こんにちは。
『ましまろに』は2016年リリースのましまろの2ndアルバムです。
今回もマーシーが感情豊かに歌います。
美しいアナログサウンドが、遂に人々の疲れ果てた心を癒すセカンドアルバム。
例えるなら、音楽が鳴る水彩画。
結論:2枚目は、よどんだ世界を洗い流してく光。
“ましまろ”はアルバム1枚で終わるのかと思いきや、第2弾の登場に大感激しました。
本音:まさか出るとは。
しかもまたマーシーの歌声がたくさん聴こえてくるじゃないですか。真城さんの歌は一段と心が込もってるし。バンドの音は更に磨きのかかった唯一無二の演奏になってるし。
心が動かない瞬間がない。
またまた発狂寸前に大興奮しました。マーシーの歌なんか1曲目からだもん。あまりの衝撃でのけぞりながら聴きました。
アルバムを聴き進める程に心が穏やかになっていく。
“ましまろ”の誕生は、マーシーが当時アコギを弾くのが楽しくなって、新しいアコギを買ったのがきっかけ。
その時に中学生が初めてギターを買って盛り上がる感覚になったから生まれたバンドだということ。
『ましまろに』はネオアコ好きの3人が作ったアルバムです。
一言で言うなら、ありふれていません。
心の名盤:全曲レビューです。
ましまろ/ましまろに(2016)
『ましまろに』は前作1stアルバム『ましまろ』から1年で完成した2枚目のアルバムです。
2016年8月31日リリース。
視聴を重ねるごとに良さが増します。
このタイプのアルバムは、いつまでも聴き続ける名盤になる可能性大。
何度目かを聴いたタイミングで、後から気付く萌えポイントがあるのも非常におもしろい。
収録曲の全10曲中9曲がマーシー作詞・作曲による構成で、クロマニヨンズとは違うマーシー自身の世界が強く出ている作品。
とても繊細だし他にない美しさの象徴。
ジャンルについて:強く感じるほどではないですが、真城さんが語るスピリットとしては「ネオアコ」です。
私の印象では「ましまろ」という最新型のジャンルと言えます。
インタビューで、作詞と作曲はどちらが好きなのかと質問されたマーシー
両方と即答。
「作詞」「作曲」という二つの事ではなく、一つの“歌”として考えているということです。
同時に出来る時もあるし、どちらかが先の場合もあるし、自分の中でパターンを作らないようにしていると、作詞・作曲についてのコアな解答が聞けて大満足。
今回もまたマーシーが歌ってくれるという確信はありつつも、分かっていてもやっぱり大きく感動しました。
ギターの中森さんと、ボーカルの真城さんがマーシーにもっと歌わせようと企んでいたという話にマーシーは苦笑してましたが、私はウケました。
真城さんと中森さんに「歌いなよ、歌いなよ」と言われたらしい。
言われなかったら歌ってないとマーシー。
歌う気なかったのに、歌わされたみたい(笑)
その情熱的な歌声は人の心を動かします。
『ましまろに』収録曲
1. 朝
2. さがしもの
3. けあらしの町
4. ひき潮
5. ナポリの月
6. 遠雷
7. ローラー・コースター
8. 成りゆきまかせ
9. 妙なねじれ
10. わたりどり
全10曲34分。
1枚目『ましまろ』と収録曲数は同じですが、今回は8分も短い。
だらだらやらないということ。
とは言え、満足度は最上級です。
ファーストアルバムに引き続き、どこにもデジタルという文字が思い浮かばない“アナログサウンド”が特徴的なセカンドアルバム。
印象としては1stアルバムより全体的にパワフルになりました。ボーカルなんか特に。
ましまろの特徴であるコーラスの楽しさも増し増しになってどの瞬間も心が踊ります。
曲によってはキーボード・ビブラフォン・バイオリンなど、使われる楽器も増えました。
繊細なところはより繊細で美しく。
色彩豊かです。
品のないギンギンな原色の混ぜ合わせはやってません。どちらかと言えば、淡い色。
一瞬たりともその色が濁っていないのが最大の魅力。
“ましまろ”の良さで重要なのは、いい意味で作り込まれていないという感触であること。
作り込まれている作品は聴き手のこっちが面倒くさいです。ましまろにはそういうのないので安心です。
ましまろは、ゆるい感じがいい感じ。
それこそが心地よいぬくもりに感じられます。
マーシーいわく、クロマニヨンズではリハーサルで酒飲んだりはしないけど、ましまろは最初から酒を飲んでるということで、ベテランたちの凄みを感じました。
前作の良さであった叙情性もバッチリあります。ましまろに速くて激しいロックとか期待すると確実にハズレます。
ジャケットからも想像できますが、パソコンで書いたデジタルではなく絵の具な感じ。アルバム全体の音が絵の具な感じ。曖昧さではなく良い加減。
世の中のテンプレなんかは取り入れていない、このアルバムからは美しさを感じます。
目に優しい絵の具で描いたようなカラフルな楽曲たちを、ハートフルに楽しめるアルバム。
日常のストレスを消して穏やかな気持ちを取り戻したい人には特にオススメです。
好きな曲だけかいつまんで聴かずにアルバム1枚通して聴けば、いろんな感情を持っている自分にも気付けます。
特にアルバム後半は明るさが突き抜ける。
私の場合は本作をドライブのBGMにするよりも、家ですべての緊張を手放した状態で聴く方が好きです。
より一層、心が喜ぶから。
アルバム発売の前に先行して2ndシングル「遠雷」が2016年6月22日にリリースされました。
