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★ロックンロールが鳴り響く!! ★ つまらない世界を照らす 馬鹿げた光

↑THE HIGH-LOWS↓

【Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS】極上!!感情に入り込む感動の名盤!! 5thアルバム

投稿日:2022年3月19日 更新日:

こんにちは。

『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』は2000年リリースのハイロウズの5thアルバムです。

落ち着いたアルバムという印象はありますが、全面的に人の《感情》をもろに刺激します。

“燃える”というより“萌える”アルバム。

このアルバムの収録曲が頭の中で自然と流れていることは多いです。

それは心のレコードプレーヤーが再生しています。無意識に心に残っているメロディや歌詞が沢山あるということ。

歌から感じた鮮明なイメージと共に再生されます。

つまり名曲が揃っています。

アルバムから一番強く感じた印象は、美しい「繊細さ」です。

意識の浅はかな部分ではなく、心の奥の方で感動する瞬間が何度もあります。

感動的な作品。

大雑把な勢い重視の人よりも、細やかな感性の人にピッタリ合います。

ロックですので、やわなものではありません。

Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS(2000)


Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS(リラクシン ウィズ ザ•ハイロウズ)は前作4thアルバム『バームクーヘン』からピッタリ1年後に発売された5枚目のアルバムです。

2000年6月9日リリース。

ロックへのこだわりから6月9日(ロックの日)にリリースされています。『バームクーヘン』もロックの日にリリースされました。

「6月9日は“ロックの日”だから」とヒロト。

鮮やかな黄色いジャケットに黒い帯がすごく目を惹く印象派。元気が出る明るい黄色です。

タイトルもジャケットもジャズトランペッターである“マイルス・デイヴィス”のパロディで、超いかしたデザイン。

強烈なパンクモードに突入した前作『バームクーヘン』の流れでくるのかと思いきや、割と大人しめなアルバムという印象を受けます。

とはいえ、ハイロウズの自由度が抜群にアップしていて楽曲やアレンジが多彩になった楽しいアルバム。

パンクの勢いで聴くというよりも、じっくりと心の最も大事なところで聴くスタイルのアルバムです。

勢い重視で音楽を聴きたい人には合いません。

アルバムの至るところに感動的な歌詞やメロディとアレンジがあって、心を動かされながらロックを聴きたい人にオススメです。

本作ではマーシーの感性が炸裂しまくっていて聴きどころは満載です。マーシーのソロ作品が好きな人はハマること間違いなしです。

3rdアルバム『ロブスター』のようなマスタリングのキンキンさはまったくなく、耳馴染みのいい音のアルバムです。

ロックでは珍しいと思うほどの高音質盤です。

大活躍なのはキーボードの白井さん。本作を聴くと、ハイロウズにとって白井さんの感情的なキーボードがかなり重要な存在だということを感じます。

ハイロウズの充実期の作品です。

『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』収録曲

1. 青春
2. NO.1
3. 岡本君
4. パンチョリーナ
5. 夕凪
6. 不死身の花
7. ボート
8. ミーのカー
9. 完璧な一日
10. ジャングルジム
11. ヤダ
12. タンポポ
13. 魔羅’77
14. バカ(男の怒りをぶちまけろ)

全14曲53分。

今回はマーシー8曲、ヒロト6曲の構成です。

私が記憶しているこのアルバムのものすごいエピソードは、曲順を決める時にランダムでMDにダビングして、その曲順がよかったからそのままリリースしたということです。

私の心を動かす素晴らしい曲順です。

ランダム機能に任せておきながら、なんの違和感もないのが奇跡。

名曲揃いです。

ハイロウズの封印が解かれました。

突き抜けた勢いというより、並外れた叙情性や秀逸なまろやかさを感じます。

美しいです。

ゆっくりじっくり聴いて浸りたいアルバム。

マーシーの文学的な歌詞とパンクアレンジが爆発的にマッチした超名曲「青春」、跳ねるリズムが楽しいモータウン•ビートの「No.1」、悲しみの中にある美しさが強烈な印象を残す「岡本君」、フォーキーでロックな耳触りのシングル曲「不死身の花」、冴えた白井さんのキーボードがキラキラな光を鳴らす「ジャングルジム」、ほぼ歌詞のないおふざけソング「ヤダ」の衝撃と、適当に聞き流せる瞬間は一回もありません。

覚えやすく記憶に残るメロディばかり。

今回は特に興味深い歌詞が多いです。

1曲ずつが歌として印象に残るアルバム。

だから気付くと頭の中で鳴っています。感動した心が鳴らしているのかもしれません。

ハイロウズが決して無理はしていないということが、出てくる音で分かります。

傑作で、感動の名盤です。

マーシーボーカル曲はありませんが、ヒロトとマーシーのツインボーカル部分が所々で炸裂しているので寂しい気持ちはありません。

アルバムの「音」も傑作です

録音?ミックス?私にはわからないけど、とにかく音が優れています。

アルバムの音質の面で私が特に感じるのは、音が異常に生々しくちょっと怖いと感じるくらいの高音質録音盤であることです。

この場合の音が優れているというのは、実在感があるという意味になります。

録音したその瞬間の音がそのまま出ます。

スタジオでモニターしている感覚です。

今回はハイロウズが自分と同じ空間にいます。

シングル曲は超名曲14thシングル「青春」と、15thシングル「不死身の花」の2曲が収録されています。

2枚のシングルは7インチアナログ盤も同時発売されました。

CDは12cmのマキシシングルです。

14thシングル「青春」はアルバムに先行して2000年5月24日にリリースされました。

カップリングの「魔羅(シンボル)’69」はアルバム収録曲「魔羅’77」の別バージョン。イントロが異なります。

15thシングル「不死身の花」は『FLOWER』というタイトルで、4曲入りのミニアルバム的な作品です。

アルバム発売から3ヶ月後の2000年9月6日にリリースされました。6月9日(ロックの日)の逆になった感じが意味深です。9月6日は何の日?背中合わせの日かもしれません。

