こんにちは。
『ましまろ』は2015年リリースのましまろの1stアルバムです。
ファーストアルバムで名盤。
マーシーも歌います。
アコギも弾きます。
結論:このアルバムは美しい。
クロマニヨンズになってから全然歌わなくなってしまったマーシーが急に歌を披露してくれたもんだから、マーシーファンは大歓喜。
それだけでなく、
音楽性としてはマーシーがソロ作品でやっていたアコースティックな世界が繰り広げられていたもんだから、これまたマーシーのソロ作品好きは大興奮。
“ましまろ”は心に響く音楽だけをやります。
心の名盤:全曲レビューです。
ましまろ/ましまろ(2015)
ましまろは2015年に30年来の知人であったこのベテラン3人によって結成されました。
・真城めぐみ : ボーカル、パーカッション
・中森泰弘 : ギター、ボーカル
・真島昌利 : ギター、ボーカル
ボーカル、パーカッションの真城めぐみさんは1996年リリースのザ・ハイロウズの「日曜日よりの使者 SINGLE Version」でコーラス参加していて、一際放つ個性的な魅力が眩しかったです。
バンド名は、メンバー2人の苗字「ましま」と「ましろ」ってことかなと察しがつきます。
2015年5月13日に1stシングル「ガランとしてる」でメジャーデビュー。
この1stシングルも熱いです。
アルバム未収録曲2曲+別バージョン1曲が収録されています。表題曲の「ガランとしてる」以外はこのシングルでしか聴けません。
カップリングの3曲も炸裂しているので要チェックのシングル盤。
“ましまろ”の魅力を一発で理解できるカバー曲
↑こちらは音源としては発売されていないカバー曲ですが、観たら一発で“ましまろ”の他にない個性が伝わります。真城さん、鳥肌が立つほどにカッコよすぎ。シビレます。
全員が際立った個性でビビった。
心の中にスッと入ってきて、記憶の中にドシッと腰を下ろしました。
『ましまろ』は1stシングル発売から4ヶ月後の2015年9月2日にリリースされた1枚目のアルバムです。
アルバムを聴くとすぐに気付きますが、3人の感性がピッタリ合っていると音楽から伝わります。
インタビューでも3人とも互いの関係性を「面倒くさい人はいない」と語っていました。
その本音が“音”としてしっかり聴こえる。
心穏やかに過ごしたい日に合う作品。
『ましまろ』収録曲
1. 体温
2. したたるさよなら
3. はだしになったら
4. いつかどこかできっとまた
5. ぼくと山ちゃん
6. ガランとしてる
7. ずっと
8. 水色の風船
9. しおからとんぼ(シトロンソーダVer.)
10. 山の師匠
全10曲42分。
収録曲数とトータル時間は、アルバムとして一番いい感じの構成だと感じます。
多すぎず、長すぎず、全曲を集中して聴けるからです。
ジャンルとしては「ネオアコ」にかなり接近しています。
ハードな音楽ではありません。
絶妙にゆるいのが最大の特徴であり魅力。
もう一つ、特許レベルのポイント。
全体的に感じるのは「回想的」な歌の世界観。
それがアルバムから鳴るアナログサウンドの魅惑に直結してます。
アルバムの季節感は「夏」です。
ただし暑さに苛立っていない歓迎された夏。
“ましまろ”の音楽の魅力のひつとにコーラスの楽しさがあります。
マーシーが結構コーラスを歌っているし、リードボーカルも2曲でやっています。
驚きなのは、真島さんと真城さんの声が似ていて、まったく同じ歌心で表現していると感じること。
叙情的です。
マーシーは女性とハモるのは初めての経験で、楽しんでやってるということも語っていました。
アルバム『ましまろ』は、コーラスアレンジのセンスがヤバいほど絶妙な名曲揃い。
マーシーが言うことには、趣味がなくていつも曲を作っていると。そうやって作った曲の中から3人に合いそうな曲をセレクトして持っていって合わせてみたらイメージ通りだった、ということ。
叙情的でアコースティックな、それでいて新しい刺激が強いアルバム。
心に響くという意味。
アコギ調とは言え、陰湿で頭の悪そうな、聞くと気力が失われるフォークとはハッキリ違います。悲しいのと感動するのは違います。
やはり楽しいのが音楽。
サポートでベースとドラムのミュージシャンが参加したバンド編成のアルバム。
今の流行にありがちな、テンプレ化されて他との違いも分からない、理論的な音楽とかにうんざりしている人に強烈にオススメです。
個人的に今の音楽に好ましくないと感じることは、言葉(歌詞)までデジタルっぽく聞こえてしまう。
ましまろの歌詞にはアナログを感じます。
私は音楽を聴く時に基本的には歌詞カードは見ません。特に初めて聴く時。
文章として聞いてるのではなく、歌詞とメロディにアレンジや演奏という歌として聴いているからです。
魅力的な歌詞は文字を読んでいなくても、歌詞の世界の映像を頭の中に自動的に再生し始めます。
風景の描写がリアルな歌詞はましまろの特徴。
もちろん音楽に映像はありませんが、良き音楽の魅力の中に映像は存在します。
音としてガッツリと歌詞が心の奥まで入ってくる特別なアルバム。
この音楽、この雰囲気、メンバーそれぞれの魂と個性、音は、高純度の唯一無二。
心が踊ります、胸が熱くなります、感動して涙がいっぱい出ます。
聴いていて心地良い音とはこれのこと。
同時に言葉の美しさも突きせぬ魅力です。
2015年の アルバム『ましまろ』発売当時、CD、レコード、カセットテープの3形態でリリースされました。
レコードは限定生産。
カセットテープはライブ会場での販売。
このアルバムの心地よさはレコードの方がより合っています。当時レコードも同時発売されましたが、すでに完売ですのでレコードを聴きたい場合は中古を探すしかありません。
定価以下で買うのは難しいかもしれませんがレコードを買って聴いてみる価値は余裕であります。
断言しますが、CDとは違う柔らかい音とかではありません。演者が伝えようとしているその意思と意図が聴こえてくる熱い音です。
