こんにちはUMEです。
「Do‼︎The★MUSTANG」は2004年リリースのハイロウズの8thアルバムでラストオリジナルアルバムです。
読み方は「ドゥー・ザ・マスタング」です。
3rdアルバム『ロブスター』に次ぐロックでキンキンなマスタリングの音はこれです。
THE HIGH-LOWS/Do‼︎The★MUSTANG(2004)
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キーボードの白井さん脱退後のアルバムです。これがハイロウズ最後のオリジナルアルバムです。
ハイロウズの全8枚のオリジナルアルバムの中で本作「Do‼︎The★MUSTANG」だけが耳に入ってくる音の情報が確実に違っています。
7thアルバム『angel beatle 』までとは圧倒的に違うのはキーボードなし、ボーカル・ギター・ベース・ドラムの4人での音作りという点です。
キーボード不在のハイロウズのアルバムの音というのはそれまでとは明らかに違います。
本作「Do‼︎The★MUSTANG」は疾走感にあふれるロックンロールがメインで、キーボード不在ということもありマーシーのギターがすさまじい迫力で圧倒してきます。
常に左右、真ん中に複数のギターの音が鳴っているアルバムです。
なんのメディアだったか、白井さんが抜けて既存曲のライブでのアレンジとか音の厚みとかどうするのという趣旨の質問をされたマーシー。
ライブではギターの音を今までよりちょっと、アンプのつまみひと目盛か、ふた目盛りぐらい大きくしとけば大丈夫みたいなことをマーシーが語っていました。
細かいことは気にしない、とても彼ららしいです。
これまではバンドにキーボードありきの5人編成での音でしたが、本作はこれまでになかったほどにマーシーのギターが主張しています。よりストレートなロックンロールバンドの音だと感じます。
その一方でDUBを施したレゲエ、サイケなアレンジの曲も収録されています。
白井さんが脱退したということでサウンドに実験的な印象もあります。ただの遊び心を発揮した試みとも受け取れます。
ハイロウズが最後にやれることをやっておきたかったという解釈もできます。
マスタリングはまたキンキンになりました。これは前にもありました。1998年リリースの3rdアルバム『ロブスター』以来6年振りに耳が痛いほどのキンキンな音です。このキンキンさにはロックを感じます。
低音寄りでキレイな高音が出ないBluetoothイヤホンなんかで聴くと、まろやかになって耳にはちょうどいい感じですが、それは本当の音ではありません。
このキンキンなマスタリングの影響であるのか分かりませんが、何度か聴いていると気付くことがあります。
それは「Do‼︎The★MUSTANG」はハイロウズのどのアルバムよりも音がハッキリしているということです。音の粒立ちというのか一つ一つの音の輪郭が鮮明に聴こえてきます。
この事実も先述した本作だけが耳に入ってくる音が確実に違っている要素になっています。すごい音で鳴っているなという感想は余裕であると思います。
音圧もかなり高くて素晴らしいことです。
キンキンなマスタリングはさておきアルバム1枚の内容としては疾走感にあふれているし、ギターが目立つのでマーシーファンな筆者にはかなり聴きやすい名盤です。
発売当時はキーボードが入っていないので、どちらかというとブルーハーツに近い音として気に入っていました。
4人編成のハイロウズのアルバムは本作でしか聴けません。
覚えやすいメロディに親しみやすいアレンジが多いので聴かずに無視していいアルバムではないです。
