こんにちは。
『ロブスター』は1998年リリースされたザ・ハイロウズの3rdアルバムです。
THE HIGH-LOWSの人気アルバム。
3枚目、傑作です。
期待を裏切らないハイロウズロック全12曲。
そこら辺にある普通とかを感じさせない個性的な人たちが作った最高なアルバムです。
人と違っても自分らしく生きるために大事なことを気付いてしまう歌が多数収録。
ボケた日本人になりたくない人にオススメします。
私にとっては「第一希望」=「自分らしさ」だと自分を誇りに思える名盤。
気分を↑上げたい↑時にピッタリです。
THE HIGH-LOWS/ロブスター(1998)
ロブスターは1998年5月8日に発売されたサードアルバムです。
2ndアルバム『Tigermobile』(1996/12/6)から1年5ヶ月後のリリース。
その間にミニアルバム『4×5』(1997/5/14)もリリースされたので、そこからは約1年振りのアルバムになります。
まず目を引くのは鮮やかな赤が映える大胆なイラストのジャケット。
ハイロウズのロックと相性抜群です。
可愛らしくて愛嬌のある“ロブスター”の絵のジャケットは、ダウンタウンの松本人志氏による描き下ろしです。
一度見たら忘れない強いインパクトのあるジャケットで、店に売ってたら間違いなく欲しくなるやつ。
発売日、店ですぐに見つけて買いました。
ちょっと気になる『ロブスター』の音
1998年5月8日の発売日に買ってきて初視聴した時は、2ndまでとは随分と音が変わったなという印象を持ちました。
違うバンドかと思ったほど。
それは『ロブスター』は音がかなりキンキンなミックスだったからです。
そのため耳触りは若干キツいと感じます。
これは楽曲とかアレンジというより、聴き慣れない感じのミックスに特殊な印象を受けました。
とはいえ、悪い印象ではなくロックがキンキンに炸裂するスペシャルな音です。
誰もがこの音にグッと来るのかは分かりませんが、度を超えて明るい元気な音。
ロックを感じられない人はいません。
『ロブスター』収録曲
1. コインランドリー
2. E=MC2
3. 不死身のエレキマン
4. ブカブカブーツ
5. ピストン
6. 有名
7. そうか、そうだ
8. 風の王
9. ゲロ
10. 千年メダル
11. 真夜中レーザーガン
12. 夏の地図
全12曲、46分。
よりパンキッシュになった印象の超重要作。
いつもマーシーやヒロトのロックに求めているセンチメンタリズムが戻ってきました。
それまでわずかにあった重さが払拭されて身軽なサウンドになったと感じます。キンキンなミックスがその印象を更に強くしてます。
とはいえ、主張のない軽率さはなし。
アレンジのバリエーションも増えました。
“永遠”のラブソング「千年メダル」、エレキを掻き鳴らすライブの定番「不死身のエレキマン」、愉快な下ネタソング「ピストン」、ストリングスが導入された「風の王」、涼しげなスティールパンが印象的な夏休みソング「夏の地図」など心に聴こえてくる歌ばかりです。
この人たちの、偉大なる「不変」を感じます。
作詞作曲はヒロトとマーシー7曲ずつ。
前半にマーシー作が多く、後半にヒロト作が多めな曲順です。
ドラマチックなアルバム構成が、誰かの心を大いに動かします。
聴くと、第一希望以外は目指せなくなります。
気の利いた名盤。
痛快です。
シングル曲は9thシングル「千年メダル」、10thシングル「真夜中レザーガン」の2曲が収録されています。
2曲ともにシングル、 アルバム同一音源。
9thシングル「千年メダル」はアルバム発売直前の1998年4月29日に先行リリースです。
10thシングル「真夜中レーザーガン」はアルバム発売後の1998年8月26日にリカットシングルとしてリリースされました。
カップリング曲の「アウトドア派」はサビがマーシーにボーカルが変わるスリリングな名曲です。
シングル2枚どちらも8cmシングルCDと7インチアナログ盤が同時リリースでした。
1998年の『ロブスター』リリース当時、CDとレコード(限定生産)で発売されました。
限定生産だったレコードは2020年にリマスターも施されて再発売されました。
私はリマスター盤を聴いたことがないので、それがどんな音質なのかをお伝え出来ません。
興味はあります。聴き比べてみたい。
キンキンじゃなくなってるとかあるかな⁈
無敵になったハイロウズ、襲撃です。
『ロブスター』のパンキッシュなバンドサウンドには余計なものは付いていません。
身軽になった勢いでブッ飛ばす。
無敵!! 炎の鋼鉄鋏団(ロブスター)、襲撃!!
