こんにちはUMEです。
「flip flop 2」は2003年リリースのハイロウズの企画アルバム第2弾です。
この企画盤の嬉しいところは今からシングルとか集めるのは大変だろうというハイロウズの親心です。
タイトルが「flip flop 2」ということは当然その第1弾もあるわけで、2000年にリリースされた「flip flop」がそれです。
THE HIGH-LOWS/flip flop 2(2003)
※Amazonは20%OFFです。
このシリーズはオリジナルアルバム未収録曲を集めた企画盤です。
本作はオリジナルアルバム未収録のシングル、シングルバージョン、カップリング曲、別ミックス、トリビュート盤への参加曲、シークレットトラックなんかが網羅されています。
ハイロウズのオリジナルアルバム8枚をコンプしても聴けない割とレアな音源で構成されています。
本作は第2弾ということでハイロウズの後期にあたる音源の収録です。アルバムだと5thアルバム『Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS』から7thアルバム『angel beatle』の時期までの音源なので「Do‼︎The★MUSTANG」から活動休止直前のシングルは収録されていません。
14thシングル『青春」〜21stシングル『夏なんだな』までの期間(2000〜2003年)の音源です。
どちらかというと前期の音源で構成された第1弾である【flip flop】の方がオススメです。
それはなぜか…本作の内容はオリジナルアルバムに収録された曲のミックス違いが大半で、シングルのカップリングでしか聴けない曲が非常に少ないため企画盤という作品としての感動が低いからです。
バージョン違いではなく完全に曲としてオリジナルアルバムでは聴けない曲は8曲です。
・いかすぜOK
・夏なんだな
・プール帰り
・ジェリーロール
・セクシーナンシーモーニングララバイ
・狼ウルフ
・オクラホマデスカ?
下3曲はシングルのシークレットトラックでおふざけソングです。
「flip flop」の方にはシングルでしか聴けないカップリング曲が多数収録されていて、その曲たちはめちゃくちゃ胸熱ソングばかりです。
ですから本作を聴くとどうしても「これオリジナルに入ってる曲ばっかりじゃん」という感想は余裕であると思います。
とはいえ、その感想のままでは終わらない、音楽好きの感性を刺激するポイントがある(特にDISC2)ので所有してるいる意味はあります。
歌詞カードには曲の解説と写真も掲載されています。
DISC 1
シングルバージョン、カップリング曲、カバー曲で構成されたDISC 1です。
4曲入りの15thシングル『FLOWER』は好内容で、そのシングル盤のすべての曲が収録されているので、今から中古を探して『FLOWER』を買う必要がないのは利点です。
M1「魔羅’69」
作詞・作曲/甲本ヒロト
2000年リリースの14thシングル「青春」のカップリング曲。
感動の名盤である5thアルバム【Relaxin’ WITH THE HIGH-LOW】に「魔羅(シンボル)’77」というタイトルで、本曲とは別のミックスが収録されています。
本曲は5thアルバムのレコーディング、トラックダウンがすべて終了してから別ミックスとして作られました。
1曲目は強烈なファンクロックからのスタートです。タイトルの魔羅とは男根のことですね。強烈です。
「青春」のジャケットはマーシーのデザインで、ヒロトとスタッフがマーシーの指示により着色や貼り付けなどを手伝って制作されました。
鮮やかな黄色がインパクトあります。
M2「不死身の花 69 mix」
作詞・作曲/甲本ヒロト
2000年リリースのハイロウズの15thシングル。
ここからの4曲は15thシングル『Flower』収録の全4曲がフルに聴ける企画盤らしさ全開なポイントです。
オリジナルバージョンとそれほど大きな違いはありません。一聴して違いに気付けるほどではないです。
なんとこの『不死身の花』は当初「青春」のカップリング曲として発表する可能性があったということです。
M3「タンポポ hang on version」
作詞・作曲/真島昌利
名曲「タンポポ」のパンクバージョンと言えそうな、勢いのあるアレンジが胸熱です。初めて聴いた時の衝撃と興奮必至な感動はいつでも蘇ります。
シングル『Flower』用のレコーディングセッション時に録音されました。ツアー“リラクシン”のリハーサルセッションで登場したこのパンクバージョンはシングル『Flower』のリリースを待たずにライブで度々演奏されて好評を博しました。