どっかのサイトで本作を物足りないと言っている記事を見ましたが、とても浅いです。炸裂した音に美しいメロディにキャッチーな曲が多くて聴きやすさは抜群です。
キーボードの白井さんが脱退したとはいえ、数曲ではキーボードの音が効果的に入っています。
ヒロト、マーシー7曲ずつです。前半にマーシー作、後半にヒロト作が配置されている感じです。
全14曲57分のラストアルバムを聴いてみましょう。
シングル曲としては「荒野はるかに/ズートロ」「砂鉄」「スパイダー・ホップ」の4曲が収録されています。「スパイダー・ホップ」のみ後発です。
本作収録のシングル3枚のアナログ盤はすべて12インチレコードで発売されました。45回転です。
2004年当時「Do‼︎The★MUSTANG」のアナログ盤も同時発売されました。
『疾走‼︎馬並の極太ロック・サウンドでノックアウト‼︎』
すごいキャッチコピーに驚愕します。本作は「馬並」です、不幸の象徴である「人並み」なんかは目指していません。突き抜けています。
M1「ゴーン」
作詞・作曲/真島昌利
再生ボタンを押してまず飛び出してくるギターの音がキンキンで耳を直撃します。一瞬で理解します、これは以前にも聴いたことがある【ロブスター】の音だと。
筆者はこの音を決してディスっているわけではなく、これはこれでロックイズム全開な音だと歓迎しています。人によっては耳が痛くて2回目を聴けないという場合があるかもしれません。
アルバムの始まりを告げるのにふさわしいキンキンで強烈なギターリフにすぐに惹き込まれます。4人編成であるメリットが最大限に活かされたバンドサウンドで、シンプルさがあって聴きやすいです。ストレートなロックンロール。
マーシーの感性が説得力を持って心に響いてきます。神社なんかの鐘をつく音が聞こえてきそうな歌詞が楽しいです。
“エレキギターをデカい音で弾きたいよ 富士山くらいデカいアンプに突っ込んで 誰かが鐘突いてる 少し遠くで ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン”
スケールが並外れているし、気持ちが特大なのがインパクト大です。
M2「砂鉄」
作詞・作曲/真島昌利
ハイロウズの24thシングル。
1曲目に続きストレートなロックンロール。マーシーのハモりコーラスも相変わらずいい感じです。耳触りはやっぱりエレキの高音が耳をつんざくキンキンなやつです。
左チャンネルの華麗なリードギターと右チャンネルの歪んだギターのコードストロークが存在感抜群な音です。ブレイク部分ではアコギの音も登場します。
歌詞はマーシー節全開で、この感性で音楽を作れるのはやはり唯一無二だなと感じます。
“布団屋の屋根に 満月が座る ベルベットの夜 君と僕がいる”
ロマンチックな言葉たちに惹かれます。「満月が座る」とか、一般論では絶対に口から出てこない言葉が歌詞になるなんて最高な比喩表現です。
“形もなけりゃ 決まりもなけりゃ 面倒だけど その分楽しい 僕は砂鉄 君は磁石 君のなすがまま”
このサビの歌詞は筆者の心を捉えて離さないほどに圧倒的な事実が表現されています。こころの奥のずっと奥のほうまで突っ込んできます。完全に自分と一致しているから。
恋とか恋心とかこういうものですよね。本当はありもしない愛と名前を付けたものじゃなくて、相手を好きでたまらない気持ちの方です。形も決まりもないから一緒にいればいるほど次から次に問題が起きて、面倒だと感じるけど磁石に惹きつけられてしまう。なすがままです。だけど間違いなく楽しいんだ。その磁力でいつまでもオレを離すんじゃない。
すごい深い歌詞だなと尊敬しました。