M1「コインランドリー」
作詞・作曲/真島昌利
目まぐるしい勢いがブン回すロックンロール。
毎日を思い通りにするためのアップテンポ。
かなり勢いのあるこういう曲でスタートするアルバムは期待大です。
ハイロウズの場合はほとんどそうですが。
1分53秒と2分を切る潔い演奏時間が豪快。
アルバムの幕開けを告げているかのような高揚感に満ちるギターのイントロ。
バンド全体の音が入ったらもう止められない突進力で一気に走り出す。
ど真ん中でヒロトが歌い出すとライブの熱狂が部屋にやって来ます。
聴きたかったハイロウズだ!
これを聴きながらまだ不幸を愛せる人はいません。
ギターは単純なコードのみの力強さ。
ドラマチックなタイミングで何度か入るピックスクラッチは鼓膜を直撃する炸裂音。
マーシーの生活感が出ている歌詞は共感できます。ロックスターだって自分と大して変わらない同じ人間なんだと安心もできます。
歌詞の音の滑らかさに、自分の想像力までいつもの3倍で輝き始めます。
音はキンキンしてるけど音圧は高く、期待していたロックの圧迫感がドーンと存在してる。
ストレスさえも活力源にする無敵なロック。
洗濯物もロックもブンブン回ってる。
今日から思い通りにいきそうだ。
歌詞 : コインランドリーにて、決して不幸に甘んじない想像力の飛躍。
クスッと笑えるところもありつつ、ビシッと自分を貫いている生き様が聴こえます。
“チクロ食ってた 不死身の俺だ”という歌詞に出てくる「チクロ」って知らなかったので調べてみたら結構ヤバいものみたいです。
チクロとは「昭和の甘み」らしい
チクロは、砂糖の40倍の甘味があるとされる人工甘味料で、日本では昭和31年に食品添加物に指定された。しかし米国で1968年、発がん性の疑いが指摘され、日本でも大騒ぎになった。昭和44年、米国で使用が禁止されたのに続き、日本でも添加物の指定が取り消され、使用禁止になった。
マーシーはこれを食べてたんですね。今でも人の心を動かすロックを奏でてくれるので、本当に不死身です。
M2「E=MC2」
作詞・作曲/真島昌利
生きている事を最大限にカッコ良く歌うロックのエネルギー。
タイトルは「イー・イコール・エム・シーにじょう」と読みます。
これが何なのか⁈
エネルギー E = “質量 M” × “光速度 Cの2乗”
という、質量とエネルギーの関係を示す等式を指します。アインシュタインが1907年に発表した『物質とエネルギーが可換』であることを意味する式とウィキペディアには書いてありました。
私には意味が分かりません(笑)大抵の場合は分からないでしょうからいいと思います。
難しいことはさておき、音を聴けばすべてを理解できます。
凄まじいエネルギーが満ち溢れた歌。
パワフルなアレンジで元気が出ますが、相変わらず音はキンキンです。
メリハリのあるギターから始まるイントロ。
速すぎない心地よいテンポ。
華やかなキーボードがそそり立つ。白井さん大活躍。ロックンロールのピアニスト。
一瞬たりとも滞らない演奏が快感です。
楽しげな演奏は、一切の不安を感じる隙がありません。
マーシーのギターはどちらかというとバッキングに徹している印象ですが、その存在感は余裕で記憶に残ります。
なぜならとてつもなく楽しい音だから。
サビでは白井さんのキーボードの音が最前線でキラキラしていて盛り上がります。
エネルギーが不足した時には必ず聴くべき歌。
体中にみなぎります。
瞬間を生きて、やり遂げようと決心できます。
「エネルギー=ハイロウズ×ロック」
なんだ、そういう事か。しっくり来た。
歌詞 : 今を生きる強力なエネルギー。
私たちには常に過去と未来の真ん中、今この瞬間しかありません。呼吸してて意識もあって生きてることは、誰にとってもただ一つの真実。聴くと自分は生きてるんだという素晴らしい実感が湧いてきます。