CDとアナログ盤(12インチ)でのリリース。
アナログ盤の方は限定生産で既に完売。
全3曲入り。
このシングルも超重要です。
なぜならカップリングの2曲はマーシーがリードボーカルをやっています。
マーシーの歌声の密度に限定した場合はシングルの方が濃いです。
2016年のアルバム『ましまろに』発売当時、CDとアナログ盤、そしてカセットテープの3形態でリリースされました。
限定生産だったアナログ盤は既に売り切れですが、中古を探して聴いてみるのは価値アリです。デッドストックもあるかもしれません。
アナログ盤の方にはCDには収録されていないインストが1曲追加されています。
本作のジャケットデザインをレコードの30cmのサイズで見た場合、もう完全に絵画です。部屋に飾りたくなります。
ましまろのゆるい感じが音のぬくもりになり、レコードから出てくる音を実在感のあるアナログサウンドにしています。
カセットテープはライブ会場での販売。
こちらもインスト曲が追加された11曲入りで限定生産だったため既に完売。
カセットこそがましまろのメンバーが発表したかったこだわりの『ましまろに』です。
レコードとは対極のサイズ感。カセットは手に馴染む小さな形が可愛らしい。
このサイズでジャケットを見た場合は、ずっと手に持っていたくなります。
個人的に音はアナログの極みだと感じます。
マーシーがましまろはアナログ盤ありきで制作していて、CDはおまけだと熱いこだわりを語っているのが印象的でした。
本作に限らず、アナログのポテンシャルって相当なものです。「ただ古いだけ」のものではありません。演者の意図がねじ曲がらずそのまんま聴こえてきます。
とは言え、CDが悪いということは一切ありません。
間違いなく他とは差別化された“極上のアナログサウンド”を真心で楽しめます。
音に体温がある感じ。
全10曲で、なんと34分。
30分ちょっとで1枚の作品を聴けるというのは、集中して聴ける絶妙な長さなので私は大好きです。
近頃ありがちな、つまらない曲ばかり無駄に1時間以上あるとかちょっと無理。
1枚のアルバムが70分とかだとすぐに気が重くなって、ほとんど聴かない私的廃盤になってしまう。
その点『ましまろに』は最高で、何度も聴く名盤になりました。
70分だと『ましまろに』なら2回聴けます。
しかも曲ごとに、それぞれの物語の色がある。
濁りのないアナログサウンドは強烈に刺激的です。
M1「朝」
作詞・作曲/真島昌利
1曲目はマーシーが歌います。
朝霧がかかったような音。
アルバムの始まりで、一日の始まり。
朝から無意味にうるさくない感じが、目覚めの1曲にふさわしい。
寝起きの放心状態のまま楽しめるのが特徴。
ゆったりめのテンポ。
滑らかに流れるメロディ。
1stアルバムにはなかった“歪んだ”エレキが雰囲気を決定づける朝霧アレンジ。
いきなり、新しい「ましまろ」を感じます。
聴くとゆっくり徐々に脳が覚醒していくのを誰でも実感できる歌。
マーシーが奏でる“始まり”のアコギが鳴り響くイントロ。
この音は朝の目覚ましに適してる。
続いてベースが入って、ドラムとエレキも加わると一気に音場が広がる。
ベッドから体を起こす合図です。
中森さんのエレキの音色が、この曲の朝霧になっていると感じます。
または朝の放心状態の音とも言える。
この1曲目を歌い出したのはマーシーだった。
なんとも力強く、屈折せず真っ直ぐに、ななめに新しい朝を歌ってる。
歌詞は直接的ではなく比喩的に繰り出される言葉が非常に耽美。まだ寝ぼけた意識にふわっとしたアート性が入ってきて心地良い。
朝の心には邪念がないからスムーズにくる。
メロディの滑らかさとテンポの緩やかさが、起きてまだハッキリしない自我にぴったり。
徐々に上がっていくのが魅力。
アルバムの1曲目以外にはちょっと合わない。
控えめに入っている真城さんのコーラスも、朝の高くはないテンションにリンクします。
少しずつ活気が湧いてくる慌ただしくない朝。
この歌には、寝て起きて新鮮になった朝の脳でこそ感じる希望がある。
強制的なラジオ体操にはない朝のリアリティ。
ななめに新しい今日が始まった。
マーシーのソロアルバム『Happy Songs』に同名異曲が存在します。まったく別の曲ですが、どことなく雰囲気は似ています。
歌詞:朝の放心状態が気付く大いなる希望。
思いきった表現という感想。
かなり短い歌詞ですが、自分の底の方からゆっくり静かに活力が湧いてきて新しい日を始めるきっかけになります。
特に2番の斬新な歌詞に衝撃を受けました。
“ななめに新しい”とか私が40年以上は生きてきた時間の中で初めて触れた感性です。
当たり前に迎えた朝は昨日の続きとしてやって来たのではなく、昨日とは違う“ななめに新しい”今日だったんだという発見。
同じ朝じゃなくて“ななめに新しい”のだから毎日にウンザリする必要なんてなかった。
これこそが朝の自然体。
たった一言にどれだけ救われるんだ。
M2「さがしもの」
作詞・作曲/真島昌利
ボーカルを真城さんに交代して、心が弾む楽しい曲調。
前の曲「朝」で効果的にかかっていた霧が晴れて、スッキリした気分に一変します。
今度は遊びの始まり。
中森さんのスライドギターが曲の楽しさを決定的にしてる。感情的で上手すぎる。
軽い足取りで歩く時のテンポ。
自由な気持ちが際立った明るいメロディ。
音が跳ねまくった小気味よく身軽なアレンジ。