シングル収録の「不死身の花」は別バージョンですが、大きくは変わっていません。

2000年の『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』リリース当時、CDとレコード(限定生産)で発売されました。

限定生産だったレコードは2020年にリマスターも施されて再発売されました。

本作のアナログ盤はなんと10インチのレコード2枚組でのリリースです。10インチ2枚組というイレギュラーな形態にオタクの心はゾクッとトキメキました。

何度か盤をひっくり返したり、入れ替えたりする作業が発生するのが、アルバムの内容にマッチしていると感じます。

最後まで勢いだけで行かず、わずかな休憩というのか、そのブランクが気持ちを整えてくれます。

10インチレコード2枚組という形態がスタンダードになることはないでしょうけど、その良さを体験した作品です。

心が動く14曲、極上の53分です。

聴こえてくる音楽に体はリラックス出来ますが、感情は激しく刺激されて結局はロックに激情しています。

アルバムを堪能するという感じ。

『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』が放つ美しさは魅力で、どの瞬間も充実しています。

ザ・ハイロウズ、無理はしてません。

嗚呼!! 感動の名盤!!

M1「青春」

作詞・作曲/真島昌利

ハイロウズの14thシングル。

2000年春のドラマ『伝説の教師』主題歌。

15thシングル『FLOWER』に「青春」のアコースティックバージョン(lunch time version)が収録されています。そちらはゆったりしていて極楽な聴き心地です。

アルバム1曲目はドラマチックな疾走感でブッ飛ばす。

先述したMDのランダムプレイが見事に「青春」を1曲目に選んだことが運命のように感じます。

大人しめなアルバムという印象はあるにせよ、「青春」のような勢いのあるパンクスタイルも健在です。

マーシーの美しい感性が炸裂した超名曲。

学生服を着ていた繊細で多感な自分の青春の日々を甘酸っぱく感じる1曲。

あまり聴き馴染みのない文学的な歌詞がものすごく興味をそそります。

元気のあるイントロのリフがインパクト絶大で、みんなの心に目掛けて飛んできます。

Aメロの部分はギターが控えめで、べっちゃんが弾くロックンロールのベースが世界を回してます。疾走する心地良さ。

ヒロトのハッキリとしたボーカルが、歌をドラマチックにしています。

音しかないけど映像が浮かびやすいです。

マーシーの詩人の感性と、ヒロトの歌心が完全に一致してる。

この歌、ヒロトのボーカルが何かおかしい。おかしいというのは、異常に生々しいという意味です。目の前で歌ってる。ちょっと怖いと感じるくらい。こういう音は滅多にない。

実在感すごいです。

3分ちょっとと実際に長くない曲ですが、内容に惹き込まれがちで、すぐに聴き終わってしまう印象があります。

サビではマーシーの歪んだギターが全開で前に出てきます。急に自分の感情が高鳴る瞬間。

ロックンロールの騒がしい耳触りが最高です。

疾走感に体が反応しつつも、知ってる気持ちと見た事のある情景を歌う歌詞に心の真ん中と自分の遠い記憶がエモさを感じています。

“散文的に笑う”

