こんにちは。
「ましまろに」は2016年リリースのましまろの2ndアルバムです。
今回もマーシーがたくさん歌ってます。

アルバム1枚で終わるのかと思いきや、強烈な第2弾に大感激しました。
しかも、マーシーの歌声がたくさん聴こえるじゃないですか。発狂寸前に大興奮しました。それも1曲目からだもん。そりゃあ、のけぞるよなとか思いながら聴きました。
ましまろは、マーシーが当時アコギを弾くのが楽しくなって新しいアコギを買った時、中学生が初めてギターを買って盛り上がる感覚になったから生まれたバンドだということです。
「ましまろに」はネオアコ好きの3人が作ったアルバムです。
一言で言うなら、ありふれていません。
ましまろ/ましまろに(2016)
前作の1stアルバム『ましまろ』から1年で完成した2ndアルバムです。
収録曲の全10曲中9曲がマーシー作詞・作曲による構成で、クロマニヨンズとは違うマーシー自身の世界が強く出ている作品です。
繊細な感性で音楽が聴こえてくる人は、その美しさに確実にヤラレます。
インタビューで、作詞と作曲はどちらが好きなのかと質問されたマーシー。
両方と即答していました。ひとつの歌として考えているということでした。同時に出来る時もあるし、どちらかが先の場合もあるし、自分の中でパターンを作らないようにしていると、作詞・作曲についてのコアな解答が聞けて納得しました。
今回もまたマーシーが歌ってくれるという確信はありつつも、分かっていてもやっぱり超絶感動しました。
ギターの中森さんと、ボーカルの真城さんがマーシーにもっと歌わせようと企んでいたという話にマーシーは苦笑してましたが、筆者はウケました。
↓はミスった瞬間ですが、3人の仲の良さそうな関係性がほっこりするライブでのワンシーンです。楽しそうにやってます。
ファーストアルバムに引き続き、どこにもデジタルという文字が思い浮かばないアナログな音が特徴的なセカンドアルバムです。
印象としては1stアルバムより全体的にパワフルになりました。ボーカルなんか特にです。ましまろの特長であるコーラスの楽しさも増し増しになって心が踊ります。曲によってはキーボード、ビブラフォン、バイオリンなど使われている楽器も増えました。
とはいえ、繊細なところはより繊細で美しく。
アルバム発売の前に先行して2ndシングル「遠雷」がリリースされました。
このシングルも超重要です。
なぜならカップリングの2曲はマーシーがリードボーカルをやってます。マーシーの歌声の密度に限定した場合はシングルの方が濃いです。
「ましまろ」の良さで重要なのは“いい意味で”作り込まれていないという感触であることです。作り込まれている作品は聴き手のこっちが面倒くさいです。ましまろにはそういうのないので安心です。
ましまろは、ゆるい感じがいい感じ。
それこそが心地よいぬくもりに感じられます。
マーシーいわく、クロマニヨンズではリハーサルで酒飲んだりはしないけど、ましまろは最初から酒を飲んでるということで、ベテランたちの凄みを感じました。
前作の良さであった叙情性もバッチリあります。ましまろに速くて激しいロックとか期待すると確実にハズレます。
ジャケットからも想像できますが、パソコンで書いたデジタルではなく絵の具な感じ。アルバム全体の音が絵の具な感じ。曖昧さではなく良い加減。
世の中のテンプレなんかは取り入れていない、このアルバムからは美しさを感じます。
目に優しい絵の具で描いたようなカラフルな楽曲たちを、ハートフルに楽しめるアルバムなので、日常のストレスから穏やかな気持ちを取り戻したい人には特にオススメです。
好きな曲だけかいつまんで聴かずにアルバム1枚通して聴けば、いろんな感情を持っている自分にも気付けます。
筆者の場合は本作をドライブのBGMにするよりも、家ですべての緊張を手放した状態で聴く方が好きです。
アルバム発売当時、アナログ盤も限定発売されました。もちろんすでに売り切れですが、中古を探して聴いてみるのは価値アリだと思います。アナログ盤の方にはCDには収録されていないインストが1曲追加されています。
本作のジャケットデザインをレコードの30cmのサイズで見た場合、もう完全に絵画です。部屋に飾りたくなります。