カセットテープはその上を行くアナログの極みだと私は感じます。
レコードも超える「物体としての特別感」が最高です。
とは言え、CDが悪いという事はありません。
間違いなく上質な“アナログサウンド”が出て心に響きます。
CDでもレコードでもカセットテープでも、アルバムの雰囲気を決定しているのはこだわったアナログサウンド。
少年性のある歌詞世界と、ノスタルジックな音世界の心地よさにいつでもゆっくりと胸が高まっていきます。
自然と子供の心が呼び覚まされ、素直な心で楽しんでいるため“奇跡的”な聴き心地です。
初めて聴いた時から時空を超えているアルバムという印象がありました。
大雑把な人より、繊細な人の方がよりグッと来る名盤。
どちらかと言うと落ち着いた雰囲気の音楽ですが、今こういうすべてからアナログを感じる音楽は、
とても刺激的です。
M1「体温」
作詞・作曲/真島昌利
落ち着いたスローテンポからのスタート。
1曲目は決して元気いっぱいな明るい曲調ではありませんが、叙情性の中に光る力強さと説得力があります。
この歌を聴いただけでも、すごく“いい”と感じました。
一音目のマーシーが弾くアコギが鳴った瞬間から「ましまろ」の魅力に惹き込まれる。
クリーントーンのエレキも加わります。
あまり聴いた事のない音の深さがある。
歌はマイナー調のメロディが、心の柔らかい部分に触れるような雰囲気。
最近ありがちな、異常に高い音圧が不快になる音楽にはない柔らかさや温かみがある。
やはりデジタルではなく“アナログ”です。
デジタルに体温は感じないけど、アナログには全体に体温があります。
真城さんが歌う言葉の一言ずつの発音が非常に美しい。
マーシーの細やかな感性の歌詞世界。
中森さんの澄んだトーンのエレキが音場を豊かにします。
“ましまろ”で初めて中森さんのギターを聴いたけど、上手すぎる。音楽へ感情移入した気持ちがそのまま鳴ってるみたいだ。すげえ。
この人たちは、演奏に感情がドッシリと乗っかっていて必ず人の心を動かす。
むしろこの人たち自身が歌になってる感じ。
3人の持っている個性という最大の魅力が、ましまろの音の世界から放たれる音楽の心を鳴らしています。
いい意味での引っ掛かりが多くある。
だから音楽から心が離れない。
この曲はベテランの安定した説得力のある真城さんのボーカルに思いっきり浸れます。
ゆったりしたテンポとシンプルなアレンジだからこそ感じる深みがこの歌の特徴です。
終始落ち着いた雰囲気の曲ですが、唐突にパンチも効いています。
間奏やアウトロで、一定の間隔で聞こえる鋭く息を吸うような音はなんだろう?
それが重要なアクセントになってる。
かなりのインパクト。
「体温」、1曲目から極端に深くて心に残るインパクトがあった。
歌詞:マーシー節の詩的な言葉選びの魅力にヤラレます。
まず伝えるべきなのは、とても繊細です。
誰かの日常というより映画のシーンのよう。
回想シーンに合うかもしれない。
マーシー以外の人には絶対にこの歌詞は書けないと確信するほど、他との違いを感じます。
「ライオン」と「体温」で韻を踏んでいるのもすごく美しいなと感じ嬉しくなりました。
これはやっぱり歌詞を文章として読むよりも、音として聴いた時の気持ち良さが抜群です。
ただし、詩として読んだ場合も確実に美しい短編になります。
要するに“美しい”ということ。
言葉の組み合わせが唯一無二なのが魅力。
M2「したたるさよなら」
作詞・作曲/真島昌利
ソファーに合うくつろぎソング。
2曲目はアコギの軽やかな音が聴こえてきてワクワクと好奇心が煽られます。
まだ突き抜けたという感触まではいきません。
どちらかと言うと、坦々としてる。
感じるのは、したたるアナログの温かみ。
ゆっくり徐々に惹き込まれていく楽しさ。
ゆったりしたテンポ。
聴きながら縦ノリの人は多分いません。体が左右に揺れる健康的な感じ。
大丈夫、体力やハイテンションには自信がない人でもノリ遅れることはありません。
座って聴くのがしっくり来ます。
“ましまろ”に高速テンポの曲はないです。
クロマニヨンズではなく“ましまろ”でやるからこそ魅力が際立つ柔らかなメロディ。
歌詞の影響もあり、そのメロディは空想的。
メロディや歌詞からたくさんの風景が鮮烈な映像で写ります。
マーシーにしか使いこなせない言葉の組み合わせが驚異的なインパクト。
芯の強さを感じる真城さんのメインボーカルに、心を動かすマーシーのコーラスもバッチリと聴こえてきて刺激的。
女性と男性のハモリの極み。
コーラスは良いところに感動的なタイミングで入っています。それが“ましまろ”のコーラスワークの楽しさです。
直接的な表現ではない美しい言葉の歌詞も聴きどころ。
理解するのは難しいかもしれないけど、誰でも美しさは感じられると思います。自分の中の芸術的な部分が喜ぶ感じ。
“ましまろ”の特徴である回想的な、魅惑の聴き心地。
普段はまったく感じない日本語の素晴らしさとか発見してしまう衝撃。
タイトルに「さよなら」という言葉があって、その言葉にはネガティブな印象を受けがちですが、歌に暗い雰囲気は一切ありません。
むしろ、この音は健やかな気分になる。
アコギ調が映える和みアレンジ。
この曲はイントロから割とベースが押し出された音像が印象的です。
ボーカル、ギター×2、ベース、ドラムの5人編成のバンドサウンドが、心地よく部屋の空間を鳴らす。
間奏でのアコギのソロも叙情的なメロディ。
目の前で弾いているような実在感のある音で録音されているため、是非ともレコードで聴きたくなってきます。
アウトロにもアコギの耽美なメロディ。
ギターのフレットを移動する時の弦を擦る音が生々しい。
ゆったり座りながら聴きたい歌。
穏やかな午後にくつろいだ心境で、まったりした家カフェで聴くのが一番いい感じ。
歌詞:短めですが挿絵のある詩集のような世界観で、一言一句が記憶に残りやすい。
回想的で独特の趣があります。
一言目には自分では使う事のない「なまめく」という言葉が出てきて興味をそそられました。
なまめく