「散文的」⁇ 普段聞き慣れない、自分では使うことのない言葉が登場しました。

散文的

①散文のようであるさま。
②しみじみとした味わいや奥行が感じられないさま。また、まとまりのないさま。「ーな風景」

直前に骨身をさらけ出しているので、照れ笑いとかそういうことかなと私は感じました。

一度しかやらないBメロはヒロトとマーシーの感情的なツインボーカルで、遂に私のテンションが突き抜けます。

その直前で炸裂するピックスクラッチの芸術的な音がテンション突破のきっかけ。

間奏は一切の難しいテクニックを使う訳ではないのに、露骨な疾走感だけがそこにある事実に驚きです。

「青春」の美メロにはシンプルなアレンジが頂点だと感じました。

人の感情へ直接響かせる歌。

聴きながらドキドキする名曲。

元気や若さを取り戻すための重要曲。

この歌を聴いた日は、緊張感でドキドキするより期待感にドキドキしそう。

歌詞 : 青春、ロックと暴力と恋心。

3つのストーリーのあるドラマチックな内容で、誰もが経験している気持ちです。

特に3番は恋にちなんだ歌詞が胸キュン爆発ポイントです。これかなりヤバいです。

目には見えない「匂い」という感覚でこんなにキュンキュンした歌はありません。「青空のベンチ」とかマーシーにしか実現出来ない眩しい表現で、聴いている私も最高潮です。

すべての言葉に“青春”が溢れてます。

M2「No.1」

作詞・作曲/甲本ヒロト

跳ねるリズム。

モータウンビート炸裂。

楽しげなアレンジには心も跳ねます。

軽快な雰囲気が印象的で、この心地良さはほとんど快楽です。

日常の緊張感が和らぐほっこりなメロディ。

イントロで唸るべっちゃんのベースがこの曲を最大限に飛躍させるリズム。

マーシーが地球の重力を半分にしてしまう元気なリズムギターも跳ねる。

控えめに入っているアコギの音が、今日のお疲れ気味の心身を癒してくれます。

ギターはラストの盛り上げ以外はバッキングに徹しているので、華やかさの中心になるのは白井さんのキーボード。白井さん大活躍。

人の心を動かすロックンロールのピアニスト。

凝ったコーラスにはロックのエンタメ性を感じて、ウキウキです。

間奏ではキーボードが明るいメロディを軽やかに奏でて、どんどん楽しい気分になります。

ほとばしる「No.1」が頭の中で鳴っていることは多いです。心のレコードプレーヤーがこの歌を選んだ日は最高の自分でいられそう。

これを聴いてもまだ前を向けない人はあんまりいません。

自然体の人間について歌う歌詞は興味深く、日々の生活にとても馴染みます。

ありそうでなかった独自性が際立つ歌の内容に惹かれる心が、この歌をとてつもなく素敵なものにしています。

早い話が、心を鷲掴みにされます。

音がやっぱりスタジオで鳴った瞬間を聴いているような素の感じで超好ましい。

鮮烈ですごくいい音してます。

軽快な印象が強い歌だけど、力強さが確実に存在してます。

特にヒロトの個性的な歌心はパワフルです。

全員でのラストの盛り上げは凄まじく、すべてがソウルフル。

それまでバッキングに徹していたけど、バンドの狂熱に遂に抑えが効かなくなったマーシーが激アツなやつを弾きまくります。

なんだか強烈な2曲目だ。

一回で心に残った。

歌詞 : 装飾という違和感を取り払った人間そのままの姿。名言が多くて印象的。

ハイロウズからの激励。

エネルギーが溢れていて、ポジティブで明るい気分になれます。

そのまんまの自分を肯定してくれる4番が特に印象的です。心に残ります。「◯◯らしさ」という言葉は負担にしかなりません。

“君らしくなくても君は君なんだ”と言い切る歌詞には衝撃を受けました。なんだ、オレこれでいいのかという安心感まであります。

私もあなたもそれでいい、この歌詞にはそんな気付きがあります。

M3「岡本君」

作詞・作曲/真島昌利

3曲目、心に残る名曲です。

急な方向転換という感触があり魅力的なスローテンポ。

セミの鳴き声が聞こえてきたら、悲しげなピアノが耳に入ってきて、切ないアコギが胸にグッと来ます。

幼馴染の死という悲しみを感じるテーマですが、強烈な音楽です。

毎秒が非常に繊細。

切なさと美しさの際立つこの歌は『Relaxin’』にしか合わないかもしれません。

異常なリアリティのあるマーシーの歌詞は感情に直接語りかけるので、誰もが歌の世界に惹き込まれます。

あまりにも感情移入すると危険なほどの心への影響があります。

美しいメロディと情緒的な音。

音楽が感情そのものになっていて驚きます。

ヒロトの歌、マーシーのギター、べっちゃんのベース、おおちゃんのドラム、白井さんのキーボード。聴こえるすべての音が感情的。

高音質盤の凄みも出てます。

ヒロトとマーシーのツインボーカル部分が多く、説得力が度を超えます。

雑な扱いをすると簡単に壊れてしまう涙もろさが、私の心の柔らかい部分でセンチメンタルに鳴ってる。

涙が溢れてしまいそう。

物憂げなギターがしんしんと語る間奏。

静寂が目の前の空間に広がっていきます。

ボーカル2人の凄まじい表現力。ここまで感傷的な歌は初めて聴きました。

この歌、ロックや音楽の一線を越える。

無意味なゴージャスやイライラする愛なんかはなくて、けたたましく感情だけが鳴り響く。

ギターはアコギ基調なアレンジですが、終盤にヤバいエレキの音が入っています。

歌詞にかぶせた「ジャーーン」と鳴るマーシーのエレキの音。こんなにも切なさ全開の感情的な「ジャーーン」は聴いたことがないです。

それまでなんとか堪えていた涙を一気に溢れさせる音が鳴ります。

ラストのマーシーのボーカルは感情が爆発しちゃってるな。

セミの鳴き声がより一層、歌の世界のリアリティを感じさせます。

歌詞 : 夏に亡くなった友達に想いを馳せる心。

そこに漂う切なさは映画を観た時の感覚に近いです。

やはり悲しさはあるけど、情緒的な歌詞。

とても細やかで、アルバムで一番の美しさ。

その時に涙が溢れて止まらなかったマーシーと、悲しみを乗り越えて今強く生きてるマーシーを感じます。

決して悲しみだけはなく、その後に備わった新しい強さがある。

M4「パンチョリーナ」

作詞・作曲/甲本ヒロト

前の曲で感動しつつも、少し悲しい気持ちになったのを完全に切り替えてくれます。

ふわふわした聴き心地の楽しい曲です。

心が柔らかい雲に寝そべるいい感じ。

歌にブルースの偉人たちのニックネームが多数登場するのがブルース好きのヒロトらしいです。よくそのブルースマンたちのレコードの話なんかしてる印象があります。

おおちゃんのドラムスティックによるカウントが軽やかで、日常の心のわだかまりがスッと解けます。

極上の心地良さが始まる瞬間です。

“ゴー パンチョリーナ”と歌う全員での元気なコーラス。

聴こえてきたポジティブな音には晴々した気持ちになります。

続く白井さんの軽快なキーボード。

趣のあるそのメロディに今度は心一杯にうっとりしてきます。

早速、私の気楽な心が戻ってきた。

ゆったりふんわりとした優しいテンポでヒロトが歌い出す。

聴くとみんな雲の上に寝そべると思います。

取り乱さない安全運転なメロディに乗っている歌詞もすごく興味深くて聴き入ってしまう。

サビでは猛烈に音が突き抜けます。

パンチョリーナの存在感が強烈な光を放つ楽しい感じ。

“おーい”とパンチョリーナを呼ぶボーカルの隣で“オイ”と呼ぶコーラスが弾けてます。

間奏のマーシーのギターがまたヤバい音が出ます。今この瞬間に弾いてアンプから鳴った生の音そのまんまです。びっくり!