PVも制作されました。
M4「ユーのカー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
シングル『Flower』の唯一の完全な新曲でした。5thアルバム「Relaxin’ WITH THE HIGH-LOWS」に「ミーのカー」という曲が収録されています。そのアンサーソングとも言うべきタイトルですが、歌詞にはそれほど関連性はありません。
バックのアコギが心地よい柔らかな曲調です。馴染みやすいメロディが最高で個人的には名曲です。しみじみしています。
行く当てはない 行く当てが ないから 行くんだよ どこまでも どこまでも 行きてぇなぁ
間奏にはヒロトのこのセリフ入りです。
“自分の車を手に入れて 夜を味方につけて 自分の車を手に入れて 朝顔みたいなラッパを鳴らす”
ヒロトの感性が豊かに表現された音楽の歌詞だと受け入れて聴けるのが見事です。
歌詞にはありませんが“手に入れて”の後に「ハリケンハニー」と歌っています。きっと意味なんてないとヒロト本人は言うと思います。それがカッコいいし楽しからやってるだけというロックのリアリティなんだ。「ハリケンハニー」って何だよとか考え始めると急につまらなくなるのでやめましょう。
“ワレメ ワレメ 誰かのクツ ワレメ ワレメ 片方のクツ カケラ カケラ ぶつかったのに カケラ カケラ 壊れないというのか ユーのカー”
「いうのか」と「ユーのカー」をかけているのが印象的です。曖昧な日本語ならではですね。他にも3番で韻を踏んでいるので音として気持ちいい曲です。
シングル「Flower」のジャケットはヒロトのイラストです。
自然な水彩画に癒されます。
M5「青春 lunch time version」
作詞・作曲/真島昌利
屈指の名曲がサブタイトル通り昼休みに合うアレンジで見事に生まれ変わっています。ゆったりテンポのアコースティック調で和みます。ランチが食べやすい、ランチが進む。なお筆者は朝起きてから夜寝るまでずっと昼休みだと思っていますから、このバージョンは最高です。
間奏にはアコギで聞いたことのあるメロディが演奏されています。そこが更なる癒されるポイントです。子供の頃によく耳にしたような…なんて曲だったかな?誰もが知ってるこのメロディ。どなたか曲名教えてください。
この間奏のみ後日録音されたということです。
[追記です]
ヤフー知恵袋で同じ質問をされている方がいましたので分かりました!
間奏でマーシーが弾いているメロディは、ドボルザーク作曲「ユモレスク 第7番変ト長調op.101-7」です。子供の頃に学校でよく聞いた記憶があります。
こちらです→【ドヴォルザーク:《ユーモレスク》 変ト長調 Op101 第7番】
M6「十四才[SINGLE EDIT]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
2001年リリースのハイロウズの16thシングル。
ラストがフェイドアウトのシングルバージョンです。フェイドアウトしちゃうのに、アルバムバージョンの「もう一つのラスト」よりもスッキリしている印象はあります。
この曲には“ジョナサン”が登場します。
これを聴いたら今度は「カモメのジョナサン/リチャード・バック」を是非読んでみてください。短めの小説で読みやすいです。
他のカモメはエサを取ったり移動するための手段として飛びます。しかしジョナサンは飛ぶこと自体が目的です。いかに楽しく飛ぶか、カッコよく飛ぶかが重要なんです。
お金を稼ぐための手段ではなく、バンドをやることが夢であるヒロトと同じです。だから「夢は叶い続けている」とヒロトは言ってました。
筆者は彼らから最強な学びを得ました。目的と手段を間違えるという失敗をせずに生きようと決めました。
やっぱり「十四才」は動くハイロウズを観たほうがよりリアリティな興奮と感動があります。「ジャカジャーン‼︎」とギターを弾いて振り上げられたマーシーの腕に涙が溢れます。何ででしょうね?その腕に意味なんてなくて、リアルよりリアリティだからです。
当たり前なんだけど今より若いです。でもあんまり変わらないな。
M7「フルコート」
作詞・作曲/甲本ヒロト
「十四才」と両A面の16thシングル。
シングルに収録されたこのバージョンは南石聡巳氏による国内ミックスバージョンということです。
本作のCDのこの位置に収録されていると、どうやら聴き流してしまいがちです。めちゃくちゃ勇気が湧いてくる名曲ですけどね。