力強いアレンジとバシッと言い切る歌詞の相乗効果が期待以上の結果をもたらします。
爆発寸前の強力なエネルギーが溢れてます。
M3「不死身のエレキマン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
3曲目、名曲です。
名曲ですが、アルバムの中でダントツ1位のキンキンさです。
この突き抜けた曲にはこのくらいのキンキンさが合ってると感じる説得力があります。
決して妥協を許さない不死身なやつの登場で、自分の生き方を見直す人がいます。私です。
歌の「電気のトラボー」もそのトリガー。
誰でも初視聴の時点でこの曲の異常なパワーを感じられます。
衝撃のエレキアレンジ。
感電注意。演奏中ずっと高圧の電気が流れてます。
すぐに記憶に残る凄まじいギターリフ。
マーシーのロックスピリッツが炸裂してます。一瞬も妥協していない、主張してる。
ライブでは「不死身のエレキマン」の時にヒロトがフライングVを弾きながら歌ってました。
マーシーのギター1本ではリフ部分の演奏が薄くなるという理由からヒロトがバッキングギターを弾くようになったそうです。
ヒロトは派手にギターを弾きまくってます。
歌が始まると衝撃的にビシバシしてる。ちょっと痛いくらいに一音ずつが猛烈です。
人がこうなるのってきっと、何か強く主張したいことがある時。
この音楽がその時の感じ。
私は我慢できずヘッドバンガーになった。
曲中にはハウリングの音が入っていてエレキマンの電気的な耳触りを実感します。
エレキマンの如くマーシーが弾きまくる。
こういう熱狂的で凄みのある音こそが、つまらない世界を照らすロックのバカげた光なのかもしれません。素晴らしく太々しいです。
この歌は、音そのものが主張してる。
もう既に第二希望の選択肢なんか不要。
歌詞 : 第一希望だけを目指すための煽り文句。
自分が自分の世界の主人公。
こいつは普通とか一般的ではない生き方をしている男だなと大きな魅力を感じます。
大人のフリしてるだけで、子供の頃から憧れてたものにはなっていないことが大半です。この先の人生で最初の憧れと近しいことになっていようと決心できます。
“第一希望しか見えないぜ”という歌詞は『ロブスター』の中で一番心に刺さった言葉です。
やりたいことをやる、やりたくないことはやらない。第一希望以外の選択肢は排除してしまう信念が人の心を動かします。
M4「ブカブカブーツ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ザ・ハイロウズ、でかいブーツの魅力を大いに歌う。
今すぐブーツが買いたくなる衝動。
欲しくなるというより買いたくなる。
小気味のいいギターと吹きまくるハーモニカにテンションが上がります。
聴き慣れた頃、この歌のクスッと笑える感じや跳ねるテンポが、4曲目にすごく合ってるなとか思いました。
イントロは音が飛んできます。
ヒロトがハーモニカを吹き始めたらもう止められません。
静止していられない程にすごくリズミカル。
歩いてる時のリズムにぴったり。
低めの声で歌うヒロトはドッシリした態度で胸を張っているのが分かります。
サビのこだわりのコーラスが楽しげです。それはハイロウズに求めてる突き抜けた楽しさ。
履いたことがないくらいブカブカなブーツが誇らしげに歩いてるイメージ。
見事なギターソロあり。マーシーが鳴らす強靭な音には、背筋を伸ばしたキリッとした態度で歩きたくなる衝動が発生します。
“でかい”とか連発されて、なんだか自分がでかくなった気分。
これこれ!ほとばしるこの感じ。
頼もしい自分が戻ってきたいい感じ。
4曲目で不思議と、このアルバム音圧高いしすごく音がいいんじゃないかと、最初のわずかに戸惑った印象が覆りました。
ラストではヒロトがロックな悪態で笑い飛ばして咳払いまでしています。
この歌、でかいブーツでどんだけポジティブにしてくれるんだ!
