
タイトルだけでワクワクさせるクロマニヨンズ!

40代、人より物が好きです。

唯一の問題は冗談のセンスが全然ないということ。

繊細なものが好きです。

細やかで、誠実で、ピカピカに光ってて、そこら辺には落っこちてないもの。

マーシーやヒロトの突き抜けたロックンロール!永遠のウルトラミラクル!

ダイナミズムと同時に存在感する繊細さと誠実さに心が動きます。

「最近なんか疲れちゃってる人へ」

気楽な日曜日の昼間なんかにビールでも飲みながら聴いていってください。

【アントン・カラス/ハリー・ライムのテーマ】

Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。

レコードに次いでカセットテープの人気が上がってきてるみたいです。

私はカセットがとても好きです。もちろん私の中でも一度終わったメディアですが、個性的なものはもう一度好きになったという感じです。最近はカセットばかり聴きます。

小さくて手に馴染むサイズ感はかわいいと思います。A面とB面があるわずらわしさが、音楽を聴く楽しさに変身してます。

それで、ブルーハーツのシングルのカセットが欲しいとずっと思っていました。全シングルがカセットで存在している訳でもありません。たまに出品されていても割と高値が付いて買えません。

でも欲しかったし、貧乏なオレには買えないのはとっても悔しいので自分で作りました。

ジャケットも出来る限りオリジナルに忠実になるように自作しました。

生のテープが安く手に入ったので制作に踏み切りました。

自作カセットテープ↓

ハイロウズのカセットテープも作成しました。

ジャケットはレコードの帯の煽り文句をモチーフにしています。

見にくいだろ?イライラするだろ?(笑)

クロマニヨンズもあります。

素敵な音が出てます。

満足してます、納得してます、感激してます。だからもう高値で売られているものを買う気はありません。

ボロくても手作りには光があります。