M3「ノロノロ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト作の心を掴むメロディが印象に残ります。ひたすら元気なアレンジが一発で気に入りました。たまに入っているヒロトのハーモニカがいい雰囲気です。
興味深い言い回しの歌詞が、リリースから18年経った今でも心を掴んで離しません。
“何かを待つ 行列な ケツの前に 別のケツ あー ケツだらけ”
渋滞しててまさにノロノロな感じが出まくっているのが好きな歌詞です。「ケツの前に別のケツ」とか果てしない行列ですね。
“七人目 産みたけりゃ その前に まずは 産みな 六人目”
リリース当時に初めて聴いた時から記憶に残る歌詞です。ノロノロした順番待ちの歌かと思いきや、この後の3番では割り込みが現れます。
“割り込みな オレの前に 恋人が 恋より先に現れた”
筆者はこの経験がないのでよく分かりませんが、そういうこともあるのかもしれませんね。どうでもいいけど筆者にとっては順番が大事で、浮気するより先に別れてくれと思ってます。順番、順番。
少ない言葉の中に妙に説得力のある「ノロノロ」でした。
M4「荒野はるかに」
作詞・作曲/真島昌利
ハイロウズの23rdシングル。
本作より先行リリースされたこのシングルは、キーボードなしの4人編成の強みを最大限に活かした曲だなと感じました。M9「ズートロ」と両A面だったので、この2曲の演奏はこれまでよりタイトになってカッコいいなと興奮気味でした。
特に表記はありませんがアルバムバージョンです。アルバムバージョンの方が全体的に音が濃いので熱いです。
口笛とアコギで西部劇を彷彿とさせるイントロがこの曲の世界観を物語っています。
このイントロの口笛はヒロトが吹いています。シングルバージョンはこの口笛が遠いです。アルバムバージョンは耳元で吹いています。
ラストも違います。シングルバージョンはフェイドアウトしましたが、アルバムバージョンは完奏します。このラストのマーシーのギターもシングルとは別のフレーズが飛び出すのに注目です。
“孤独を抱いていくんだ 群れから離れて 一人きり 強い風に 吹かれていくぜ”
孤独に幸せを感じるHSP気質な筆者にはめちゃくちゃ刺さります。孤独こそ最強の生存戦略なんだと実感しています。
“どこで死ぬか果てるのか わかるはずもない ただ心の声だけが 道しるべだぜ”
古い西部劇の主人公のようなちょっとクサい歌詞の世界が男心をくすぐります。他の誰かがやったのならクサいと言われてしまう言葉とか世界観を、いつでも余裕でカッコよく表現するマーシーは一般的な感性ではないですね。
その感性こそが憧れの対象です。マーシーが一般的な感性だったなら憧れていませんけど。
M5「アネモネ男爵」
作詞・作曲/真島昌利
胸熱ソングの王道であるイントロはミュート奏法のギターとボーカルから始まり、一気に突き抜ける明るい雰囲気のアレンジです。イントロで高まった期待感が見事に爆発するのがたまりません。
ラストはテンポが速くなってさらに盛り上がります。アコギの音も強調されてテンションMAXです。
この曲にはキーボードの音が入っています。
歌詞については超重要な曲です。心の一番前にブッ刺しておくべきめちゃくちゃ重要な言葉があります。
“アネモネ男爵 退屈を知ってる 他人のために生きる 退屈を知ってる”
日本特有の同調圧力や世間というものに支配されて、他人の人生を生きさせられてしまいがちな日本人には特に重要な曲です。他人のためとか、つまらないですよ。
“ひんやり苔むした 火星を見上げたら 蒸し暑い納屋で 乳房などを 吸わせちゃくれないか?”