歌詞 : 私にも人生でブーツにハマる時期というのがあったので共感しました。
その頃は歌詞のように部屋中ではないけど、靴箱はブーツだらけでした。生きていると常にある特定の何かにハマっています。
でかいブーツをはきながらでかいブーツを買うって、このハマり方最高です。
ヒロトもマーシーもよくでかいブーツをはいてます。ドクターマーチンです。革ジャンとでかいブーツって相性抜群だし、2人はすごく似合ってます。
M5「ピストン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
今回も待ってたしやっぱり入ってたヒロトの下ネタソング。
もうタイトルからしてそうだろうと予想がつきます。
ハイロウズロックのハジけっぷりが心地いいです。
軽快でアップテンポな突き抜けたアレンジ。
発射、もとい発車開始の合図のような轟音ギターが4つ鳴り響いた直後に、ギンギンなバンドサウンドが入ったら止められません。
発火しそうな勢い。
スピード感や疾走感が一番手前にあります。
明るいロックの音。
いい具合の心地よい歪みがあって、ちょっとしたネガティブなんか突き破っていきます。
ハイロウズの演奏自体が筒型の形状をしてて、内壁に密着しながら往復運動してる。
なんかこれすげえ速いピストンなんだけど。
高速の摩擦で非常に高い熱まで感じる。
サーフっぽいノリノリなギターソロは、いつもより長めにやってくれます。過剰サービスです。
絶対、踊れと言っている。
この歌を聴きながら何も抵抗はできません。
唯一できるのは感じること。
ラストにはバイクが走り出すエンジン音が聞こえてきて、ただの下ネタソングではないと気付いた瞬間、エロだけに走っていた自分の思考にハッとします。
あれ⁈もしかしてこれ違う?
そういえば、イントロからバイクの音が入ってました。エンジンの部品の中にもピストンがあります。ヒロトはバイクが好きです。
オレの頭がおかしいのかもしれない。
、、、そんなことはない。
歌詞 : 穴ってどの穴なのか私には分からないけど、とにかく穴って連発します。
「穴」と「ピストン」て言葉をたくさん歌うとっても素敵な感じ。
これ聴いたら完全に下ネタの方へ思考を持っていかれます。「穴」という言葉に反応するんじゃない(笑)でも割と健康な証拠です。
“穴につっこみたい”とか“穴が呼んでるぜピストン”とか、それ以外は考えられない露骨な感じがたまらなく好きです。
私は至って正常です。
M6「有名」
作詞・作曲/真島昌利
ここで一度、熱くなりすぎたテンションが落ち着くポイントです。
『ロブスター』の中では異色を放つアレンジ。
ゆったり大らかなテンポ。
音の煌びやかな感触。
澄んだ雰囲気。
頭の上をクルクル回るような演奏。
全員にある承認欲求を空想的な曲調で歌います。柔らかく心に優しいメロディです。
テンポやアレンジが緩やかだからこそ、興味深い歌詞の内容に意識が向きやすい。
マーシーほどの有名人が作った歌というのが、なんだか安心感を得られました。
重要なことを歌っています。
「世間」じゃなくて「世界」に向かって自分の存在をアピールするということ。まずは世間からとか言ってると有名にはなれないと思いました。
この歌はいきなり世界からです。
終始、落ち着いたなテンションだけど温かみとかふわっとした柔らかさがあります。
頭を振るというよりユラユラ揺らす感じ。
大勢の大きな歓声が聞こえてきて、遂に自分が認められたようないい気分。
ラストは有名になって歓迎されてる。
いいなぁ。
歌詞 : 誰にでもある、認めてもらいたいという気持ちを歌っていて共感しやすいです。
人間の根源的な欲求。全員の心の奥にある「自分をわかってほしい」という欲求です。
“透明人間はヤダ”という歌詞が、そのまんま私でした。私は人からは見えていないと感じる事がよくあります。
これ、オレにアピールしてるの⁉︎
ラストの“才能は多分 夢を見る力”という名言がそんな私を救います。
才能なんかほとんどの場合はないので「夢を見る力」こそが夢を実現できるんだという事を自分で証明したくなります。
M7「そうか、そうだ」
作詞・作曲/真島昌利
ひらめいた、気付いた、確信したアップテンポの頑丈なロック。
2分半くらいの短い歌。
聴けば聴くほど、年を重ねれば重ねるほどに刺さりまくる衝撃。
そうか(気付き)、そうだ(肯定)という解釈ができるタイトルは抜群なインパクトです。
イントロが鳴った途端に少しカクカクした気持ちいいリズム。
ガツンとした音のギター、吠えるハーモニカ。
曖昧さは許さない。
ここにもやっぱり主張だけがある。歌詞もメロディもストロングな演奏も、何も聞き入れない激しい主張。
俺の方が正しいと他のすべての事を破壊していくハイロウズ。そこには光があります。
ロックは頑固です。
ズンズン突き進むゴリ押しなアレンジが頼もしい。
ギターソロはなし。でも絶対に折れないリフは記憶のど真ん中でキラキラ輝きます。
3分を余裕で切る潔い演奏時間の中で、どれだけ強いインパクトを放つんだ⁉︎
一音一音に馬力ありすぎ!
