こんにちは。
『BIMBOROLL』は2016年リリースのザ・クロマニヨンズの10thアルバムです。
ストイックな清々しさを感じる10作目。
いつも通り今回もクロマニヨンズは何も隠さず堂々としてる。
心の名盤:全曲レビューです。
皆様どうぞ最後までよろしくお願い致します。
アルバムタイトルについて本人談
いつもそうなので答えは予想していたけど、やはりこういう感じ。
・内容とは関係ない
・アルバムジャケットが出来上がってくるとタイトルあった方が楽しいし、数字だと味気ない
・(意味は)誰もわかんない、自分たちもわかんない
本人たちが意味なんてないと断言しているし特に追求するものでもありません。
つまり、自分の感性で楽しむのが正解!
The Cro-Magnons/BIMBOROLL(2016)
BIMBOROLL(ビンボロール)は前作『JUNGLE 9』から約1年後に発売された10枚目のアルバムです。
2016年11月2日発売。
途中にわずかなブランクはありつつ年に1枚新作を発表し続けてクロマニヨンズ10枚目!
遂に二桁へ突入。
何作目だろうと、ロックンロールに初めて出会った瞬間のワクワクを体験させてくれるのがザ・クロマニヨンズ。
誰よりも先に自分が楽しんでいるのがクロマニヨンズ。
クロマニヨンズ10年目の心境⁈
いくつかの質問に本人たちが回答してます。
“10年を振り返って”
ヒロト「特に何もないです。普通ですね。」
山あり谷ありとかでもなく、あくまで普通だと言い切っているところにクロマニヨンズの“らしさ”を感じます。
健康管理や体力作りなんかも特にやってなくて「その日が楽しければいい」と笑い、やっぱりロックンロールそのものでした。
“10年前のバンド結成当時と比べて今の状況は?”
マーシー「楽しいですよ。」
ヒロト「そもそも10年前と比べたりしないしね。」
手を抜くのではなく、力を抜いてやっているということが伝わってきて、なんとなくこの人たちの考え方や生き方が分かったような気がします。
“過去は振り返らない?”
ヒロト「過去の記憶どころか未来のビジョンもない。目指すものもないんです。」
楽観主義というか、超ポジティブ思考というか、そういうところが大好きです。
クロマニヨンズにネガティブを感じたことはありませんし、それって並外れにすごい事。
何より心に刺さったのは、ウケを狙って曲を作ってなくて、自分が感動できるかどうかが基準、全部カッコいいと思ってやっているということ。
この人たちはいつも自分を基準に生きてる。
要するに彼らにとっては…
普通にやってるだけということです。

『BIMBOROLL』収録曲
1. ペテン師ロック
2. マキシマム
3. ピート
4. おれ今日バイク
5. デトマソパンテーラを見た
6. ナイアガラ
7. もれている
8. 誰がために
9. モーリー・モーリー
10. 焼芋
11. 光線銃
12. 大体そう
全編モノラル、全12曲36分。
すべてがロックンロールそのものだと感じるアルバムです。
とは言え、勢いだけでぶっ飛ばすのとは違います。ロックのリアリティをずっと追求してきたバンドだけが出せる音だと感じました。
『BIMBOROLL』の一番の特徴&魅力は、ロックンロールの“名場面”の多さです。
特徴や魅力は他にもあります。
・やっぱり一切の無駄を省いてる
・心が晴れるストイックな清々しさ
・生きる気力を与える程エネルギッシュ
・ブリティッシュっぽいアレンジが何箇所か施してある
すなわち魅力的な12通りの楽しさ。
1秒も退屈させないエンターテイメント。
タイトルで「ザ・フー」の“ピート・タウンゼント”の名前が出てきたり、公園で落としたクリームパンを水道で洗っていたら“デトマソパンテーラ”(スーパーカー)を見るとかすごくロックンロールの世界を感じます。
中野に“ナイアガラ”があったらという発想力と想像力は唯一無二で憧れです。
今回も哲学的な歌詞があったり、言葉遊びのロックがあったり、聴きどころ満載。
何でもカッコいいロックンロールにしてしまうクロマニヨンズに圧倒されつつ、次の瞬間には必ず激情しちゃってる。
中盤にマーシー作の曲が3曲並んでいるのが印象的。他にもレゲエがあったりします。
色々な要素を併せ持っているのはオンリーワンのユーモアだなと尊敬するし、いつもクロマニヨンズに求めているもの。
とにかく“名場面”が多いのです。
