こんにちは。
「HOTEL TIKI-POTO」は2001年リリースのハイロウズの6thアルバムです。
いつでも中学生の気持ちにしてくれる最高な名曲「十四才」が収録されているのはこれです。
THE HIGH-LOWS/HOTEL TIKI-POTO(2001)
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20世紀を生き延びて21世紀に突入したハイロウズが発表した一発目のアルバムです。
収録時間はハイロウズで最長の68分です。ハイロウズで1時間を超えるオリジナルアルバムは本作だけです。曲数はいつもの14曲です。ということは長めの曲が多いということです。
6分超え、7分超えの曲が計4曲あります。
カップリングを含めたシングル収録曲が最も多いアルバムでもあります。
「HOTEL TIKI-POTO」リリース時のツアーの映像を収めたDVDは発売されませんでした。そのためアルバム収録曲のライブ映像を“正式”に観るのは無理です。
好き嫌いが分かれそうなアルバムだなという印象はあります。
ロックの勢いだけで楽しませるアルバムではないからです。音楽性はさらに多彩になり新しいことへの挑戦もしています。1曲目なんか音頭です。
正直なところ筆者にとってもハイロウズのアルバムの中で一番再生回数が少ない作品でした。
しかしそれは過去形です。
今回何度も聴き返してみて、これまで自分が全然聴かなかった理由が理解できません。発売当時から21年も自分が年をとっているから、好みや考え方なんかが変わったという可能性はあります。
改めて聴くと、こんな音入っていたんだと気づくことが多いです。ハイロウズの遊び心が溢れています。
何より100%確信できるリアリティが詰まっています。
ハイロウズにリアリティを感じた時に好きになっているんです。
聴いていると、ん⁈この曲順はめちゃくちゃ気持ちいいと感じます。スムーズに進んでいくので、途中でダレることがありません。
今では1曲ずつ注目して聴ける作品になりました。
つまりこれは名盤です。
マスタリングの影響なのかは分かりませんが、このアルバムはかなり音がいいです。音がはっきりくっきりしていて実在感も抜群です。ここでヒロトが歌ってる。ここにマーシーのアンプがある。
全14曲68分、少し長めのアルバムを聴いてみましょう。
シングル曲は「十四才/フルコート」「ニューヨーク」の3曲が収録されています。
2001年当時アナログ盤も同時リリースされました。
M1「21世紀音頭」
作詞・作曲/真島昌利
21世紀のはじめにリリースされたアルバムの1曲目です。ハイロウズが音頭をやるとは思わなかった意外な曲。
これが1曲目にあったもんだから、発売当時はこれじゃないと受け入れ難かったですね。
この曲の前提は楽しむことです。
歌詞 : 50世紀というのは地球人は存在しているんでしょうかね。50世紀の地球人には羽が生えていたらいいと思います。
意外なほど過激な歌詞だなと感じました。最悪でも死ぬだけだからってのは、すごい楽しんでいないと言えませんね。
「そ〜れ♪ヨイショ♪」音頭によくあるこのフレーズをハイロウズがやると最大限に楽しげです。
M2「十四才」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ハイロウズの16thシングル。
名曲中の名曲で、ロックに出会った時の言葉にできない衝撃を見事に曲にしています。ヒロトの感性が炸裂してる。
マーシーが腕を振り上げてギターを弾いている光景が浮かびます。先述した本作の高音質。この曲のマーシーのギターの音は激ヤバなやつです。マーシーが「ジャカジャーーーーン‼︎‼︎」と腕を振り上げたその音は家のスピーカーではなく、現場のアンプの音です。びっくりするほどの実在感。スピーカー推奨。
ヒロトが「このギター難しくない?」ってことを初めてマーシーに聞いたと語っていました。マーシーは「別に難しくない」と答えていました。
シングルバージョンのラストはフェイドアウトしましたが、こちらのアルバムバージョンはフェイドアウトせず、もう一つのラストという感じです。
特にアルバムバージョンという表記はありません。
歌詞 : この歌詞で歌っている衝撃的なリアリティを「十四才」を聴いている時に追体験できます。そこがすごい。
合理性なんかじゃないし、意味もないけど気分が高揚するからやるんだ。ロックは嘘かもしれないけど楽しいからやるんだ。それをオレたちは何かを託して観たり聴いたりしてるんだ。それがリアルよりリアリティ。最高ですね。