絶対にこれは楽しめると悟るイントロは、短めですがそれぞれの楽器が飛び跳ねてます。
真城さんが子供のような無邪気さたっぷりのボーカルを聴かせて、病気になってる場合ではなくなってくる。
期待してください。
たったの一節だけで心が健康になりますから。
はじめに歌うのは“無色透明”という歌詞。
日常的な他人との面倒くさい事柄にて染まってしまった変な色は一瞬で無くなります。
バンドの演奏は丁度いいポジティブな音。
誰かの傷付いた世界さえ洗い流す光。
1番のサビからはマーシーのコーラスが存在感抜群に入ってきて曲の厚みと深みが爆発。
2人の声が合わさると、途端に増す弾力。
唯一無二なマーシーの歌詞の「聴こえ方」は、他のミュージシャンでは感じられない遊び心を目一杯に楽しめる。
本を読みながら心が大きく動いた時の感じ。
必ずしもすべての歌詞の意味を理解しながら聴く必要はありません。
言葉から感じたままが心地良い。
間奏では中森さんの豪快なスライドギターが炸裂してます。プロフェッショナルのとんでもない技術と、突きせぬ遊び心が満載です。
マーシーの演奏による明るい色のハーモニカも入って更に盛り上げる。
この間奏、風景がキラキラして見えます。
曲の後半も真城さんとマーシーの歌声が楽しく響いて、心をジャンプさせる。
2曲目にして気持ちは既に快感。
「さがしもの」を聴くといつも、なんだかよく分からないけど楽しくなってくる。
ワクワクしちゃってるのかもしれない。
ここには絶対的な自由があるからだ。
入ってくる音の入り口は耳、たどりつく言葉の行き先は心です。
さがしものは見つかりそう。
探していた“心が喜ぶ音楽”なら見つかった。
歌詞:児童書のような興味深い短編の物語。
すべての「大人向け」のコンテンツに飽きたりウンザリしてる人には超刺激的。
音楽の歌詞とは、こういうものが聴きたいと納得するほどに優れた感性。
どの場面も本の挿絵が頭の中には浮かびます。
最近流行りの音楽は直接的すぎるし説明しすぎだと感じてしまいます。これは好みの問題ですが、もっとフワッとしていてほしいような気がする。
音楽にあんまりにも正解ばっかり求めると、つまらなくなるのは明白。
“自由に 歩いて さがしもの”
サビのこの歌詞で歌っているように、自由に歩いて自分の感性に合ったものを探すのはワクワクすることだと思いました。
2曲聴いただけで自分の心がいい感じに前向きになっているのにも気付けます。
M3「けあらしの町」
作詞/真城めぐみ・作曲/中森泰弘
3曲目にしてグッとくる叙情的な雰囲気が映える歌が登場。
何かが込み上げてくるような、グッと噛み締めてしまいたくなるような奥深さを感じます。
この曲のみマーシーではなく、真城さん作詞の中森さん作曲です。
特に歌詞は個性的な言葉が印象に残る。
沁みるメロディとアレンジは心の深いところを刺激します。
マイナー調の風情。
オルガンのようなエレキギターの音色が特徴的です。私は最初「この曲オルガンが入ってるんだ」と思ってしまいました。特にサビ。
真城さんが真心を込めて歌う。
だから歌詞の一行目から物語が始まります。
過去に吹いていた湿った風が今ここにも吹いていると感じる演奏。
センチメンタルなアレンジがそれぞれの場面にまた独特の画質をした映像を映し出してる。
わりと感傷的な耳触りをしてます。
とは言え、一筋の希望の光が差し込んでいるのもしっかり感じます。
そこら辺にはない特別な聴きごたえ。
間奏では中森さんのエレキが目の前の空気をクルクル回してる。
バッキングのマーシーのアコギは繊細かつ力強い響き方。
マイナー調のギターソロのラストに鳴るフレーズは、新しい季節が始まる明るい光が差して希望が満ちます。
間奏後の3番で新しい季節の始まりを告げた。
最後の最後にマーシーの情緒あるアコギの音が空間に響いて、スーッと優しく消えてった。
今という“新しい季節”に意識が戻った感覚。
誰も失望していないと断言できる。
この音はましまろにしか出せない水彩画の色をしてる。決して濁っていない淡い感じ。
そこにはわずかにだけど、全員に見える光の色が入ってる。
聴きながら心が暴走する人はいません。
ちょっとだけしんみりとはするかもしれないけど、悲しいとは違います。
これまで聴いた事のない趣のある1曲。
タイトルの「けあらし」とは聞き慣れない言葉でした。むしろ初めて聞きました。当然その意味を知りません。
けあらし(毛嵐)
海面から立ち上る水蒸気が、陸上からの冷たい空気に触れて発生する霧。川・湖の場合にもいう。厳冬期の北日本に多い。
それまで知らなかった言葉を音楽の歌詞で覚えるというのは意外と多いです。それも彼らの音楽が持つ興味深さの一つ。
歌詞:一言で表すと美しい叙情詩。
Aメロ×1、サビ×2の3ブロックしかない短めの歌詞ですが、歌から感じるイメージは2時間の映画並み。
物語を読む時の感覚に近い。
真城さんの歌詞の世界観が、どこか切なさのあるようなメロディとアレンジにばっちりハマっているのが印象的。
実はこの曲の歌詞にはもうひとつ聞き慣れない言葉が登場します。「人いきれ」まったく知らない言葉でした。
人いきれ
人がたくさん集まって、体から発する熱や湿気が立ちこめること。
作詞した真城さんの歌詞は超個性的でインパクトがあります。
続く歌詞では台詞を書いた時にブルースがからまっているのではなく、空回っているという表現が物悲しさまであってジーンと来ます。