4人が何度も聴いて決めたであろう曲順は、とことん練ってあり、CDではなくレコードのA面とB面を意識した構成になっています。
このアルバムはワクワクする瞬間の連続。
どの場面にも遊び心が光っています。
これぞ“ロックンロール”という最高の娯楽。
ほとんど快楽。
つまり、名盤です。

シングル曲は15枚目のシングル「ペテン師ロック」が収録されています。
2016年9月14日リリース。
いつも通りCDと7インチアナログ盤が同時発売されました。
初回限定盤CDは紙ジャケット仕様。
アナログ盤は完全生産限定盤で既に完売。
どちらもmono音源。
カップリングにはマーシー作の、アパート暮らしにありがちな隣に住んでる人が気になる歌詞と、タイトル通りハードなアレンジが冴える「ハードロック」が収録されています。
アルバム『BIMBOROLL』には未収録。
ヒロト「シングルは特にこの曲じゃなきゃだめとか、アルバム用とかないんです。」
2016年、10thアルバム『BIMBOROLL』発売当時、CDとアナログ盤(LP)が同時リリースされました。
CDの初回限定盤は紙ジャケット仕様。
限定生産だったアナログ盤は既に完売。
アナログ盤はいつものコレクション性が異常に高い「60年代E式フリップバック」仕様。
いつもクロマニヨンズのジャケットを手掛けている菅谷晋一さんが表現したデザインは、この作品の世界観を見事に再現しています。
CDはそのコンパクトさに愛嬌が溢れているし、アナログ盤は30センチのジャケットの迫力に圧倒されます。
どちらも部屋中にロックンロールサウンドが響き渡る“いい音”しています。
興奮必至で迫力のあるモノラルサウンド。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ザ・クロマニヨンズ10作目。
全曲に私の心をズンッと動かす“名場面”と猛烈なインパクトがあります。
ロックンロールが胸を熱くする聴き心地。
心のネガティブなんかいつだってこのアルバムがバシッと覆してくれる。必ず覆る!
不安を感じる退屈さなんかなく、どの瞬間もワクワクすると断言します。
36分間続くロックンロールの“名場面”!!
オーライ!ロッケンロー!!
M1「ペテン師ロック」
作詞・作曲/甲本ヒロト
クロマニヨンズの15枚目のシングル。
圧倒的な音圧で迫り来るカツジの激しいドラムからアルバムスタート。
骨太なロックの名曲。
クロマニヨンズスタイルの骨太なサウンドにとても繊細な歌詞が哀愁を漂わせ、わずかな痛みなども感じつつ心へ響きます。
極度の疾走感で突っ走りながらも心をズンッと動かすヘヴィなアレンジ。
正直者だけを熱くさせるアップテンポ。
マイナーキーで、勇ましくもどこか切なさを感じる本音のメロディ。
人の心のリアリティを鋭く表現した歌詞。
私にとってはペテン師の歌というより、直向きに生きる“正直者”の歌。
イントロが鳴り始めた途端に急激な興奮です。
10thアルバム『BIMBOROLL』の扉を勇ましく派手にブチ開けるカツジのドラム。
「ジャジャジャジャッ!!」と鋭くパワフルなギターとベースが合図になり、ヒロトのハーモニカも入ったバンドサウンド突撃開始。
疾走感と哀愁の漂う凄まじき演奏。
何も隠さない正直者の歌心でヒロトが歌う。
マイナー調のメロディで心の奥までガツンと入ってくる仕掛け。
頑丈な響きをしていて衝撃的。
正直なこの歌にふさわしい堅実なマーシーのギター、グイグイと押しの一手をブチかますコビーのベース、常に強打で刺激の強いカツジのドラム。
ライブ会場なら全員が飛び跳ねてる。
並大抵でない熱量のまま短めのサビへ突入。
強く生きる男の歌ですが“抱きしめてくれ 一晩中”とサビの歌詞で見せる本音が、この世のすべての強がりを柔らかく包み込む。
間奏は激情したヒロトのハーモニカソロ。
ヒロトのただならぬ感情爆発中。
2回目のサビの直前は私への名場面。
マーシーの豪快なピックスクラッチが、私の心のど真ん中を目掛けてぶっ飛んでくる。
胸熱な神技、、、ガンギマリ!
アウトロではヒロトがキメる。
全力でブチかます激しいハーモニカが炸裂!
すげえ忙しそうだけど、ヒロト、この曲では歌とハーモニカで大活躍。心へ響いた。
ロックンロールで人を興奮させる達人。
マイナーキーのロックンロールが大きな存在感で私の感情へと突っ込んで来た!