アルバム収録バージョンと比べてアレンジが変わっているわけではないので、なんとなく音の雰囲気が違うと分かる程度ですが、これは個人的な感想にすぎません。人の感想なんか真に受けるべきではないです。
M8「よろこびの歌[Nancy Mix]」
作詞・作曲/真島昌利
2001年リリースの17thシングル「ニューヨーク」のカップリング曲。
シングルのタイトル曲「ニューヨーク」はアルバムと同じバージョンで「よろこびの歌」は前の曲「フルコート」と同じ南石氏による国内ミックスです。このシングル以降、南石TDバージョンは“Nancy Mix”という表記が採用されることになり、この後も頻繁に登場します。
真夜中に「散歩」するというマーシーの趣味の一環がテーマの曲です。軽快な曲調に乗ってよろこびがダダ漏れしちゃってるのが伝わってきます。
M9「天国野郎ナンバーワン[Live V ersion]」
作詞・作曲/真島昌利
17thシングル「ニューヨーク」のカップリング曲。
2001年8月18日北海道・石狩湾新港で行われた「RISING SUN FESTIVAL 2001 in EZO」に出演した時の録音です。
お笑いタレントの「間寛平」に提供した曲のセルフカバーです。本曲はライブバージョンですが、スタジオ録音のオリジナルは6thアルバム【HOTEL TIKI-POTO】に収録です。
寛平さんバージョンは一部歌詞が異なっていますが、ハイロウズバージョンの歌詞がオリジナルのものです。
M10「いかすぜOK[Radio Edit]」
作詞・作曲/真島昌利
当時「アクエリアスCMソング」でよくテレビから流れていました。
こちらの[Radio Edit]はシングルに収録されたものではなく、後半のDUBパートがカットされてラジオ・オン・エア用として配布されたものです。
結論としては断然こちらのが聴きやすさは抜群です。「いかすぜOK」が4:44で聴けるのは有難い。
当時このバージョンの収録にすごく感謝しました。オリジナルは11:26もあって後半のDUBパートはなんかよくわからないから(笑)
M11「いかすぜOK」
作詞・作曲/真島昌利
2002年リリースのハイロウズの18thシングル。
オリジナルアルバム未収録シングル。
同じ曲が続くの若干キツい。しかもこっちは歌本編より長いアウトロ(いわゆるDUB)があって余裕の11分超えです。ずっと「汗びっしょり」と歌ってます。
勘違いしてはいけないのは、あくまで[Radio Edit]ではなく、こっちがオリジナルバージョンです。
本作には収録されていませんがシングルCD「いかすぜOK」には3曲目に[カラオケ]が入ってます。この[カラオケ]も後半のDUBパートがカットされた4分42秒のものです。
ちなみに「いかすぜOK」のアナログ盤は発売されていません。
アクエリアスのCMソングに使われたほどだしマーシーの十八番な夏の1曲です。
テンポは遅くはなく速すぎず、アレンジはアコースティック調ではなくパンクすぎず、いかすぜOKな曲です。
“8月が1000もあるような 白い白い午後 逃げ水を追いかけて走る 夏の子供達”
唯一無二なマーシーの感性によるこの表現は胸に響きます。
“小さなやな事 ないよりあればウルトラパワー シャツが破れていい感じ いかすぜOK”
この歌詞はすぐに心に沁みました。哲学とパンクが入り混じってるマーシーらしさ。
それにしても一瞬で覚えられるインパクトのあるタイトルにめちゃくちゃヤラレます。
M12「迷路[Nancy Mix]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
18thシングル「いかすぜOK」のカップリング曲。
オリジナルバージョンとものすごくは違わないです。心地よいテンポにヒロトのロマンチックな歌詞がほっこりする曲です。
[Nancy Mix]がまとめて聴けるのは本作の好ポイントです。じっくりオリジナルバージョンと聴き比べてみると違いに気付いて楽しいかもしれません。
M13「ルイジアンナ」
作詞/大倉洋一 作曲/矢沢永吉
2001年リリースの矢沢永吉トリビュートアルバム『JOYRIDE 矢沢永吉スーパーカバー・トラックス』に収録のカバー曲。
DISC1のラストは急にキャロルのカバー曲が入ってるのでハッとします。ハイロウズロックの勢いでブイブイ言わせてる感じがたまらなく好調で、カバー曲の違和感がまったくありません。
めちゃくちゃ似合うし完全にハイロウズロックになってます。
ハイロウズの楽曲だけが目的だった場合は、トリビュート盤をわざわざ3000円出して買わなくていいというケチな本音を満たしてくれるハイロウズの親心に感謝です。