3番の歌詞は異常に強いインパクトがあって、すぐに脳に記憶されました。昭和ロマンポルノっぽい。なんて破壊力なんだ。
※アネモネ
アネモネは、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。和名はボタンイチゲ、ハナイチゲ、ベニバナオキナグサ。古くから人との関わりが深く、神話や伝説にも多く登場しているアネモネ。
M6「夜の背」
作詞・作曲/甲本ヒロト
キラキラした音が耳に楽しいアレンジです。最初から最後までアコギの音が聞こえているのが楽しげな雰囲気を醸し出しています。気分を高揚させるほどのアコギの生な音です。イントロの澄んだ声で歌うコーラスに心を掴まれます。
すごくキレがいい曲にところどころ明るく元気な声のほんわかしたコーラスが入っているのが印象に残ります。この曲はとても美しい音です。
歌詞は美しい言葉が並んでいて、心が洗われる気分ですが、割と抽象的な表現です。1番に「戒厳令下」「開戦前夜」と出てくるので戦争に因んだ曲なのかなと解釈しています。
“花火は遠く 絵の具をにじませた 僕の心で筆を洗った”
この辺なんか絵本になりそうなヒロトの世界と感性の言葉で興味をそそられます。
“強く強く 思うだけで ひとつくれる ひとつあける 夜が行ってしまう”
相手のことを思うだけで夜があけてしまうという恋心が全開です。人間の恋心というのは、太鼓の昔から遥かな未来でもこれと同じ気持ちになるんだろうな。
M7「ブラジル」
作詞・作曲/真島昌利
前の曲は流れるようなテンポでしたが、ここで一度ブレイクダウンするポイントです。
テンポ、リズムとしてはのんびりしたレゲエです。DUBを施したレゲエアレンジがハイロウズっぽくないのが、自由なハイロウズらしいです。
※ダブ(Wikipediaより引用)
ダブは(レゲエ)楽曲のリズムを強調してミキシングし、エコーやリバーブなどのエフェクトを過剰に施すことで、原曲とは全く別の作品に作り変えてしまうことである。リミックスの元祖とも言われる。
途中でボーカルが右チャンネルに振れるという、これまでにはなかった演出も登場します。オーディオの故障ではありません(笑)
「生きる」についての歌詞が最高です。いわゆる一般的な生き方では間違っていると気付かされてしまう。喜びとは、贅沢とか有名とかそんなことじゃないと。
筆者は「人並み」を目指していません。
“怒りや不安はただ 絶望に変わるだけ こんなところは出て行こう ブラジルへ行こう”
一発目の歌詞からいきなり悟っています。怒りや不安が支配している時は何も上手く行きませんよね。心が穏やかな時にこそ、自分を認めて幸せを感じていられるものです。
“世間的な欲望 世界の動きなんて 関心も興味もないぜ ブラジルへ行こう”
すごい共感しました。筆者もそれに対して関心も興味もないです。個人と社会の間に「世間」とかあるのはほぼ日本だけです。超絶くだらない。
“ブラジルへ着いたなら ただ生きている事の その事のみのよろこびで 静かに暮らそう”
最後の歌詞がすごいです。ただ生きている事のみのよろこび。これが正解なんだけど、なぜかこの考え方は一般的ではありません。みんなと同じや人並みなんかを目指して生きると不幸になります。他人は他人、自分は自分が余裕です。
M8「暴力アラウンド・ザ・クロック」
作詞・作曲/真島昌利
すべてに「暴力」を付けた歌詞が楽しい、シンプルなパンクアレンジが爽快な曲です。ゆったりしたレゲエの後のこれは突き抜けた気分にさせてくれます。暴力が襲ってくるし。
ヒロト作の次の曲「ズートロ」もそうなんですが、それらの曲のような超個性的な歌詞で、人を惹きつける感性はヒロトとマーシーにしかあり得ません。
※ around the clock
意味 : 24時間ぶっ通しで、絶え間なく、昼夜、休みなく
“暴力目ざまし 暴力洗顔 暴力朝食 暴力パン 暴力通学 暴力自転車 暴力改札 暴力駅”
全部に「暴力」が付いてて何がなんだか分からないのが楽しくてしょうがない。「暴力」がバッチリとメロディに乗ってるのがすごいし、ロックイズム全開な心地よさを感じます。
“勝手な暴力 甘えた暴力 湿った暴力 いきなり暴力 正義の暴力”
これらの暴力は実際にあって、目には見えない暴力だったりするし、実はすごく深い歌詞なんじゃないかと思ったりもします。