初めてロックに出会ったあの衝撃をもう一度、もう一度と体験したい気持ちが溢れているし、それを今でも大事にしている生き方がまたリアルよりリアリティです。
M3「迷路」
作詞・作曲/甲本ヒロト
後にリリースされた18thシングル「いかすぜOK」のカップリングに「迷路(Nancy Mix)」が収録されました。
人間に一番心地よいテンポにヒロトらしいロマンチックな歌詞が散りばめられています。
歩んできた人生の路を「迷路」と言っているのがリアリティです。ひたすら明るい雰囲気のアレンジでスッと心に入ってくるので聴きやすさは抜群です。
歌詞 : 人生だってゴールに向かってまっすぐになんか歩いていけないですね。後ろを見たら迷路です。
※ちなみに『いかすぜOK』のアナログ盤は発売されていません。
M4「ニューヨーク」
作詞・作曲/真島昌利
ハイロウズの17thシングル。
アルバムからのリカットなので同一音源です。
力強いアコギが鳴り響くイントロ。マーシーらしいキレイなメロディと韻を踏みつつ真実を語る歌詞が最高です。
歌詞 : マーシーのこういう表現はやっぱり心に響くし伝わりやすい。かなり寒くてギラギラな感じです。
さすがマーシーと思わせる聞き慣れない言葉に思わず反応しました。
※さもしい
1. 品性が下劣なさま。心根が卑しい。意地汚い。
2. 見苦しい。みすぼらしい。
100年というのは1世紀分の時間ですね。新世紀を迎えたのは100年ぶりのことです。ウンコも残ってません。
当たり前すぎるこの事実が歌われます。時間はすべて自分のものです。世の中のシステムがその事実を見えにくくしてぼやけさせてしまってる。
意志を持つってことが重要ですね。これが「一人で大人一人で子供」に繋がっていくんだなと感心しました。
M5「シッパイマン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
2004年にリリースされた22ndシングル「日曜日よりの使者」のカップリング曲としてリカットされています。
ほのぼのした曲調で心地いいです。あんまりないけど、ほのぼの系の素晴らしい日本映画を観てる感覚になれます。
歌詞 : 失敗は誰にでもあって失敗しない人なんて一人もいないです。しかし生き方の失敗だけは避けたい。他人の人生を生きるのは100%失敗します。
Cメロなんか日本人のあたたかさとかやさしさなんかが出ちゃってる美しいメロディです。
泣きそうに笑うって哀愁漂ってますね。こういう人いますね。自分の意志で生きていない人なんじゃないかな?Cメロの歌詞、メロディが哀愁です。サラリーマンの経験がある人には特に共感しやすい1曲です。
このシングル「日曜日よりの使者」は1stアルバム収録のバージョンです。ジャケット見てわかる通り、アルバム発売から10年近く経って映画「ゼブラーマン」の主題歌に採用されて急にシングルカットされました。「シッパイマン」は何度も聴きましたが「ゼブラーマン」は観たことがありません。
M6「恋のダイナマイトダンス」
作詞・作曲/甲本ヒロト
情熱のスペインなんかを感じる味わいのあるイントロです。その後は突き抜けたポップなアレンジが踊り出したくなる楽しい曲です。朝起きた時に勝手に頭の中で流れていることが多いです。
筆者の一番のオススメです。ただ単純に楽しいからという理由だけです。
歌詞 : 『Shall We Dance?』とはリチャード・ギア主演のアメリカ映画のタイトルでもありますが早い話が、踊りませんか?という意味です。
嫌な気分はもうたくさんだからダンスで楽しい気分になろうという、この時点ですでに楽しげな曲です。
「新しくないやつを」ってところが輝きを放っている。古いだけじゃなくて楽しさが伴っているものです。ステージ上のヒロトの訳の分からないダンスが好きです。
間奏には、なんかセクシーボイスが入ってる。こういうの急に来るとびっくりするよ。
M7「海雲台ブルー」
作詞・作曲/真島昌利
これは「キターーー‼︎」という興奮のマーシーイズムなギターです。
歌詞には日本語調の韓国語が割と登場して興味深いです。
間奏の終わり頃に「アンニョンハセヨベイベー」というマーシーの声がカッコよすぎて今考えていたことのすべてがふっ飛ぶ。
※海雲台(ヘウンデ)
韓国釜山広域市海雲台区の地名。砂浜が続く海水浴場や温泉のある海岸一帯を指す。釜山(プサン)を代表するリゾート地。
歌詞 : 妙にリアリティだな。後半の歌詞なんかリアリティすぎて、人間のやることはどこの国でも同じじゃんと思わせます。
私は海雲台に行ったことがないから分からないけど、8ビートつまりロックが聞こえないんだろうか。
ファジャンシルン オディムニカ?