ましまろのゆるい感じが音のぬくもりになり、レコードから出てくる音の特別な存在感になっています。
マーシーがましまろはアナログ盤ありきで制作していて、CDはおまけだと熱いこだわりを語っているのが印象的でした。
↑こちらは動画ではなく記事です
本作に限らず、アナログのポテンシャルって相当なものです。「ただ古いだけ」のものではありません。演者の意図が炸裂した音で聴こえてきます。
全10曲で、なんと35分です。30分ちょっとで1枚の作品を聴けるというのは、集中して聴ける長さなので筆者は大好きです。
近頃ありがちな、つまらない曲ばかり無駄に1時間以上あるとかマジで無理です。1枚のCDが70分とかだと、すぐに気が重くなって聴かない廃盤になってしまいます。
その点「ましまろに」は最高で、何度も聴く名盤になりました。
M1「朝」
作詞・作曲/真島昌利
1曲目はマーシーが歌います。
朝霧がかかったような音です。朝からうるさくない感じです。中森さんのエレキの音色が、この曲の朝霧になっていると感じます。
マーシーのソロアルバム『Happy Songs』に同名異曲が存在します。まったく別の曲ですが、どことなく雰囲気は似ています。本作を聴いたあとにマーシーのソロの方の『朝』も聴きたくなります。
歌詞 : 自分の中に入ってきた時、自然と納得しました。
体と心の底の方からゆっくり静かに活力が湧いてきます。特に2番の斬新な歌詞に衝撃を受けました。“ななめに新しい”とか筆者が40年以上は生きてきた時間の中で初めて触れた感性です。
新しくやってきた朝は真っ直ぐなのではなく、昨日とはちょっと違う、毎日ちょっとずつ違う“ななめに新しい”今日だったんだ。
昨日の延長とか、昨日の続きとか、同じ毎日じゃなくて“ななめに新しい”んだからウンザリする必要なんてなかった。
これこそが朝の自然体なのかもしれません。
たったひと言にどれだけ救われるんだ。
M2「さがしもの」
作詞・作曲/真島昌利
ボーカルを真城さんに交代して心が弾む楽しい曲調です。前の曲「朝」で効果的にかかっていた霧が晴れて、スッキリした気分に一変させます。
中森さんのスライドギターが曲の楽しさをリードしています。間奏ではマーシーの演奏によるハーモニカも入って盛り上げます。1番のサビ以降はマーシーのコーラスが存在感抜群に入ってきて曲の厚みと深みが爆発します。
唯一無二なマーシーの歌詞の「聴こえ方」は、他のミュージシャンでは感じられないパワーがあります。入ってくる音の入り口は耳、たどり着く言葉の行き先は心です。
歌詞 : あくまで私の感性では歌詞とはこういうものが聴きたいと納得するほどにマーシー節です。最近流行りのやつは直接的すぎて説明しすぎだと感じてしまいます。もっとフワッとしていてほしいような気がするけど、それは好みの問題でしたね。ただあんまりにも正解ばっかり求めるのはつまらないよ。
サビの歌詞で歌っているように、自由に歩いて自分の感性に合ったものを探すのはワクワクすることだと思いました。
2曲聴いただけで自分の心がいい感じに前向きになっているのにも気付けます。
M3「けあらしの町」
作詞/真城めぐみ・作曲/中森泰弘
3曲目にしてグッとくる叙情的な雰囲気が映える曲です。噛み締めてしまいたくなるほどの叙情性を感じます。
このメロディとアレンジは心の深いところに刺さります。
オルガンのようなエレキギターの音色が特徴的です。筆者は最初「この曲オルガンが入ってるんだ」と思ってしまいました。
タイトルの「けあらし」とは聞き慣れない言葉でした。むしろ初めて聞きました。当然その意味を知りません。
※けあらし(毛嵐)
海面から立ち上る水蒸気が、陸上からの冷たい空気に触れて発生する霧。川・湖の場合にもいう。厳冬期の北日本に多い。
それまで知らなかった言葉を音楽の歌詞で覚えるというのは意外と多いです。音楽の場合は完全に作者の感性なので造語である可能性もありますよね。それも音楽の楽しさのひとつです。
歌詞 : いきなり物語風な歌詞が歌われるもんだから、すぐに曲の世界に惹き込まれます。歌詞の世界観が、どこか切なさのあるようなメロディとアレンジにばっちりハマっているのが印象的です。
実はこの曲の歌詞にはもうひとつ聞き慣れない言葉が登場します。「人いきれ」まったく知らない言葉でした。