厚かましく人の心を鷲掴みにしてくる程の、衝撃的なハイロウズのパワーを感じます。
いつ誰が聴いても衝撃を伴う激しいやつ。
歌詞 : 安定を求めると心が不安定になるという教訓。
私の心には直撃しました。強烈です。
意外にも不安定な時こそ安定していて楽しいもの。
自分にとってババァの知恵袋より、哲学の本より、悲しいニュースや過去の出来事なんかより、自分こそが100%の正しさです。
いつも自分が正しいんだという揺るぎない自信を尊敬します。特に同調圧力に支配された日本では大事なことだと感じました。
M8「風の王」
作詞・作曲/真島昌利
風の王と踊る心軽やかソング。
名曲の佇まい。
アルバムの中で、マーシーの「風の王」ラスト曲であるヒロトの「夏の地図」の、音楽+物語のスタイルが私は好きです。
絵本になりそうなストーリー性のある音楽だと感じました。
美しい曲です。
ストリングスが入っていて華やかさもあります。ハイロウズの音に絡まったストリングスが風の音に聞こえてくるのが素敵です。
私も風の王に出会えそう。
ヒューヒューと滑らかな聴き心地。
強めの風が吹いて、バンドが力強い合図を鳴らしたら美しいロックの始まりです。
Aメロのマーチングな雰囲気のリズムには心が前に行進していく好影響あり。
どの瞬間もロックのダイナミズムと、この人たちの感性の繊細さと美しさを同時に感じます。
常に絡まるストリングスの音の細やかさと大胆さが、外で風を感じている明るい雰囲気を決定してる。
「風の王」の歌詞、すげえ音がいい。
語呂がいいんじゃなくて、マーシーの感性は言葉の音がいいです。言葉の音質と言ってもいいかもしれない。
心地良さを感じる要素がそこにもあります。
何より心地良いのは、歌から無限の自由を感じること。縛られず、否定されず、悩んでもいない軽やかな感じ。
嬉しくてクルクル回ってる幸せな感じ。
ラストにも強い風が吹いて、風の王とハイロウズが踊っている中に私も入れてもらえた。
聴くと、ふわっと空中に体が浮きます。
歌詞 : マーシー節が炸裂してる芸術的な歌詞。
脳天気さと、やり切った深みのある人生の両極端が同時に存在してます。
“電気椅子の玉座で 思い出し笑い 断頭台のベッドで 寝タバコふかしてる”
とか、決して他人の人生を生きてはこなかった、自分の信念に真面目に生きてきた人のセリフです。自分を極めた人だなと感じました。
誰にも打ち負かせない感じにすごく憧れます。
「風の王」を聴くと、どうでもいいことなど考えずにヒューヒュー踊る気持ちでいようと、忙しい毎日に気楽さが戻ってきます。
M9「ゲロ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
タイトルを見た時には、何だこれは⁈と思いましたがかなり好きな歌です。
ヒロトの子供の頃の食べ物にちなんだ嫌な記憶と、ほのかに潔癖症を思わせる歌詞に共感しまくりました。
ホーンまで入っているゴージャスなアレンジはテンション爆上がり。
聴いていて楽しくなる曲はこれです。
ロックンロールのイントロが鳴り出したら痛快な勢いだけが存在していて、不快感など遠くへブッ飛ばされます。
ヒロトのボーカルが重ねられていて、楽しさ2倍。
ギターは鋭い音で録音されています。
音が突き抜けた明るさで、小刻みに踊りたい弾けたロックンロール。
音数が多くて割と騒がしい感じが好ましい。
サビのコーラスでは「ゲーロ ゲーロ」ってずっと歌ってるし、この歌の前で悩める人はきっといません。
素晴らしきロックのバカバカしさ。
マーシーが弾きまくるギターソロ。遠慮なしの攻撃性まであると感じるロックンロールの音が鳴ってる。そこに元気なホーンが入って攻撃力アップ。
嫌いなものを口に詰め込むような非常識な行動はぶった斬られました。
私の嫌な記憶までハイロウズが打ち負かした。
果てしなくぶっちぎりだし、ノリノリだし、バリバリだし、ゲロゲロだし、、、
この歌、最高だ!