聴きたかったマーシーの音。

何⁉︎この響き方。

今、録音スタジオにいたと錯覚する。

後半のAメロから入ってくるファルセットのコーラスなんか天から注がれてる声みたいでメロメロになります。

4曲目「パンチョリーナ」は、癒し効果のある健康的な音楽を聴いてる気分です。

パンチョリーナと呼ばれるくらいの個性派でいたくなった。

歌詞 : ニックネームにちなんだほっこり系。

ほとんどの名前はオヤジが決めるけど、ニックネームは他人が決めるという一節は、すごく腑に落ちた歌詞です。

それにしても“パンチョリーナ”って呼ばれる人はどんな雰囲気なんだろう。

そんな事を考えながらほっこりしました。

M5「夕凪」

作詞・作曲/真島昌利

いきなり来るドスンとヘヴィーなアレンジ。

非日常的で重苦しさのある奇妙なテンポ。

カラスが鳴いたりサイレンが鳴ったりするし、怪しげな感じのサックスやら笑い声やらと断トツで不思議な曲です。

歌詞の意味はかなり怖い内容です。

当初は「R作戦B2号」というタイトルでアレンジも全然違ったということです。

歌詞にも出てくるこの「R作戦B2号」とは、1974年の爆弾テロ未遂事件の作戦名です。「ヘルハウンド」は実行グループのコードネーム。翌年1975年5月19日にメンバーは一斉逮捕されたそうです。

前半はヘヴィーなギターと、重みのあるボーカル、骨太のベースのみ。

そこへ何処からともなく入ってくる様々な効果音。奇妙な世界へ迷い込んでいく。

キーボードが入って、時間の流れが2倍の長さになったような空間の音を奏でる。

次は奇抜なサックスと、時間を止めてしまいそうな雰囲気を感じる少ない音数のドラム。

すぐ近くでサイレンも鳴っている。

当然そこで大事件が発生してる。この緊急事態に、なかなか時間が進まない音楽が目の前で流れてる。

列車が走ってくる。

緊迫した終盤は遂に作戦が決行されるのか、未遂で食い止められるのか、張り詰めた緊張感が支配しています。

ハイロウズの表現力はどうかしてると感じるくらいリアルすぎます。

列車は何事もなく私の前を通過していった。

このアルバムは録音が優れているから、尚更奇妙な世界へ入り込んでしまった。

あまりのリアリティにちょっと疲れるかもしれません。

それくらい感情を刺激する歌ということです。

歴史上にあった現実の場面と、そっくり同じようである音楽。

その迫真の音に狂気を感じた。

初めて聴いた時は好きにはなれなかった歌ですが、ハイロウズのズバ抜けた表現力に魅力があります。

個人的には名曲とは違うけど、名演奏です。

楽器の演奏以外にもたくさんの物音が入っているので、イヤホンとかヘッドホンでじっくり聴いてみると新しい発見があります。

歌詞 : 意味がわかるとめちゃくちゃ怖いです。

ですがやっぱりマーシーの言葉の美しさを感じます。

窮地に立つドンづまりの人の心情。

音楽としてのキレイな表現が際立ち、歌詞の心情に感情移入させるインパクトがあります。

その状況と心情に同調してしまう程の緊迫感。

奇妙なアレンジと、鬼気迫る歌詞の凄みに圧倒されます。

M6「不死身の花」

作詞・作曲/甲本ヒロト

ハイロウズの15thシングル。

シングル発売時のタイトルは『FLOWER』でした。『FLOWER』はシングルといっても4曲入りでミニアルバムに近い存在です。

「不死身の花」はシングル用にリアレンジされた“69 MIX”が収録されています。

前の曲の重さを払拭するかのようにサラサラ流れる爽やかなアレンジです。

100%のリフレッシュが実現します。

この曲順もランダムプレイが選んだとか最高すぎる。

1回目ですぐ好きになったキャッチーな歌。

爽快なアレンジと軽やかなメロディに乗って小躍りする感じ。

角の立たない朗らかなイントロが鳴った途端に気持ちが晴れ渡ります。

そこには大きな生命力も感じます。

音が光ってるからです。

ヒロトとマーシーのツインボーカルパートには熱くなった自分の感情を実感します。それがありきたりにサビではなく、限定的でAメロの絶妙なところに入っているので超絶です。