↪︎トイレはどこですか?
カムサムニダ
↪︎ありがとうございます
知らない街の様子が伺える興味深い内容でした。
M8「よろこびの歌」
作詞・作曲/真島昌利
17thシングル「ニューヨーク」のカップリング曲。
軽快なアレンジで変にズッシリとはしていないのが聴きやすいです。
好きな散歩を真夜中にしていて、そこによろこびを感じている様子が詩人の感性によって歌詞として表現されています。マーシーがよく「散歩」って言葉だったりニュアンスを歌詞に使います。
ハイロウズがリリースした一番最後の曲はラストシングル『サンダーロード』の3曲目「今 何歩?」というマーシー作の散歩がテーマの曲です。
歌詞 : 軽快な曲調も相まって意味もなく散歩に行きたくなります。散歩中に聴くことが多いです。
よろこびが爆発しちゃってるのがバレています。この曲のよろこびは二人ではなく一人というのが肝心なんですね。
M9「カレーうどん」
作詞・作曲/真島昌利
ここで少しテンポダウンするので、興奮しすぎた気分をクールダウンさせます。
カレー大好きマーシーならではのタイトルですが、まず意外に思ったのはカレーライスじゃなくてカレーうどんなんだなってことです。『カレーライスにゃかなわない』ですよね?マーシー?(笑)
イントロには川の流れの音がしばらく入っていて、家で聴いていた私は家の中で水漏れしてしまったのかとびっくりしました(笑)そんなわけなかった。
鳥のさえずりとか虫の鳴き声も入っていて外にいる気分になれます。イヤホンつけて散歩しながら聴くと現実の音だと勘違いします。
歌詞 : たくさんネギ入れるなんて美味そうだな。実はカレーうどんを食べたいと歌っているのはサビだけで、あとは「歌う風〜」のようなマーシーの詩人ぷり全開の1冊の絵本みたいな物語です。
M10「コスモス」
作詞・作曲/真島昌利
マーシー作が4曲続きました。
テンポのいい曲でスカッとします。人間らしい歌詞には共感できます。ラストは左右に振れるギターの音が印象的です。スマホのモノラルスピーカーでは体感できないのでステレオのスピーカーかイヤホンで聴くのがオススメです。
ヒロトのハーモニカも入ってます。珍しく歌の部分までハーモニカが入っているから、これをライブで再現するのはかなりキツそうだな。
歌詞 : 共感の嵐です。この歌は完全に日常に潜んでる罠です。考えなくていいことの方が多いです。
サビの、どうして殺人をしないのか?この疑問は難問です。すんなり答えられない。多分…興味ないからとしか言えない。
M11「フルコート」
作詞・作曲/甲本ヒロト
「十四才」と両A面のハイロウズの16thシングル。
『フルコート』とはバスケットのディフェンスのことなんですね。同じ名前の軟膏があるけど、それ塗ってもこの曲の良さは分からないと思います(笑)
「チャンピオンリング」のヒロトの歌い方が丁寧でやさしい。相変わらずとんがったマーシーのギターソロに心を奪われる。人生は待ってるだけじゃダメなんだと元気が出る1曲。
歌詞 : 神の仕業なんかじゃなくて自分のリアリティです。それが本当の名場面てことですね。他に方法はないから自分のやってることが正解なんだと肯定できます。
2番は小柄な私にとってものすごく勇気をもらえた歌詞です。少し前に薄っぺらい発言をしたあの元プロゲーマーの女性はきっとハイロウズを聴かないだろうし、感性はその発言よりも薄っぺらくてサビついてんだろうな。
M12「天国野郎ナンバーワン」
作詞・作曲/真島昌利
お笑いタレント「間寛平」に“天国野郎”のタイトルで提供された曲のセルフカバーです。
17thシングル「ニューヨーク」にライブバージョンが収録されています。