憂鬱という意味合いのあるブルース。そんなブルースまでが空回るとは、心の深いところ、繊細な部分での感じ方なんだろうなと私の心には伝わりました。
全体的に切なさを感じますが、ラストの言葉には大きな希望あり。
M4「ひき潮」
作詞・作曲/真島昌利
非常に繊細で、とにかく美しいです。
澄んだ細い感じのアコギの音から始まり、真城さんの柔らかいボーカルが忙しない心に触れてきて落ち着けます。
真城さんの歌声は実在感ありすぎ。
高音質録音。
とても短い曲で1分15秒しかありません。
途中からはバイオリンが入っていて、この曲の雰囲気にピッタリ合った優雅な音にうっとりします。
ボーカル、ギター2本、バイオリンでの演奏。
快く聴こえてくる麗しいアレンジ。
これを聴いたらもうイライラしてる場合じゃないです。休日に聴けば平日のストレスなんかスッと静かに消え去って、穏やかな一日が過ごせます。
パートナーと2人して“ならんで すわって だまって”聴くのが理想的。
海にいてゆったり流れる時間を過ごすテンポ。
曲自体は短いですが、今流れている時間はゆったりしてると誰もが感じそう。
これを聴きながら急に走り出したくなっちゃう人は多分いません。
真心のままでパートナーと並んで座りたくなると思います。
角も立たず一切の悪意もない柔らかく滑らかなメロディ。
メロディは短めの1種類のみ。
一部では歌のキーが上がって抑揚がついているので単調にはなりません。
「ひき潮」はコーラスも真城さんが担当。
すべてを“美しさ”にこだわったのか、美麗な仕上がり。
この音楽から極上の美しさを感じたなら、それが何よりも健全な反応です。
美しすぎる。
これは恋の映画の1シーンになりうる。
無責任な「愛してる」じゃなくて、真心での「大好き」が合ってます。
穏やかな気持ちで過ごしたい休日のベストチョイス。
歌詞:海の風景。2人でいてそこに言葉はなく、あるのは波音だけ。
この歌詞もやはりとても短いですが、感じることは多くあります。
それは言葉が美しいということ。
“ならんで すわって だまって 休日”
最後の歌詞でこの日は休日なのだということが明かされます。
こんなにも静かで、隣に並んで座っている誰かの存在が大きな休日は幸せそのものです。
自分の心で選んだ相手とだからこそ、特別に見えた風景。
一文字も騒がしさを感じないのが私にはグッと来ました。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
『ましまろに』アナログ盤には「ひき潮」の後に5曲目として「ひき潮(inst)」が収録されています。
つまり、アナログ盤はCDより1曲多い11曲入りです。(カセットテープ版もアナログ盤と同じ11曲入り)
「ひき潮(inst)」とは、単なるカラオケではありません。
「ひき潮」の歌のメロディをビブラフォンが奏でます。ビブラフォンは中森さんの演奏。
要するに、真城さんのボーカルが中森さんのビブラフォンになったインスト曲。
レコードとカセットテープの場合は、これが入ることによりアルバムの癒されポイントが増えてます。
穏やかで優しい演奏。
M5「ナポリの月」
作詞・作曲/真島昌利
前の曲「ひき潮」で、優しく落ち着いた気持ちになったムードを壊さない穏やかなアレンジが映えます。
聴こえてくる音が私をナポリの夜の椅子に座らせてくれます。外にいて優雅な気分。
決して急がないのどやかなテンポ。
美しい言葉がたくさん聴ける風流な歌詞。
日本では見れない異国の月が歌う風情のあるメロディ。
ましまろの音でしか感じることの出来ない優美なアレンジが際立ちます。
心を解放する時間です。
キレイな色の絵の具をサラサラ塗っているようなアコギの音が心地良くて穏やかな気分。
エレキの音には独特の浮遊感が漂って、体がわずかに空中に浮くほどの特別な聴き心地。
いい具合に強弱の効いたビブラフォンも入って芸術性を一段と高揚させます。
イントロが鳴った途端に異国の空気感。
真城さんの包み込むような歌声は、物語の読み手だけがくれる安心感になってる。
安心してください。
この歌は絶対に暴走しない。
歌の内容は日常的ではなく空想的だから、聴いている間はトキメキのない心のルーティンから外してくれる。
またもや歌詞の一言ずつに柔らかい画質の映像が付いくる。
美しいのと同時に優しい。
一瞬たりとも私の存在を否定されません。
私もナポリの夜の椅子に座るのをさりげない笑顔で受け入れてくれる。
サビでは歌に少しだけ力が入って、ましまろにグイッと手を引っ張られ、そこにドッシリと腰を下ろす嬉しい気持ち。
そこから自由気ままなナポリの月が見えます。
間奏はビブラフォンのソロで、異国の香りと明かりを感じる。
その音がこの曲の超重要な名場面になる。
日本とは違うナポリでのゆったりした時間の感覚と、ナポリの月を囲むたくさんの星を見てる感じ。部屋に飾っておきたい風景。
こんなにも優美な風景のある音楽は聴いた事がありません。
ましまろでしか成立しないとっておきの魅力。
セレブに近い気分にも浸れる。
その気持ちはまったく貧乏くさくないです。
歌の穏やかさと、言葉から伝わるロマンチックな気持ちがポイント。
曲が醸し出すあまりの美しさに、真実ではないいつもの不安など入ってくる余地なし。
歌詞 :今ここがナポリの夜になる鮮明な描写と、深く美しい感受性が見事。
すべての言葉から、のどやかな印象を受ける耽美な歌詞。
