こんにちは。
『SIX KICKS ROCK&ROLL』は2022年リリースのクロマニヨンズの15枚目のアルバムです。
本作はアルバムですが、LPレコードは発売されませんでした。アルバムとして、ディスク1枚で通して聴けるのはCDのみです。
レコードの場合は事情が違います。7インチシングルレコード6枚を手動で取り替えながら聴くことになります。
それは、セルフ『SIX KICKS ROCK&ROLL』な感じです。
これがやたらと楽しいのです。
本作でとんでもない企画を考えたクロマニヨンズ。こんなのありか!と仰天しました。
五臓六腑にしみわたる怒涛のロック6連続‼︎
『6 ROCK大作戦』
シングル6ヶ月連続リリースです。
すげえ!ビビった!毎月楽しみだった!すべてが炸裂してた‼︎どの曲にも感動した。
今までで一番楽しかったし、一番おもしろいと感じたアルバムです。最高傑作じゃん‼︎と私は興奮しました。
The Cro-Magnons/SIX KICKS ROCK&ROLL(2022)
SIX KICKS ROCK&ROLL(シックス・キックス・ロックンロール)は14枚目のアルバム『MUD SHAKES』から1年1ヶ月後(2022.01.19)に発売された15枚目のアルバムです。
タイトルに初めて“ROCK&ROLL”が付いてクロマニヨンズの本質を見たような感慨深さがありました。
12通りのロックの魔法。
一曲一曲が、ロッケンロー‼︎の歴史みたいですごいと感じるアルバムです。
「6ヶ月連続シングル全曲収録!」
ん?シングルの内容そのまんまってこと⁈
そうです。『SIX KICKS ROCK&ROLL』は6ヶ月連続シングルのA面B面の2曲=12曲を収録したアルバムです。
だからアルバムが発売された時点でほとんどの曲(第6弾の「ごくつぶし」のみアルバムと同日リリースでした)を熟知していたということです。
全曲がシングルとして発売された曲の寄せ集めなんてすげえなと、今まで感じたことのない熱い気持ちになりました。
本当は全部シングルでいいと思う。クロマニヨンズのアルバムはコンセプトも何もないシングルの寄せ集めだからねーー甲本ヒロト
たまらない。グッと来る。この人の言葉はいつも胸が熱くなる。
アルバムの内容はいつも通りカッコいいロッケンロー‼︎です。鳴り響くロックンロールは1mmも後退していません。
これにはときめきます。
LPが出なかったアルバムはクロマニヨンズ史上初めてです。
アルバムとしてリリースされたのはCDのみで、LP盤は出てません。
その代わり7インチシングルのアナログ盤が6枚リリースされて、シングルがすべてが揃ったところでアナログのアルバムが完成するという胸熱な仕組みです。
『SIX KICKS ROCK&ROLL』収録曲
01.ドライブ GO!
02.光の魔人
03.千円ボウズ
04.大空がある
05.もぐらとボンゴ
06.ここにある
07.爆音サイレンサー
08.イエー! ロックンロール‼︎
09.冬のくわがた
10.ナイフの時代
11.ごくつぶし
12.縄文BABY
※ボーナスディスクあり
全編モノラル、全12曲41分(ボーナスディスク全2曲11分)合計で全14曲52分です。
いつも通りヒロト、マーシー6曲ずつ作ってお馴染みの迫力満点なモノラル録音。
アルバム用に作った曲もないしシングル用に作った曲もないんです。ただ日々できる曲を並列でポンと並べて1枚のアルバムにするだけーー甲本ヒロト
ーー6ヶ月連続でシングルをリリースするアイディアについて
ヒロト「僕らはできた曲をレコーディングして発表するだけなんで、そこはいつもと変わりないんです。ただ例年だったらライブ三昧の日々だけど今年はポッカリ空いた時期ができたから、じゃあ発表の仕方を工夫してみようかということになって。」
2022年はコロナの影響が出ていて、いつも通りのライブ三昧という訳に行かなかったのかもしれません。でもそれがこのとんでもない企画のきっかけにもなったんだなと思いました。
ーーコロナ禍で頭にきたことは?
ヒロト「あるあるいっぱい。でも、「よしこれを歌にしよう」なんてことは思わない。もしかしたら滲み出ることはあるかもしれないけど。」
結果としては最高傑作のアルバムになりました。個人的にはクロマニヨンズのアルバムの中で一番多い回数で聴いてます。
ーーアルバム1枚出すのとシングル6枚出すのはどう違うのか?シングルらしさは意識したのか?