歌詞:誰よりも真っ直ぐな男の生き様といった印象で、心の深いところへ響きます。
言葉が強く切なく心の中に入ってきて、一粒の涙と共に生きてく覚悟を与えてくれました。
サビのラストで歌う“抱きしめてくれ 一晩中”という部分には、感情へ直撃するリアリティがあります。
リアリティを伴うのは私も同じだから。
強くて生きている人間特有の“弱さ”を感じつつ、私は何かこう生まれ変わっていくための痛みまでを実感。
ペテンのない正直者の繊細な歌詞。
この曲がシングルになったのは「いつものようになんとなく」とヒロトが語っていて、すごくクロマニヨンズらしさを感じました。
M2「マキシマム」
作詞・作曲/真島昌利
2曲目、ぶっ飛ばします。
4人のテンションが異常に高いのが特徴。
「やってらんねえよ!」と今ある感情を最大限の大声で叫ぶマキシマムソング。
今この瞬間の感情が爆発してる。
じっと座っていられなくなる衝動こそ魅力。
だから自分に合わないことを置いてけぼりにしたい気分の時にベストチョイスです。
疾走感が弱音を強気に覆すアレンジ。
とんでもない秒速を出すアップテンポ。
一緒になって歌わずにはいられない図太くてギンギンのメロディ。
私の世の中に対する不満を代弁してくれる頼もしい歌詞にスカッとする。
エネルギッシュなイントロ開始。
ギター、ベース、ドラムの衝撃波が飛んできて心を撃ち抜く。
法定速度を軽く超えるぐらいのスピード感をぶっ放ちながらヒロトが歌い出した。
何の引っ掛かりもないスピーディーな演奏。
Bメロでのわずかな溜めを感じさせるアレンジは、この後のサビで最大限にブッ飛ばすための助走かもしれない。
カツジのドラム連打が合図になってサビへ。
メロディもアレンジも一気に突き抜けて遂に“秒速マキシマム”に達する。
常識なんかとっくに逸脱した秒速だ。
私は今、他人の基準なんかもうどうでもいい清々しい気分になった。
間奏のギターソロなどはなし。
2番はトチ狂ったハイテンションで最大限に盛り上がる名場面。
“オーーー!オイ!オイ!オイ!”のコーラスが気分を興奮させて一発で記憶に残ります。
その直後、マーシーの極端にエモーショナルなボーカルがフィーチャーされている瞬間は胸熱で鳥肌が立ちました。
「やってらんねえよ!!!」と感情剥き出し。
実際に演奏時間が短いですが、一瞬で聴き終わってしまってるこの感覚こそ名曲の証。
この歌、猛烈なスピード違反だ。
歌詞:マーシーが、そこら中にある退屈さを容赦なくぶった斬る快感。
“くだらねえ つまらねえ やってらんねえよ”と炸裂した感情をブチまけるのが絶好調。
1番も2番も同じ歌詞の繰り返しですが、言い回しはマーシーの個性が際立って特別な興味深さになっています。
だから言葉が私の心の奥へ火をつけるのです。
M3「ピート」
作詞・作曲/甲本ヒロト
アップテンポが続き平常心を突破する。
純度100%の「激情」そのものを鳴らすロックンロール。
ブリティッシュっぽさが施されたアレンジはヒロトやマーシーのルーツを感じます。
興奮した気持ちが突っ走るアップテンポ。
クロマニヨンズの激情っぷりに私の心も高揚していくメロディ。
ロックへの究極の熱狂を表現した歌詞。
すべての瞬間に感じるリアリティこそ魅力。
つまりこれは、作り物じゃなくて“本物”だということです。
イントロの前に心を奪われる演出、胸を熱くさせる“フェードイン”には感激。
手拍子と「ピート!」と全員で叫ぶその勇ましき姿が徐々に現れ、完全に聴き取れた時にはクロマニヨンズは既にかなりのテンション。
手拍子に合わせたドラムが鳴り始めた。
後ろの方からギターのハウリング、なんてワクワクさせる仕掛けなんだ。
歌のメロディが入る直前にぶっ飛んでくるのがマーシーのピックスクラッチ。
私にとっては今日を生きるエネルギー。
ロックに激情した歌心のヒロトは、気取らず、何も隠さず“素”のまま歌っている印象であり楽しんでいるのが丸見え。
マイナー調のBメロへ。