「なまめく」って使ったことない言葉だなと思ったのと同時に意味がよく分かっていない自分に気付きました。“艶めく”と書くらしい。
1. 異性の心を誘うような色っぽさが感じられる。また、あだっぽいふるまいをする
2. 若々しく美しく見える。清新である
3. しっとりとして、品がある。優美である。
4. 物や情景などが、美しく趣がある。風流である。
なるほど、詩的な表現が全開のアートです。
“ましまろ”を表す言葉としても合ってるかもしれません。
最近の歌詞にありがちな直接的な言葉は一切なく、全編が抽象的なため想像の余白あり。
すべてを語らない美しさが存在します。
滅多に出会えないアーティスティックな歌詞。
M3「はだしになったら」
作詞・作曲/真島昌利
心軽やかソング。
不安とは無縁の癒し。
心まで届く比喩的な歌詞。
はだしで感じる夏の地面の熱さの共有。
楽しそうな気持ちで蹴り出す軽快なテンポ。
曲のテンポが、キラキラした外の光を感じに行きたくなるポジティブさになってます。
奇抜なロックのようにツンツンしていない滑らかなメロディ。
素直に心へ入ってくる角が立たない旋律です。
クリーンなエレキが大人の中の子供心を呼び覚ます跳躍アレンジ。
どの瞬間も気持ちが跳ねてます。
子供の頃の純粋な気持ちを思い出させる言葉たちが心を癒やしてくれつつも、サビでは核心をつく歌詞が哲学的に聴こえてきてスッと記憶力を刺激します。
弾むエレキの軽やかなイントロ。隣では心地よいアコギも広々と鳴ってる。
真城さんが歌い出すと明るい笑顔が見えてきて、思わず自分の心が軽くなったと実感。
歌声が素敵な笑顔なのです。
だから奏でる音楽自体が笑顔になってる。
2番からはマーシーのボーカルも入って、歌に大胆な厚みが増します。
ツインボーカルによる最上級の胸の高鳴り。
真城さんが歌うと風景がクッキリしてるし、マーシーが歌うと感情がハッキリしてる。
テーマは夏の歌だけど、メロディには清涼感があって少し涼しい。決して湿ってません。
サビでのコーラスも秀逸です。
言葉は歌わない「Ah〜」という音で、今楽しんでいる真ん中の気持ちを爆発させてます。
エレキの間奏では、本物の遊び心が空中を飛び交ってる。
伴奏のアコギは控えめですが、確実にそこに存在してる突きせぬ子供のエネルギー。
聴いていると今日を健康でいられそう。
この歌の明るさはバカ騒ぎしたい時やハイテンションになりたい時ではなく、良い加減の元気になりたい日に合います。
“ましまろ”特有のぶっちぎってしまう手前にある絶妙なテンション。
普段は人よりテンションが低い私にはバッチリすぎる。
丁度いいが心地いい。
これ絶対オレにアピールしてる。
とは言え、未来の不安なんか遊びでブッ消す素晴らしい効果あり。
歌詞:大雑把な人の目に映っている世界とはまったく別の、繊細な世界。
やっぱり細やかだし、美しいと感じる。
こだわりを感じるハイセンス。歌詞を音で聴いた時の気持ち良さは最高です。
「ボール」という単語に合わせた「遊ぼーよ」という言葉の発音とか、何気に歌詞を見た時のワクワク感は理屈を超越してる。
言葉の並びが高音質。
「スマートボール」や「アイスクリーム」、鳴ってる音の美しさと、言葉が持つノスタルジックな感触が印象に残ります。
内容は日常的ですが、並んでいる言葉はすべてがアーティスティック。
知ってる事とわかっている事がすれちがってと歌うサビは、自分の生き方や自分の哲学を持っている人にしか表現できない繊細な歌詞でインパクトがあります。
“ましまろ”は音楽という粋な「芸術」に触れる機会を与えてくれる。
M4「いつかどこかできっとまた」
作詞・作曲/中森泰弘
アルバム中この曲のみギター、ボーカルの中森さん作詞作曲です。
スッと入ってくる親しみやすさがあります。
すぐに気付いたのは、中森さんの世界観とマーシーの世界観がすごく近いということ。
だから作者名を見た時びっくりした。
マーシーが作ったのかと勘違いしてしまいそう。とは言え、ハッキリと中森さんの個性であり、共通しているのは“美しい”こと。
タイトルが印象的ですぐに覚えました。
声に出して言いたくなった言葉です。
それを音として聴いた時、言葉がサラサラと進んでいく聴き心地がものすごく感動的。
タイトル、歌詞、メロディ、アレンジも“ましまろ”というバンドにすごく合っていると、特に感じた曲。
心が楽しく弾む言葉選びがアルバムの世界観に見事にマッチしていて、軽快な曲調でありながら心の深いところにまで沁みます。
3分もない短めの曲ですが、記憶に残るインパクトは大きい。
季節の中を小走りするような軽いリズム。
リズムの影響でそう感じるのか、少し速めのミディアムテンポといった感じ。
今日を傷付かずに生きるための希望を添えた明るいメロディ。
どん底にあった心さえも、ふわっと上に登っていきます。
こういう健康的なのが音楽だなと思った。
川のせせらぎの如きアコギ、そこに反射してキラキラ光った太陽のようなエレキ。
日常のストレス消滅の兆しが訪れる。
伸びやかでキレイな音が出ます。
この音の中に住みたいと思ってしまうほど。
真城さんの抑揚のある歌心がグイグイと音楽の世界に惹き込んでいく。
歌に真心があります。
誰かの傷付いた心を包んで癒す思いやり。
タイトルを歌うサビは気持ちよく流れる音の心地よさが特徴です。
サビにはまたまたいいところでマーシーのコーラスが入るもんだから、私はいつもテンションが一つ上がります。
マーシーのハモリ方とか歌声のテンションとか、これ以外はあり得ない唯一無二。
この曲はグッと来るメロディのサビを、中盤に1回しかやりません。
流行の逆をサラッとやる。
こういうのは変かもしれないけど、
なんかこれ、、、面倒くさくないです。
“ましまろ”は人の心をいい方へ動かす達人。
この歌があまりに気に入ったので、中森さんの作った曲をもっと聴きたいと、後から急に興奮し始めました。
歌詞:言葉の表現が直接的でなく、音楽の歌詞として最上級の美しさ。
この歌も季節は夏。
人それぞれに、沢山の解釈がありそうなのが魅力です。