ヒロト「そういうのはないよ。だって曲を作るときに「これはシングル用」とか思って作るわけじゃないもん。全部できてから「ラジオでかけてもらう曲どれにする?」みたいな感じで決めるだけ。どれでもいいんだ。それに“シングルっぽい曲”ってのも考えたらちょっとおかしな話でさ。そんな基準はないんです。もしもシングルっぽいっていう言葉が、さらっと聴けてなんとなくとっつきやすいもの、という意味で使われているなら、なんかつまらないです。」
これだ!もちろん詳しく事は知らないけど、他のアーティストはきっとシングルっぽい曲を意識してる気がする。だからつまらないのか。そういうことか。スッキリした。
クロマニヨンズってつまらないことはやらないです。すげえ楽しい。カッコいいと感じてるのそういうところなのかもしれない。
アルバムの曲順決めで最近定着してきたやり方は、曲を作った本人たちではなく、まずコビーとカツジに案を出してもらって、最初にいいなと思った並びをいくつか固定した状態でiTunesでシャッフルする。みんながOKって言ったらそれで決まるということです。
ちなみにマーシーは誰の案でもだいたいOKって言うらしい。
本作の12インチレコードはリリースされなかったけど、7インチシングルレコード6枚全部を収納できるカッコいいボックスが、第1弾シングル「ドライブ GO!」のアナログ盤に付いてました。いつもの1000円じゃなくて4000円だったけど絶対欲しくて買いました。
関係ないけど、カップリングの千円ボウズは「千円くれ」と言ってましたが四千円でした。
“7インチ アナログ盤6枚収納 特製ボックス付”と「ドライブ GO!」のレコードの帯に書いてありました。
アナログ盤『SIX KICKS ROCK&ROLL』
1.ドライブ GO! / 千円ボウズ
2.光の魔人 / ここにある
3.大空がある / 爆音サイレンサー
4.もぐらとボンゴ / 冬のくわがた
5.縄文BABY / ナイフの時代
6.ごくつぶし / イエー!ロックンロール‼︎
7インチレコード6枚に各2曲ずつ収録。シングルCDも同内容。
ずっとクロマニヨンズのジャケットを手掛けている菅谷晋一さんによる個性的でロックンロールな、それぞれの作品のジャケットデザインも熱いです。
全部揃った時に手に持って取っ替え引っ替えしてると楽しい気分です。もちろんアート性を余裕で感じるけど、同時にロックンロールも感じるのが凄味です。
やっぱりレコードやCDのジャケットのデザインは重要だと感じます。こんなにも全部集めたいと思わせるジャケットはあんまりありません。
7インチレコードのレーベル面は統一されたデザインですが、CDのレーベル面はそれぞれに異なるデザインになっています。
レコードでもCDでもどっちもカッコいい。どっちも圧倒的なロッケンロー‼︎の音がする。どっちも物体としての特別感が最高だ。
どっちも耳を通り過ぎて心に響く迫力のモノラルの音。他にはないクロマニヨンズの音。
僕らみたいなただジャジャンドガーンみたいな音だったら、モノラルの方がパワーが伝わる気はしますねーー甲本ヒロト
いつ聴いても新鮮なロックンロールです。
ロックンロールが広がっていく。
M1「ドライブ GO!」
作詞・作曲/真島昌利
6ヶ月連続シングル第1弾
再生した瞬間に耳を直撃するマーシーのギンギンなギターリフが、それだけでもうロックンロール。
かなり短めのイントロ。
ヒロトの力強い歌が入ったらもう誰にも止められないハイテンション。
“ザ・クロマニヨンズ”を感じる。豪快だな!