聴きながら気持ち悪くなってくる人はいないと思います。
歌詞 : すごくコミカルに正論をブッ放す。ハイロウズに遠慮なし、間違いもなし。
子供の頃に学校の給食で嫌いなものを無理矢理に食べさせられた腹立たしい記憶が私にもあります。
当時はチーズが入ったちくわを揚げたやつが気持ち悪くて大嫌いでした。それは教育ではなく虐待だし、くだらない日本特有の同調圧力です。みんなこうだからというのは私には関係ないです。
嫌いなものを食べたからといって健康にはなりません、ストレスになるだけ。
“お寿司は板前さんしだい〜”の部分では、なんとなく私と同じ潔癖症を感じました。私は人が作ってくれたものを食べれません。
ラストにヒロトが「うぇっおぇっ」って言ってるのが傑作です。
その直後は感動的なラブソングです。
M10「千年メダル」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ハイロウズの9thシングル。
恋をしているすべての人にぴったりハマる超名曲。
私は音痴なので音程の事とかは分かりませんが、「千年メダル」は他の歌より少しだけキーが高いような気がします。
それが歌の“恋心”を特別なものにしてます。
キラキラしたアップテンポのラブソング。
豪快に鳴り響くのは終わりのない恋心。
キュンキュンするしグッとくる。
ヒロトがパワフルに歌い出した1番は、否定的な歌詞が世の中のおとぎ話を突き破る真摯な態度の恋心。
歌のストーリーの主人公はとっくに自分とパートナーです。
二人で真心を積み上げた世界にひとつしかない恋の音が聴こえます。
とてもポップなアレンジでキャッチーさ抜群。
演奏には力強さが表立ちます。
恋の気持ちとリンクするような激しさもあります。同時に滑らかさもあって、大切にしている恋心のあたたかさを聴いているよう。
間奏ではときめいた恋心が世界を一周してくるスライドギターがいい感じ。
その後、パートナーの心にしっかり着地した音まで入ってます。
少しテンポダウンする3番で歌う本音に感銘を受けた私は、目の前の世界が一瞬止まって新しくまた動き出した感覚がありました。
いい歌だって感じてる瞬間の連続です。
美しい恋の物語を聴いている気分。
ラストはフェイドアウトしていきますが、しっかり演奏し切って終わっていてスッキリ。
愛ではない恋の歌は、誰かの恋心に鳴り響く。
歌詞 : パートナーのことをずっと考えている恋心と男心と感謝の心。
びっくりするくらいの真っ直ぐな気持ち。
相当に相手のことが好きなんだなというのが誰にでも分かるし、キュンとします。
恋が表彰台にのぼるとか、グッと来た。
せいぜい百年しか生きられない人間が、千年とか言い出してるスケールがやっぱりヒロトの魅力です。
百年しか生きられない中で、できるだけ長生きすると言い切っている強さに共感します。
「千年メダル」、大好きな歌詞です。
M11「真夜中レーザーガン」
作詞・作曲/真島昌利
ハイロウズの10thシングル。
シングルはアルバムからのリカットで本作収録のものと同一音源です。
全部を↑上げる↑時のロックンロール。
今この瞬間の生きた心地を実感できる名曲。
パンキッシュなアレンジが快感です。
豪快さと繊細さのハイブリッド。
常識を超越する疾走感のあるイントロが、私の心の真ん中を目掛けてブッ飛んでくる。
真夜中の意味もなく高揚したテンション。
すべてのことが楽しく感じて笑いが出ちゃうスペシャルな時間帯。
「真夜中レーザーガン」が1秒ずつを最高潮にさせてくる。
ギターはコード主体の心に聴こえるやつ。
こういうのをライブで観れたことが今でも記憶の中に鮮明に残っています。マーシーは流れるようなコードストロークを宇宙一しなやに弾いていました。
バッキングの美しいアコギの音が心の繊細な部分にダイレクトに響きます。
ギターソロはなし。そんなものなくてもロックンロール最高だろとハイロウズが言ってる。
最高だし、最高潮!