M9「ズートロ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
「荒野はるかに」と両A面でハイロウズの23rdシングル。
シングルは「ズートロ(69バージョン)」とサブタイトルの付いたシングルバージョンでした。
歯切れのいいタイトな演奏が心地よく響きます。「ズートロ」とは「ズーっとロック」という解釈でOKだと筆者は思います。
「パーっとロック」「ジーンとロック」「モーッとロック」なんかも出てきます。ジーンとするロックもいいですね。
“ズートロ ズートロ ロー ズートロ”
“パートロ グートロ オー ズートロ”
歌詞のすべてがこの調子ですけど、これ考えたヒロトってやっぱり突き抜けたロック好きの人なんだなとビビりました。そこら辺にある感性じゃこれは思いつかないです。
M10「スパイダー・ホップ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ハイロウズの25thシングル。
こちらもアルバムバージョンです。というよりこちらがオリジナルバージョンでシングルでリリースされた音源は(GLIDIN’ MODE)とサブタイトルの付いたバージョン違いです。
音が全然違います。シングルバージョンはキンキンしていなくて音に物足りなさを感じてしまうほどです。
心と耳にスッと入ってくる軽やかさが好印象です。
ハンモックでゆれている気分になるポップな曲ですが、シングルカットされたのは意外でした。『スパイダーホップ』のシングルが後からリリースされた時「この曲をシングルにしたんだ」と不思議に思ったのが本音なところです。
もちろん聴きやすい曲ですが、他にもっと心に刺さる曲が本作にはあったので意外に感じたということです。
“風邪が吹いた ような気がした よ ゆれるハンモック ゆれるハンモック ゆれるハンモック ゆれるハンモック”
歌詞カードの通りの表記です。「気がしたよ」という文章の「よ」だけが一文字離れて独立しているのが意味深です。2番も3番も同じです。これがヒロトのセンスなんですね。
“足がはち 足がはち 足がはちなら 命はよん”
この歌詞が面白いです。足が2本なら命はその半分のひとつということなんでしょうね。一発目から記憶に残る強烈な表現でした。
M11「ザリガニ」
作詞・作曲/真島昌利
マーシーの世界観が炸裂していて聴き入ってしまいます。タイトルが「ザリガニ」とかこの人以外は作らない曲ですね。このシュールさがたまらなく好きです。
アコギ基調ですが、キンキンなエレキの音がサイケな感じに入っている変わったアレンジが楽しさを倍増させています。
この曲にも一部にだけ鍵盤の音が入っています。白井さんは脱退してしまったけど数曲でキーボードを効果的には使っていて、その音に気付いた時ちょっとだけ嬉しいですね。
歌詞には「散歩」が出てきます。マーシーの音楽にはよく登場する言葉です。散歩が好きなんですね。車でそこまで行くよりも楽しいですからね。
“ナポリタン好きか? きらいか? ザリガニ? ジャイアンツ好きか? きらいか? ザリガニ?”
ザリガニにナポリタン好きか嫌いかと問いかけるマーシーの感性こそが、いつでも憧れの対象です。どこにでもありそうな感性では追いつけない世界に聴いていて楽しくなってきます。
“消えてなくなる ただその事より においさえ消える 事がさみしいよ”
最後の歌詞がすごい深いです。においさえ消えるという事は完全に無ですね。それはさみしいことです。子供の頃に感じたザリガニの独特なにおいを筆者は覚えています。
M12「ヘッドホン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ほのぼのした曲調とアレンジでほっこり笑顔で聴ける曲です。マーシーのコーラスがハッキリとした音で入っているのが思わず嬉しくなります。
“思いついたらやんなくちゃ 気がすまない性格で いらないもんまで作っちゃう”
この性格が自分と一致したのでめちゃくちゃ共感しました。特に“いらないもんまで作っちゃう”の部分。いらないもんまで作っちゃって、それ結局いつまでも使わないです。
この1番のAメロにはマーシーのコーラスがあの歌い方で、異常に至近距離で歌っている音に聞こえるのがインパクト大です。ボーッと聴いても聴き逃せない。
