こんにちは。
『MOUNTAIN BANANA』は2023年リリースのクロマニヨンズの16thアルバムです。
心の名盤 : 全曲レビュー。
クロマニヨンズは当たり前のように最初からそうですが、人間にしか出せない音だけで突撃するロッケンロー‼︎です。
その音ってのはやっぱり人間の心をガッツリ掴みます。人間にしか出せない音は、人間にしか感じられない感動を伴っています。
コンピューターの完璧っぷりと味気なさがまったく介入していない。人間はきっとコンピューターとかそんなもんには勝てません。
4人の生身の人間が放つ人力ロック。
その熱い音からどういう訳か、日常を生きていく上で「勝つ必要はない、負けなければいいんだ」というようなことを私は強く思いました。
The Cro-Magnons/MOUNTAIN BANANA(2023)
MOUNTAIN BANANA(マウンテン バナナ)は前作15th『SIX KICKS ROCK&ROLL』から1年後(2023.01.18)に発売された16枚目のアルバムです。
発売の数ヶ月前からとても楽しみにしていたアルバム。クロマニヨンズ公式からアルバムの追加情報が発表されるたびに興奮が増しました。
今回はどんなアルバムになったんだろう?
かなりのインパクトを与える黄色いバナナのジャケットにすごくロックを感じていました。ジャケットがいいやつは内容もいいに決まってる。
結論としては人力ロックの名盤です。
突っ走ったり、自分の心を悟してみたり、ファンファーレが鳴り響いたり、すごく抑揚の効いた楽しいアルバムだと感じます。
購入後すぐに連続して聴きました。1日に何度も聴きたいと思いました。いつもよりその気持ちが強く溢れました。
人間にしか出せない音の虜になったからです。何度聴いても私の心の中では「大変だ!これは名盤だ‼︎」と感動します。聴けば聴くほど良くなっていく名盤です。
ぼくらは人間じゃなきゃできない音の集合体なんです。それが大事なんじゃないかな
ーー甲本ヒロト
ーークロマニヨンズを聴くたびに嬉しい楽しいという気持ちになれます。
ヒロト「それは多分録音の仕方もあって。いつもぼくらはせーのでどーんとやるでしょ? そのおかげでもあると思うんだ。それはものすごく人間にしかできないことなんですよ。人間じゃなくてもできる録音ってあるんだよ、今、世の中には。人間じゃなくても出せる音っていうのが、例えば、1曲のなかにどこかに入ってきたりもするんだ。でもクロマニヨンズの当ったり前の話なんだけど、ぼくらは人間じゃなきゃできない音の集合体なんですよ。それが大事なんじゃないかなと思う。」
ーー今は人間じゃない音の方が主流に近い部分もあるかもしれません。
ヒロト「それはわかんないけどね。主流かどうかはわかんないけど、そういう音を耳にしたときに「あれ?」と思うときがある。それで楽しければいいんだけど、楽しめなかった自分がいたりして。そうしたらなんかもうやっぱり人力。人力ロック。でも当たり前のことなんだよ。今、自分が言ってることがおかしいなと思うくらい当たり前なんだけど、人力ロックです。」
その人力ロックに毎回感動しています。私は人間が出した音の集合体でしか音楽で涙が流れる瞬間はありません。人間だからこそ、人間が出した音とそうでない音を余裕で聴き分けてしまえます。
私が求めてるのは“人の音”です。
人力ロックに涙が流れる瞬間はとても胸が熱いです。自分の胸が熱くなった感覚だけで、今後の人生も負けずに生きていける気がします。
『MOUNTAIN BANANA』収録曲
01.ランラン
02.暴走ジェリーロック
03.ズボン
04.カマキリ階段部長
05.でんでんむし
06.一反木綿
07.イノチノマーチ
08.ドラゴン
09.もうすぐだぞ!野犬!