少し悲しいのか、明るく楽しいのか、今日の自分の体調や今の気持ちによっても違ってくるイメージ。
そういうのを楽しめる音楽的な言葉たち。
冒頭から早速「サックスの空」という歌詞がすごく印象に残ります。
青空というよりも、少しグレーがかった色の空をイメージしました。それと「サックスの空」という言葉に含まれる”あ音”の強さが強烈なパワーを持っていると感じます。
サビの最後の言葉は「彼女はもういない」と、少しの喪失感を受けますが、全体的に聴くと悲しいよりやっぱり美しいです。
想像の余白に「希望」がちゃんとある。
M5「ぼくと山ちゃん」
作詞・作曲/真島昌利
マーシーが歌います。
驚異的に少年そのもの。こんな大人は他にいません。
遊び心のない大人が歌うと絶対に失敗する。
この曲、真城さんから「マーシー歌いなよ」とか言われたのかもしれない。
そういう意見に対して「余計なこと言いやがって(笑)」とマーシー本人が後のインタビューで話していました。
少年性とノスタルジックな世界観。
飛ばしたUコンへの憧れが伝わってきます。
ゆったりめなテンポ。
マーシーが吹くハーモニカ入り。
力強いマーシーのボーカルが、懐かしさと夏間近の季節を思い浮かばせます。
求めていた歌声です。
真城さんの控えめなコーラスもいい感じだし、中森さんのエレキの表現力は凄みがある。
坦々としたメロディ。
しかしそれだけでは終わらない大仕掛け。
4番まであるAメロを繰り返し、どちらかと言うと単調な構成かなと思いきや、ラストに壮大感のあるサビを歌う胸熱な展開。
ゆったりとしたイントロが始まる。
なだらかなアコギと、子供の頃にあった好奇心を吹くハーモニカ。目の前で飛んでいるUコンのエンジン音を鳴らすエレキ。
この曲でのエレキの音は、飛行機が飛ぶジェット音。
遂にマーシーがメインボーカルをとる。
この声、歌い方、シビレる歌心、ずっと自分が切望していた事が現実になった瞬間。
胸が熱くなってるのを余裕で感じた。
マーシーが歌うすべての言葉から鮮明な風景が見えます。この日は夏間近のくもり空。
描写の真髄。驚異のリアリティ。
だからそこに存在する今この瞬間を楽しんでる気持ちに感情移入しちゃう。
悩みとか不安とか一切ない。
未来まで輝いてる。すげえ。
この歌、絵本を読み聞かせしてもらってるみたいな幸せな気分。
大人の心もこの歌の間だけは、読み聞かせに100%甘えていい。そんな風に思う。
ゆったりした曲調は、むしろ刺激的。
サビは、終盤に1回だけ歌う力の入ったメロディ。
前の曲「いつかどこかできっとまた」もそうでしたが、サビを1回のみというのは、実はとても心に沁みます。
売れそうな一つのメロディを1曲の中で何度も歌いがちな昨今。
今はサビから歌い始めることにも何の興奮もしなくなってしまったつまらない音楽の世界。
それはみんながやっててとっくに当たり前になってしまったし。何度でもサビを繰り返して、サビばかりがもてはやされる状況の中でこれだもん。
1回しかやらないとかすごいよ。
そのサビのマーシーの歌は本物の少年性が爆発してる。控えめに絡まってくる真城さんのコーラスは、叙情性を一段と引き立てる。
ヤバい、感動的すぎて目頭と胸の奥の方がすっかり熱くなっちゃってる。
この物語のエンドロールになってるアウトロでは、マーシーのハーモニカが時空を超えて鳴り響く。
歌詞:鮮明すぎて過去の出来事とは思えないリアリティ。
今この瞬間にある感情そのもの。
1番の歌詞から早速、遠い土曜日の午後の原っぱに心はタイムスリップしてしまいます。
言葉の選び方とか順番とか組み合わせなんか世に1人しかいない詩人です。
間違いなく繊細。
サビの歌詞は、子供の頃にした約束を歌います。必ず実現する誠実さを感じた。
約束の後のストーリーは描かれていないけど、山ちゃんと一緒に大きな笑顔で釣りに行く姿が浮かびます。
M6「ガランとしてる」
作詞・作曲/真島昌利
ましまろの1stシングル。
アルバムに先行してシングルリリースされた曲で、さすがにズバ抜けています。
“ましまろ”を聴いた事のない人にまずオススメしたい抜群のポップス感。
やさしいテンポ。
心に残る厚みのあるメロディ。
エレキがキラキラ光る悦楽アレンジ。
ましまろは基本的に、いい感じの力の抜け具合が特徴ですが、やはり所々マーシーが声を張り上げて歌うのが心の掴まれポイント。
この曲ではマーシーもガッツリ歌います。Bメロ、サビは完全なツインボーカルでハイライト。
一番最初に触れた“ましまろ”の世界。
それはデジタル時代のトレンドに成り下がらない美しきアナログサウンド。
ようこそと歓迎ムードのイントロ。
流行とは差別化されたトキメキを感じる。
イントロで、生きる人間の体温を感じるマーシーのアコギが鳴り出した瞬間から、これぞましまろの世界。
直後には中森さんの生き生きとしたエレキも絡んでくる。
真城さんが歌い出した途端に、ましまろのアナログ的な柔らかさに惚れ込んでしまう。
リズムに乗って笑顔で歌う真城さんが勝手にイメージされます。
メロディには花のような麗しさがあって、心の内側に入り込んできてると実感しちゃう。
2番からマーシーのボーカルも入ってくると、ましまろへの恋心が大爆発。
当然、メロディに厚みも出る。
一輪の花が、隣り合う二輪になった。
右にマーシーのアコギ、左に中森さんのエレキ、真ん中に真城さんとマーシーのボーカル、存在感のある音像がたまりません。
この人たち、人の心へ向けて歌ったり楽器で演奏するのが上手すぎる。
細やかな演奏だけど、感情が分厚い。
アナログな音が鳴っていて、聴覚と心情を同時に刺激します。
わずかな悪意もなく一直線で届くのがすごい。
間奏での中森さんのギターソロは伸びやかな音が部屋を満たしてる。
PCに取り込んだデジタルで再生してもアナログしか感じられない深みまであります。
何この音⁉︎ 心地良すぎ。
終盤はサビで締めるのではなく、 3番目の歌詞が乗ったAメロをもう一度歌ってアウトロへ繋ぐファストでない展開です。
心を整える効果があります。