今すぐ突っ走りたい気分の時のナイスチョイスなスリーコードのロッケンロー‼︎
気持ちを煽り立てる一撃。
マーシーの鋭いギターリフと、クロマニヨンズに求めてる騒々しくて陽気な雰囲気。アレンジ、音、演奏に豪快さを感じるけどクロマニヨンズらしい繊細さも感じます。たった2分57秒にヒロトのスピード感あるハーモニカまで入れてくる緻密っぷり。
すごく練られてると聴き慣れた頃に気付く。
2番の“ぶっ飛ばせ”は一気に突き抜けて、意味もなくドライブしたくなる高揚感が出現します。
短めの歌詞を繰り返すスタイル。
追い討ちをかけるような激しくスピーディーなギターソロは、オレののろまな作業ペースに最高速を記録させた。
後半のコーラスのテンションが高すぎる。コーラスというより騒がしい煽り音だ。めちゃくちゃ楽しそうだ。オレも楽しい。
ラストはヒロトのハーモニカとマーシーのギターが煽りまくって、それまでグダグダしていた気持ちをキビキビしたスピードでドライブに行かせた。気持ちだけ。
なんとなくとっつきやすいという軽々しさはない。熱いロックンロールがある。
歌詞 : 繰り返される2番の“ぶっ飛ばせ”には自分の気持ちの加速度がグングン上がっていきます。古いことにはこだわらず、放っておけばいいことには関与せず、自分の明日へ突っ走れます。
自信を持たせてくれる歌詞。「古い地図にはない 新しい道」まだ誰も生きていない自分独自の道をぶっ飛ばそうと心が奮起しています。
M2「光の魔人」
作詞・作曲/甲本ヒロト
6ヶ月連続シングル第2弾
高揚感をさらにブチ上げるようなキラキラしたイントロから、楽しむ気持ち最大限で行けます。
ノリノリなアップテンポがテンションを上げる。最初のカツジのドラムの連打だけで胸が熱くロックンロールな気分になります。
「これが恋か」と歌う切ないメロディに胸がキュンキュンしたりする1曲。
神技のコーラスが曲の輝きを10倍にしてる。
割とキンキンな音が耳に直撃してロッケンロー‼︎を感じる。そのシャープな音がロックの魅力を放って、曲の存在感を100倍にしてる。
オレには炸裂してる。この音はキラキラしたポジティブな心を誕生させてしまう。きらびやかなアレンジは絶対オレの精神的な不具合を察して元気付けようとしてる。
絶対オレにアピールしてる。
この歌に感化されたオレも実は光の魔人なのかもしれない。きっとそうだ。
聴こえてくる音のすべてがキラッキラの光エネルギーみたいだ。嬉しい、楽しい、最高な気分です。
随分と経ってから何となく気付いたけど「光の魔人」というタイトルにこのキラッキラな光のアレンジとか胸熱すぎる。
クロマニヨンズも色々と考えているのかもしれないし、余裕で思い付いたのかもしれない。ロックの努力なんて見せるものじゃないけど、一番重要な結果としては大成功だと感じます。
イントロからアウトロまでずーっとカッコいい。
歌詞 : 始まって割と早くに心に輝いきます。自分を「光の魔人」だと言い切るそのカッコ良さと自己肯定感と揺るぎない自信を感じます。
恋にちなんだサビの歌詞は自分の経験と一致しすぎてて胸が熱くなりました。その時はオレだって同じように叫びたいほどの燃えるような気持ちが、眠れない毎日を過ごさせた。自分のすべてを支配してしまうくらい強い光を感じた。
それは恋だ。今も変わらずにある恋心だ。
燃えるようだけど、燃え尽きてしまったら意味がない。恋の謎は解くべきではない。
M3「千円ボウズ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
6ヶ月連続シングル第1弾c/w
誰が聴いてもラモーンズ風。パンクだ、でもロックンロールだ。
途中でラモーンズの有名なフレーズも飛び出してテンション上がります。多数の人が知っているメロディ『Blitzkrieg Bop』に乗って「千!千!千円!」は相当なインパクトです。ラモーンズを知っている場合はやっぱりその100倍のインパクトがある。
3曲目もガッツリ攻めてる。勢いがある。遊び心がある。強烈な主張がある。
オレにも千円くれと叫びたい気持ちもある。
演奏にパワーがある。クロマニヨンズの強力なエネルギーでしか聴くことが出来ない音がある。
センスが良すぎる。一般常識な思考では理解し難い世界がたまらない。最高です。オレはロックに楽しさを求めてる。
シリアスではないどこかにあるバカっぽさみたいなものがオレの不自由な心をぶっ飛ばす。
当たり前の顔をして、不親切な態度を見せびらかせながらオレに仕事を押し付けたそいつに言おう。
「千円くれ」、そいつは当然「いいぜ」と承知するのが筋だろう。
歌詞 : 登場する動物のチョイスが独特で心を撃ち抜かれました。意味は分からないけどメロディに乗った時の心地よさは最高です。
聴くと“どうでもいいぜ”と、世間に流されないための強い気持ちが誕生する。
M4「大空がある」
作詞・作曲/真島昌利
6ヶ月連続シングル第3弾
激励の音がこの歌にある。
オレの不安な心に優しく寄り添ってくれる歌。絶対に見捨てない思いやりがそこにあります。
この歌を聴いて大空を見上げなかった人は一人もいないらしい(オレ調べ)。
タメを効かせたメロディと突っ走るサビの抑揚がシビレます。
なんと言っても、間奏でのヒロトの心のこもった語り。私の心に直接語ってきます。
大空に励まされて今日も生きてればいいと安心してしまえる大きな歌。とにかく大きい。
心が不安になってしまった日のベストソング。
とても重厚で、弾丸を連射するかのような力強いイントロから急にタメを効かせたアレンジになる驚き。インパクトがある。予想通りには行かない衝撃もある。
今回もまた音がいい。音が大きい。その上で演奏がパワフルだ。自分かもしれないし、他人かもしれないけど、誰かを励まそうとしてる思いやりがその音から熱く伝わってくる。