※ 人いきれ
人がたくさん集まって、体から発する熱や湿気が立ちこめること。
作詞した真城さんの歌詞は超個性的で輝いています。
台詞を書いた時にブルースがからまっているのではなく、空回っているという表現がもの悲しさまであってジーンと来ます。憂鬱という意味合いのあるブルース。そんなブルースまでが空回るとは、心の深いところ、繊細な部分での感じ方なんだろうなと筆者の心は感じました。ひらがななのも好きです。
M4「ひき潮」
作詞・作曲/真島昌利
とても繊細です。ひたすら美しいです。
澄んだ細い感じのアコギの音から始まって、真城さんの柔らかいボーカルが歌い出します。バイオリンが入っていて、曲の雰囲気にピッタリなキレイな音にうっとりします。
これ聴いたらもうイライラしてる場合じゃないな。休日に聴けば平日のストレスなんかスッと静かに消え去って、穏やかな日が過ごせます。
かなり短い曲で1分15秒しかありません。この曲がここにあることにより、次の曲への繋がりが最高にスムーズです。
歌詞 : 最後の歌詞でこの日は休日なのだということが明かされます。こんなにも静かで、並んで座っている誰かの存在の大きな休日は幸せそのものです。
ならんで、すわって、だまって過ごす休日の相手は100%自分で選択可能ですよね。楽しい食事をする時に「何を食べるか」より「誰と食べるか」が一番重要なポイントです。
ちなみに『ましまろに』アナログ盤には「ひき潮」の後に5曲目として「ひき潮(inst)」が収録されています。つまり、アナログ盤はCDより1曲多い11曲入りです。(カセットテープ版もアナログ盤と同じ11曲入りです)
M5「ナポリの月」
作詞・作曲/真島昌利
前の曲で、優しく落ち着いた気持ちになった雰囲気を壊さない穏やかなアレンジが映えます。
聴こえてくる音がナポリの夜の椅子に座らせてくれます。外にいて優雅な気分です。
キレイな色の絵の具をサラサラ塗っているようなアコギの音が心地いいです。いい具合に強弱の効いたビブラフォンも入って芸術性を盛り上げます。
この曲で一番印象に残るのは「ビール」です。聴くと天気のいい午後にでも、ピザに合いそうなイタリアのビールとか飲んでみたくなります。ピザじゃなくて「ピッツァ」だな。穏やかさとロマンチックな気持ちがポイントです。
間奏はビブラフォンのソロで、異国な輝きを放っています。その音がこの曲には超重要です。
歌詞 : ひとしぼりという言葉に反応せずにいられなくなりました。この歌詞の状況を実際にそこで体験したい。音楽の影響力ってすごいな。
ナポリの月の自分優先で細かいことは気にしなそうな自由な感じがすごく好きです。はたして日本の月はどうだろう。きっと知らん振りさえせずに、細かくて面倒くさくてズル賢いに違いない。見ているのは同じ月なのに…
M6「遠雷」
作詞・作曲/真島昌利
ましまろのセカンドシングル。
感慨深いアコギの音が心に染み渡ります。
胸が熱くなるモノクロの映画が1本作れます。
マーシー、コーラスの引き立て方が最高すぎる。どの曲も超絶です。いつでも心を鷲掴みにされちゃうよ。なんだか分からないけど感動しちゃってるこんな気持ちはほとんどないよ。
サビのツインボーカル部分なんか2人が同じ感情で歌ってるのが鳥肌ものです。
アコースティック調でなんて深みのある曲なんだ。
歌詞 : 映画の1シーンを観たような感覚になります。“カラスの休日”とか強烈に記憶に焼きつきました。他の音楽ではあんまりこういう心に残る歌詞は聴こえてきません。
いらないものにいるものが混じってハッキリしない状態は人生で常にありますから、めちゃくちゃ共感しました。取捨選択って大事です。自分にとっていいものだけを選び取るってハッキリと見えていないから難しい。
サビも人間らしさに溢れているし、哲学まで感じます。ハッキリせずフラフラ考えたり考えてなかったりという迷いのある状態で鳴っているのは、そこの雷じゃなくて遠くの空の雷の音って歌詞が言っていることはハッキリではないけど、何となく分かる。自分の経験の中にも確実にある「遠雷」な気持ち。
※遠雷
・遠くの方で鳴っている雷
M7「ローラー・コースター」
作詞・作曲/真島昌利
ここからの後半3曲は軽やかなアレンジが続いて心も弾む聴きやすさです。