アウトロではエレキのメロディがゆったりと流れて、ストレスフリーな体調が実現する。
音が違和感なくスッと消えてくいい感じ。
それにしても独特のタイトルだなぁ。覚えられない人なんていません。
歌詞:美しい心が語っている、人の内側という印象。
マーシーの優れた感受性が突出してる。
いくつかの花の名前が出てきたり、その様子が鮮やかに表現されています。
音楽をつまらなくする妙な生活感はなし。
最初から答えが一つに決まっている直接的な言葉もなし。
聴いたすべての人に、想像の余白あり。
サビでは“何もない”と繰り返し歌われます。ガランとしています。でも“ふり”なのが人間味で出ていてリアルです。
正解が用意されていないから、深く考えながら聴く歌詞なのかと思いきや、
結局は素の心で聴ける好ましい淡さです。
ラストの歌詞は印象的すぎて、強烈な音の響き方でもあります。“カーテンあけっぱなしの不在証明”という表現は唯一無二の感性。
特にガランとしてた。
M7「ずっと」
作詞・作曲/真島昌利
マーシーが松たか子さんに提供した曲の、ましまろでのセルフカバー。
一部の歌詞も変わりました。
アレンジは“ましまろ”の方が躍動的。
私にとってアルバムの中で一番好きな歌。
歌としてすべての要素が心へ響いたからです。
無邪気な歌詞の世界がヤバいです。サビなんか誠実さが爆発してる。何度も聴きたくなって心が無邪気になる1曲。
恋が愛に変わらない衝撃。
いつか宇宙の謎や生命の謎が解けたとしても、恋の謎だけは解けないでほしいという心揺さぶるブっ飛んだ歌詞が最高です。
とんでもない影響を受けた歌。
トキメキソングの決定版。
恋の歌としては、優勝です。
そこら辺に落っこちてる愛は一切登場しませんので安心してください。
躍動感のあるメロディ。
言葉に力を与え飛躍させるコーラス。
どの瞬間も恋心が跳ねる爽快なアレンジ。
遅すぎず、速すぎず、人間が一番心地よいと感じる魔法のテンポ。
解けないでほしい素敵な謎の始まりです。
イントロでのエレキのメロディなんか可愛げのある恋心が地球を鳴らす。
弾んだピアノっぽい感触があります。
そこに重さなんかなく、嬉しさだけがある。
病気にならない健康的な音。
真城さんのボーカルには目一杯のトキメキを感じます。
恋してる時のトキメク気持ちの表現力が高すぎる。歌での再現力かもしれない。
これを聴きながらだんだん気持ちが暗くなる人は心が病んでいます。その場合は回復するまで休んでください。
この歌に溢れてるのは、恋してる時にだけ感じるキラキラの光。不変のトキメキ。
世界がキラキラに見えてしまう特別な心境。
どう聴いても、何度聴いても、歌詞が恋してて大きな笑顔を見せてくる。
ちょっと照れる人もいるかもしれない。
サビはマーシーのボーカルも入って爆発的なメロディになります。
マーシーの力強さは歌に説得力が増す感じ。
これはさすがにサビをもう一回はやってくれよ、とか思った。
大丈夫!2回目のサビも更に爆発的にやる。
間奏はイントロと同じフレーズを弾くエレキで、中森さん大活躍。やっぱり可愛げのある恋心が地球の裏側までブッ飛んでいった。
心は軽やか、体は健やかないい気分。
マーシーが弾くアコギは全体的に力強く鳴り響いて、曲にある感情を前に押し出す重要な音です。
歌の終盤には特に注目してください。
ラストの掛け合い「ずぅっと〜(真城)」「ずぅっと〜(真島)」「ずぅっとぉぉぉ(真城)」のところが感動的すぎて、アルバムの胸熱ポイントナンバーワン。あーたまらん!
アウトロでは真城さんのハミングが、恋心の真ん中へ響いてます。
宇宙に一つしかない恋の音が聴こえてきた。
歌詞:まず、愛でなく「恋」であること。
是非、感じてほしい歌詞。
詩として読んでも最高。
Aメロの歌詞、生命や宇宙の謎が解けるとかものすごいことです。でもそれらはいつかは解けるかもしれません。
この歌詞は、解けそうもない謎を歌う。
そばにいるとうれしいのに泣きたくなるとか、現実に確実に存在する最大の恋心。
なぜかわからないけど、この相反する気持ちって確かにあります。なんでだろ?謎だ。
その気持ちが強力な何かを持っていることだけは私でも気付いています。
“恋の謎だけは 解けないでほしい”と高らかに歌うサビは純粋で無邪気でロマンチック。
どこにでもある愛には、こんな素敵な気持ちは含まれていない。その謎はとっくに解けてるし。それに比べて恋の謎って超難問です。
歌詞が心の奥の方にトキメキを光らせた。
恋はドキドキします、愛はウンザリします。
「ずっと」を聴いて断言できることは、
特別なのが恋です。
そうでないのがただの愛です。
M8「水色の風船」
作詞・作曲/真島昌利
決定的な柔らかさ。
心がふんわりとした布団に包まれる。
曲の柔らかさが心の状態をふわっと軽くする。
この柔らかさに怒り出す人は1人もいませんので、穏やかな気持ちになりたい時にオススメです。
悪意のない平和な世界。
言葉がこれ以上はありえない相性の良さでメロディに乗っていて、日本語だとは思えないほどに快感。日本語なのにカクカクしてない極上のなめらかさ。
歌詞にわずかな切なさがあるのがポイント。
空想的で心に残るメロディ。
歌のメロディはとても覚えやすくて、後から何度も心の中で勝手に再生されます。
緩やかなテンポ。
ストレスを感じる人はいない優しいテンポがふんわり感を演出してる。
ふんわりとしたアレンジに魅せられて、心が風船のように空に浮かびそうな1曲です。
歌も演奏もすべてが映えます。
イントロのエレキには本の表紙をゆっくりめくるような趣があります。
アコギと絡んだ味わい深い音が出てる。
真城さんの低めの歌声には実在感があるし、物語の読み手のような雰囲気。
手から離れた風船が空にのぼっていく情景。
バッキングのアコギは空の広さがありつつ、ゆったり流れる時間を鳴らしてる。
この歌、決して急いでいない。
せっかちな人も落ち着きを取り戻せそう。
エレキの音なんか、そこにあるアンプから今出てる生音だと錯覚するほどの高音質。