「大丈夫だ」と連発するこの歌に全然大丈夫にならない心なんてきっとない。これを聴いて絶望するやつはいない。心配いらない。
間奏ではヒロトの心のこもった語りを聴いたら、その内容に大きな安心感を抱いてしまう。これは本気だ。ヒロトにしか表現出来ない。
歌詞 : クロマニヨンズのロックの音で、ヒロトのハッキリとした発音で「大丈夫だ」を連発されたら大丈夫じゃない心なんて存在しなくなります。
こういう歌があるなんてすごく嬉しい。
「すべてはうまくいく」なんという思いやりの言葉なんだ。絶対オレを励ましてくれてる。「心配いらない」って言われると安心できるし、好きな言葉です。
もう大丈夫だ。なるようになる。
M5「もぐらとボンゴ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
6ヶ月連続シングル第4弾
始まってすぐに物語性を感じます。
「ボンゴ ボンゴ ボンゴ ボンゴ」と繰り返すコーラスがとても印象的です。
もぐらと一緒にバスに乗ってみたりするちょっとシュールな物語で和みます。
勢い重視ではないテンポとアレンジ。激しくはないあたたかみのある演奏。より一層、物語に意識が集中していく。ほっこりする。
抑え気味のギター、柔らかいハーモニカ。
もぐらと一緒に自分の道を切り拓く旅をしているような気分です。
ミュートをかけたギターの音が印象的です。
突っ走らないミディアムなテンポは、オレでも乗り遅れることはない親切設計を感じる。
とは言え、スムーズに流れる心地よさがすべての瞬間に存在してます。
後半のマーチングなドラムと、男の色気がある“アァ”と歌うコーラスが聴こえてくる辺りで、人と違っても自分らしい方がいいやと自己肯定感が上がってくる好影響あり。
みんなで合わせる規則的で心の不自由な行進ではなく、どこに向かうのかは完全に自分の自由である楽しい心の中の行進を感じます。
この音に突き動かされる心はあります。
歩きながら聴くと合います。歩く面倒くささをステップな歩幅に変える楽しいリズム。
歌詞 : アニメ映画の世界なんかを感じて和む瞬間です。MVにはアニメのもぐらが出てきてこの歌の雰囲気にとても合ってました。
目の前には道が無かったから、もぐらが自分の道を切り拓いていく真っ直ぐさに感動して、果てしないけどオレもそういうのを目指そうと素直に決心しました。
独自の道というのはものすごく苦労したり難儀だったりするだろうけど、人並みとは違う幸せなところに辿り着くんだと思います。
もぐらは無限に掘りました。道が無くても好きな何かを深掘りしていくのも人生の役に立ちそうです。
控え目な演奏に乗っかる物語がどこまでも繋がっていく気がする。物語の続きはオレが作ろう。オレにしかない物語になる。
M6「ここにある」
作詞・作曲/真島昌利
6ヶ月連続シングル第2弾c/w
ギラギラした鋭いギターと激しいドラムの絡み合いにロックンロールを感じるけど、同時に眩しいグラム・ロックも感じます。
それはクロマニヨンズのロッケンロー‼︎だ。
ハッキリとした主張が胸を打つストロングソング。
強い。強力だ。激しい。強烈だ。魂を揺さぶる。
ジャキジャキしてる。「もぐらとボンゴ」で少しだけ落ち着いたかもしれない気持ちは一瞬にしてハイテンションへぶち上がる。
キンキンしてる。ロックンロールが「ここにある」とただ一つの主張をしてる音が何よりも炸裂してるからだろう。その音に熱狂してる。
ロックンロールの音が聴こえる。
聴くと、義務感のあるやる気というより、やらずにはいられない一番強い気持ちが芽生えます。
本当に自分が好きなものをわかっている人にしか作れないし、演奏できない歌だと感じます。
ロックの奴隷になった嬉しさが聴こえてくる。ロックに感極まった喜びの音がここにある。
アルバム収録曲で一番短い歌詞。初めて歌詞カードを見た時にびっくりしました。他の曲の半分くらいしかない。それでこれだけ強力なエネルギーを持ってるのが感慨深い。
歌詞 : 今この場所でやりたい事をやらずに、不幸に甘んじているのは卑怯者の言い訳だと気付きました。自分が幸せになる事をやらずにはいられない。
「ここにある」と100%の事実を繰り返すサビ。ここにあることに気付かない振りをしているのもやっぱり良くない。すでにここにある。最初からここにある。
もう何十年か前に、オレが好きそうなものは「ここにある」とヒロトやマーシーが呼んでいた。それは今でもここにある。
M7「爆音サイレンサー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
6ヶ月連続シングル第3弾c/w
なんてことだ。クロマニヨンズは全力で全打席ホームランを打とうとしてる。
結論としては打つ。
ヒロトの歌詞だけど、マーシーの歌詞のような繊細さが心に沁みます。
味わいがあって、心に爆音で鳴り響くロッケンロー‼︎
重めで何やら怪しげな雰囲気のイントロ。ヘヴィーなアレンジの曲なのかと思ったら、そうではない。
マイナー調で流れるような勢いのアップテンポ。爆音で突っ込んで来て、素直に惹き込まれる独特の世界。
曖昧さこそが伝家の宝刀な日本語は嫌いだけど、この歌の歌詞のような聴き入ってしまう比喩表現は美しい。
直接的ではない抽象的な歌詞はよく分からないうちに、すげえ熱いこと歌ってそうだと気付き始める。何度も聴いたけど本当の意味なんて分かってません。意味なんてないのかもしれないし、それがロックンロールだと思います。
今回はどの曲も演奏がパワフルな感じがする。いつもそうなんだけど、今回は特にそう感じる。マスタリングの影響とかもあるのかもしれないけど、すごく好ましいロックンロールの音。いい具合の圧力がある。
モノラルが合ってる!