だってトリビュート盤て感性に刺さらず楽しくないカバー曲もたくさん入ってるんだよ。すぐ聴かなくなっちゃうんだよ。
ヒロトの笑顔がとても楽しそうです。
DISC 2
こちらのDISC 2は7thアルバム『angel beatle』からの曲が9曲収録と、曲タイトルを見た時点ではあんまりワクワク感がないというのが本音です。
実際に聴いてみると「angel beatle」に収録のオリジナルバージョンとは結構音が違います。聴こえ方がオリジナルとは違うので、これは楽しめるポイントです。
“MONO MIX”というバージョン名が付けられたモノラル音源が5曲収録されています。
M1〜M9が「angel beatle」収録曲の別バージョンのため、もう一枚の「angel beatle」を聴いている感覚になります。
未発表にしていた『angel beatle-Nancy Mix』みたいな感じです。
オリジナル盤を聴いた後にこちらを聴くと曲順の違いや聴こえ方の違いに楽しくなってきます。
M1「Too Late To Die[Nancy Mix]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
2002年リリースのハイロウズの19thシングル。
[Nancy Mix]はオリジナルと比べると音が整いすぎていない印象を受けます。オリジナルより生音っぽいのが好きです。
1曲目は本家「angel beatle」と同じ『Too Late To Die』からスタートです。これはオリジナルとの違いに気付きやすいです。再生した途端に聴こえ方の違いが分かります。ミックスが異なると音の雰囲気がこんなに変わるんだなという感想になります。これが整いすぎていない生音っぽさです。
もちろん当時リリースされたシングルCDでこのバージョンは聴いていたのに、シングルってアルバムがリリースされた後はほとんど聴かなくなってしまうから忘れていただけなんですけどね。
M2「曇天[Nancy Mix]」
作詞・作曲/真島昌利
19thシングル「Too Late To Die」カップリング曲。
一部マーシーのコーラスの聴こえ方が全然違います。右側の位置で歌っている声が強調されてて感動します。
左チャンネルのドラムとかギンギンな音になってて頑固なロックでヘヘイヘイです。
「Too Late To Die」の後の「曇天」にびっくりします。これも当時シングルCDで聴いていたはずの曲順なんですけどね。
なんだろ、たまにはシングルも聴こう。わずらわしくA面とB面がある7インチのレコードの方を再生しようかな。
M3「一人で大人 一人で子供[Nancy Mix]」
作詞・作曲/真島昌利
2002年リリースのハイロウズの20thシングル。
ジャケットのデザインはマーシーによるもので、渡英する当日に成田空港で制作されたということです。次の曲「俺たちに明日は無い」と両A面シングルとしてリリースされました。
こちらの[Nancy Mix]の方がオリジナルバージョンよりも、きらびやかな音に聞こえます。音の一つ一つがハッキリしている印象です。そのためかシングルとして発表するにはこちらのが好ましく感じます。
M4「俺たちに明日は無い[Nancy Mix]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
「一人で大人 一人で子供」と両A面の20thシングル。
シングルの中ジャケのイラストはヒロトによるもので、渡英前日に自宅にて制作されたということです。
このシングルはマスタリングはビートルズで有名なアビーロードスタジオで行われました。「一人で大人 一人で子供」のPVにその様子が収録されています。
この曲もやっぱりオリジナルバージョンよりもハッキリした音です。イントロの鐘の音も銃声も音が大きい。小さい銃と大きい銃ぐらい違います。
アレンジや歌詞は何も変わらないものの、オリジナルと[Nancy Mix]の聴き比べも割と楽しいです。
M5「ななの少し上に[RADIO EDIT/MONO MIX]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ここからモノミックスが5曲続きます。エンジニアは[Nancy Mix]の南石さんです。
これらの音源はラジオ・オン・エア用プロモーション・サンプラーとして2003年4月末に配布されたものです。
何の媒体で配布されたのでしょうね?きっとCDなんだろうな。そのうちヤフオクなんかに出品されているのを目にするのかもしれませんね。