ヒロトは不要な重さを払拭した軽快な感じ、マーシーはエネルギッシュですこぶる感情的。

なんだか極性が調和する奇跡を起こしてる。

この人たち、いつもそうやって私の心を大きく動かしてくる。

ふわっとしたファルセットのコーラスは曲の感触を柔らかくしています。

いい意味で「不死身の花」には棘がない。不快感が刺さってくる事はありません。

そよ風にもなびく健康的な髪質くらいサラサラしてます。

どの音も明るい。

サビではマーシーが弾くアコギの力強い音が前のめりで鳴っていて、ロックから今日を生きるためのパワーをもらう瞬間です。

日頃の心の乱れが整う場面もあります。

間奏には心のわだかまりを洗い流すヒロトの清らかなハーモニカ入り。

ハーモニカの音は停滞しない清流のよう。

この曲の音は、なんてキラキラしてるんだ。

川の流れに反射した太陽の明るさを感じる。

重みを削ぎ落としたライトな感触ではあるけど、すべての音の粒がほとばしってます。

感動の入り口である耳のずっと奥にある感情にまでするりと入ってくる。

大抵の人間が心地よいと感じる音が出ます。

歌詞 : 人間は歳をとって熟していくのが素晴らしいという歌詞。もちろん私の解釈です。

一つだけの命を生きること。

劣化と捉えず、変化していくのを楽しむこと。

アレンジやメロディがサラサラしてるから、歌詞があっさり聴こえるかもしれないけど真実に添っていて、ど真ん中に刺さったダーツのように感じます。

私の胸のど真ん中です。

ちなみに変化しないというのは誰にとっても一番楽なことだと思います。

M7「ボート」

作詞・作曲/甲本ヒロト

ロマンチックで素晴らしいです。

私はマーシー作なのかと思って聴きていたら実はヒロト作だった1曲。こういうのも楽しさポイントになります。

ロマンチックなうえに、曲調やアレンジはすごくリラックスして聴ける雰囲気。

とても大らかです。

ファンタスティックなスローテンポ。

音と同時に、麗しい映像が再生されてる気分でもあります。

心が優しくなるほどに澄み渡ったメロディ。

発表から20年以上が経った今でも、気付くとよく頭の中で流れている美メロです。

心のレコードプレーヤーまでカウントすると相当な再生回数になります。

私の心が決めた名曲。

聴いている時の自分の感情が、歌からビシバシと感じる「特別感」で満杯になるからです。

始まるとゆったりとボートを漕ぐ音が聴こえてきます。

イントロのアコギの音がこれまた実在感がぶっちぎりで、心が一気に歌の世界の中へ。

和やかな「トゥットゥルルッ」と歌うコーラスがリラクゼーションタイム開始の合図。

低めの声でヒロトが歌い始めると、幻想的な物語の始まりです。その歌声はとんでもないリアリティを伴う音がします。

この音はやっぱり異常だ。

ヒロトが目の前で生で歌っているようでちょっとだけ怖い。

柔らかなアコギの音には気持ちがくつろぎます。伸びやかなキーボードも聴こえてきて、心を緩める事が許されます。

Bメロでは次第に楽器の音数やコーラスのボリュームが増して、ボートが満員になるサビへ向かいます。

このズバ抜けて美しいBメロこそが私の心のレコードプレーヤーが頻繁に再生する影響力です。

サビではクリーントーンのエレキがキラキラした星のように輝きます。

水面に反射した月面や星が見える奇跡。

この歌、とんだけロマンチックなのよ。

どれかの演奏が我こそはと突き抜けて主張している事はないですが、歌の世界観が冴えながら表立っています。

とはいえ、ギターはさりげなく情熱的です。

間奏は情緒あるアコギの優しいメロディにほっこり。マーシーが長めにやってくれます。

今日の苛立ちなんか慈愛に覆ります。

その後のBメロ→サビ→もう一度Aメロという構成にはグッと来た。

豪快な勢いのあるパンクを求めた場合はこれ違うと感じるかもしれないけど…

早い話が「ボート」は、うっとりします。

歌詞 : 幻想的とかファンタスティックという言葉が似合います。

キレイな歌詞を聴きながらうっとりした瞬間は感動的です。

魅力に引き込まれやすい幻想的な歌詞の世界観。ロマンチックな言葉の並び方には日常の疲れがスーッと癒されます。

マーシー作だと勘違いして聴いていたけど、やっぱりヒロトだと後から確信した表現。

“夏が残した最後の夜”というヒロトの歌詞は3rdアルバム『ロブスター』収録の名曲「夏の地図」に近しいストーリー性が存在します。

M8「ミーのカー」

作詞・作曲/甲本ヒロト

グランプリが開催されるアップテンポ。

ノンストップの突進力でゴールをめがけるロックアレンジ。

衝撃的にノリノリで突き抜けます。

サーキットを走るレースカーの音が入っていたりして、本作にはこういう遊び心が満載なのが楽しいと感じるポイントです。

テケテケのギターが入ってます。この曲のギターは昔のGSの音だなと感じました。

イントロは凄まじいドラムの連射。

ブオン!とエンジンをふかしてレースが始まる数秒前。

いきなりアクセル全開のハーモニカが豪快なメロディを吹きます。

歌い出したヒロトはフルパワーだ。

左右に振れる少し気の抜けた感じで「ミーのカー」と歌うヒロトのコーラス入り。

ギャップに魅力がありすぎる。

キビキビとした演奏に、ストレスを突き破るほどのロックンロールの威力を感じる。

ギターは凶暴な感じにジャキジャキしててまったく痛快です。生々しい音しています。

カッティングを多用したマーシーのギターの弾き方にはレースでの追い抜いていく速度を感じてしまう。

音がほとばしるロックンロールの突進力に、とうとう私のやる気が目覚める。

加山雄三なんかが弾きそうな音のギターソロ。

流暢でサーフっぽい感触のギターソロに感情を揺さぶられた直後には、煌びやかで広々としたキーボードソロが心を奪っていきます。

白井さんの音なんか、前を走っていた奴をドラマチックに抜き去ってた。

その音たちは先頭を走ってる王者の貫禄。

後半では1人ずつ「ミーのカー」と歌っていくのはめちゃくちゃ楽しく、これは誰の声なのかっていう遊びが出来てしまう。

この人たち、完全に遊んでるね。

「ミーのカー」を聴きながら悲しい気分になる人は多分いません。相当楽しいです。

どこを聴いても、急加速急発進のド迫力。

スピーディーな雰囲気のハイロウズ。飛躍的なロックンロールの音。突き抜けたハイテンション。

誰もこいつたちの前を走れない。

歌詞 : 個性的なヒロトのセンス炸裂してます。

“ゲッミー アガラ ゲッチュー ミーのカー ゲッミー アガラ ゲッチュー ミーのカー”