“ヘッドホン ヘッドホン 頭のてっぺん ヘッドホン ヘッドホン もりあげようぜ ヘッドホン ヘッドホン むてきのむ”
筆者はイヤホン派なのでヘッドホンを持っていません。このサビを聴くとちょっとヘッドホンが欲しくなります。頭のてっぺんもりあげてみたい。
一番興奮するのはやっぱりスピーカーです。
M13「たつまき親分」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロトの力強いボーカルとマーシーの歪んだギターからスタートするのでワクワク感でいっぱいになります。グッと来る曲です。
キーボードは入っていなくても、両方の耳からマーシーの豪快でゴージャスなギターが鳴っているアレンジの効果なのか、壮大な曲に聞こえます。
バッチリ共感できる歌詞が記憶に残ります。
“信じる者は 救われるのか それはずいぶん感じわるい ヘイ ヘイ ヘイ たつまき親分”
これをズバッと言ってくれる、歌ってくれる、演奏してくれるのがロックに託してるリアリティなんです。
“世界はだれのものでもないし だれも世界のものではない ヘイ ヘイ ヘイ たつまき親分”
めちゃくちゃ当たり前のことを言っている歌詞だけど、この当たり前を忘れてしまって生きている人が多いように思います。「たつまき親分」を聴いたら気付くと楽になります。
M14「プラプラ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ラスト曲は耳にも心地よい、柔らかいアコギの音で始まります。この柔らかさはラストにピッタリです。
前半部分は歌と演奏に哀愁を感じます。
“戻ってこない こわれたブーメラン フラフラ 落っこちるやつを 落っこちる前に 空中でとれたぞ いいぞ すごいぞ えらいぞ おりこうだ かっこいいぞ さあ もう帰るよ 明日また あそぼう”
ヒロト節に圧倒されます。褒めまくる歌詞のヒロトの歌い方も感情と魂が炸裂してます。
ラストにほのぼの系の「プラプラ」が配置されているため、心が少し穏やかになってアルバムを聴き終えることが出来ました。
やはり白井さんが脱退して、ハイロウズとしては何か違うと思ったのでしょうかね?この後に2枚のシングルのリリース(スパイダー・ホップ、サンダーロード)はあったものの、次作アルバムのリリースはありませんでした。これがハイロウズの最後のアルバムになってしまいました。
つまりハイロウズ最後の名盤です。
2020年に「Do‼︎The★MUSTANG」のアナログ盤が再発売されました
当時のオリジナル盤にこだわらないのであれば、ヤフオクで高値で売られている物を落札する前にまずAmazonとかを確認しましょう。
再発盤は180g重量盤でオリジナル盤より高音質なはずです。(筆者はオリジナル盤しか持っていないので聴き比べたわけではありません)
※記事中の写真は2004年当時のオリジナル盤です。
一応ハイロウズは解散ではなく、活動休止です。
ハイロウズはやはりキーボードの白井さんがいて、白井さんの感性による音の厚みもある5人編成のバンドだということなのかもしれませんね。
ブルーハーツ時代に引き続き、ハイロウズも歌詞の面でも存分に楽しませてくれました。何かを教えてくれたのではなく、大事な事に気付かせてくれました。ハイロウズになってから歌詞の意味を捨て去ったとか言ったやつはまったく浅はかです。
↓ちなみにハイロウズの公式ウェブサイトが今でも存在しています。
【THE HIGH-LOWS】←こちらです
「Do‼︎The★MUSTANG」の前にリリースされたのは企画盤の『flip flop 2』でした。DISC2の方なんかは7thアルバム「angel beatle 」の別ミックスが多数収録されていて、もう一枚の「angel beatle 」を聴いているような感覚で楽しめます。
どうでもいいけど、ピンク色の花が咲いてた頃の富士山です。目に優しいピンク色の世界はあっという間に終わってしまいますね。「Do‼︎The★MUSTANG」のジャケットと同じ色の花です
“富士山くらいデカいアンプ”が今けたたましく耳元で鳴っています。
ハイロウズの一ファンとして。
ありがとうございました。
それではまた。