10.キングコブラ
11.さぼりたい
12.心配停止ブギウギ
全編モノラル、全12曲38分。
本作ではこれまでと違う初めてのことが起こりました。
ヒロトとマーシーの作詞作曲の割合です。これまでは6曲ずつまたは7曲ずつの半々が定番でした。ところが今回は、ヒロト作7曲、マーシー作5曲と前例のないスタイルです。
とは言え、これまでと比べて違和感があるかと聞かれたとしてもそれは感じません。ヒロト色が多少強く出ていることはあるかもしれませんが、間違いなくクロマニヨンズの音で、最高のロッケンロー‼︎です。
詳細は分かりませんが、全部話すのは大変だといういろんな事情があったそうです。
ヒロト「気づいたかもしれないけど、今回、ぼくの曲が7曲でマーシーは5曲しか入ってないんだよな。それもいろいろあったんだよ。全部、説明するのは大変だ。」
シングル曲は26枚目のシングル「イノチノマーチ」が収録されています。
カップリングはマーシー作の間をいかしたレゲエ調「さぼりたい」が収録されました。本作『MOUNTAIN BANANA』にも収録されてます。
このシングルでの驚きはMONOが得意なクロマニヨンズがSTEREO音源で発表したことです。
ここにも初めてが起こりました。
これまでシングルのカップリング曲はアルバムには収録されませんでした。そのため、シングルも買わないとクロマニヨンズのすべてのロッケンロー‼︎が聴けないという、私のようなファンにとっては一大事に陥るスタイルでずっと来てました。
しかしアルバム収録曲が発表された時「さぼりたい」も入ってるじゃんと驚きました。シングルのカップリングも収録されるのは初めてだなとほんの少しの困惑です。
そして、シングルを買う意味がない⁈とか一瞬だけ禁断の気持ちを抱いてしまったけど、そこは我らがクロマニヨンズ。
ヒロト「じゃあシングルのカップリングはどうする?って言ったときに「さぼりたい」をステレオミックスにしたらよくなりそうだっていうことになって、シングルは「イノチノマーチ」も「さぼりたい」もステレオミックスです。右のスピーカーと左のスピーカーから違う音が流れます。ヘッドホンとイヤホンの右と左とでは違う音が流れるのがステレオです(笑)。」
アルバムジャケットが公開された時、誇らしげな「mono」の表記を見てすべてを理解しました。嬉しくなりました。
そうです。今回は新たな試み、シングルはSTEREO MIXでアルバムはMONO MIXです。
ヒロト「アルバムは全部モノラルです。普通、逆だよね。アルバムはステレオミックスで、シングルはラジオでかけるときのためにAM放送に乗っかりやすいようにモノラルミックスを作るんだよね。今回、逆です。だけど今はラジオもだいたいステレオ放送になってるしね。」
シングルがステレオで、アルバムがモノラルという仕様はすごく胸熱でした。シングルで出た「イノチノマーチ/さぼりたい」はステレオとモノラルでは全然違って聴こえます。
この2曲がモノラルになるとどういう感じで聴こえるんだろうとアルバム発売前にとてもワクワクしました。このロックンロールの仕掛けにファンの人たちは結構盛り上がったんじゃないでしょうか。
あんまり気にしないのかな?
人のことは分かりません。
本作『MOUNTAIN BANANA』は走り出すハイテンションな曲から、一度気持ちを落ち着かせるように肩の力を抜いて聴ける曲まで抑揚の効いたバンドサウンドで、いつも新鮮な気持ちで楽しめるアルバムです。
クロマニヨンズこそ一番ふさわしい“珠玉のロックンロール”の集合体という印象です。
ロックンロールを貫きながらも柔軟性のあるアレンジと音が、唯一無二のクロマニヨンズスタイルだと感じます。
途中で肩の力も抜けるし、感動の涙も流れるし、高いテンションでどこまでも走っていけそうだし、これを聴いて落ち込む人は滅多にいないと思います。
このロックンロールの楽しさに急に機嫌が悪くなる人もあんまりいないと思います。
激情し熱狂する人はいるかもしれません。
人力ロックの熱いエネルギーに生きる勇気を持ってしまえます。
その音、その言葉を放ったクロマニヨンズに素直に同調して、その境涯を映すキレイな鏡のように自分の感情を見た時に私は熱狂しています。
他人の歪んだ鏡なんて気持ち悪いし、見たくもありません。そんなのどうでもいい。
自分の感性のみが熱狂しているのを感じます。
少し気になった点。
前の2作である14枚目『MUD SHAKES』、15枚目『SIX KICKS ROCK&ROLL』は音がとても大きくロッケンロー‼︎な音圧にもシビレました。ところが今回は微々たる差かもしれないけど、前の2作よりも音が小さくなりました。
ただし、ロッケンロー‼︎からはそんな小さいこと気にすんなよと言われました。だったらボリューム上げればいいだろ!というだけの話かもしれません、あははは(笑)。
アルバム発売当時、アナログ盤も同時発売されました。いつも通り豪華な「60年代E式フリップバック」仕様。クロマニヨンズ得意のmonoで180g重量盤のレコードです。