ロックンロールのギターに、今すぐ自分の部屋をぶっ壊してくれとハッキリ言ってしまう最高潮の気持ちを歌う。
かなりの衝撃を伴う聴き心地。
極端に短いサビ。
もう興奮や激情を超えて今この瞬間に昇天してしまったかのような聴きごたえ。
間奏はマーシーのギターが大暴れ。
長いメロディなどを弾く訳ではないけど、ヒロトの激情に感化された如きギタープレイ。
興奮のままにとにかく音を出した感じ。
マーシーのトチ狂ったテンションがきっかけになったのか、曲後半は更に猛烈な勢い。
ロックンロールは過激だ。
大爆発するほどに抑えきれない特別な感情が楽しめる歌。
歌詞:ヒロトの並外れの激情っぷり。
ヒロトがレコードに興奮している瞬間のその感受性は非常に解像度が高いのだと分かる。
それがダイレクトに伝わってきます。
“かたちじゃない 言葉でもない 夢見るときの心のような”という気持ちには、私の心が「うんうん」と頷きながら感動していた。
こういう深い感受性に私はとても共感します。
M4「おれ今日バイク」
作詞・作曲/甲本ヒロト
テンポのいいタイトル。
アクティブな雰囲気で、聴きながら急に全速力で突っ走りたくなってしまうのが魅力。
疾走感というより爆走感のアップテンポ。
私を楽しませようとする本物のエンタメ性が炸裂したロックンロールアレンジ。
不安を打ち負かす傑作のメロディ。
自分で選ぶ誠実さが光る歌詞。
マーシーの歪みギターが心のカーテンを鋭く切り裂くキレッキレのイントロ。
張り出した音で印象的なギターリフ。
そこへとインパクト絶大なコーラスが入る。
閉ざされた世界のシャッターをブチ開ける如き情熱でヒロトが歌う。
歌い出しで“勇気”や“希望”を懇願しているリアリティが特に心へ響きます。
全体的にコビーのベースが強調されたグイグイくる出音が非常に好ましい。
これぞロックンロール!迫力の聴き心地。
カツジの強打&連打の強刺激からマイナー調のBメロ。
安全や便利なんかに頼らず、自分の意思でそうでないものを選ぶ力のあるメロディ。
サビはやはり一気に突き抜けます。
歌詞はタイトルの言葉のみですが、非常にドラマチックに聴こえてきてびっくり。
短いサビに2時間分ぐらいのドラマがある。
イントロと同じマーシーのギターリフが鳴り響く間奏を経てテンションアップの後半。
私を楽しませるためのインパクトあり。
ヒロトが猛々しく歌う隣で「おれ今日バイク」とセリフが入る楽しい名場面。
カツジ→マーシー→コビーの順番。
たった一言のセリフの言い方に、それぞれの特別な個性が輝いてる。
3人の人柄が見えてとても愉快。
この人たち、子供みたいな遊びの天才。
無理して空気を読んだり、忖度しまくるようなつまらない大人になりたくない日のかっ飛びソング。
歌詞:客観的視点ではなく内なる心情。
1番でのまだ大人になっていない気持ちをそのまま表現した歌詞には共感しました。
なぜなら、、
ヒロトが昔、子供の頃は一生両親に養われて生きていくと思っていたという趣旨の話をしてましたが、私もそう思っていたから。
大人になり安全と便利について考えつつ、それでもバイクというところに本物の「好き」と自分で選ぶ誠実さを感じます。
魅力は言葉のリズムの良さ。
それは唯一無二であり、ヒロトの神技。
M5「デトマソパンテーラを見た」
作詞・作曲/真島昌利
今日はなんか信じられないことが起こりそうな予感がするミラクルソング。
マーシーが体験した実話ベースのロック。
個人的には、この曲でのマーシーの細やかな性格に思いっきり親近感が湧くのが特徴。
静寂感と躍動感の両極が心を奪うアレンジ。
ミドルテンポから突き抜けるアップテンポへと変幻自在で楽しませてくる。
日常の失敗談が奇跡に覆る明るいメロディ。
その場のマーシーの状況や心情、それに性格までも伝わりやすい歌詞のリアリティ。
魅力はマーシーの隣にいる気分になること。
ミラクルソングの幕開けにふさわしいイントロのヘヴィネス!圧巻!