本作にはあまりないパンクスタイルのギターが熱いです。この人たちがこういう曲をやると超絶キマッてます。
割と過激な歌詞です。歌詞の過激さは本作には意外とあります。
歌詞 : 出だしからいきなり確信に迫る疑問が投げかけられます。組織や会社の奴隷になって生きてしまってる人が多いと感じたんじゃないかな。筆者は人生の途中から自分の意志で生きる人間を選びました。
サビもまた強い意志を感じます。その「天国」も組織が作ったもので、それ自体が組織だからつまらなそうと考えてしまう。みんなが欲しがるものとかつまらなそう。
M13「アダムスキー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ワウを効かせたギターが唸るミドルテンポ。
もの足りなさを強調した面白い歌詞です。この曲で歌っているもの足りなさは50世紀には改善されているかもしれません。
歌詞 : 人間を守るために作ったルールなのかもしれないけど、それがあることによってもの足りなくなってしまう。
この曲聴いた時に「アダムスキー型」って何なんだと思っていました。
最新型ではもの足りないから、渋滞もオービスもミニパトも関係ないUFOに乗せてってという主張なんだな。
M14「クリーミー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
アルバムのラストにふさわしい名曲のたたずまいです。
メロディの良さはピカイチです。メンバーによる高音のコーラスが印象的な雰囲気を出しています。ロックのフレーズ満載なマーシーのギターに注目して聴いてみるのも楽しいです。
絵本が似合うロマンチックな言葉の使い方が特徴的な歌詞です。
歌詞 : 金のカヌーとかお姫様のかおりとか絵本のページをめくっている感覚です。
ラストにこういうほっこりな気分になれるのが1時間以上アルバムを聴いてきたよろこびが増すポイントです。
心のどこかの本音としては→期待していたマーシーボーカル曲がないのがほんの少しだけ残念です。
リアルよりもリアリティな時間を過ごせる21世紀のアルバムです。
「21世紀音頭」も然り、本作『HOTEL TIKI-POTO』の前提は楽しむことです。ヒロトとマーシーの前提も楽しむことです。
自分の経験上、20代ぐらいまでの血気盛んな若いうちは理解しにくいアルバムなのかもしれません。筆者のように40代になって少し落ち着いたものも好ましく思えてくると急に名盤になります。
五ツ星‼︎★★★★★‼︎
こういうのはレコードで聴くのが似合いますし楽しめます。CDよりも少しだけ物体としての特別感もあります。
レコードって聴く前はどこかでノスタルジーなセピア色の音がするのかと思っていました。でもそうじゃないんです。今まさに現場の瞬間の音がします。演者のやりたかったことってこれなんだという納得さえしてしまいます。
2020年に「HOTEL TIKI-POTO」のアナログ盤が再発売されました
まだ新品が定価で買えます。Amazonはむしろ値引き価格で売ってます。17%OFF!!
今日まだ昭和97年(2022年)の人たちへ
残念ながら昭和は終わりました。
もうみんなと同じものは目指せない。人並みを目指すことは不幸の始まりですからオススメしないでください。
20世紀は終わりました、21世紀を生きましょう。昨日は終わりました、今日を生きましょう。
今はちょっと楽しむ時 ちょっと笑う時
そ〜れ♪ヨイショ♪
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。