間奏ではマーシーのとんがったギターソロにシビレます。この人も何も変わっていない。すごい。キンキンなままだ。そんな想いと曲の雰囲気に涙が出そうになった。
歌詞 : 直接的な表現ではないから意味は分からなくても“美しい”と心が反応します。
爆音で夢を見る話なんか聞いたことがない。「爆音」というワードにはやっぱりクロマニヨンズのライブが思い浮かぶ。今夜は爆音でその夢を見たい。だから途中で起こさないでくれ。オレは熱狂中なんだ。
このロックンロールにシビレた日はいつも爆音で夢を見たい。
M8「イエー!ロックンロール!!」
作詞・作曲/真島昌利
6ヶ月連続シングル第6弾c/w
うんざりする日を明るく乗り切るためのロックンロール。
いきなり「ロックンロール!」と歌い始める胸熱アレンジ。胸熱アップテンポ。
すべてを凌駕した胸熱ロックンロール。
ロックとロールの両方がある。そりゃ“イエー!”と叫びたくなる。
心がロックンロールに支配される。
派手だ。ロックンロールって派手だ。その派手さに生きる気力が湧いてくる。陰湿なロックンロールなんて聴きたくない。そんなもんあってほしくもない。そんなもん不意打ちで聞かされるのも絶対に嫌だ。そんなもん、、
覚えたつもりはないけど、気付いたら頭の中で再生されていた希望の曲。
求めていたロックンロール。痛快だ。パワフルなロックンロールの一撃。しかも必殺。
ひとつ前のアルバム『MUD SHAKES』では「VIVA! 自由‼︎」と最高な自由を歌っていた。今度は「イエー! ロックンロール‼︎」とロックンロールを高らかに叫んでる。
マーシーがめちゃくちゃ盛り上げてる。ギターはいろんなフレーズが飛び出してきて圧倒的なロックンロールを感じる。存在感抜群なギターソロが特別なロックンロールだ。
何度聴いてもギラギラなロックンロールのアレンジに心を奪われて、歌詞の内容は割と後から入ってきました。
これぞロックンロールという感じですごく楽しい。いろんなアレンジの楽しさを強烈に感じるアルバムです。
歌詞 : へこんだ日のヘナチョコっぷりさえも救ってくれる歌。またふくらめばいい。不真面目なヴォリウムもあげて行こう。合わない他人の価値観よりもロックンロールだろ!
自分の頭で考えず何でも人の言うことを聞いているのは良くない。私は頑固で、基本的に他人の考えなど自分にとって100%間違いだと思ってます。でも好きな人の言うことぐらいは素直に聞いてもいいと思いました。
ずっとロックンロールに感化されていたい。
そうか!そうだった!と急にポジティブな気持ちになりました。目の前のことにうんざりするけど、回り道すればOKだ。しかもするりと。人と違う方がうんざりしないで生きれる。
少し時間差で入ってきたロックンロールな歌詞にすっかり心は晴々としました。
イエー! ロックンロール!!