ドスンッ!とした音圧が出てる。
何かをぶっ壊してくれそうな破壊力を感じるこのイントロにはワクワクしちゃう。
何も起こらない日の孤独をぶっ壊してくる。
明るく楽しそうな感情にてヒロトがAメロを歌い始める。
歌が入った途端に隙間を活かしたギターアレンジになるのが印象的。しかし極端に鋭い。
ズンズンと迫り来るベースが頼もしい。
手で触れそうな音圧をぶっ放すドラムのリズムには陽気な気分になった。
奇跡に遭遇する直前、一瞬だけ世界が止まったかのような印象を受けるBメロ。
目の前の奇跡にハッとする0.1秒ぐらい手前のワクワク感を表現したヒロトの歌心。
クロマニヨンズってさ、表現力が高すぎる。
0.1秒後、憧れのスーパーカーを100%認識したギターが見事に弾けたのが合図になる。
度を超えてドキドキするサビへ。
ものすごいスピードのデトマソパンテーラが目の前を走ってる。
サビには珍しく効果的なキーボード入り。
「あっ」という歌詞からは心を鷲掴みにされているのが伝わってきて、マーシーと同じ衝撃を体験できてしまう名場面。
間奏のギターソロなどはなし。
この歌に感激すると、、、
ついうっかり今日の自分まで奇跡に遭遇しそうな気分になる。
歌詞:庶民的なクリームパンと、奇跡的なデトマソパンテーラのストーリー仕立て。
魅力は伝わりやすいマーシーの表現力。
すべての場面、その心境、奇跡との遭遇の衝撃度合いが、誰にでも簡単にイメージできる面白さ。
私はこの歌詞のマーシーへ特にシンパシーを感じました。
なぜならクリームパンを“慎重に洗う”という性格のあらわれた洗い方が私と同じなのです。過去最高に親近感が湧きました。
この歌はマーシーが公園でクリームパンを食べようとしたら包装が固くて力いっぱい開けたらパンが落ちたので、水洗いして食べたという実話だということです。
その話をした時のマーシーの表現で「菓子パンは表面が“テラッとしてる”」と言ったのがものすごく印象的でした。
そうそう、確かにテラっとしてる。
M6「ナイアガラ」
作詞・作曲/真島昌利
6曲目にして意図したテンポダウン。
だからこそ実現できた感動的な聴き心地と、壮大感のあるグレイトソング。
誰にも動かせないドッシリ感がありつつ、瞬間ごとに激動する名アレンジ。
滝の落差を連想させる伸びやかなメロディ。
勢いでいくというより落ち着いたテンポなので、ゆったり聴きたいA面ラスト曲。
壮大な印象を与えるイントロ。
曲がらない信念を持ったギターリフ。
エレキの後ろでドッシリと鳴るアコギとのハーモニーも印象的で、力強いその音が大地を削るナイアガラのように聴こえます。
アコギ、ベース、ドラムの強打が刺激的なアレンジのAメロへ突入。
太く力強いボーカルスタイルのヒロト。
このアレンジにはヒロトの歌心しかハマらない。多分、この歌の作者であるマーシーも、ヒロトの表現力にはびっくりしてる。
クロマニヨンズは本気でしかやらない。
4人の演奏からはナイアガラの大きさや勇ましさ、轟く滝の音とその凄まじい勢いが聴こえてきた。
なんかこれ、、、
私の目の前にナイアガラの滝がある。
サラサラして心地よい流暢なBメロへ。
強打のリズムとパワフルなメロディが、突然スーッと流れるようなサウンドへ変わるスリリングさが非常に魅力的。
わずかに穏やかになったヒロトのボーカル。
そこへマーシーたちのコーラスが入る。
これはクロマニヨンズと一緒にナイアガラに心を奪われてる感動的な気分だ。
とことん軽快な響きになるサビ。
ナイアガラに感動した“心”そのものを忠実に音で表現したような印象。
一本筋の通ったエレキの音はナイアガラの勇ましい様子を歌っている。
それだけじゃない、ナイアガラの滝に太陽が反射したキラキラ感まで聴こえてる。
「ナイアガラ」を聴くとなぜか心にゆとりが生まれるのは…
この歌、目の前に巨大な滝の水しぶきが飛んでマイナスイオンが発生し、リラクゼーション効果があるから。
歌詞:ズバリ!ナイアガラに圧倒&魅了された瞬間のマーシーにとっての名場面。
少ない言葉数、短い歌詞にナイアガラの偉大さと大きく長い物語を感じるのが特徴。
マーシーがナイアガラの迫力に感動して、心のすべてを奪われている気持ちが私にも伝わります。
やはり我らがマーシーの表現力は見事です。
ラストのナイアガラが中野あたりにあったらどうする?というマーシーの発想力と想像力もまた私にとっての名場面。
M7「もれている」
作詞・作曲/真島昌利
B面、いくら何でも“もれ”すぎの名場面。
普段は言えない隠した本音もうっかりもれるダダもれソングの決定版。
何も隠せないしゃかりきなアップテンポ。
結構ハードなサウンドでありながら、分かりやすいパンキッシュアレンジ。
もれている気まずさを笑い飛ばすメロディ。
マーシーの独創的な世界観にて、一心不乱にまっしぐらに“もれている”歌詞。
ロックンロールへの熱狂も当然もれる。
極端に鋭いギターが世の中の隠し事をすべて暴き始めるイントロ。
記憶にこびりつくハードなサウンドが特徴。
そこへ宇宙一の活気に満ちた歌心でヒロトがAメロをぶっ込んでくる。
だから途端に世の中はもれまくり。
しかもクロマニヨンズだからそれはもう尋常でない激しいもれっぷり。
その後Bメロがマイナー調になる胸熱展開。
思いのほか記憶に残るメロディと歌詞。