中森さんのしなやかなカッティングが部屋中に鳴り響く。
心の込もったメロディも弾いて癒してくれます。音楽に100%没頭した感情のままで演奏してるのが伝わってくる。
サビではマーシーのコーラスが入ります。
真城さんとマーシーの歌心が完全に一致していて、どっちの声だか分からなくなるおもしろさを体験できてしまう。
短めのアウトロでは滑らかなエレキのメロディが、人の心を穏やかな方向へ動かします。
聴き終わった後に残るのは、和んだ気持ち。
嫌味とは無縁の音楽ここにあり。
歌詞:子供心や遊び心のみで成り立つ描写。
生粋の音楽の歌詞という印象。言葉とメロディが合わさってこそ魅力を放つ。
詩的でどこか切なさもあるマーシーならではの言葉にドキッとします。
特にサビの歌詞に唯一無二のセンスあり。
“ピアノまじりの光る坂道 葉っぱ オートバイ トマト”
登場する単語に関連性はあまりないので、マーシーがその時に目にしたものたちなんだろうなと思っています。だからリアルな風景が目の前に現れる。
太陽の光が反射した風景が見えました。
全員にとっての答えではなく、音楽を感じた人たちへの想像の余白があります。
自分の中の幼いアーティストが笑顔になる、芸術的な魅力。
M9「しおからとんぼ(シトロンソーダ Ver.)」
作詞・作曲/真島昌利
この曲は3人での演奏です。
ボーカル、アコギ、エレキのみ。他の収録曲とは雰囲気が違って楽しい。
(シトロンソーダ Ver.)ということで、シングル「ガランとしてる」に収録のものとは印象がかなり変わります。
テンポは少し下がりました。
ギターのアレンジも一聴してわかる程に違います。音もアコギとエレキが随分と手前に出てきています。
まったく新しく録音したもの。こちらのバージョンは全体的にエコーがかかった音。
ソーダのようにシュワシュワっとした聴こえ方のするバージョンです。ソーダの中のたくさんの小さな泡がゆっくり弾けていきます。
ましまろの心の中に入ったと感じる音。
マーシーと真城さんが交互に歌うスタイルがこの歌の特徴。
言葉を丁寧に伝えるゆったりテンポ。
わずかな切なさを含むメロディ。
曲の少しセンチメンタルな雰囲気が、心をアートな方向へ動かします。
一音目のエレキとアコギが鳴った瞬間に、オリジナルバージョンとの大きな違いに誰でも気付きます。
まったくの別物になってる。
歌い出しはマーシー。
オリジナルにはなかった重みがあって真摯な雰囲気が漂う。
大雑把な人たちが毎日SNS等で発言している中身のない軽率さは一切感じません。
おぼろげな歌詞を歌っているけど、マーシーの歌は力強くて、日本語にありがちな曖昧さはないボーカリゼーション。
サビのボーカルは真城さんと交代。
宙ぶらりんな感情のことを歌っているけど、真城さんの歌には深みがあって心が音楽の奥にまで沈み込むような感覚。
この2人の歌、必ず人の心を動かす。
ここまで8曲を聴いてきて、すっかり“ましまろ”のアナログサウンドの虜になった心。
そんな心には交互に歌うこのスタイルは極めて刺激的。
表現性の違いなど微塵も感じない2人の歌心。
「しおからとんぼ(シトロンソーダ Ver.)」は表面ではなく、人の深いところや奥の方に入り込んでくる歌。
ボーカル、アコギ、エレキのみの最小の音数で表現する深みこそ魅力。
すごく腑に落ちた事実もあります。
しおからとんぼの体にはソーダのような淡い青色が入っているので、今回のサブタイトルは最強です。
私の住んでいる所には8月頃にたくさん飛んでいます。見るたびにこの曲が流れる。
もちろん(シトロンソーダ Ver.)の方。
という訳で、かなり強めのインパクトを残す歌でした。
歌詞:おぼろげな美しさが、アーティスティックな魅力を放ちます。
決して日本語の気持ち悪いあいまいさではなく、すべてを語らない抽象的な表現が魅力です。
わざとどっちとも取れるあいまいな日本語は大嫌いですが、ましまろの世界はそういうことではない。
このような大いなる想像の余白には芸術を感じます。
歌詞にはハッキリとした事象と心象があるけど、実は何の事を歌っているのかの答えはないので、勝手に想像し放題。
やるせなくなって、空中を行ったり来たりしている“しおからとんぼ”の心境なのかもしれません。
そうだとしたら、そこに感情移入して音楽を作るとか相当に繊細な感性です。
M10「山の師匠」
作詞・作曲/真島昌利
アルバムラストはマーシーが歌います。
歌とアコギとハーモニカの弾き語り。
タイトルの「山の師匠」という言葉から連想される雰囲気がバッチリ表現された歌詞と曲調。
マーシーの心の込もった歌声が、アルバムラストにして大きなインパクトを残します。
都会から離れた悟りのテンポ。
ゆったりしていて言葉が際立ちます。
山の師匠の深みのあるメロディ。
私でも歌いやすい低めのキーで、人間の深みを弾き語りスタイルで歌います。
ラストにふさわしい雄大感。
弾き語りスタイルで音数は少ないですが、穏やかな心の広さを感じられます。
独立心の強い山の師匠の生き方を、マーシーが真心で歌う。
だからマーシーこそが“山の師匠”そのものなのだと確信してしまう説得力あり。
イントロは山の師匠が吹く流暢なハーモニカが空間いっぱいに鳴り響く。
アコギは山の師匠が住む山の奥深さを鳴らしています。
悟りの境地のような態度でマーシーが歌い出す。力強くも繊細さを伴う歌声で、すべてに満たされた感覚を表現していると感じます。
日常的に感じていた品のないトレンドからの悪影響がブッ消える瞬間。
山の師匠は自分と向き合っているからです。
目まぐるしく毎日のように入れ替わるトレンドなど通用しない。
自分が納得してやっていること以外は無意味になる歌。
1番を歌い終わるとまたハーモニカを吹いて、あくまでポジティブなフォークスタイル。
弾き語りという極端にシンプルなアレンジが、一音たりとも聴き逃さず心へ入ってくる凄みになってる。
サビは「ドンドンドーン」と言葉でない擬音を繰り返すパワフルなメロディ。