初めて歌詞カードを見た時に、これがカタカナで書かれていたのにはめちゃくちゃ感激しました。このセンス最高です。

気取った感じがしないし、親しみが湧きます。

サビではあくまでも先頭だと言い切っているのが個性溢れるロックバンドの勢いだなと思いました。

てっぺんとか頂上じゃなくて1番先頭です。

とにかくぶっちぎりです。すげえ速い。

15thシングル「FLOWER」にこの歌のアンサーソングなのか、タイトルが対になる「ユーのカー」という曲が収録されました。

内容はまったくの別曲で、シングルの中では唯一の新曲でした。

M9「完璧な一日」

作詞・作曲/真島昌利

ここから4曲はマーシー作が続き、心が動く感動的な瞬間が何度もあります。

前の曲で弾けた後は恋心のバラードです。

繊細でとても柔らかい感触がありますから、雑に扱ってはいけません。

これを聴くといつも自分の中のパートナーへの恋心を実感してしまいます。

聴くと優しい気持ちになるし、大切な人のそばにいたくなります。

それだけ人の心に響く歌という意味。

イントロの美しすぎるピアノの音色に既に涙が込み上げてきてる。

穏やかな心のような、健やかな一日の始まりのような落ち着いた雰囲気。

美しい詩を感情たっぷりの歌心で表現し切るヒロト。歌の作者であるマーシーも感動したと思う。

ヒロトが真心を込めて歌っているのは、誰の日常にもある風景。すべてが美しい言葉。

とはいえ、歌に存在してる恋の“感情”はそこら辺には落っこちていません。拾って手に入れたものではありません。特別な感情です。

マーシーのギターはゆったり流れる幸せな時間を奏でてる。

主張しすぎていないアコギです。

1番を歌い終えると太陽が昇った明るい昼頃の音へ変わる瞬間は煌びやかな空が現れる。

日向ぼっこしてる安らぎも体験します。

いい具合に歪んだエレキも入ってきて非常にドラマチックなアレンジ。

日常のどの場面にも君がいると完璧という、誰にでもわかる恋心が溢れちゃってます。

演奏面ではバグパイプなんかも入っちゃってます。そいつから優しくも熱い恋心の音とか出ちゃってます。ほとんど完璧です。

バグパイプの音が歌の壮大感にもなってます。

エレキが奏でるギターソロは感情的なメロディ。感じるのはもちろんエモさ。

無駄に弾きまくっていないエレキ、澄んだ音色でさりげなく花を添えるキーボード。

抑揚のあるアレンジが心の中心を刺激する。

歌から、自分一人では達成できない何か足りないものがあるという儚さを感じます。

ほぼ完璧なんだけど、一つだけ足りないこの感じ、知ってる気持ちだからこそ自ずと共感してしまう。

歌に溢れてるのは相手への恋の“感情”です。

歌詞 : たっぷりで感動させてくれます。なぜなら、マーシーによる極上の比喩表現が中心の完璧な歌詞だから。

私の日常からも大胆に逸れていないから共感しやすいです。

微笑ましい風景の連続。

ここまで来ると美しい「詩」だと感じます。

全体的に『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOW』はあんまり売ってない何度も読みたくなる詩集のようです。宝物になる詩集。

“君が好きだ”と繰り返すサビは、その言葉に遂に私の感情が爆発します。

どんだけ好きなんだ。でもわかるなあ。オレと同じだ。

決して“愛してる”と誤魔化さずに“君が好きだ”とハッキリ断言しているのが好印象です。

完璧な一日のわずか一歩手前ぐらいの歌。

M10「ジャングルジム」

作詞・作曲/真島昌利

懐かしい鉄の味がするミディアムテンポ。

もはや、五感に鳴り響く音楽。

メロディアスなギターが、みんなを冬のジャングルジムに登らせます。

歌詞は短めで2番までしかないですが、私の心が動く回数からすると5番くらいまでありそうな強烈なやつです。

本作は実に聴きどころが多いです。

またしても私をワクワクさせる華麗なキーボードの美音からスタート。

そのフレーズが「ジャングルジム」の主体になってます。明るく楽しい感じが溢れてる。

跳ねるような白井さんのキーボードから、宇宙一力強いヒロトのボーカルが入る展開には心を掴まれます。

キーボードとボーカルのみの演奏にはグッと来る。

たくさんの星が流れたようなキラキラっとした音が聴こえた直後にバンド全体の演奏が入ると、静寂が情熱に変わります。

一際ものすごい光を放つのは、心に聴こえるメロディアスなギター。

これヤバいよ。核心に刺さるメロディとその音に気分が高揚してる。

ヒロトがパワフルでありながらも滑らかに前半を歌い上げると今度はマーシーのギターが美しく歌います。

一音毎に大きく心が動く瞬間がやって来る。

間奏のギターソロのメロディは特に情熱的だし、マーシーが弾いた瞬間そのままの音が出ていて驚きでもあります。

この優雅なギターソロはかなり好きです。

何かに心を鷲掴みにされた時の感覚がそこにありました。

なんかよく分からないけど胸が熱くなる、テンションが上がる、楽しい気分とかそういう特別な瞬間です。

ギターがその存在感を光らせたまま後半へ。

マーシーのギターに聴覚を刺激されつつも、やっぱり白井さんのキーボードはアルバムの雰囲気自体を作っていると感じます。

この歌には色々と特別な事柄があって自分の感情が激しい。激情してる。

事柄というよりハイロウズが起こした奇跡かもしれない。

一つハッキリと言えるのは、ハイロウズの5人にしか起こせません。

私の口の中は“鉄の味”がしてる。

歌詞 : すごく少ない文字数で多くの感情を伝える仰天スタイル。

“ジャングルジムはいつも鉄の味がする グギンと口をうちつけた”という歌詞では、一気に遠い記憶が蘇りました。

「鉄の味」とか!聴きながら口の中にその味がしたので、なんだかびっくりです。

苦くて錆びてて砂っぽいかもしれない。

同じ経験がある故に、その味を見事に思い出せてしまうとても痛々しい歌詞です。

サビの歌詞は、何よりも自分そのものが輝けというポジティブで希望に満ちた力強さが輝いています。

すごく短い歌詞で空気感、背景、今の気持ちと思い出の味までイメージさせるマーシーはいつも芸術的です。

M11「ヤダ」

作詞・作曲/真島昌利

タイトルの文字数も演奏時間もハイロウズで一番の短さを誇ります。

これは歌というか「ヤダ」です。

歌詞は2文字で演奏時間は26秒です。R&Bなんかでよくある「interlude」みたいなものかもしれません。

面倒くさいイントロなんかなく、最初から最後までとにかく「ヤダ」と言い放ちます。

同じフレーズを繰り返す単調な演奏。

受け入れたくない世間の謎のルールに直面した時に聴くと間違いなくハマります。

ハイロウズが断じて拒否る。

ラストの全員での「ヤダ!」には諦めざるを得ない思いやり泥棒が頻発します。

納得できない事はやってやれないハイロウズ。

すべてが短いけど、頭から離れなくなる強烈なインパクトがあります。

マーシー、なにが「ヤダ」ったの?