クロマニヨンズのレコードは200g超重量盤だった時期もありました。しかし今は200g盤を生産するラインがないということで、180gが一番重いレコードです。ヒロトとマーシーの2人もレコードは重い方が安定していていいと言っていました。私も同感です。
レコードでもCDでも熱い気持ちになれて人並みの中に日和った心を鼓舞し、その後すぐに「これは名盤だ!」と歓喜するアルバムです。
すごいものを手に入れた。
このアルバム、絶対またオレにアピールしてる。
M1「ランラン」
作詞・作曲/真島昌利
『MOUNTAIN BANANA』が始まる。
再生ボタンを押したと同時にブッ飛ばしてる感じがたまらない。開始1秒で100%音に同調した気持ちがテンションを急速に上げる。
幕開けという言葉こそがふさわしい勢いで突っ走ります。
イントロなし。いきなりの突撃にクロマニヨンズらしさを感じてドキドキです。強烈な1曲目です。
ギターのジャキジャキ感が魅力的なロックンロールの音を感じさせます。ベースもブイブイ鳴ってて太く頑固なロックンロールが聴こえてきます。強烈に打ちまくってるドラムのリズムに心が躍るロックンロールの楽しさを感じます。
ハッキリとした発音とガッツリとした存在感でど真ん中に立って歌うボーカルに心のすべてを奪われる瞬間があります。
効果的に入る手拍子が突っ走る時の軽快さを加速させる。
すべての音にクロマニヨンズにしか出来ないロックンロールの世界を感じる。
歌詞の一言一句にインパクトがあって記憶に残る猛烈なパワーを放っています。
“ウルトラジェット”とかやっぱり心の中学2年生に刺さってしまう。ただの一言なのに激しいエネルギーを持ってます。
サビで繰り返される「夜明け前の公園で」というフレーズとその後に続く歌詞が何度聴いても胸にジーンと来ます。それが心に沁みるメロディに乗っているから自分の中の誠実さに突き刺さります。
ロックンロールの歪んだ音と心に残る美しい歌詞には健やかで正直な自分が走り出す。
“ランラン走る ランラン走る すずかけの葉っぱは 時限発火装置つき かかとはウルトラジェット かかとはウルトラジェット”
アルバムスタートと同時に、というよりとっくに走り出してるのが最高の幕開けです。しかもランランとかウルトラジェットということはすげえ楽しいってことです。
“夜明け前の公園で 世界はまっすぐだった
夜明け前の公園で 世界はすこやかだった
夜明け前の公園で 世界はまっとうだった
夜明け前の公園で 世界はしょうじきだった”
ひらがなの歌詞で表現された世界の見え方、その状態が誠実で心の奥まで入ってきます。自分もそうであろうと思いました。
1曲目からとても熱くまっすぐな気持ちです。
M2「暴走ジェリーロック」
作詞・作曲/甲本ヒロト
続く2曲目も同じ勢いで暴走します。
タイトルだけで既にかなりの暴走をしてる。
暴走力高けぇぇぇ‼︎
突っ走るパンク。さっきまで夜明け前の公園で世界を見てたのに、いきなりロンドンにぶっ飛ばされる異国感です。
アルバム発売前にラジオで初めて聴いた時、これはクロマニヨンズに求めてるものだ!と興奮しました。
2曲続けて勢いで圧倒するクロマニヨンズ。これはすごい。オレはラストの曲に辿り着く前に音楽に熱狂する気力と体力が尽きるかもしれない。
軽快なリズムでどこまでも突っ走るメロディに心のわだかまりはすっかり消え失せ、胸を熱くさせるサビのメロディに暴走力が上がって心の中がエモくなってくる。
こういう気持ち好きだ。クロマニヨンズはいつもこの熱い気持ちにならせてくれるんだ。
この歌も手拍子がいい感じです。クロマニヨンズは手拍子がめちゃくちゃ上手い。こんなに効果的な使い方は他にない天下一品。
コーラスは“ロック”を連発します。何回歌うんだ。ロックすぎる。「暴走」と「ロック」というワードがロックンロールと相性が良くて強烈です。すっかりロックな気分。
オレのロックンロールなテンションはもうすぐで天国を突破する。
“天国を 突破する 火のマント 稲妻だ 暴走ジェリー 暴走ジェリー ロック 暴走ジェリー 暴走ジェリー ロック”
めちゃくちゃ煽る!天国を突破するなんて暴走しすぎで、オレの平常心なんか軽くぶっ飛ばされてしまう。走ってる。違う、もっとガツンとしたものだ。暴走してる。
“砂塵に燃えて 踊る陽炎 灼熱の風 嵐だぜ”
さらに嵐まで来てる。すでに抑えきれない暴走したい気持ちがうずうずしてる。いつもの遠慮しがちな平常心はいらない。なんか今のオレ強そうだ。
走ってる、走ってる。いや、暴走してる。
ヒロト「ぼくとマーシーがやってることだから、どこかでいろんなことがリンクするんだろうと思う。あと、これも偶然なんだけど、「ランラン」と「暴走ジェリーロック」がちょうどなんかどっちも走ってて面白いなあと思った。いきなり1曲目と2曲目で2人とも走ってる(笑)。それはなんか面白いなあと思った。」
それはすごく面白いと私も思いました。暴走するほどの勢いで攻めてるの好きだし、アルバムの流れとしてもカッコ良すぎます。これつまんねえよって停止ボタン押す人なんていないと思う。