この部分では、歌詞に合わせて“ドンドンドン”とバスドラの音が入る粋な演出に、心がドンッと一歩前に出た感覚になります。
自分の存在感まで前に押し出されたいい気分。
私にとっては、辿り着いてみたくなる「悟り」のような1曲。
《歌は世につれ世は歌につれ。》という世間の言葉など、
当てはまりません。
はっきり独立してます。
この歌は世につれない品があって、美しさがあって、穏やかだからこそ、、、
あまり多くを語るべきではない。
歌詞:ラスト曲の歌詞はほのぼのしていますが、鋭い描写と美しい比喩が思う存分に堪能できます。
「都会的」とは無縁の感じこそが魅力です。驚異的にアコースティック、自然の極地。
憧れの感情さえも抱いてしまうほどの独立心を感じます。
“山の師匠は山にいる”
冒頭から繰り返される歌詞のこの一節はなんという説得力なんだ。
言ってることは当たり前なのに、マーシーが歌うとぶっちぎりの説得力を持つ。
山の師匠は独特な雰囲気が漂う人物です。
“枯れた言葉を拾ってる”とか、山の師匠も作者であるマーシーも只者ではない。
歌に感化され、誰もが詩人の気分に浸れる。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ドン ドン ドン・・・・・
ラストに太鼓が「ドンドンドン」とみんなの心に響いたところでアルバムはおしまいです。
10曲すべてを心の深いところで感じる音楽です。たくさんの奥深い感動のあるアルバムで、感慨深い名盤。
一番の感想は、、、美しかった。
こういう音楽を作って、私たちリスナーに提供してくれるのは本当に嬉しい。いつでも大歓迎な音楽です。
アナログ的な音が心地よくて、レコードがとてもよく似合う音がします。
癒しを求めた時に聴きたくなることが多い。
ロックの勢いに興奮するというよりも、心地よいアナログサウンドにグッと来る。
聴けば必ず、心穏やかに過ごせます。
健やかな気分で聴けるから、いつでも棚から取り出してかけたくなる特別な作品。
好ましい意味でゆるくて、
気構える必要はなし。
ファストな時代のトレンドに成り下がらないトキメキあり。
シングル「ガランとしてる」カップリング曲
先行シングル「ガランとしてる」のカップリング曲は、アルバム未収録曲、オリジナルバージョンが含まれます。
聴きどころしかない心に響くシングルです。
名盤シングルと言えます。
捨て曲はありません。
そういう概念がありません。
もちろん買って損もありません。
そちらも併せてレビューしたいと思いますのでよろしくお願いします。
「ガランとしてる」は2015年5月13日にリリースされたましまろのデビューシングルです。
1枚目から他の音楽との差別化が余裕で伝わってくる作品。
2015年の発売当時、12cmCDと12インチレコードの2形態でリリースされました。
アナログ盤は限定生産だったため既に売り切れ。CDはまだ新品で手に入ります。
CDとアナログ盤の両方を持っている場合は、大胆な「違い」まで楽しめるシングル。
※カセットテープは発売されていません。
「ガランとしてる」収録曲(CD)
M1「ガランとしてる」
M2「公園」
M3「しおからとんぼ」
M4「ハートビート」
全4曲15分。
4曲入りで内容の濃さもあり、シングルというよりミニアルバムくらいの聴きごたえ。
シングル「ガランとしてる」はCDとレコードでは曲順が異なります。レコードの曲順はこうなっています。
「ガランとしてる」収録曲(レコード)
A面
M1「ガランとしてる」
M2「ハートビート」
B面
M1「公園」
M2「しおからとんぼ」
という感じで結構違うので、レコードで聴いた時もしっかり楽しめるのがポイント。
ましまろの遊び心を感じます。
レコードは45回転なので音圧が高く、ショボくれていない誠実な音が出ます。
M2「公園」
作詞・作曲/真島昌利
ボーカルが真城さんとマーシーの掛け合いスタイルで相当にグッと来ます。
Aメロを真城さん、サビをマーシー、サビの後半は2人のツインボーカルと胸熱仕様。
エレキ主体のアレンジ。
フレーズにインパクトがあり、エレキの音が印象深い聴き心地。
季節は夏。
強烈な思い出である夏の時間が戻ってくる絶妙なミディアムテンポ。
心へ響くマイナー調のメロディと、懐かしい気持ちを蘇らせる歌詞が最高ですぐに好きになりました。
ほとんどの人の心に残ると思います。
音楽を聴いて頭の中に鮮明な映像まで再生される程のリアリティが最大の魅力。
感動的な体験ができます。
かなり印象的なイントロのフレーズ。
エレキの低めの音が唸る。
フレーズがグルグルと回っているような感じで、その音がうねりを発生させて遂に時空を超えてしまう。
力強い声で真城さんが歌い出す。
目の前には今はもうない公園が出現した。
少しの切なさのある歌詞に真城さんの歌声がぴったり合っていて心を奪われます。
検討すると言うだけで実現はしない人みたいな卑怯さや曖昧さがまったくない。
はっきりしてる。
だから一言ずつがバシッと耳へと入って、最終的には心を思いっきり刺激します。
回想的なAメロの直後はグッと来るサビへ。
マーシーにしかあり得ない言葉の組み合わせが特徴的なサビは、ボーカルがマーシーに交代します。マーシーも力強く歌う。
とてつもない感情が込もっていてすごい。
こんな風に歌われると、度を超えて胸が熱くなっちゃうじゃんか。
何これ⁈ 興奮の度合いがハンパじゃない。
サビの後半は2人のツインボーカルで、映画のハイライト以上の見せ場になってる。
間奏はエレキのソロ。
ただのテクニックなんかでは絶対に出せない心揺さぶる音と、みずみずしいメロディ。
中森さんのギターの音はしたたってるかもしれないし、降り注いでるかもしれない。
音が光ってるのは確かです。
「公園」は、ダラダラと何度も同じメロディを繰り返し歌わず、展開が早くあっという間に聴けてしまう曲。
すべの瞬間が魅力的。
3分49秒の曲なので決して短くはないのですが、常に意識が音楽に向いているためか2分くらいで聴き終わったような不思議な感覚。
“ましまろ”が誰かの心を動かす。