叙情的な雰囲気から一変してキラキラして明るく軽快な曲です。キーボードも入っていてなおさら盛り上げます。
今日を生きるということにワクワクする気持ちを感じさせてくれる曲です。大事です、重要です。
真城さんと真島さんの2人の歌が素敵すぎて、興奮した筆者の心は爆発寸前です。何これ!どういうことなの!ただの音楽だよ。
個人的にはこういうことが「ましまろ」の良さなんだと感じています。力は抜いても、手は抜いていない。
歌詞 : ラストのサビは歌にも演奏にも歌詞にも強いプラスのエネルギーを感じます。自分のままでいいんだなと安心してしまえる1曲です。意味なんてなくても活力をくれる音楽のパワーってあります。
そういうのを信じているのもいいんじゃないかな。
聴けば今日を生きる気力と勇気が湧いてきて、余裕で死なない理由になってしまう。
M8「成りゆきまかせ」
作詞・作曲/真島昌利
心がスッと軽くなる歌詞とアレンジが最高です。
明日の戦略ばかり考えていないで、成りゆきまかせがいいなと、いい意味で開き直ることが出来ます。普段は忘れてしまっているけど、明日がない可能性だってあるんだし。明日のこと考えすぎだよ、今日のための今日。
その発想はなかったと驚愕するほどの歌詞がインパクト絶大です。
歌詞 : 地球のことを可愛いねと歌う歌詞。なんだこれは!マジかよ‼︎
地球から見たら、自分なんかすごく小さくてクズな存在だと勝手に思い込んでいたけど、そうじゃなかったんだ。地球ってオレのこと好きだったのか。それはとってもかわいいね。とか思って生きてる方が幸せです。
歌詞にハッとしました。そして晴れ晴れしました。
今日は成りゆきまかせがいいかもしれない。
M9「妙なねじれ」
作詞・作曲/真島昌利
交互にメインボーカルをとる真城さんと真島さんの掛け合いのボーカルが興奮必至です。
ボサノバっぽいアレンジで、マーシーの歌声がソロ2ndアルバム【Happy Songs】の頃のまんまだなぁとか思って急に嬉しくなりました。
アルバム終盤にして軽やかなボサノバアレンジなので、すっかり重い気分なんかもう呼び戻せないほど遠くに消えています。
それにしてもこの曲のタイトルは独特です。普通ではない妙なタイトルです。
ましまろはもちろん、クロマニヨンズもそうですが、彼らの音楽に「普通」とか「一般的」なんかは求めていません。
歌詞 : 真城さんが歌う出だしは曲調とは裏腹にどこか切なさがあります。
真島さんの歌うサビは迷いとか後悔なんかも感じます。歌詞だけ文章として読んでしまうと重い曲なのかと誤解してしまいますが、そうではないです。曲のアレンジは軽快なボサノバだし、歌詞の内容も今の自分の心情をしっかり理解しているし認めていることが伝わってきます。
最後の歌詞で“こんがらがってるだけだよ”と自分を理解して承認しているのが、きっと乗り越えるきっかけになるんだなとポジティブな気持ちになりました。自分を客観視できるのは素敵です。
M10「わたりどり」
作詞・作曲/真島昌利
1曲目の「朝」からスタートして、ラスト曲の「わたりどり」を聴き終える頃にはすっかり心が戻ってきてゆっくり休もう、おやすみなさいと日常の混沌から解放されています。
聴こえてくる歌声についても、真島さんがメインボーカル(コーラスも本人)の「朝」から始まり、真城さんがメインボーカル(コーラスも本人)の「わたりどり」でしめる構成がたまらなく好きになりました。
曲が始まった途端にラスト曲のどっしりとした、たたずまいを感じます。しっとりしたアレンジとゆったりしたテンポの説得力に納得します。
ラストはマーシーのコーラスは入っていませんが、真城さんの圧倒的に聴き取りやすい存在感抜群のボーカルを堪能できます。
吐き捨ててはいない丁寧な歌が、安心感まで与えてくれているように聴こえます。
演奏時間が2:46と短めなのがまたいいです。
歌詞 : アルバムラストの歌詞に繋がりとか世界は回っていることとか人の歴史とかをおぼろげに感じました。実は「わたりどり」という言葉は歌詞には登場しません。その上でここまで「わたりどり」をイメージさせるのがすごいです。
心がわたりどりになって何かと何かを繋げているのかもしれません。
そんな詩人な気分になったところでアルバムはおしまいです。