M3「ズボン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
タイトルのインパクトにまずシビレます。
心地いい爽快なロックンロール。演奏は軽やかさのある明るい音です。
歌詞にあんまり意味はないのかもしれないけど、シュールな感じに捉えて聴いてたらだんだんと面白くなってくる。
当たり前にズボンを履くシチュエーションのバリエーションに、歌を作った人の楽しいセンスを感じました。
イントロのギター、ベース、ドラムの連打に人並みを目指さないロックンロールへの期待が高まる。
その後は衝撃的に「ボンボンボン ズー」と歌い出す訳の分からなさが世界を変えるほどのインパクトです。アルバム発売の翌日には、日本で一番口ずさまれたフレーズかもしれません。
ぶっちぎってる。
強烈です。
ひたすらに楽しくてどこか笑える要素もあって、なのに急に胸熱なメロディが入ってきたり、でもその直後にはやっぱり強烈な「ボンボンボン ズー」だったから、オレ今クロマニヨンズ聴いてるんだなと実感したのが何か嬉しかった。
笑わせようとはしてないかもしれないけど、ロックンロールの中に笑いがあると一瞬で自由な気持ちになれる。
歌に深い意味はなくても、テンポの良さと音の心地良さと雰囲気の明るさがあって、3曲目に聴くと尚更いい感じの曲です。
“ボンボンボン ズー ボンボンボン ズー ボンボンボン ズー ボンボンボン ズー ボン”
意味なんてないし、訳の分からなさが猛烈で衝撃を伴うインパクトです。ズボンて歌ってる訳でもないし、誰にも説明なんか出来ません。意味は分からないけどロックンロールの気持ちよさを感じます。
ロックンロールのとんでもないエネルギーを至近距離で感じてしまった気分になる。
M4「カマキリ階段部長」
作詞・作曲/真島昌利
これもタイトルですごく気になった曲です。
4曲目に来てゆったりテンポの登場です。だからこそヒロトの歌がよりはっきりと聴こえてきて心に届きます。
あまりにもジャカジャカとはしていないアレンジの、音で埋め尽くしていない余白に「カマキリ階段部長」の見てきたものを私に想像させる余地があります。
イントロの音が鳴った瞬間に「あ!心地いい」と感じます。その音だけで既に心地いい隙間を感じるからです。
ヒロトが歌い出した瞬間に「カマキリ階段部長」ってなんだよと思うけど、すぐに「どんな物語なんだ」という興味深さが出現して聴き入ってしまいました。
タイトルからおふざけソングなのかとも思いきや、ずげえ深いことを急に歌ってくるので聴き流すなんて出来なくなります。
そこに強い影響力を感じるけど、あくまで緩やかなテンポと埋め尽くしていない音の隙間に、肩の力を抜いて落ち着いた気持ちになれる心地よさを感じます。
とは言え、クロマニヨンズだから分母は熱いんだけど。
私の感性では階段で待ち構えるカマキリが見えてしまうけど、そういうことではないのかもしれないし、そうかもしれないし、今はまだ分からなくてもいいや。急に分かることもある。しっかり想像の余白があるからね。
“自由の裏も 不自由の裏も 見てきたんだ 大きな目 カマキリ階段部長 カマキリ階段部長 カマキリ階段部長 カマキリ階段部長”
タイトルとは裏腹にすごく深いことを歌っていて心にジワッと沁みてくる感覚がたまりません。見てきたものは人それぞれ違うし、誰にでも出来る話しかしない人と、カマキリ階段部長のように独自の経験の話をする人がいます。
興味を惹かれるのはもちろんカマキリ階段部長の話です。そんなことを感じました。
“小春日和と いうには少し はりきりすぎた お日様の下”
マーシーのこういう美しい歌詞が大好きです。情景をすぐにイメージ出来る思いやり。
インパクトがありすぎるタイトルと、一言一句が心を奪っていく歌詞の内容のギャップにシビレる1曲です。
M5「でんでんむし」
作詞・作曲/甲本ヒロト
「虫」続き。マーシーもヒロトも2人して虫の歌を作ったのがクロマニヨンズらしくて好きです。
アップテンポが戻ってきた。
イントロのベースとドラムの疾走感に気分はどんどん高揚していきます。ブイブイしてる。ズッシリとしてる。期待感が高まっていく。
マイナー調に心を奪われます。
オレに一般常識があるのかは分からないけど、一般常識では理解し難い歌詞がなんかすげえ強いパワーを持ってて好きです。意味の分からなさにロックンロールを間近に感じてしまう。
それが明るくはない音で、マイナー調の熱く激しい演奏で展開されてるのが心に刺さります。
この曲はコビーのベースとカツジのドラムが中心になっていて、少しギターが控え目かなと思っていたら猛烈に熱いマーシーのギターソロあり、同じテンションのヒロトのハーモニカソロありの展開に心を掴まれっぱなしです。
目の前の現実が薄れていってしまいます。
クロマニヨンズの手拍子もすごいけど、コーラスも堂々とした存在感で天下一品です。
この曲のコーラスも歌の世界観をより濃くしてる印象を受けます。