可愛げのある生き物も登場して言葉の美しい児童書を読んでいる時の感覚。
1番では美味しそうなビールも注がれる。
ひとしぼりという言葉に反応せずにいられなくなりました。歌詞の状況を実際にそこで体験したくなる。音楽の影響力ってすごい。
何度かナポリの月の見え方について歌います。
“ナポリの月”は自分優先で細かいことは気にしなそうな自由な感じがすごく優雅です。
私にまで心の自由を用意してくれた。
M6「遠雷」
作詞・作曲/真島昌利
ましまろのセカンドシングル。
シングル曲ということで、やはり特大のインパクトがあります。
アコースティック調で相当な深みのある曲。
感慨深いギターの音が心に染み渡ります。
落ち着いた暗めの音が心の奥の方を鋭く刺激してくる魅力。
歌の天候としては確実に雲がかかっていて薄暗いです。
遠くの空で雷の音が鳴ってる曇り空をそのまま音にしたリアリティなアレンジ。
感傷的なメロディは繊細さを伴います。
最大の特徴はセンチメンタリズム。
目の前の物事を感じやすく、感情が動きやすいという様が曲から伝わってきます。
何より自分の感性を大切にしている態度。
そういう部分が表立って、聴いている自分の心を直撃するから初めて感じる特別な感覚を体験します。
カウントのようなドラムの合図で演奏開始。
大雑把さはまったくなく丁寧な演奏。
イントロのギターのフレーズで一気に惹き込まれる「遠雷」が鳴る世界。遠くでは雷が鳴っているのを音の雰囲気から感じます。
ギターの音がすこぶる美音。
歌い出した真城さんは、無意味な明るさは控えた真摯なボーカリゼーション。
心がわずかにキュッとなるかもしれない。
でも大丈夫。暗すぎて気力が失われる陰湿なフォークとは明らかに違う。
真城さん自身の明瞭な雰囲気がしっかり聴き取れます。
1番でのボーカルは真城さんのみ。2番からマーシーも入って更に音の厚みと深みが増す。
ましまろの魅力が最大限に発揮される。
マーシー、コーラスの引き立て方が最高すぎる。いつでも心を鷲掴みにされちゃう。
とんでもなく感情的。
サビのツインボーカル部分なんか2人が同じ感情で歌ってるのが鳥肌ものです。
この曲は間奏なしで、アウトロが少し長め。
イントロの後は、ブレイク部分はなく歌がまとめてあって、細やかなアウトロへ繋ぐ。
曲の魅力を抜群に引き出すこの構成は秀逸。
何度聴いても心が動きます。
アウトロではやっぱりセンチメンタルなメロディを奏でるギターが最後に沁みる。
ひとつの物語を聴いた満足感。
この歌、
痛みを感じる程の“深い”刺激を体験できる。
歌詞:一言ずつがドシっとしたエネルギーと奥深さを持った「詩」です。
マーシーのかなり深い思考と優れた感受性が見事に披露されてる。
自分の心との対話のような聴き心地。
聴覚の浅い部分ではなく、心の深いところに言葉が入っていく感じ。
音楽の「詩」として究極的。
映画を観たような感覚にもなります。
一言一句が大きなインパクトを持ってる。
“カラスの休日”とか斬新な表現で強烈に記憶に残りました。他の音楽ではこういった一発で心に残る歌詞には出会えません。
至極芸術的な表現の歌詞ですが、誰にでも共感できる哲学的な要素もあります。
M7「ローラー・コースター」
作詞・作曲/真島昌利
とびっきりに明るい曲の登場。
救われる傷付いた心がきっとたくさんある。
遊びに出掛けたくなる軽やかサウンド。
ここからの3曲は軽快なアレンジが続いて心が弾みます。
叙情的な雰囲気から一変してキラキラして明るく軽快な曲。キーボードも入っていてなおさら盛り上げます。
音から希望の光が溢れてる。
今日を生きるということにワクワクする気持ちを感じさせてくれる曲だから、重要です。
心の跳躍力が倍増する元気なアレンジ。
全国民に適用されます。
難しく考えすぎる思考を打破するメロディ。
追っかけのコーラスとか最高です。
大いなる好奇心からつい小走りしてしまった時の快活なテンポ。
人生での失敗は止まってしまう事だけだと気付いてしまえます。
印象的な音のエレキのメロディが空間を飛び交うイントロ。
今この瞬間を思いっきり生きるための土台になってるアコギは堅実な音で鳴ってる。
ひらひらしたキーボードも聴こえます。
曲のキラキラした感じや軽快な印象はキーボードの音が一役買ってる。
大きな笑顔で元気に歌い出した真城さん。
言葉が美しいし、歌声に希望を感じる。
2番からコーラスが入って曲にまた新しい光が注がれます。ましまろのコーラスセンスの優秀っぷりが見事です。
必ず誰かの心を動かす。
この人たちの心のあたたかみとかを感じて優しい気持ちになるし、自分のテンションが一つ上がった実感が嬉しい。
キャッチーなメロディのサビはリードボーカルをマーシーにバトンタッチ。
力強く、好奇心に溢れ、頼もしい限り。
真城さんとマーシーの2人の歌は真心が込もりすぎてて、興奮した私の心は爆発寸前。
2人して感情的な歌をうたう。
なんかもう、歌の一文字ずつから凄まじいパワーを感じる。
何これ!どういうこと⁉︎
ただの音楽なのに非常事態ぐらいに心が動く。
個人的にはこういうことが“ましまろ”の魅力なんだと感じています。
力は抜いても、最大限の心を込めている。
この歌、いい具合にちょっとだけ激情します。
歌詞:可愛らしい動物がたくさん登場する希望に満ちた絵本のような聴き心地。
言葉が美しいマーシーならではの比喩表現。
いい事もそうでない事も、毎日いろんな事が起こって楽しめるというワクワク感。