怒りや失望や無気力のネガティブが入ってくる隙が一切ない。
M9「冬のくわがた」
作詞・作曲/真島昌利
6ヶ月連続シングル第4弾c/w
歌を聴いてしみじみした自分の気持ちが忘れられないインパクトになる1曲。
ゆったりテンポのじんわりくるやつが始まったと直感するイントロ。コビーの太く響くベースの音が凄まじい。
いつも一曲は聴きたいレゲエ調。
深い哀愁がある。寂し気な情景もある。ギターの音が胸に刺さる。こういうの好きだ。
聴かせるスローテンポ。ヒロトの歌が際立つ。マーシーの歌詞が心に残る。
歌詞も演奏もアレンジもテンポもクロマニヨンズのテンションもすべてが絶妙です。
冬の歌だし寂し気な情景もあるけど、クロマニヨンズのあたたかさも感じます。それがこの歌を心に残す要因だろう。寒い冬に聴くと少し寒さも和らいでほっこりします。
リピートでずっと聴いていたい心地よさ。この曲自体が人間の心にすごく合うのかもしれない。オレにはバッチリ合う。
ゆったりしたレゲエ調でマーシーのギターには隙間があるけどそれがいい感じだし、感情豊かな熱いギターソロが聴けます。
ラストに入る鈴の音は、アウトロの印象を美しくするのに効果的で記憶に残ります。
歌詞 : 冬の歌にある夏の記憶。冬に夏の喜びを思い出してる感情にしみじみとするし、余計に冬の侘しさがつのってきます。
全体的に詩的な表現でとても好きです。繊細だし美しいと感じます。漂う哀愁と寂し気な情景が目の前に現れて心がジーンとなります。マーシーの歌詞の唯一無二な美しさは心にグッときます。
その美しいと感じる切なさ、侘しさ、哀愁にこの歌の真髄を見た。決して暗くないし悲しくもならない。ただ美しいと感じます。
この歌は夕方5時の帰り道によく合います。
M10「ナイフの時代」
作詞・作曲/甲本ヒロト
6ヶ月連続シングル第5弾c/w
音が出た瞬間のパワフルでパンクな音圧にすげえセックス・ピストルズを感じる。
割と「アナーキー・イン・ザ・UK」だ。
とは言え「アナーキー・イン・ザ・UK」ほど嘲笑ってはいません。
騒々しい。いかす。シビレる。
存在感がありすぎる。バシッとしてる。だけど滑らかで歌作りとアレンジの上手さが光ってる。クロマニヨンズに求めているもの。
速すぎず、遅すぎず魂の熱さを感じる丁度いいテンポ。
その熱さに「アナーキー・イン・ザ・UK」を聴いている時のような反骨精神がしゃしゃり出てきます。
今の時代にブレないパンクの一本柱が立っていて、不快でノイジーだったパンクの光を放ってる。
確かにセックス・ピストルズを彷彿とさせるけど、何より感動するのは全部クロマニヨンズの音ってことです。
歌もすべての演奏も絶対に折れない自分の音がしてます。人にはそれぞれその人の音があるように思います。クロマニヨンズはいい音だ。オレも自分の音で生きよう。
クロマニヨンズは特徴的なコーラスがよく心に残るけど、この曲は割とオーソドックスなスタイルのコーラスで、それが余計にパンクを感じさせます。
歌詞 : 「電気料金 タダ」とか言ってる歌詞にはやっぱり興味を惹かれます。正直なところピストルズ風なアレンジに心を奪われていて、何のことなのかはよく分からないけど、そんなこと歌う人って他にいないのでインパクトありすぎです。
5枚目のシングル「スピードとナイフ」から繋がったものなのかもしれません。
よく、今は「風の時代」とも言われています。目に見えないものに対する価値観が高まる時代ってことです。今から200年続くらしい。個人的には大嫌いな組織から抜け出して自由に生きれる時代だと思っています。
M11「ごくつぶし」
作詞・作曲/甲本ヒロト
6ヶ月連続シングル第6弾
オレのような役には立たない存在を圧倒的に肯定し、気持ちをぶち上げてくれる歌。
心に響く重みのあるイントロが、ただ事じゃない曲だということをお知らせしてる。
これは覚悟が必要だ。
ヒロトの世界を感じる。激しい。勇ましい。
どこかに嫌ではない微かな暗さがあるけど、ビシッとしてる。本当の魂の怠け者にはこの歌はきっと似合わない。
魂を激しく揺さぶるアップテンポ。
もう戻れないと覚悟する心の鷲掴み。もう戻らないと覚悟を決める強烈な歌詞。
一つ一つの言葉が強い。そのエネルギーがオレの心に入ってきちゃってなんか大変だ。「大変」というのは大きく変わるってことだから、何かが大きく変わるんだ。心の中で確実に変わった。
これまで一度も思ったことがないことを素直に思えてしまう。
心からの本音を言い放つ衝撃を伴う歌詞。
“ああ 生まれてよかった”
こんなに強いロッケンロー‼︎を叩きつけられたら、、、
私も「生まれてよかった」と心から思った。
間奏でのヒロトのハーモニカとマーシーのギターの掛け合いなんて激情しない訳がない。カッコ良すぎて涙が出る歌。
勇ましさナンバーワンソング。
歌詞 : 1番からガッツリ刺さります。皮肉のような、ひねくれ者のような、でも本当は一番真っ直ぐな人のような、すごく深い思考をした1曲です。
でもあんまり深く考えすぎるつまらなくなるから感じたままに心を揺さぶられてる方が楽しいです。
「生まれてよかった」というたったひと言の歌詞にはかなりの衝撃が走りました。
死にたいと言ってしまう人はいるけど、こんなにも誇らしげに“生まれてよかった”と言う人は滅多にいない。
生まれない自由はなかったけど、生きる自由はあるはずだ。オレは生きるぞ!