違和感のあるコンピューターの音が介入していない人力だけのロックンロールは、心の中の何かを動かしてしまう奇跡があると思います。
クロマニヨンズの魂の凄まじさを感じる1曲。
“水たまりで 眼帯する ボウフラ ボウフラ シミのついた 眼帯する ボウフラ ボウフラ”
何のことだか分からない。ヒロトぐらいの虫好きなら分かるのかな?意味が分からないのに凄まじきパワーは誰にでも感じられる。何かを感じさえすればOKだと思った。
“でんでんむしだ 飛ぶ気なし 羽もなし それなら俺もむし”
この歌詞は分かりやすくて共感してガツンと心に響きました。それならオレもむしです。
意味とか分からなくても、オレはただならぬ凄まじさを感じた。
M6「一反木綿」
作詞・作曲/甲本ヒロト
虫ではないけど、生き物続きです。架空の妖怪だけど。そいつがすごい存在感を放ってる。
柔らかいアコースティック調。和むのどかな雰囲気。とても優しい音。
待ってた。こういうの待ってた。印象的。
アコギのイントロだけで、オレは涙を流すだろうと悟ってしまった。絶対オレを感動させにきてる。
一反木綿がユラユラ飛んでる。見えはしないけど感じる。
マーシーのエレキのギターソロがメロディアスで胸が熱くなります。マーシーこういうの上手いんだよな。あんまり人には見せたくないから普段はガードしてる心のすごい柔らかい部分、弱い部分に余裕で入ってくる。
その後の展開がこの歌のハイライトだと感じるほどに胸にジーンと来ます。
なんか、上手すぎる。
人力ロックって滑らかで優しくて柔らかくてあったかいけど、一番底にあるものが危ういほどに熱い。
コーラスが最高で、CDを聴きながらマーシーたちと一緒にコーラスを歌わない人なんてあんまりいない。
ヒロトが一反木綿に届くように大声で呼ぶところで涙が込み上げてきました。いつもそこで心が100%でクロマニヨンズに同調する。
人間にしか出来ない音に感動する。
その感動には心がビクッとした。自分の事なのになんだかその気持ちは衝撃的だった。
“から傘をさして ぬりかべにもたれ 一つ目小僧が うたた寝の時間”
歴史に残る胸熱展開とユーモアが溢れる物語の歌詞。「から傘 から傘」とか「ぬりかべ ぬりかべ」と掛け合いで入るコーラスはオレの心のすべてをその瞬間に奪っていった。
“さまようならば 連れて行く さすらうならば ついてくぜ”
心を打つメロディと共に歌詞に哀愁がある。アコギ調で繰り広げられる一反木綿の物語が、自分でも戸惑うほどにジーンとする気持ちをくれました。
M7「イノチノマーチ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
クロマニヨンズの26枚目のシングル。
クロマニヨンズの曲として発表しない可能性があった曲らしい。シングルにするつもりもなかったらしい。
好感度の高い明るい曲調です。スピード感がある、躍動感もある、覚えやすいメロディもある、そしてファンファーレが鳴り響く前向きな歌。
オレの気持ちを鼓舞するロックンロール。
レコードだとB面の1曲目というのが胸熱ポイントです。
B面の始まりを告げる「ジャーーーン!」が不幸な日常を飛び出していくための合図に聴こえてきます。
さかなクンが描いたジャケットも躍動感に溢れててすごく好きです。クロマニヨンズのメンバーが魚になった。生命力も感じる。
私の注目はマーシーのピックスクラッチでした。シングルのステレオミックスでは左右にブッ飛んでいったあの音がモノラルだとどう聴こえるのか楽しみで仕方なかったです。
結論としては左右にブッ飛ぶのではなく真ん中のみで突撃してきます。左右のステレオ感はなくなったけど、真正面から直撃してくるパワーが増しました。
世界一熱いピックスクラッチが聴こえます。
あのピックスクラッチの瞬間に私はすごく力が入る。
歌詞カードに載っていない2番で繰り返す“ニャカニャカブン”をヒロトは一体どうやって思い付いたんだと嫉妬してしまうほどの強烈なインパクト。
「イノチノマーチ」のシングル発売の翌日には日本で一番口ずさまれたフレーズです。
初めて聴いた時はギターのシンプルさに驚きました。ジャカジャカドカーンの印象だったクロマニヨンズが割と隙間のある演奏をやったことに新しさを感じました。
そんなシンプルな演奏で全員の胸に聴こえるファンファーレを鳴らした「イノチノマーチ」ってすごいです。名曲です。
ファンファーレが聴こえたら地図の外に飛び出したくなりました。もちろん飛び出しました。
人の心を動かすパワーがあります。
これって名曲だよねってことが一番分かりやすい感想です。
“聞こえたか 聞こえるよ ファンファーレ はじまりだ いま おわらない もう”
数回聴いたあとにファンファーレが鳴り響いて感じたことがありました。これはライブでみんなで歌ったら美しい。この直後に世界一のピックスクラッチが炸裂します。
“命のマーチ 水平線に 鳴らせ 無限の ファンファーレ”
聴くといつもファンファーレが鳴り響いて生きる気力が湧いてきます。なぜならそれは適当に鳴ってるファンファーレじゃないから。太古の昔からずっと続いている“生命力”全開のファンファーレです。