思わず冒険したくなる好奇心をくれる。
心を外へ連れ出しそうなラストのサビの歌詞には、強いプラスのエネルギーを感じます。
自分のままでいいんだなと安心してしまえる歌詞です。信じられないほどの活力をくれる音楽のパワーがあります。
聴けば今日を生きる気力と勇気が湧いてきて、余裕で死なない理由になる。
M8「成りゆきまかせ」
作詞・作曲/真島昌利
心がスッと軽くなるポジティブソング。
真城さんが言葉を一つずつ大切に歌う。
自分には魅力がないと思い込んでいる誰かの心を救い上げる。
落ちた気持ちを音楽が頼もしい腕で掴んで、グイッと引っ張り上げてくれます。
いい意味で開き直ることが出来る重要曲。
歌の視点が地球にまで広がっているし、鳴ってる音も広々として楽しさ抜群。
心が一瞬でポジティブになる軽快なテンポ。
今日は何が起こるのかとワクワクしちゃうメロディ。
目の前のことをありのままに受け入れる積極的な歌詞。
歌詞、メロディ、アレンジから受ける好ましい印象があります。それは妙な期待はせず、すべてを受け入れるという最強のスタンス。
地球に好かれる神曲の始まりです。
全部の楽器が弾んで、いきなりポジティブなフィーリングのイントロ。
リードボーカルは真城さん。
ハッキリとした発音で一つずつの言葉がワンランク上の響き方をします。
突きせぬ遊び心で歌っているから。
どん底にあった心さえも急上昇させる明るい音のする演奏。どこにもつまずかない滑らかさもあります。
中森さんのエレキが楽しそうにはしゃいでる。
ポジティブ加減をこんなにも音で表現できるのは、プロフェッショナルの奇跡。
Bメロではマーシーたちのコーラスが入って、心に響く音色が増えます。
上手すぎるし、絶妙すぎる。グッときた。
私のハートにはヒビが入った。
サビは真城さんとマーシーが思いっきり力を込めて歌う。
「成りゆきまかせで」
たったの一言だけど爆発的なエネルギー。
間奏はなし。
最初から最後までなめらかな歌のメロディが途切れず連続していく。
3分を切る短めの歌でした。
そこから得た積極的に行動する影響は、思いのほか多大です。
普段は忘れてしまっているけど、明日がない可能性だってあるんだし。明日のことばかり考えすぎだった。今日のための今日。
「今ここマインドフルネス」的な効果。
抑うつや不安の解消にピッタリ。
歌詞:その発想はなかったと驚愕するほどの言葉がインパクト絶大です。
“地球が君を好きなんだってかわいいね”
なんだこれは!マジかよ‼︎
地球から見たら、自分なんかすごく小さくて透明な存在だと勝手に思い込んでいたけど、そうじゃなかったんだ。
なんだ、地球ってオレのこと好きだったのか。それはとってもかわいいね、とか思って生きてる方が幸せです。
この歌詞にはハッとしました。
そして心が晴れ晴れしてしなやかな気分。
歌詞は全体的には抽象的というより、ましまろの魅力である比喩的な表現が秀でていて、感性を刺激します。
今日は成りゆきまかせがいいかもしれない。
M9「妙なねじれ」
作詞・作曲/真島昌利
交互にメインボーカルをとる真城さんとマーシーの掛け合いのボーカルは必聴です。
ボサノバアレンジ。
どちらかと言うとノリノリのボサノバ。
マーシーの歌声がソロ2ndアルバム『Happy Songs』の頃のまんまだなぁとか思って急に嬉しくなりました。
アルバム終盤にして心軽やかなボサノバアレンジなので、すっかり重い気分なんかもう思い出せないほど遠くに消えてしまう。
歌の内容には照れた恋心が登場します。
言葉がロマンチックです。
全体的な音は「洗練された」という印象のあるサウンド。AORなんかに感じる都会的な耳触りもしてる。
颯爽と始まるイントロ。
キーボードが入っていて、イントロから爽やかな風を吹かせてます。
まずは真城さんがAメロを歌う。
明るめの歌声で、少しの切なさを感じさせる言葉を歌うギャップにインパクトがある。
2番からはマーシーも加わります。
柔らかく歌う真城さん、感情的でガッチリと歌うマーシー。男女ツインボーカルの極み。
サビのリードボーカルはマーシーが担当。
マーシーの芯の強い歌が聴けます。真城さんの伸びやかなコーラスが心地よく響く。
私のようにマーシーの歌を求めていた人には、この曲はバッチリ刺さります。
イメージしているマーシーのボーカルスタイルそのものだからです。これは期待以上だと随分と興奮すると思います。
真城さんとの組み合わせで新しい魅力爆発。
中森さんは超絶技法にて、間奏とアウトロのギターソロで大活躍。
クリーントーンのエレキが空高くまで響いていきます。間違いなく活き活きとしてる。
この歌は、聴いている間に何度もハイライトに出会うような特別感あり。
2ndアルバム『ましまろに』の名場面。
それにしてもこの曲のタイトルは独特です。
普通ではない妙なタイトルで、そこら辺にありふれていない。
「妙なねじれ」とは、照れた恋心がためらわせた瞬間のことなのかもしれない。
歌詞:軽快な曲調とは裏腹に、ちょっとだけ切なさのある歌詞が印象的。
可愛らしい恋心が絡んだ胸キュンの魅力。
状況と心情が鮮明に伝わる表現力。
全体からなんとなく薄っすらと迷いや後悔なんかも感じて、それが歌詞のアクセントになってます。
こういうわずかな心への引っ掛かりが、音楽から意識を逸らせない興味深さ。
最後の歌詞で“こんがらがってるだけだよ”と自分を理解しているのが、きっと乗り越えるきっかけになるんだなとポジティブな気持ちになりました。