なぜなら、発売から随分と時間が経った今でも、急に私の頭の中ではこのBメロがよく流れているのです。
クロマニヨンズからの衝撃に有効期限なし。
この世のすべてをダダもれさせるサビ。
マイナー調から一気に明るく突き抜ける開放感ぶっちぎりなアレンジで最高。
サビは全員で歌うコーラス入りでとことん賑やかな雰囲気。音像も分厚く迫力あり。
すげえキャッチーなメロディなのに…
反則級に短いのがクロマニヨンズスタイル。
間奏にはヒロトのハーモニカソロあり。
耳をつんざく炸裂音でありながら、浮遊感の漂うメロディ。
この歌を聴きながら何かの隠し事をしておける人はいないのだ。
隠し事の多い世間はすっかり照れ笑い。
歌詞:具体的に何がもれているのかは語っていませんが、自分にとって世の中でダダもれしているものがたくさん見えます。
何も語らず答えを見せるという荒技。
たくさんある隠した本音がもれてしまいそうな影響力。既にもれてるかもしれない。
私の場合、言葉にしなくても顔が思いっきり語っている場合がよくあるらしい(笑)
もうダダもれです。
M8「誰がために」
作詞・作曲/甲本ヒロト
8曲目、マーシーのギターの音が非常に渋くて特徴的なロックンロール。
学校や仕事をサボりたい日の哲学ソング。
クロマニヨンズ流の激シブアレンジ。
色気と渋さと力強さを携えたミドルテンポ。
程よいセンチメンタルを感じるメロディ。
普通の思考では考えないような哲学的な歌詞はインパクト絶大。
イントロはマーシーのチョーキングが炸裂するギターが歌う渋いメロディ。
衝撃的、男の色気がもろに出てるし。
少し長めにやってくれたイントロの後は、遂にヒロトが胸を張ってサボるAメロを歌う。
確実に学校サボっているが、堂々としてる。
罪悪感など微塵もなく清々しい威風堂々。
図太い音でブイブイ唸ってるコビーのベースは、絶対に覆すことの出来ない怠け心の根底を鳴らしてる。
頑張りたくない私にとっては頼もしい音だ。
「ツツタツ、ツツタツ」心地よい音の8ビートを叩くカツジ。
強すぎない絶妙な力加減は快感で、とうとう私はなまけ大臣になってしまいそうだ。
1番と2番をクロマニヨンズスタイルで演奏したらサビへ。
サビとは言え、急にテンポアップしたりテンションが爆発したりはしないのが特徴。
激しく心を揺さぶる間奏。
マーシーが感情を込めて弾くギターソロ。
渋く、鋭く、美しく、ちょっと長めに演奏してくれて、最大級に私の心を魅了してくる。
今マーシーが鳴らしてるギターの音には鮮明な映像と長く深いドラマまである。
だから私はわずかな痛みなんかも感じる。
ラストは3番目のAメロで、いろんな酒を飲みまくってるから私も気持ちだけ泥酔する。
それにしても、この曲はマーシーのギターの音が印象的だった。
いつまでも心に残る音がしてた。
つまりマーシーのギターの歌心に感動した。
歌詞:頑張ることの真逆を感じつつ、私にはこれこそが人間本来の姿だという気付き。
歌の背景や世界観としては“日常”であり全員が共感できるものです。
しかし考えていることは「誰がために」という答えの無さそうな難解な内容。
この曲の歌詞には一切の努力はありません。
頑張りません。
私は素直に感化される人が好きです。
誰がために、、、今日はサボろう、、うん。
M9「モーリー・モーリー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
続きまして、心へ響くロックンロール。
魅力は“そんなつもり”がズッシリとした存在感をもって心の奥へ衝撃を与えてくること。
未だかつて前例のないそんなつもりソング。
豪快な歪みのはっちゃけアレンジ。
前のめりのアップテンポ。
衝撃的に覚えやすい愉快なメロディ。
いくつもの”つもり”が素直に響く歌詞。
聴こえるすべてに開催中のイベント感があり、ライブ会場は間違いなくカオス状態になる。
すべての「つもり」が名場面です。
何か幕開け感のあるイントロのつもり。
ギター、ベース、ドラムのキレの良さが私の心をオープンにさせる。
正々堂々としたサウンド。
開会式に参加しているような気分でもあり、何かを「開ける」という表現が合ってる。
コーラス入りで「モーリー・モーリー」と全員で歌う音の厚みが耳の奥まで刺激する。
直後にはヒロトがちょっと巻き舌で爆発的なロックンロールの歌心を部屋中に響かせる。
キャッチーなメロディだし私はそのパワフルな歌にグッときます。
演奏は疾走感のある上機嫌なアレンジ。
Bメロはさりげなくマイナー調。
そのままAメロが続いているのかと思いきや、なんか胸がキュッとするメロディに変わっているのだ。
意識した瞬間にはとっくに変わってる反則級のさりげなさ。
アレンジの影響で聴き心地も感傷的なもの。
「モーリー・モーリー」と繰り返すサビを挟んでの間奏。
私の心を鷲掴みにした熱きギターソロ。
心のガードは通用しない。
マーシーが一切の曖昧さなくはっきりと弾くギターのメロディ。マイナー調の音が心のガードしきれない柔らかい部分へ直撃。
アウトロはイントロと同じフレーズだけど、今度は閉会式っぽく聴こえてびっくり。
聴き心地としてはズバ抜けた明るさと程よいセンチメンタルの二刀流だった。
私の心は大きく動いた、つもり。
歌詞:「つもり」のメガ盛で圧巻。見事!