どうでもいいけど「イノチノマーチ」ってやっぱり「命のマーチ」だったんだ。
生きるのやめようと落ち込んだ時は聴いた方がいい。そのネガティブからも飛び出せる。
私はマーシーのこのピックスクラッチが「イノチノマーチ」のハイライトだと思っています。
「イノチノマーチ」がシングルで出た時、あの音だけで生きていける気がしました。自分の中に強い生きる覚悟を感じました。実際に起きたことはあの音に感化されて十数年ぶりにギターを弾き始めたことです。
それだけ影響のある音でした。
M8「ドラゴン」
作詞・作曲/真島昌利
シビレるレゲエビート。
誰にでも親しみやすい日常を歌うスタイル。ここで一気に肩の力を抜いて日常のストレスが消えていく感触です。
自然体な歌そのものが心地よい。
イントロなし、ヒロトがアカペラで「パッパパララ」と歌い出すともう花火が上がります。
ギターがカッコ良すぎる。レゲエアレンジだけど、ロックンロールの音。
聴いてると元気が出る歌。歌詞の影響もあるけど、一日の終わりに聴きたい1曲です。
強すぎず細すぎないヒロトの歌は、今日のストレスなんかどっか行ってだんだん力が抜けてくる効果を実感しました。
「ドラゴン」を聴きながら何かをあきらめようと思う人はあんまりいないと思います。一度、力を抜いて何か別のやり方を考えたり、違う方向から見てみたり、そんなことをし始める人は多いんじゃないでしょうか。
よっぽどの懐古主義とかじゃなければこの歌からの好影響があります。
ラストは主張しすぎていない少し控えめな音のギターソロが滑らかです。「パッパパララ」のコーラスと共にゆっくり静かにフェイドアウトしていくのがいい感じです。そのまま眠りにつきたい柔らかさ。
珍しく5分近くある曲。
子供心も溢れててなんかほっこりします。
レゲエビートに乗って不要な力が抜けていく。
心の癒し効果抜群で特別な歌。
“あきらめるんじゃないんだ 力を抜くんだ やまちゃんのその笑顔で 一日が終わる”
力みすぎた責任感がサビの歌詞で緩和されて、いい具合に力の抜けた思考に切り替わります。限界を超えて不可能を可能にする必要なんてない、不可能は不可能なんだからそのままでいいんだと思いました。
それよりも自分が笑顔になるような別の方向性で行こうと、日常に心地よい光が差し込みます。
誰かの笑顔で一日が終わるなんて良き一日だっと実感出来そうです。毎日そうだといいです。この歌詞が心に残りました。
“パッパパララ パッパパララ
パッパパララ パッパパララ”
繰り返し歌われるこの音が、世間の義務感を突破し、組織に対するいつもの猜疑心をどうでもいいものにしてしまう好影響があります。
ヒロトがみんな勘違いしてると言ってました。「ドラゴン」とは生き物、つまり竜のことではなく花火のことです。だから歌詞はドラゴンに火をつけるんですね。
私も竜だと思っていました。サビの歌詞の印象が強すぎて頭が回らなかったようです。
M9「もうすぐだぞ!野犬!」
作詞・作曲/甲本ヒロト
心に刺さりすぎて何回もリピートしました。だから『MOUNTAIN BANANA』の中で断トツで再生数が多い1曲です。
マーシーのギターで鋭く始まるエモいやつ。
雰囲気だけで心が反応します。
ギターのイントロが鳴った瞬間に鋭利な印象を受けました。危うさまで含んでいるような心に突き刺さる歌詞。寂しげな情景が心に少しの痛みを感じさせます。
それがサビを歌い始めた途端に明日も生きるための強い希望に変わる瞬間がキラキラの輝きを放っています。
視聴2回目にはそれらのすべてにあたたかい思いやりが充満していると分かります。
この音は人間にしか出来ない。
カッティングギターが核になって猛突進していくロックンロールに心が奮い立ちます。
ギターソロなしの激情型。
哀愁のあるメロディ。離れたところから野犬を心配する思いやりに涙が流れます。初めて聴いた時は何とも言えない後味を残しました。切なさも含んでいたからです。
でもすぐに気付きました。この歌には生きる気力と勇気が湧いてくる。
リリース時は体調不良だった私は、ものすごく野犬と自分が重なってしまって、その絶望の中で遠くにすげえ強い触れるべき光を見ました。
しかもサビはオレの心に向けての歌詞とメロディ、励ましの演奏とその音。
人力ロックが与えてくれた未来を感じます。
勝つ必要はない、でもオレは負けない。
弱いからじゃなくて誰よりも強すぎる故にボロボロになった野犬の一番底にまだある揺るぎない生命力を感じさせる音がします。
たったの3分の曲に3時間の長編映画を観たような感慨深さがあります。
“硬い 火葬場の床に 痩せて うずくまる野犬 コンクリート 冷たいだろ”
こんなの映像が勝手に歌と一緒に再生されてしまいます。だから切なさを含む寂しげな情景が心に少しの痛みまで与えてくる。
それでも生きて色々と乗り越えて今そこで休んでる野犬に生命力の強さを感じる。何かに負けないその心を抱きしめたくなっちゃう。