サビの歌詞好きな人は多いと思います。特に最後のフレーズ。相反するものを自分一人の中で完結してしまってる感じに私は心がときめいてしまいます。
やっぱり歌詞だけ読むのではなく、歌として聴いた場合に叩きつけられるロックンロールになります。
M12「縄文BABY」
作詞・作曲/真島昌利
6ヶ月連続シングル第5弾
アルバムラストはとてもロマンチックです。
だけど骨太でワイルドなロック。
それにアルバムをドラマチックに終わらせる感慨深いフェイドアウト。
歌詞とメロディってことじゃなくて、歌そのものに真っ直ぐさとか誠実さとかあたたかさとかがあってジーンと来るラスト曲。
イントロの音には雄大さを感じます。落ち着いたミドルテンポには誠実な心を感じます。
ロックンロールの歴史を辿るかのような、人生を踏み締めるかのような心に響くテンポ。
ヒロトの歌に真っ直ぐな気持ちが溢れてて、オレの目に涙が溜まってきてる気がする。熱い。
歌と同じメロディを弾くギターソロが優しい。マーシーの繊細な感性が、オレの胸の奥の弱い部分を包み込んだら涙が一粒落っこちそうだ。
ラストの「シャララッシャ」のコーラス入りメロディに悩みなんてぶっ飛びます。
アルバムを締めくくるラスト曲の壮大な存在感を放つたたずまいがすごい。
この歌はドッシリしてる。揺るぎないもの。
ロックンロール。
カッコいい(号泣)
歌詞 : マーシーの歌詞って最高に語感がいいって感じます。人間の五感以外のところで感じる語感てあると思います。
ドラマチックなアレンジと相まって胸にスーッと入ってきて、記憶の中にかなりの存在感を残していきます。
直接的でつまらない表現ではないロックの歌詞としての言葉が心地よく沁みます。私たちに想像の余白を残してくれた歌詞は、聴いた人の数だけ受け取り方があっていいと示してくれています。
私は壮大なロックンロールを感じます。
正解はひとつじゃないし、そんなものないかもしれない。
でもクロマニヨンズのそういうところが好きなんです。
人間にしか出せない音、人間にしか発することが出来ないメッセージを自分の感性そのまんまで受け取り、ドッシリとした存在になれたところで本編ディスクはおしまいです。
『SIX KICKS ROCK&ROLL』良かった。今回もシビレた。すげえ楽しかった。最高傑作だと思った。
私の場合は毎回、このまますぐボーナスディスクに突入します。
本当に僕らは成り行きばっかりで。音作りとかも、そんな感じです。修行を重ねた超絶芸とか、目指してないし。パッと聴いた時に、こんなの中学生でもできるじゃんって言われてるかもーー甲本ヒロト
クロマニヨンズはいつも前進してる。その音とその心意気に、日常で疲れた心はすっかり元気になりました。
BONUS DISC
『SIX KICKS ROCK&ROLL』収録曲から2曲の別バージョンが収録されています。
オリジナルバージョンとはかなり雰囲気が変わっているアレンジですごく楽しめます。
この2曲の別バージョンが入っているレコードは今のところありません。CDのボーナスディスクでしか聴けません。
BONUS DISC 収録曲
01.冬のくわがた(小さいメガネ)
02.光の魔人(夜空のビンギ)
全編モノラル、全2曲11分。
本作のDISC1を聴き終わった時、「これってそれまでに出たシングル6枚を自分でプレイリスト作れば“SIX KICKS ROCK&ROLL”と同じものが聴けるじゃん⁈」と禁断の気持ちを一瞬だけ抱いてしまったけど、さすがクロマニヨンズ!それだけでは終わらせない。
アンコールに応えてくれたような、整理体操に誘われたような嬉しい気分になるボーナスディスクです。
2曲とも落ち着いたアコースティックなアレンジで心地よく楽しい別バージョン。
心に沁みるボーナスディスク。
M1「冬のくわがた(小さいメガネ)」
作詞・作曲/真島昌利
オリジナルバージョンには寂れた情景を感じた。それがいい感じだった。(小さいメガネ)には心がほっこりするあたたかさを感じる。
ハーモニカとアコギの柔らかいイントロ。
オリジナルはレゲエ調だったけど、心にスッと入ってくるアコースティックアレンジ。とは言え、後半には効果的にエレキの音も入っててよりロマンチックにしてる。
速くもなく遅くもない流れるような心地よいテンポ。聴きやすさ抜群という感じ。