これを作った時の心境が気になるところですが、詳しいことは本人にしかわからない。

本人はきっといつも通り「覚えてない」って言います(笑)

歌詞 : タイトルの2文字です。

完全なる意思の表明。

決して受け入れない頑固なスタンス。

これは誰も覆せないだろうな。

その拒否っぷりには実は憧れるし、カッコいいとも思った。

ハイロウズのおふざけソング。

この後は真面目な感動ソングですので、ふざけてる場合ではなくなってきます。

M12「タンポポ」

作詞・作曲/真島昌利

繊細で非常に奥ゆかしいバラード。

効果的にヴィブラフォンが入っていたりして、音から好ましいノスタルジーを感じます。

歌の雰囲気を言葉で表現すると、趣がある、しみじみとした風情を感じる、心惹かれる美しさが魅力です。ストレートすぎる言葉では物足りない感じがします。

もう一つある「タンポポ」の別の世界。

「タンポポ」にはパンクアレンジでノリノリな別バージョンも存在します。

そちらはパワフルでハイテンポです。

15thシングル『FLOWER』に収録された「タンポポ Hang On Version」です。シングルは廃盤ですが、現在は『flip flop2』で聴けます。

歌の世界観をじっくり聴きたい場合は、断然オリジナルバージョンがしっくり来ます。

ライブではオリジナルバージョンは演奏されたことはないらしく、いつもパンクアレンジの“Hang On Version”で演奏されました。

スッと心に入ってきて覚えやすいメロディは初視聴時から名曲だと感じたスローテンポ。

アルバムの終盤に収録されていたことも感動が極めて深くなった要素です。

『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』は特にマーシーの感性、世界観、センスがキレッキレで人の感情を直撃します。