アルバムを聴き終えるといつも感じます。
有意義だった…
「満足(ほっこり)」

美しさと温かみのある、聴覚と感性に優しいアルバムです。
デジタルではなく、絵の具で描いた水彩画のようなぬくもりを持った音が、疲れたネガティブな心を吹き飛ばし、自然な心の状態を取り戻せる「ましまろ」の名盤なセカンドアルバムでした。
同調圧力でファ◯キンな老害とか、他人の謎のルールとか、無駄しかない渋滞とか、普通でいなきゃならないという日本的な理解不能な価値観とか、日常のストレスで凍りついた心が、アルバムの音のぬくもりによって、あっという間に解凍されます。
日本人として生きて、不自由になった心が解放される瞬間が、このアルバムの音の中にあります。
デジタルは疲れます、アナログは癒されます。
演者の心が聞こえてきます。
インタビューではましまろは「期間限定」ではなくバンドだという意識でやっていると語っていました。メンバーそれぞれの別のバンドとの兼ね合いもあるから、ましまろをメインではやらないでしょうけど、いつか3作目が発表されたりするかもしれないですね。
ちなみに『ましまろに』の11曲入りのカセットテープもライブ会場で販売されました。これこそメンバーが発表したかったこだわりの『ましまろに』です。
↓はマーシーやっぱりレコードで聴いてるんだなと感激した動画です。メンバーが聴いている音楽を語る短めの動画です。
シングル「遠雷」
こちらのシングルはCD、アナログ盤ともに同じ曲数、同じ曲順です。カップリングの2曲、アナログ盤の場合はB面がマーシーボーカルなので、あなどれないシングルです。
タイトル曲「遠雷」はアルバムに同じものが収録されていますが、カップリングの2曲はアルバム未収録です。
シングル「遠雷」収録曲
M1「遠雷」
M2「海と肉まん」
M3「天国の扉」
※アナログ盤はM2、3がB面です
アルバムではマーシーはコーラスはたくさん歌っているとはいえ、単独でメインボーカルをやっているのは1曲目の「朝」だけでした。もちろんアルバムを通してマーシーの歌声がたくさん聴こえてきました。
このシングルは2曲でメインボーカルをやっているので筆者は勝手にシングル「遠雷」の方を“マーシーサイド”だと思って聴いています。
M2「海と肉まん」
作詞・作曲/真島昌利
ゆったりしたテンポのブルース調でポップな聴きやすさではありませんが、この声が聴きたかったんだと満足する説得力があります。
かつても憧れ興奮して冷める事もなかったあの歌声が今も心に響いてると実感しました。
とても濃厚だし重厚だ。アホな顔した軽々しさがどこにもない。感情が入ってる、魂も聴き取れる。
こんなにもスリリングなボーカルはこの人にしか感じない。
その歌声で身近な心情を歌った歌詞とのギャップが萌えポイントです。
歌詞 : ある日の出来事と心情が歌われます。おもしろい歌詞なので聞き流すということが出来ません。
日本語の歌詞のシュールなあきらめ方にジャパニーズブルースを感じました。憂鬱すぎないいいカンジ。
M3「天国の扉」
作詞・作曲/Bob Dylan
日本語詩/真島昌利
これめちゃくちゃいいです。
ボーカルとアコギとハーモニカ。その部分はマーシーのソロ演奏だと思います。後半にはエレキとコーラスも入って「ましまろ」らしさが爆発します。
シングル3曲目で急に音場が変わります。なぜならこの曲だけMONO(モノラル)です。
オリジナルのボブ・ディランの良さをまったく損なわずマーシーカラーが突出したビックリな1曲です。
マーシーのボーカルは少しボカしたようなエフェクトが掛かった音です。
なんと言ってもマーシーの日本語詩が最高です。
歌詞 : 90年代にやっていたマーシーのソロ活動で、洋楽をマーシー作による日本語詩でカバーしていました。あの時に楽しめたのと同じ感覚がこの曲にもありました。
サビの「トントン〜」と、この感性たまらない。心にブッ刺さりすぎてあの世のドアを開けてしまわないように気をつけなきゃ。もっともっと聴いていたい。なんだかわからない興奮にヤられていたい。
まだ聴いていない場合は安い中古でも探して聴いてみてください。楽しめます。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。