“もうすぐだぞ 野犬 桜を見るぞ 頑張れるか 野犬 暖かくなるぞ”
心の一番弱い部分がやばい、やばすぎる。
ただの歌じゃんかって言う人がきっといっぱいいるだろうけど、オレにとってはただの歌じゃねえ。現実のオレなんだ。どうしても重なるんだ。励まされて涙をが出るんだ。悲しいからじゃない。この歌がオレの存在を見つけてくれたのが嬉しいからです。
応援してくれるけど、オレには何も求められてはいない。この歌のそこに救われるんだ。
私の一番のお気に入りはこの歌です。
この歌に生きる勇気をもらって2ヶ月後の春に実際にピンク色に咲き誇った桜を見た時は、心の中の野犬がたくましく吠えました。
この歌と、堂々と咲き誇った景色の感動と共に涙が一粒落っこちました。
桜は散ったけど今もその気持ちのまんま、そのまんま。これからも自分を信じて生きようと思えました。ロックンロールにだまされてるのかもしれないけど、すごい歌のパワーを感じ続けています。
M10「キングコブラ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
エモさのあるパンキッシュな一撃。
タイトルの「キングコブラ」から想像も出来ないほどサビはポップなメロディとかわいい歌詞にとろけます。
ヒロトの感性を思いっきり堪能できます。
イントロは猛烈なストロークから胸熱なカッティングになるギターのスリリングさで爆走してます。
すごく心を掴まれるロックンロールの音。
クロマニヨンズに一番よく似合う雰囲気がある。
パンキッシュに爆走する勢いがある、心の深いところに届くメロディがある、とろけるような可愛さもある。
一般常識の思考なんか一度外してしまって聴いた方が熱く炸裂する曲なんだな。少し怖さのあるキングコブラって言葉がロックンロールの野蛮性にすごく合ってます。
でもそいつが甘くとろけてしまうのがロックンロールの親しみやすさに合ってます。
訳の分からなさが際立つインパクト。サビの歌詞とか意味が分からないけど、なぜか心にスルッと入ってくる。よく分からないけど、この歌詞じゃなきゃカッコよくないしダメなんだ。
歌詞カード表記ではアルバムで一番短い歌詞。その繰り返し。なのにそう感じさせないロックンロールの展開の凝りっぷりと心の奪いっぷり。
“本気だぜ 恋のキングコブラ”
やっぱりぶっちぎってる。一般常識なんて通用しない。「恋のキングコブラ」って何だ⁈でもロックンロールに恋してしまうインパクトがあります。
“良薬 苦し 猛毒 蜜の味”
ロックンロールには毒がある。その猛毒は心に栄養を与えてくれる蜜の味がします。
どうでもいいけどこの歌詞を最初に聴いた時「ようやく 逃し」って聴こえたオレは難聴ではありません。でもそれだと意味が分からなかったのでただのバカです。
“甘くとろける キングコブラだぜ”
キングコブラの怖そうなイメージが一瞬で覆ります。キングコブラがそんな状態になるなんて、衝撃を伴うロックンロールの世界観です。
M11「さぼりたい」
作詞・作曲/真島昌利
26枚目のシングル「イノチノマーチ」のカップリング。
シングルにはステレオミックスで収録されたけど、本作にはモノラルミックスで収録されました。
聴くとさぼりたくなるので注意が必要です。
タブっぽさも感じられるレゲエ。
これまでのクロマニヨンズに対する私の勝手な印象からは異色作でした。ライブではどう聴こえるのか楽しみになりました。
この曲の歌詞は「さぼりたい、ふけたい、今日は」の3つのワードとコーラスでの「そうだね」しか出てきません。それで成り立っています。
極端に言葉が少ないのにすごく深く感じたこの曲に衝撃を受けました。心を掴まれました。心に響きました。
マーシーが作ったこの歌をヒロトは「すごくいい、真骨頂ですね」と言っていました。マーシーが弾き語りで歌った時、それ以上なんの言葉も出てこなかったから「よし!」と思ったということです。
レコードやCDを買ってもとりあえず歌詞カードを読まない私も「よし!」と感激しました。こんなのありか‼︎とすぐに心の名曲になりました。そしてさぼりたくなりました。そんな気持ちにさせる音が鳴っています。
こんなにもさぼりたい気持ちを表現できた歌は他にありません。
こんなに隙間だらけの音は人間にしか出来ない。もし人力でなかった場合は味気ないだけになると思う。「さぼりたい」のその隙間にロックンロールの圧倒的な存在感が聴こえた。
音が突き抜けて本気でさぼろうとするサビに気持ちが感化されてオレもさぼりたくなる。むしろ、この呑気な感じの音は既にさぼってると思われます。
かなりいい感じのアコギの音が入っていて、そいつがオレのさぼりたさに加担してくる。
3番で入ってくる“さぼりたい ふけたい”の歌詞に共感するように答える“そうだね”のコーラスは一発で記憶に残ったインパクトです。
“さぼりたい ふけたい さぼりたい ふけたい さぼりたい 今日は さぼりたい 今日は”
これ以外の言葉は歌詞には出てきません。でも歌詞カードには親切に全文が書かれているのは好感が持てました。普通の歌詞の文字量と変わりません。だけど同じ言葉だけなので笑っちゃいます。さすがだなという感激の笑顔です。