クリーントーンのエレキが心の柔らかい部分にそっと響く落ち着いたイントロ。

曲のリズムを司るべっちゃんのベースもすこぶる快調です。これぞ快音。

サビ始まりでいきなりのツインボーカルがキマッてます。粋な演出。

力んでいないヒロトのボーカルは、なんの違和感もなく歌の世界へ私の意識を動かします。

2番からはマーシーの感情的なボーカルも入ってきて、歌詞の美しさが一番前で光り輝いてます。

ハイロウズを特にカッコいいと感じるのってこういう部分だよなとか思った。

急に胸が高鳴る感じ。

静けさが目の前の世界いっぱいに広がっていくBメロ。

ヒロトが柔らかめに心を込めて歌う。だからその静けさの中に私もいると錯覚してしまう。

ここで突然ジャンプしまくったり、暴れ出したりする人は滅多にいないと思います。

そんな静けさの先には何にも縛られず、タンポポがふらふら空中を飛ぶ軽やかなサビへ。

鮮度の高い音の良さはやっぱり期待を裏切らない。スタジオで鳴った音が再現されてる。

この曲は歪みのないクリアーな音。

ラストにもう一度ヒロトとマーシーのツインボーカルでのAメロの繰り返しからのフェイドアウトがドラマチックです。

趣のある静けさが心に残ります。

歌詞 : マーシーの詩人ぷり全開で美しい。

しみじみとしたアレンジとはギャップを感じるくらいに“力のある”回想シーンのよう。

2番の歌詞に出てくる“綺麗じゃなくても美しいもの”って今ある本物の感情だし、ずっと好きでいられる対象のことだと感じます。

タンポポといってもこの歌の中に咲いている(?)のは、鮮やかな黄色の花ではなく吹けば飛ぶ白い綿の方です。

それが無数に飛んでいる光景がイメージされます。

M13「魔羅(シンボル)’77」

作詞・作曲/甲本ヒロト

超ファンキーな下ネタソング。

タイトル見ただけで察した期待外れでないそのまんまのもの。

「魔羅」ってタイトルについちゃってるし。

魔羅:まら

1、(仏)人の心を迷わし修行のさまたげとなるもの
2、陰茎。男根

「1」というよりも、問題なのは「2」の方です。

その歌。

迫力の音にビンビンに惹かれつつも、ちょっと笑える微笑ましさがハイロウズならではで、他の誰にも真似できない。

始まるとすぐに、ウィンウィンと盛大にワウるギター。

何をする気なんだ⁈と高まる期待。

次の瞬間、それまで抑え気味だったテンションが一気に突き抜けます。

全身を大きく動かして踊り狂うめちゃくちゃファンキーなイントロ。ちょっと長めです。

ロックンロールでありながらファンクだ。

エフェクトがかかって少し奥まったヒロトのボーカル。魔羅が歌のシンボルになってる。

ソウルフルなハイロウズの音。

初めて聴いた時はそれまでになかった新しい魅力を感じました。

演奏がキビキビしてて、暗く落ち込んでいるようなフニャっとした態度は許されない。

ハイロウズが私のシンボルに向かって、立ち上がれと言っている。

サビに入った途端に急にキャッチーなメロディになるのが印象的です。

ボーカルのエフェクトも外れて直球です。

遂にシンボルに自分の力が全振りされる瞬間。

すべてが突き抜けるサビは、白井さんのキーボードの音がバンドの中で一歩前に出てくる主体的な感じ。キラキラの活力があります。その音にトキメクのが人の心。

なんと、サビは1回しかやりません。

サビがもてはやされていないロックイズム全開の名場面。

この歌、とにかくシンボルが魔羅魔羅してる。

なんだか強そうだし太々しい。

よく分からないし、下ネタソングに奮い立つとかなんか悔しいけどカッコいいと認めざるを得ない。

一つハッキリしてるのは、強烈だということ。

その衝撃は、ハイロウズでしか成り立たないということ。

歌詞 : どう考えてもシンボル=魔羅です。

思考や感性をフル回転させて考えるほどの意味はなさそうです。

意味が分からないと悩むより、もっと直球ストレートなもの。

サビのラストの“バカとシンボルは使い様”って、斬新だな。使い様って男性には深い言葉かもしれないけど、なんかウケました。

M14「バカ(男の怒りをブチまけろ)」

作詞・作曲/真島昌利

パンクスタイルで男の怒りをブチまける痛快なラスト曲。

怒りが爆発していてスカッとします。

ストレスが溜まってきた時なんかに向いています。ストレス発散のブチまけソング。

世間に対して感じている自分の怒りをハイロウズが代弁してくれた神曲です。

どこにでもいるバカを一蹴します。

速すぎないテンポのパンクアレンジ。誰かの心を直撃する絶妙なテンポ。

ストロングなギターが鳴り響くイントロ。

決して塞ぎ込んでいない開放的な雰囲気です。ハイロウズが鋭く大胆にブチまけそうな予感。

自分にも日頃の怒りをブチまける覚悟が必要かもしれない。

明るく希望的な音にワクワクします。ラストにふさわしい壮大感まであります。こういうのは期待できる。

ヒロトが真摯な態度で歌い出すと、たくさんの手に負えないバカがぶった斬られていく。

誰が聴いても共感するバカのバカっぷり。

誠実な心の歌だ。

演奏では歪んだパンクスタイルのギターが一歩前で爆音を轟かす。怒りのブチまけ奏法。

銃をくれと懇願するBメロに男の哀愁あり。

サビのメロディに入った瞬間はわずかに穏やかな気持ちを感じつつ、ささやかな風まで吹いてきます。

とはいえ、そのサビのラストですべてをブチまける快感があります。

怒りのインジケーターが徐々にレッドゾーンに達していくドキドキの間奏。危険なレッドゾーンに近づくにつれて段々と音が大きくなってるようなフルパワーの激しい演奏。

反則級の演出に興奮度MAX。

更なるバカを斬るAメロ→Bメロを経てラストのサビへ。

ハイロウズが怒りをブチまける。

ここまで「バカ」を連発する歌は、ストレスを突き破る。

歌に登場するようなバカがこの歌を聴いた場合は、どう感じるのかは私には分からない。

ロックンロールに何も感じないのかもしれない。

歌詞 : どこにでもいるバカを決して許容しない怒るロックンロールのスタイル。

ほぼすべての職業に不祥事なんかを起こしてるバカがいます。

そんなバカに対して「子供でも知ってるよ」という言葉が誠実さに溢れています。初視聴時はなんかすげえこと歌ってるなと、びっくりしました。

バカは語り切れないので、歌詞の通り“どこにでもバカいる”これに尽きます。

ここまで聴いた時点で相当スカッとします。

“男の怒りをブチまけろ”と高らかに歌い放つ最後の一言で、日常の溜め込んだ怒りがスッと消えてしまう破壊力あり。

たまには怒りをブチまけろ!とハイロウズが言ってます。

みんなが日頃の怒りをブチまけてスッキリしたところでアルバムはおしまいです。

超名曲から始まり、気持ちのいいロックンロールに泣けるバラード、おふざけソングに下ネタソングまで、色んな感情にさせてくれるハイロウズの5枚目のアルバムでした。

“極上”という言葉がよく似合います。

レコードの帯の“嗚呼!! 感動の名盤!!”という煽り文句に一切の偽りなし。

ストレス対策にも効果的な感動の名盤。

体の疲れは寝れば治るけど、心の疲れは楽しむことや感動すること以外は改善されません。

手に持った黄色いジャケットも心が良い方向へ動きます。

スピーカーで聴くのと、イヤホンで聴くのとでは結構な違いで印象が変わるので、2通りで楽しめるお得盤。

つまり名盤です。

『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』は、

朗々と鳴るアルバムです。

ありがとうございました。

また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。

-↑THE HIGH-LOWS↓
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ニュー・アルバム『HEY! WONDER』
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CDとアナログ盤が出ます。
完全生産限定アナログ盤はいつも通り良心的な価格です。
レコードの価格が高騰しまくった今の世の中で、普通に3000円て思いやりが溢れてます。

<収録曲>
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5.よつであみ
6.恋のOKサイン
7.メロディー
8.くだらねえ
9.ダーウィン(恋こそがすべて)
10.SEX AND VIOLENCE
11.不器用
12.男の愛は火薬だぜ ~『東京火薬野郎』主題歌~

今回も興味深いタイトルばかりで、既にテンションが上がってきました。
ツアーも楽しみです!

ニュー・シングル「あいのロックンロール」12/13発売決定!!

1.あいのロックンロール
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ロックンロール尽くしなシングルで超楽しみです!
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唯一の問題は冗談のセンスが全然ないということ。

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Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。

レコードに次いでカセットテープの人気が上がってきてるみたいです。

私はカセットがとても好きです。もちろん私の中でも一度終わったメディアですが、個性的なものはもう一度好きになったという感じです。最近はカセットばかり聴きます。

小さくて手に馴染むサイズ感はかわいいと思います。A面とB面があるわずらわしさが、音楽を聴く楽しさに変身してます。

それで、ブルーハーツのシングルのカセットが欲しいとずっと思っていました。全シングルがカセットで存在している訳でもありません。たまに出品されていても割と高値が付いて買えません。

でも欲しかったし、貧乏なオレには買えないのはとっても悔しいので自分で作りました。

ジャケットも出来る限りオリジナルに忠実になるように自作しました。

生のテープが安く手に入ったので制作に踏み切りました。

自作カセットテープ↓

ハイロウズのカセットテープも作成しました。

ジャケットはレコードの帯の煽り文句をモチーフにしています。

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素敵な音が出てます。

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