モノラル音源というのは凄まじい迫力があって音が魂の塊になって突っ込んで来るのが好ましいです。ボリュームを上げてスピーカーから出てきた音にビビります。
メロディックな「ななの少し上に」が迫力満点で突っ込んでくるサウンドになっています。
M6「ecstasy[RADIO EDIT/MONO MIX]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
心を奪われる感動的なこのメロディがモノラルで聴けるのが嬉しい。すごい迫力です。
バッキングのマーシーのアコギの音が強烈な音になってて耳と心に直撃します。
M7「毛虫[RADIO EDIT/MONO MIX]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
オリジナルバージョンはフワッとした印象でしたが、「MONO MIX」はバシッとした曲になっているように感じます。
M8「マミー[RADIO EDIT/MONO MIX]」
作詞・作曲/真島昌利
感動的なバラードが熱い音になってます。イントロのピアノの低音とかべっちゃんのベースとか涙腺を刺激する。
M9「映画[RADIO EDIT/MONO MIX]」
作詞・作曲/甲本ヒロト
マーシーのクリーンなエレキの音が実在感抜群で生音だと感じられます。
「angel beatle」からの曲はこれでラストですが、オリジナルとは異なる曲順にワクワクします。視聴回数は圧倒的に本家「angel beatle」の方が多いので、こちらはそれほど聴き慣れていないため、次はどの曲が来るんだとドキドキで聴けます。
M10「夏なんだな」
作詞・作曲/真島昌利
2003年リリースのハイロウズの21stシングル。
オリジナルアルバム未収録シングル。
『いかすぜOK』に続き「アクエリアス」CMソングに起用されました。
『夏なんだな』は3曲入りのシングルで、すべての曲がマーシー作です。同時発売されたアナログ盤は12インチの“45回転”で炸裂してます。
イントロはすごくキレイなアコギの音からスタートです。直後にはエレキの音でミュート奏法「ジャッジャッジャッジャッ」とパンクモードに突入します。
テンポのいいパンクアレンジに白井さんの美しいキーボードが映える爽快な3分間です。
マーシーの繊細な感性が突き抜けた歌詞にも注目です。
“風鈴が鳴らないもんで 扇風機を向けてみれば 面倒くさそうに鳴るから 余計暑くなる”
子供の頃に同じ経験をしているので共感します。「面倒くさそうに鳴るから」とか言い回しにヤラレます。これが聴きたかったんだよというほどのマーシー節が炸裂した歌詞です。
“熱帯夜をくぐり抜けて いろんな無に顔を貸して 自分でいるよりほかなく 蚊に刺されている”
風情あるし「自分でいるよりほかない」というのがとても人間らしいです。
“現れたのはカブトムシ様 どんなもんだい オイラのツノは 夏だな 夏だな 夏なんだな”
カブトムシに様を付けている。マーシーにとっての夏の特別感が漂ってます。マーシーといえばやっぱり夏ですね。
M11「プール帰り」
作詞・作曲/真島昌利
「夏なんだな」のカップリング曲。
『ましまろ』みたいなアコギの音が印象的です。
タイトルからしてそうなんですが、夏の曲が続きます。『夏なんだな』は当初1曲入りのシングルの予定もあったということですが、マーシーの意向でカップリング曲を入れることになり、ツアーのあい間にレコーディングされました。
筆者は実は意外なことに今回聞き直すまで全然記憶になかった曲です。というか聞いても「こんな曲あったっけ?」となってびっくりしました。
中盤から入ってくる三線(さんしん)の音も「夏なんだな」同様にバッチリ夏を感じます。三線の音は沖縄をイメージさせますね。三線はマーシーによる演奏です。
“鳴ってる踏切り くぐりぬけたら アイスクリーム 落としちゃったよ みんな笑ってる”
忘れてしまいがちな、小さな夏の思い出がまるで映画のように歌詞になって、音楽になっているのが圧巻です。
“おととい買った レコードを聴こう ねころがりながら ダラダラしながら”
この一節の歌詞のすべての言葉に共感します。CDじゃなくてレコードだし、さっき買ったレコードじゃなくておととい買ったレコードです。筆者も買って帰ってすぐには聴かなくてだいたい「おととい買ったレコード」を聴いてます。もちろんダラダラしながらです。
“眠くなったら 眠ればいいし 腹がへったら 何か食べよう どうにでもなるよ”