聴けば分かるけど天才的です。
アルバムを通して聴いていた中で、一際光を放っていた歌詞「そんなつもり ないつもり」は傑作だなぁと思わず心が動いてしまった。
全体がとりわけ心に刺さるし、心へ響く。
自分では今ここに存在してる“つもり”でも、本当はそうじゃないかもしれないというヒロトの独特な考え方には感銘を受けました。
私はすごく奥深いと感じた名作。
M10「焼芋」
作詞・作曲/真島昌利
10曲目はジーンとくる名場面になります。
センチでノスタルジックな焼芋レゲエ。
それまでの縦ノリとは違い、ゆったり横ノリのおおらかさが好感触。
感情へ直接響くレゲエアレンジ。
人の思いやりを感じるゆったりテンポ。
ちょっと切なくジーンと沁みるメロディ。
マーシーならではの比喩表現が美しい歌詞。
しみじみとした雰囲気が特徴ですが、ガツンとしたド迫力のサウンドが魅力です。
ほぼイントロなし。
カツジの素早い3発の直後に全員でいきなりサビを歌い始める。
キレが良く分厚いエレキの張り出し感。
絶妙に歪んだギターが胸熱な耳触りを実現。
マーシー、この曲のギターのアレンジや音色には特にこだわってる気がする。
レゲエアレンジによく合うコビーのベース。
もっとも図太い音を轟かせる。これこそ根底がドッシリとした聴き心地を感じさせる音。
この曲では暴走しないカツジのドラム。
揺るぎないリズムを刻みつつやっぱりちょっと音は派手ではあり、私はそこが好きなのだ。
ヒロトが歌うAメロは滑らか。
歌の主人公そのものになってメロディを紡ぐ歌心。マーシーが作った歌詞の奥にある感情を誰よりも理解して歌ってる。
父ちゃんを思うBメロへ。
それまでより軽快な聴き心地でギターが尚更レゲエらしくなった印象。
メロディの切なさの中に感じる人のあったかさ。その歌のメロディに添わせたハイセンスなコーラス入り。
焼芋くださいと切に願っている優しさには、思わず感情移入してしまう。
マイナーキーが強調されたサビは胸をキュッとさせます。
アルバムの中で一番私の心に残った歌。
奥の方にある心のあったかさと焼芋のホカホカのあったかさが、私の漠然とした孤独感をあたたかく和らげてくれました。
クロマニヨンズにしかやれない名演奏。
歌詞:私の心が耐え得るギリギリの感傷に浸るストーリー。寒い冬、マーシーの思い出。
比喩的な表現に特別なインパクトがある。
“思い出さえ 風邪ひいた”とは世界でこの人にしか表現できません。
とても繊細でドッシリと心に残ります。
父ちゃんを思うサビは、切なさと思いやりとあったかさが同時に滲み出ていると感じ心へジーンと沁みます。
M11「光線銃」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ゆったりしたレゲエの後の極端な突き抜け感がたまらない11曲目。
なんというかこれは忖度しない心へ響いてロックンロールに感動する瞬間です。
ブチ上がるアップテンポ。
分かりやすくシンプルなロックアレンジ。
クロマニヨンズに一番似合う明るいメロディ。
大人の中の子供心まで呼び覚ます歌詞。
アルバム終盤、11曲目もクロマニヨンズが遠慮なしにやる!