自分を客観視できるのが素敵。
現実の事ではあるけど、興味を抱けない他人の生活感とかは一切感じない。
言葉での表現の美しさが唯一無二だからです。
M10「わたりどり」
作詞・作曲/真島昌利
アルバム最後の名場面。
わたりどりが大事な何かと何かを繋げます。
ラストにふさわしくしっとりしてる。
1曲目の「朝」からスタートして、ラスト曲の「わたりどり」を聴き終える頃にはすっかり心が戻ってきてゆっくり休もう、おやすみなさいと日常の混沌から解放されています。
ネガティブのない穏やかな気持ち。
アルバムから聴こえてくる歌声についても、真島さんがメインボーカル(コーラスも本人)の「朝」から始まり、真城さんがメインボーカル(コーラスも本人)の「わたりどり」で締め括る構成がたまらなく好きになりました。
心へ広がるエレガントなアレンジ。
電気的でない心地良いアコースティックな音の響きにうっとり。
説得力のあるゆったりしたテンポ。
ラストに心を整えてくれる上質なメロディ。
上品なバイオリン入り。
至高のアナログサウンドが穏やかにアルバムを締め括る。
イントロはアナログサウンドの体温を感じるやんわりしたアコギ。
音が潤ってる。
心まで潤わせるのが品のいい真城さんの歌。
ラスト曲はマーシーのコーラスは入っていませんが、真城さんの圧倒的に心へ響く存在感抜群のボーカルを堪能できます。
吐き捨ててはいない丁寧な歌が、安心感まで与えてくれているように聴こえます。
決してテクニックではなく、演奏やフレーズを奏でているその感性にしっとり感がある。
この人たちにしか鳴らせない音の潤い。
間奏のギターソロでは、わたりどりが遠くから運んできた“光”が世界に差し込んでる。
ほとんどの人が全身全霊をこの歌に預けてしまいたくなると思う。
音楽は耳で聴いて、心で感じるもの。
必ずそれを体験できます。
演奏時間が2分46秒と短めなのがポイント。
妙な後腐れはなくとことんスッキリ。
なんだか、心がとっても優しい。
歌詞:わたりどりが運んでくる心と心の繋がり。
最初に歌詞カードを見た時の印象は「詩」です。詩集に掲載されていたら確実に大きなインパクトを与える麗しさ。
言葉が心へ触れてくる音楽の歌詞。
アルバムラスト曲の歌詞には、繋がりとか世界は回っている事とか人の歴史とかをおぼろげに感じました。
誰かから誰かへ繋げていきたいもの。
エゴで止めるべきではない大事な何か。
実は「わたりどり」という言葉は歌詞には登場しません。その上でここまで「わたりどり」をイメージさせるのは驚異的です。
“ましまろ”の心がわたりどりになって何かと何かを繋げているのかもしれません。
それは、ましまろから私に繋がった心です。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
みんなが美しい詩人の気分になったところでアルバムはおしまいです。
聴き終えるといつも感じます。
有意義だった。
「満足」ほっこり
最高の美しさと温かみのある、聴覚と感性に優しいましまろの2枚目のアルバムでした。
デジタルではなく、絵の具で描いた水彩画のようなぬくもりを持った音が、疲れたネガティブな心を吹き飛ばし、自然な心の状態を取り戻せる“ましまろ”の情熱。
日常のストレスで凍りついた心が、アルバムの音のぬくもりによって、あっという間に解凍されました。
不自由になった心がもう一度自由になるきっかけが、このアルバムの音の中にあります。
デジタルは疲れます、アナログは癒されます。
CDとレコードという意味ではありません。
緊張していないアルバムの音作り。
アルバムの音自体がアナログのみを感じさせるということ。
演者の心が聴こえてきます。
インタビューではましまろは「期間限定」ではなくバンドだという意識でやっていると語っていました。
メンバーそれぞれの別のバンドとの兼ね合いもあるので、ましまろをメインではやらないでしょうけど、いつか3作目が発表されたりするかもしれません。
↓はマーシーやっぱりレコードで聴いてるんだなと感激した動画です。ましまろのメンバーが聴いている音楽を語る短めの動画です。
シングル「遠雷」カップリング曲
こちらのシングルはCD、アナログ盤ともに同じ曲数、同じ曲順です。
このシングルは基本的に“STEREO”ですが、3曲目の「天国の扉」のみ“MONO”での収録と胸熱ポイントになっています。
アナログ盤の方は45回転で音圧が高くかなりの高音質。
※カセットテープは発売されていません。
カップリングの2曲、アナログ盤の場合はB面がマーシーボーカルなので、あなどれないシングルです。
タイトル曲「遠雷」はアルバムに同じものが収録されていますが、カップリングの2曲はアルバム未収録です。
続きまして、それらの曲のレビューもしたいと思いますのでよろしくお願いします。
シングル「遠雷」収録曲
1. 遠雷
2. 海と肉まん
3. 天国の扉
※アナログ盤は2、3がB面です
アルバムではマーシーはコーラスはたくさん歌っているとはいえ、単独でメインボーカルをやっているのは1曲目の「朝」だけでした。
もちろんアルバムを通してマーシーの歌声がたくさん聴こえてきました。
このシングルではカップリング2曲でメインボーカルをやっているので、私は勝手にシングル「遠雷」の方を“マーシーサイド”だと思って聴いています。