最高です。人間は自由でいいんだと再確認させてくれた上に、どうにでもなるよと希望まで与えてくれるポジティブな曲です。
こんなにいい曲入ってたのか。これからは聴きます(笑)
M12「ジェリーロール」
作詞・作曲/真島昌利
「夏なんだな」のカップリング曲。
キター‼︎マーシーボーカル。それもギンギンバリバリのロックンロール。
当時4年ぶりのマーシーボーカル曲でファンは歓喜しました。
筆者はこの曲はバッチリすぎるほど覚えていました。前の曲「プール帰り」はインパクトに欠けていたのかな⁈「ジェリーロール」がインパクトありすぎなんだな。
“ジェリーロール エコロジーベイビー ジェリーロール オーガニックエンジェル ジェリーロール ベジタリアンハニー ジェリーロール 見ざる聞かざる 俺はとまらないシーソー カミカゼフラッシュ”
意味のない言葉たちに心を鷲掴みにされます。ロックでカタカナで意味なんてない。そこに大いに惹かれます。カミカゼフラッシュってなんだ⁉︎
“ツルツルのネジ”
最後の歌詞ですが、何のことだかわからないのにこの曲に完全にハマってます。ものすごいロックイズムを堪能したい時はこの曲「ジェリーロール」がオススメです。意味なんか考えずに聴けて、なんか分からないけどロックのカッコよさとリアリティを感じる。
M13「セクシーナンシーモーニングララバイ」
作詞・作曲/ザ・ハイロウズ
ここから3曲はシングルのシークレットトラックであったおふざけソングが続いて笑えるポイントになってます。
16thシングル「十四才/フルコート」のシークレットトラック。
昔の歌謡ロック調。
これ大好きです。おふざけソングだけど、どこかで芸術を感じてしまう。いわゆる歌謡曲のいいとこ取りをしちゃってて印象深い曲。バリバリの歌謡曲調なこのアイディア最高です。
キャンディーズの「ハートのエースが出てこない」ですね。
言葉が繋がっていなくて日本語がおかしいのがウケます。口ギターとかも入ってるし(笑)
ボーカルは[Nancy Mix]の南石さんに嫌がるのを無理矢理やらせたということですね。他のスタッフの方にもセクシーボイス、口ギターソロ、台詞を無理矢理やらせたみたいです。
スタッフの方々は嫌がっていたみたいだけど、こんなに楽しい曲にしてくれたことに感謝します。
M14「狼ウルフ」
作詞・作曲/ザ・ハイロウズ
19thシングル「Too Late To Die」のシークレットトラック。
渋めのブルース。
マーシーのギター、ヒロトのハープ、スタジオに居合わせた狼ウルフのボーカルでセッションが始まり、誰も止める者がおらず長いテイクになったものが、そのままシークレットトラックとして収録されました。
ブルースの気怠さ、切なさ、ちょっぴりの怖さなんかが感じられます。ボーカルはやっぱりふざけていますね(笑)「あんたどこ住んでんの?」とか「俺はなあ狼なんだぜ」とか言ってます。ボーカルと言っても歌じゃないです。
M15「オクラホマデスカ?」
作詞・作曲/ザ・ハイロウズ
20th「一人で大人 一人で子供/俺たちに明日は無い」のシークレットトラック。
ラップ調。
この曲なんかもう天才だなと感心します。これ聴いて楽しい気分にならない人はあんまりいません。
マーシーがピアノを弾いています。スタジオにいた者全員の中からアミダくじで6名のラッパーが選出されました。順番はヒロト→アシスタントの谷口博一→スタッフの中西五代→レコードメーカーの早坂泰浩→ベースの調→Nancy Mixの南石さん。
歌詞カードに歌詞の掲載はありませんが、こんなに楽しい内容のラップはありません。ロックとは違うことやってもハイロウズ節はダダ漏れしちゃってるわけで、本作のラストはほっこりした気分で聴き終えられます。
“あぁそう あぁそうですか”
どこにでもあるこのセリフがラップな音楽になって最高に楽しませてくれます。
2020年に「flip flop 2」のアナログ盤が再発売されました
こちらはなんとレコード4枚組の重量級です。12インチ3枚+10インチ1枚という仕様で物体としての特別感ありまくりです。
当時のオリジナル盤にこだわらないのであれば、ヤフオクで高値で売られている物を落札する前にまずAmazonとかを確認しましょう。
なぜなら再発盤はまだ定価で買えます。割引になっている場合さえもあります。
※Amazonは25%OFFです
むしろ再発盤は180g重量盤でオリジナル盤より高音質なはずです。(筆者はオリジナル盤しか持っていないので聴き比べたわけではありません)
※記事中の写真は当時のオリジナル盤です。
ハイロウズの一ファンとして。
ありがとうございました。
それではまた。