フルパワーで突撃していくイントロ。
ギター、ベース、ドラムの一撃ごとがトドメを刺せるほどの破壊力。
誰にも止められない無敵な感じであり、ロックンロールサウンドが仁王立ちしてる。
ヒロトが嬉しそうな表情でAメロを歌い出すとグイッと音楽の世界の中へ惹き込まれる。
メロディはやはり親しみやすく初めて聴きながら一緒に歌える衝撃。
子供のままで歌っているのがヒロトの魅力。
何の引っ掛かりもなくスムーズにBメロへ。
勢いが衰えることもなし。
Bメロ終盤の歌詞では“誰からも 見えない 子供”が登場して、純度100%の私の子供心を今ここに呼び覚ましてくれるのです。
私の純粋な直感や閃きなんかが冴えてくる。
それをクロマニヨンズに「変えるべきでない」と言われた気がする。
光線銃を撃ちまくるサビは心へと訴えかけるメロディが涙腺まで刺激してきます。
要するにすこぶるキャッチーなメロディ。
キャッチーってことはシンガロングになる。
ライブ会場なら最大限の大声でみんなで一緒に歌って激アツの名場面になるはずだ。
間奏のギターソロなどはなし。
クロマニヨンズはいつも子供心や遊び心が何より一番前にある。
大人であって、つまらん人並みではない。
その清々しさに惹かれています。
歌詞:決して年を取らないし、居なくならない子供心が胸を張ってる。
いつまでも変えるべきではない部分。
なんとなくですが、反抗期だった頃の自分の気持ちを感じる歌詞に心の中学2年生が共感して泣いてる。
新しいとか古いとかでなく、ただ好きなことを最重要視している歌詞。
自分で選ぶことの素晴らしさを感じる。

M12「大体そう」
作詞・作曲/真島昌利
自分と同じだ!と納得し勇気が湧く名場面。
攻めたアップテンポ。
容赦なしの疾走的なアレンジ。
キリッとして刺激の強いメロディ。
哲学的で自己肯定的な歌詞には救われる心がきっとたくさんあります。
イントロなし。
すぐに始める、待つ気もなし。
勝手に始まってていきなり「大体そう」と連発する歌には一瞬で惹き込まれる強刺激。
歌とコーラスとカツジの強打ドラム。
そこへと入ってるハイセンス且つ上手すぎる手拍子が楽しさを倍増させてる。
すぐにAメロに入ると疾走感が満ちていく。
マーシーの歪みギターとコビーの轟音ベースが加わったのと同時にヒロトが明るく弾けた笑顔で歌い出した。唯一無二の歌心。
わりとAメロと似てるBメロへ。
Bメロにはわずかにギターが重ねてあって賑やかな聴き心地。ロックンロールが放つ希望の光、キラキラサウンド実現。
声を張り上げて歌うヒロトが頼もしい。
悲しい訳じゃないけどなんか涙出そうなのは感動したのだ、カッコ良すぎるからだ。
冒頭では歌とドラムだったけど今度はギターとベースも入ったサビ。
「大体そう」とクロマニヨンズが楽しそうに歌って私を思いっきり喜ばせる仕様。
間奏のギターソロなどはありません。
今回のアルバムはギターソロが少なめだったかもしれない。
そんなこと思った私にマーシーが笑いながら「いらないじゃん、ギターソロなんて(笑)」って言ってる笑顔が見えました。
とは言え、マーシーのギターの音は爆音で記憶に残ったのが事実です。
クロマニヨンズのこういう歌に応援され続けてきたからこそ今の自分ような気がします。
絶対オレにアピールしてる!!
ラストは極上にキレが良く、作品がバシッと完結するアルバム最後の名場面。
歌詞:何も起きない日の絶望感がマーシーの説得力で希望に覆される。
マーシーも自分と同じなんだということ。
特に何の権威もない自分を肯定できる。
終盤の“意味なんてないけれど くたばるまでは 生きていく”という歌詞には生きる覚悟が爆発していて私にもエネルギーが充満する。
私が感じたことは、
それでいいのだという諦めではない納得。
私が得たものは、
意味なんてなくても生きていく覚悟。
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マーシーほどの人物でも”大体そう”なんだと知り、たいていの日は特に何もないとか私と一緒じゃんとほっこりしたところでアルバムはおしまいです。
一切の忖度なし、全員にとっての正解もなし、面倒くさい意味とかもなし、思いやりがあり、ロックンロールの魔法があるクロマニヨンズの10枚目のアルバムでした。
ロックンロールの名場面の連続だった。
クロマニヨンズのストイックな演奏には清々しい気分になった。
本人たちがカッコいいと思ったからこそ発表した『BIMBOROLL』です。
私はクロマニヨンズの魂が炸裂していてカッコいいと感じました。
すべてを納得させる言葉なんかありません。
すべての人にウケるものもありません。
我らがクロマニヨンズだとしてもそれを作ろうとしたら失敗すると思います。
人それぞれ感性が違います。
自分が感動できるかどうかが基準。
クロマニヨンズ10作目、最高のロックンロールアルバムだしはっきりと名盤です。
私は、クロマニヨンズから「心配するなよ、ワクワクしろよ!」と言われた気がします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。