M2「海と肉まん」
作詞・作曲/真島昌利
マーシーが感情的に歌う。
注意:強烈ですので心して。
海へ行くはずだった計画を、肉まんを食べてあきらめる、マーシーならではのシュールな世界観。
それがある日の物語になっていて興味深い。
足取りの重いテンポのブルース調。
曲調にはポップなとっつきやすさは控えめですが、この歌声が聴きたかったんだという度を超えた満足感があります。
かつても憧れ興奮して冷める事もなかったあの歌声が今も心に響いてると実感しました。
好ましい重みのあるハーモニカ入り。
気怠いブルースのメロディ。
マーシーのものすごいシャウトが冴えてる。
気怠さを感じるゆったりしたテンポだからこそ一音ずつが凄まじいインパクト。
決してダラダラした印象ではありません。
むしろ破壊力があります。
太いベースが割と前に出た音像。その音から心地良い古めかしさを感じて、リアルなブルースの聴き心地を実現してる。
マーシーはアコギとハーモニカを携えたブルースマンの風貌。
激ヤバなボーカルがグッサリと心の奥に刺さります。異常に刺激的。
アコギを弾きながら歌い、アコギを弾きながらハーモニカを吹く。
そのスタイルでマーシーが目の前に出現する生々しいアナログサウンド。
とても濃厚だし重厚だ。アホな顔した軽々しさがどこにもない。ブルースへの情熱と激アツの感情が入っていて、魂まで聴き取れる。
こんなにもスリリングなボーカルスタイルはこの人にしか感じない。
その独特な歌声で、身近な心情を歌った歌詞とのギャップが萌えポイントです。
アレンジと歌詞の間に感じる、気怠さとほのぼのしたストーリーの対極性。
曲自体がその対極の真ん中を突き進むという奇跡的な聴き応え。
間奏では中森さんのエレキがキリッと炸裂。
マーシーが歌っている間はそんなに主張しないエレキ。しかし中森さんの音がなかった場合、ブルースにならないくらい重要な役割を担ってる。
古いブルースで聴いた人情味爆裂のエレキを忠実に再現したような特別な音。
この歌、一言で表すなら「ブルース」です。
いわゆるブルース。
しかし、ましまろがやると猛烈なインパクトを放つスペシャルなブルースになる。
歌詞:12月の夕暮れ、リアルな心情。
ブルースだから共感しやすい身近な内容です。
海へ行く日の出来事とその瞬間の心情が独特の感性で綴られていて、ついうっかり惹き込まれてしまう歌詞。
非常に興味深くて、誰も聞き流すということが出来ません。
終盤では肉まんを海としてあきらめます。
日本語でのシュールなあきらめ方にジャパニーズブルースを感じました。
ブルースとは言え、憂鬱すぎないいい感じ。
クスッとする可愛げのある内容。
M3「天国の扉」
作詞・作曲/Bob Dylan
日本語詩/真島昌利
ボブ・ディランの名曲のカバー。
特記事項:シングル3曲目で急に音場が変わります。なぜならこの曲だけMONO(モノラル)です。
という訳で、
このシングルは“STEREO”と“MONO”のハイブリッドになります。
悪いけど、これ相当いいです。
ボーカルとアコギとハーモニカ。
前半はマーシーのソロ演奏になってます。
後半には真城さんのコーラスと中森さんのエレキも入って“ましまろ”らしさが爆発する。
オリジナルのボブ・ディランの良さをまったく損なわず、マーシーカラーが突出した驚愕のカバー曲です。
なんと言ってもマーシーの日本語詩が最高。
すべての言葉が異常なインパクトを持って、心に刺さってくる。
アコギを抱え、ハーモニカをぶら下げてマーシーがフォークシンガー風に歌う。
マーシーのボーカルは少しボカしたようなエフェクトが掛かった音。拡声器から出ている音のような印象でもある。
まだ世に“STEREO”が誕生していなかった頃の味のあるモノラルサウンドそのもの。
音が少し割れ気味なのが生々しい。
「天国の扉」が超名曲なのは確実です。
マーシーが歌うと世の中の嘘が消えるほどのリアリティ。
言葉では語れない特別な魅力。
この歌の魅力を表す適切な言葉が見つかりません。それくらい並外れているということ。
自分の耳で聴くもの。
そして自分の心で感じる歌。
一つだけ断言できるのは、マーシーの感性でしか表現できないまっすぐな世界。
歌詞:マーシーによるブッ飛んだ日本語訳詩。
こんなにもストレートすぎる日本語訳に出会ったことがない、初体験の衝撃。
マーシーが90年代にやっていたソロ活動では、特にライブで洋楽をマーシー作による日本語詩でカバーする事がよくありました。
あの時に楽しめたのと同じ感覚がこの歌詞にもあった。
特にサビの度肝を抜かれる歌詞は強烈。
日本語の言い回し。
この感性たまらない。
心にブッ刺さりすぎてあの世のドアを開けてしまわないように気をつけなきゃ。もっともっと心に響く音楽を聴いていたい。
説明できない、何だかわからない興奮。
必ず心が動く。
天国の扉は開かなかったとしても、、、
飛ぶぞ!!!
まだ聴いていない場合は安い中古でも探して楽しんでみてください。
「遠雷」のシングルは、必ずグッと来ます。
ましまろのシングルはレコードは発売されたものの、カセットテープは出ませんでした。
そこで私は、1st & 2nd シングルをまとめたミニアルバム的なカセットテープを手作りしました。
当然、アルバムとは違う内容なので新しく楽しめます。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。