こんなにさぼりたいを主張する人あんまり見たことがありません。とっても素敵です。
日本人は頑張りすぎてて全然さぼらない。そんなに頑張らなくてもたまにはさぼってもいいような気がする。オレついていけない。
M12「心配停止ブギウギ」
作詞・作曲/真島昌利
タイトルが独特すぎるインパクトにリリース前からすげえ期待しちゃった。
結論としてはその期待をはるかに超える。
クロマニヨンズにはありそうでなかったロカビリーで興奮必至です。
「心配」という言葉にはネガティブなイメージを抱きますが、それとは逆のポジティブな志向を歌っています。刺さります。
イントロが鳴った瞬間に、なんか新しいって思いました。
何度か聴いて曲の輪郭以上のイメージが自分の中で作られないと掴みにくかったリズム。今までになかったやつ。割と細部まで覚えたらその心地よさに日常の心配事なんてバカバカしく思えました。
クロマニヨンズの新しいカッコ良さを実感した曲です。
感情で歌うヒロトの歌の表現力にシビレます。
どことなく不穏な空気も流れる心配してるメロディと、その心配を強制的に止めようとする有言実行のメロディ、その後すべての心配を停止した明るく突き抜ける楽しいサビ。
これはすっかり健康で元気だ。
心配なんて不健康で不親切なくせに無意味だと悟りました。
ギターソロもこれまでなかったロカビリー要素が爆発していて心が騒ぎます。すげえカッコいい。
「心配停止」なんて強烈すぎて、人生の重要なキーワードになった。今までだって心配してた事なんてほとんど起こっていない。心配なんて時間の無駄だ。それよりロックンロール聴いていた方がいい影響がある。
特にクロマニヨンズが面白い。
“心配するのは もうやめた 心配したって しょうがない 心配しても していなくても 時間は過ぎる 同じだけ”
不快ではないほんの少し感じる不穏なメロディに乗せてこの心配しちゃってる気持ちが歌われるので、人ごとではなくなってきました。こんな風に思ってることはよくある。
誰にでもあるそんな気持ちを誰にでも分かりやすく人力の音で表現するのがすげえ上手い。
“心配停止 ブギウギ タイコ叩いて ウキウキ”
サビで完全に心配を停止した。もうタイコ叩いちゃってるし。誰にでも楽しいと感じさせる人力ロックがすごくポジティブだ!
『MOUNTAIN BANANA』を買ってすぐMacのiTunesでCDを取り込んだらタイトルの情報が危険すぎる間違いをしてくれてました。
心肺停止→危うさ全開にネガティブ ×
心配停止→楽しさ全開にポジティブ ○
ネットの情報はすべて正しい訳ではない。
タイコ叩いてウキウキするのも楽しいけど、私の場合は、会社さぼってウキウキです。
最高です。自由が一番。
心配ばかりじゃ自分という存在が消滅してしまう。未来もなければ今もなくなってしまう。いい具合の力の抜き方がどっかにあるのだと、ポジティブな思考になれました。
『MOUNTAIN BANANA』ってタイトルとバナナのジャケットにもロックンロールを感じたし、すべての音を人力だけで作り上げたロックンロールのアルバム。
これは名盤だ!と確信したところでアルバムはおしまいです。
本作『MOUNTAIN BANANA』は生き物、架空のものも含め動物や虫がたくさん登場しました。そんなところからも生命力を感じます。自分が生きる力になります。
そしてユーモアがあった。毒もあった。スリリングさもあった。聴き込むほどに新しい発見があるクロマニヨンズの16枚目のアルバムでした。
それらは尽きることのないクロマニヨンズの魅力です。
“良薬 苦し 猛毒 蜜の味”
16枚目のアルバムになってもまだ新しい要素を取り入れてみたり、これまでになかったことをやってみたり。すべて自分たちの頭で考えて、自分たちの手で作ったクロマニヨンズにずっとドキドキしています。
4人の人間が放った人力ロック。
オレはこいつたちのロックンロールにだまされてる。
心に誠実さのかけらもないやつはロックンロールにだまされない。
その代わり人をだますだろう。“減るもんじゃないから”とか言っちゃうやつはきっとそれだ。当たり前だけどそれは“減る”。だからそいつにはもう残ってない。むろん、誠実さのかけらもない。
憧れのロックンロールの人が言いました。
ロックンロールはだますんだよ(笑)
ぼく、一生だまして欲しいよーー甲本ヒロト
オレもずっとだまされていたい。
そのまんま生きていたい。
“あきらめるんじゃないんだ 力を抜くんだ”
生きろ‼︎
「ツアー MOUNTAIN BANANA 2023」に行きました。
自分の目で見た本物のクロマニヨンズはGREATでした。熱狂的な瞬間の連続です。私はその凄まじい瞬間を心に真空パックしました。いつでもあの熱狂を感じられます。
サインもゲットできました!すごく嬉しいです。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。
それではまた。