シングルタイトル曲「ガランとしてる」にもまったく引けを取らない名曲。
歌詞:やはり回想的で、当時の鮮明な感情のまま表現されています。
リアリティ100%の遠い記憶。
こんなにも細かな風景と、そのにおいまで伝わってくる歌詞には滅多に出会えません。
短めの歌詞で多くは語らず。
しかし聴くと多くを感じるのは、すべての言葉にリアルな感情が含まれているから。
過去の記憶が、今この瞬間の感情になってる。
ノスタルジックな風景と共に哀愁まで漂う雰囲気ですが、悲しいとは違います。
間違いなく美しいのです。
M3「しおからとんぼ」
作詞・作曲/真島昌利
「しおからとんぼ」のオリジナルバージョン。
アルバム『ましまろ』収録の“シトロンソーダVer”より生音感があります。
こちらの方はすぐそばで演奏している感じの音が鳴ります。
アレンジは異なりますが歌詞は同じ。
どちらかと言うとこちらのシングル収録のオリジナルバージョンの方が好きです。
“シトロンソーダVer”を聴いた後にシングルの方を聴くとその音の近さにびっくりします。
歌い出しはマーシーで、2番から真城も入ってきて、サビは真城さんだけになるという構成が魅力的。
オリジナルバージョンにはパーカッションのリズムも入っています。
とても穏やかな雰囲気のアレンジ。
その為、うるさいと感じる部分は1秒もなし。
落ち着いたアレンジではあるけど、2人のボーカルはすごく情熱的です。
詩的な言葉たちが胸にスッと入ってきます。
アルバム収録のバージョンとは録音した日が別なのかもしれません。少しテンションが違うと感じました。歌い回しも違います。
基本のメロディや歌詞は変わらないのに、全然別の曲に聴こえるのが特徴。
こちらは、しおからとんぼの飛び方がヒラヒラした軽やかな感じ。
エレキのメロディが空中を浮遊する長めのアウトロも違っています。
ゆっくりフェードアウトしますが、ラストはパーカッションのリズムだけが残り、しおからとんぼが稲の先にそっと止まったような印象を受けます。
非常にドラマチックな音。
「しおからとんぼ」2つのバージョン、両方とも聴く事をオススメします。是非、シングルも入手してください。
なぜなら、
聴き比べに最大級の魅力があります。
M4「ハートビート」
作詞・作曲/Bob Montgomery & Norman Petty
日本語詩/真島昌利
カバー曲。
ましまろバージョンは出だしからツインボーカルで萌えます。
カバー曲とはいえ、マーシーによる日本語詩で歌われるので分かりやすいし楽しい。
私はオリジナル(カバー曲であること)を知らなかったので、歌詞カードを見るまでマーシーが作った歌だと勘違いしていました。
そう思ってしまうほどカバーの違和感なし。
2分26秒の短い心のストレッチソング。
弾けるリズム。
スキップしてるテンポ。
少し高めのテンションが心を軽くする。
真城さんとマーシーのとても明るい歌声が聴けます。
ましまろの元気いっぱいな演奏に、自分の中の遊び心が刺激されます。
飛び跳ねるリズムが強調されたイントロからゴキゲンな雰囲気。
明るいエレキの音が小刻みにバウンドする。
短めのイントロの後は楽しそうに2人で歌い出して、土曜日のワクワク感を最大級のものにします。
歌はサビ始まりの胸熱スタイル。
悩ましいストレスが一発で笑顔に変わる。
Aメロは真城さんのボーカルで、滞らずサラサラ流れる時間とトキメキの気持ちを大きな笑顔で歌ってる。
やっぱりちょっとテンションが高い。
歌の端っこにまで爆発する“高まった感情”が光ってるのが聴こえます。
マーシーのアコギも非常に軽快。
真城さんが元気にシャウトしたら間奏に突入。
間奏のギターソロも聴き逃せません。
中森さんが弾くエレキのキラキラしたメロディが地球の裏側まで鳴り響く。
誰とも違う抜群の存在感を放ってる。
エレキの音には生命力が充満してます。
「 OH!BOY!!」と、
間奏の真ん中では今度はマーシーが激アツにシャウトすると「これだ!」って、私はかなりの興奮気味。
急激に加熱された気分。
ギターソロ後の後半の1分間も「明るさ」や「元気」や「好奇心」を音楽として、ましまろが鳴らす。
楽しい感情のみが炸裂するカバー曲。
これ聴いてたら病気にはなれません。
だんだんテンションが下がっていくというのも不可能です。
自由な心で飛び跳ねたくなります。
歌詞:マーシーの解釈による日本語詩で、ウキウキしてる感じが全開です。
ネガティブな感情など一文字も出てきません。
だからアレンジだけでなく、歌詞までスキップしちゃってる。
少ない言葉の中に学生時代の風景や、キュンとする恋心まで表現されていて、興味深く聴き入ってしまう歌詞。
多感な年頃の回想シーンのど真ん中に自分がいる感覚。
訳詩ですが、ましまろワールドは純度100%で楽しめる。
全4曲15分と絶妙なボリュームでシングルの方もかなり楽しめます。マーシーの歌声もたくさん聴こえます。
まだ聴いていない場合は、新品又は安い中古でも探して買って聴いてみてください。
アルバム『ましまろ』にも引けを取らない聴きごたえのある作品として楽しめるので、オススメします。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。
いつもUMEさんの記事を見てるものです
中々ヒロトマーシーのアルバムを全部レビューする人が居ない中、UMEさんのストレートな衝撃と聴いてる時のワクワク感が、伝わる文章が自分の感性にピッタリハマりました!もしお時間がありましたら、クロマニヨンズのアルバムレビューも今後見てみたいです
こんにちはUMEです。
いつもありがとうございます!
まず何より楽しんでいただけたのが嬉しいです。そして私の文章がご自身の感性にピッタリという最高の褒め言葉に感激しました。
初めてリクエストをいただけましたし、時間はかかってしまいますが、クロマニヨンズはやります。誰よりも自分がその記事を読んでみたいというのが本音なところです。
ものすごく励みになりました、ありがとうございます。