アップテンポではあるけど最速なテンポという訳ではないのに、なんかすげえ速い。
胸が熱くなるハイテンションなメロディ。
覚えやすいし、心の中で大爆発する瞬間には流暢なメロディを一緒に歌っています。
ラストはマーシーが華やかなギターで盛り上げつつ、とんでもない勢いを放ちビシッと締めます。
その音は、凄まじき勢いでビューンと宇宙まで飛んでった。
同時に心のスーパーチャージも完了した。
歌詞 : 今この瞬間の存在証明。
すべてを全開でやりまくってる感じに、私の真夜中のテンションも上がります。
“真夜中レーザーガン”て何だ⁈
それは、いま感じてることだろう。
歌詞のGがかかるの「G」とは加速度のこと。ジェットコースターに乗った時に一瞬だけ内蔵がひっくり返るような感覚のことを言っているのだと思います。生きている感覚だし、存在証明です。
いつも今この瞬間しか生きられない。昨日はすでに終わっているし、明日はまだ生きられない。ハイロウズらしいです。
M12「夏の地図」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ライブで演奏されたことはなく、ライブ終了のSEとして使われていました。お客さんが帰っていく時のやつです。
1998年の初めて『ロブスター』を聴いた日に、すごくいいアルバムの締め方だなってラストの「夏の地図」にドキドキしました。
胸のドキドキは今では当時以上で、いつも期待感が高まってから聴くことができます。
いつからか心の奥の方に追いやってしまった夢を、もう一度頭のてっぺんまで持ってこようと決意させるパワーがこの歌にはあります。
音はカラッとしたライトな感じ。
歌のストーリーにスッと入り込めるミディアムテンポ。
自分がストーリーの主人公になれる、ハイロウズロックの親しみやすさ全開。
キーボード主体で、変に音が詰まっていない隙間を絶妙に活かした軽やかアレンジ。
ゴリゴリの縦ノリでなく、ゆらゆらな横ノリ。
いつも聴きながら頭の中には映像があって、映画を観ている時の感じもあります。
一人も大事なことを聴き逃さない優しいメロディ。胸の真ん中で聴くべきです。
夢のドアを切り裂いて開けるハイロウズ。
明るいメロディを奏でるキーボードと、バッキングに徹しながらも存在感抜群のギター。体を揺らすきっかけになる楽しげなベースと、目的地へ到着する道標になってるドラム。
その演奏には誰よりも楽しそうに歌うボーカルが似合っています。
ハイロウズって楽しい。
元気があって病気にならない。
ポジティブがあってネガティブは入れない。
はっきり見える夢があって断念しない。
この人たちは全部自分で決めてる。
宝物の地図が胸のポケットに入ったままの5人です。
心がじんわりしながら奮起してる。
歌詞 : ヒロトの言葉にときめく物語風。
説得力があります。行動力もあります。だから自分の未来も変わっていきます。
“昨日は読むもの 明日は書くもの”
過去は変えられないから記憶でしかないけど、未来はこれから描けるものだということをストーリー仕立てに歌っているのが好印象です。
この歌に思わず涙が溢れた人は、夢を叶える努力をしている人です。
私が分かったのは、頑張るところを間違えないようにすることが大切でした。
「夏の地図」にグッと来た今この瞬間、精神的に最高の状態を実感しています。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
みんなの胸のポケットに宝物の地図が入ったところでアルバムはおしまいです。
“失くすなよ 失くしちゃダメだよ 必ず一度は道に迷うから”
気付いたら第一希望しか見えなくなってしまったハイロウズの3枚目のアルバムでした。
鋼鉄鋏団によるロックの襲撃を受けました。
見事です。
全12曲、トータル46分を聴き終えた後にはいつも爽快な気分になっています。
キンキンなマスタリングはさておき、内容は心を捉えて離さないハイロウズロック。
つまり名盤です。
本作『ロブスター』の後に(厳密には10thシングル「真夜中レーザーガン」の後に)11thシングル『ローリングジェットサンダー』を1998年12月にリリースしています。
スタジオ録音ではなくライブ録音のシングルです。4曲のライブ音源が聴ける好印象なシングル。新曲である「ローリングジェットサンダー」以外は『ロブスター』収録曲3曲という構成です。
『ロブスター』のライブ盤としても聴けます。
未開封Tシャツコレクション
ツアー「メイン☆ロブスター ’98」に行きました。
このライブではアルバムの曲順通りのセットリストだったと記憶しています。
もちろんグッズも買いました。
「メイン☆ロブスター’98」の会場で買ったものです。
入場時に全員に缶バッチを配布してくれました。
そろそろ開封して着た方がいいかな(笑)
26年も経ってしまった。
どうでもいいけど私はロブスターを食べたことがありません。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。