とても柔らかい。
クロマニヨンズにとても似合う。すごい好きだ。なんでこんなに好きなのか?よく分からないけど、サラサラしてて柔らかくて心に聴こえてくるからじゃないかな。
心地よく流れてて滞らない。
聴いてるオレの気持ちも滞らない。
間奏ではエレキによるマーシーのギターソロが聴けます。それがまたサラサラしてる。
アルバム全部がそうだけど、すべてが人間の演奏による音。
その為、なんか違うとかつまらなかったとか、う〜んという違和感が一切ない。
オレが心地よく感じる音はクロマニヨンズにしか出せない。
マーシーのとても繊細な歌詞がより一層美しく響きます。私の苦手な大雑把さが微塵も感じない。優しい。
心がほっこり、あたたかくなりました。
M2「光の魔人(夜空のビンギ)」
作詞・作曲/甲本ヒロト
オリジナルバージョンに比べると、思いっきり下げたテンポに豪快さを感じます。
今度は太鼓や鈴の音とアコギとベース。
名前は知らないけど、たまに入る砂の音を鳴らす楽器がアレンジの柔らかさを印象付けてます。
ヒロトが歌い出すとすごく近く感じる。マイクが違うのか録音の仕方が違うのかは分からないけど、クロマニヨンズがすぐそこにいて耳元で演奏してるみたいだ。
クロマニヨンズが同じ部屋にいると錯覚してしまいます。
歌ってアレンジでこんなに印象が変わるのかという衝撃と、まったく新しくなった「光の魔人」への期待感でワクワクです。
オリジナルはノリノリなアップテンポだったけど、柔らかさが心を奪っていくスローテンポ。
テンポを落としたから必然的に長くなったのか、クロマニヨンズには珍しく5分半もある長編。
決して嫌ではない。長すぎるとも感じない。
こんなに実在感のある音はいつまでも聴いていたい。
4人が心を込めて演奏してるのが伝わってくる素晴らしい別バージョンだと感じました。
「生の音」という感じのクロマニヨンズを間近で聴きたい時にも合ってると思うバージョンです。
ボーナスディスクはゆったりしていて、本編で熱くなりすぎたテンションをゆっくり静かに落ち着かせてくれる効能があります。
ここまで聴いて『SIX KICKS ROCK&ROLL』を堪能したという満足感が溢れ出します。
レコードの場合はボーナスディスクの2曲は未収録だけど『SIX KICKS ROCK&ROLL』を全身と魂に浴びたという高揚感に激情します。
CDは便利です。レコードは心を揺さぶります。優劣の問題じゃなくて、自分に合う方を選ぶのがいいと思います。
私は欲張りなので両方という選択です。
なんでこんなに楽しいと感じるのか?正解は分からないけど、一曲一曲が個性を発揮していてロックンロールの歴史みたいだと感じます。
再生ボタンを押した瞬間からとても楽しい気分になったクロマニヨンズの15枚目のアルバムでした。
『SIX KICKS ROCK&ROLL』本当に楽しい。
私にはすごく聴き馴染んだという印象のあるアルバムです。本当に何度も聴いた。
『SIX KICKS ROCK&ROLL』のCDを買ったら、同じ日に第6弾シングルとしてリリースされた「ごくつぶし/イエー!ロックンロール‼︎」の2曲も間違いなく収録されていた。
シングルCD「ごくつぶし」も買ったけど、このCDはあんまり再生してません(笑)
ごめんよ、シングルCD。今度かけるよ。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。
僕もこのアルバムがすごい好きです。リリース時にはもうほとんどの曲を知ってたはずなのに、アルバムはまるで1回目のような新鮮さを放ってましたね。特に冬のくわがた〜縄文BABYの流れがお気に入りです。
クロマニヨンズはいつも通り作品を作ってるんでしょうけど、久々にトータルで40分を超えてたり、アップテンポの曲が多かったりして彼らの本気を勝手に感じました
次でいよいよ最新アルバムに追いつきますね!次回のレビューも楽しみに待ってます
こんにちは。
『SIX KICKS ROCK&ROLL』は今でもやっぱりよく聴きたくなります。
そういう魅力がありますね!
結構な時間はかかりましたが、いつも頂いたコメントが励みになり、あと1作のところまで来れました!やります!
また読んで頂けるととても嬉しいです。
ありがとうございます。