ザ・クロマニヨンズ

【ザ・クロマニヨンズ/ザ・クロマニヨンズ 単純難解⁉︎生身で出現した“ヤツら”の1stアルバム】

投稿日:2022年10月15日 更新日:

こんにちはUMEです。

『ザ・クロマニヨンズ』は2006年リリースのクロマニヨンズのファーストアルバムです。

ザ・クロマニヨンズは人間の始まりである「生きる」をロッケンロー‼︎で表現するバンドだと感じます。

ザ・クロマニヨンズ出現

ハイロウズの活動休止の約半年後に『クロマニヨンズ』という新バンドの衝撃なニュースが入ってきたもんだからいろんな意味で驚きました。

アルファベットだと「The Cro-Magnons」

あの活動休止発表のあと「いつまでも待ってるよ」なんて思っていたらたった半年後だったことに嬉しさ爆発。

そして期待通りなのか期待を裏切ったのか、またあの2人なことに興奮が大爆発。

クロマニヨンズが世に出現した時に誰もが感じたであろう「2度あることは3度ある」ですね。その事実に大歓喜です。

☆出現メンバー

ボーカル : 甲本ヒロト
ギター : 真島昌利
ベース : 小林勝
ドラム : 桐田勝治

見慣れた2人の名前に惹かれて思わずうれしい大笑いです。ベースの小林勝さんはその前にSADSのベーシストをやっていたので知っていました。この人がヒロトやマーシーと一緒にバンドやると一体どうなるんだ?とすごく期待した覚えがあります。

筆者は当時、変なバンド名だなと思っていました。バンド名誕生の由来は信じられないような話でした。奇跡的に二人が同じ名前を思いついたそうです。ヒロトの家でマーシーと酒を飲みながらバンド名のことを話していた時、ヒロトは思いついて「クロマニヨン、、」とマーシーに恐る恐る呟いたら、マーシーは「おお‼︎」とびっくりしながらお尻のポケットから紙を取り出し『クロマニヨンズ』と書かれた奇跡のメモを見せたということでした。マーシーはそんなこと考えたヒロトを「バカだなぁ」と思ったと言ってました。

理解はできますが信じられないような嘘みたいなことが起こっていて震えます。

2006年9月20日デビューシングル「タリホー」発売と同時に『ザ・クロマニヨンズ出現ツアー‼︎』を開催しました。

すっかりお馴染みの2人、ヒロトとマーシーがやっているバンドとはいえ、ブルーハーツやハイロウズとはまた違った突き抜けた単純さに初めは戸惑いがありました。

単純すぎて難しい⁉︎

歌詞が抽象的であったり、短くて同じ歌詞の繰り返しの単調さになったりしたから往年のファンには受け入れて難い部分を感じたのは本音ですが、あとから別のことに気付きました。

もっとすごいことをクロマニヨンズはやっているんです。

ヒロトもマーシーもこういうことがやりたくなったんだなと彼らのロックイズムのアップデートを感じます。

生身のクロマニヨンズ出現です。

単純になった分、より自分が感じたままが正解なんだと思います。だからこそ歌詞の意味とかググらず感じましょう。

曲の解釈はリスナーに委ねられているはずです。きっと彼らはそう言います。クロマニヨンズになってからはリスナーの想像力を爆発させるためのスペース、余白を残してくれていると感じます。

聴くたびに違った感じ方だって余裕でありえます。

説明過多な歌詞が最近の音楽にはありがちだけどさ、それだとオレの想像の余白がないじゃんか。完全な正解がひとつしかない音楽とかどうなんだ。それが好きな人はもちろんそれを聞けばいいさ。オレはつまらないな。クロマニヨンズはそこらへんが芸術的なんだよ。違った、原始的なんだよ。最高だよ。

クロマニヨンズを聴く時は自分の感性を自由奔放に全振りして聴いてみると楽しめます。定説とか前例とか常識とかすべて手放した状態です。それはとても心地いいことです。

なんだかよくわからないけれど、ロッケンロー‼︎の蘇生みたいなことをクロマニヨンズに感じました。

バンドが自由ならリスナーだって自由です。

ザ・クロマニヨンズ/ザ・クロマニヨンズ(2006)

ブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズと1stアルバムのタイトルは必ずバンド名ですね。分かりやすくて筆者は結構好きです。

『ザ・クロマニヨンズ』は3日という超スピードで録音されたということです。

初めて聴いた時は、訳の分からない歌詞世界がシンプルすぎて難解だと感じたものです。しかしそこに解釈の幅の広さと楽しさを見つけました。それがクロマニヨンズがやりたかったことなのではないのでしょうか。

既成概念なんかまったく通用しない反骨精神を追求した彼らはスタイルとしてではない姿勢とか精神性がパンク。

余計なものが何もなく極限までシンプルにしたサウンドと自由すぎるその姿勢。

自分の感性で楽しむ。音楽ってそういうことだよな、だからこそ楽しかったり感動したりするんだよなと気付いたのなら、きっとヒロトやマーシーの思惑通りです。

ロックンロールが迫り来るポジティブなアルバムです。

なんか知らないけどクロマニヨンズって音楽を聴くこと以外の自分まで幸せに感じさせてくれます。

本作以降も「一般的」からかけ離れたアイディアを作品という形にして発表していく“ザ・クロマニヨンズ”という唯一無二なバンドに感動することになります。

クロマニヨンズのことも自分自身のことも、どうでもいい「人並み」という勝手なイメージの中に束縛せず解放してくれ。

聴けば聴くほど深みを増します。

『ザ・クロマニヨンズ』収録曲

01.キラービー
02.エレキギター
03.連結器よ永遠に
04.グレート
05.やわらかい
06.あさくらさんしょ
07.草原の輝き
08.歩くチブ
09.くじらなわ
10.夢のロッケンロール・ドリーム
11.くま
12.タリホー
13.まーまーま
14.土星にやさしく

全14曲43分と無駄に長くなく聴きやすさ抜群です。

1分台2分台の曲が多くいつの間にか曲が終わってるという感覚になります。攻める勢いのある曲が多いと感じます。

作詞作曲の面でもヒロト、マーシー7曲ずつと黄金比で最高です。

シングル曲は「タリホー」が収録されています。アルバムにはシングル収録のものとは別バージョンが収録されました。

アルバム発売当時アナログ盤も同時発売されました。アナログ盤は限定生産なので既に余裕で売り切れです。これからクロマニヨンズのアナログ盤をコンプするには定価の数倍の金額がかかりますが、揃えられないことはないと思います。筆者はヤフオクをチェックするのがなんか好きです。

初期のクロマニヨンズの音源はまだ「モノラル」ではなく普通の「ステレオ」です。今回はステレオなので迫力よりも心地よい音の広がりを感じられます。

このステレオとモノラル、2作目から少し事情が変わります。

M1「キラービー」

作詞・作曲/真島昌利

曲が始まる前の原始人をイメージさせる叫び声と“クロマニヨン”とささやく声がめちゃくちゃ期待感を煽ります。

アルバム一発目は勢いよく攻めてきます。

「ブンブンブブーン」と歌うのが1曲目からかなり印象的です。それはとても強烈で朝起きてコーヒーをドリップしている途中の手が止まってしまうほどです。ありふれた朝にガツンとくるエモーショナルな衝撃。

ブッ飛ばしていつでもピンチを救いに来てくれる誰かの歌です。デビュー作の1曲目から救いに来てくれるとは。しかもサビのメロディは心を掴まれる胸熱系。

カツジのドラムがめちゃくちゃキレてる。

夜になったら今度はレコードで聴くと感動して涙が出そうだ。

“おまえのピンチをいつでも 救いに行くんだキラービー ブーン ブーン ブブーン ブーン ブーン ブブーン”

歌詞なんかほとんどないです。こんなに少ない言葉に救われてしまうのは何でだろう⁉︎

ハッキリとした言葉があって、心に響くメロディがあって、熱い演奏があって、バンドの魂が感じられるからなのだろう。

【キラービー&やわらかい/ライブ動画】

M2「エレキギター」

作詞・作曲/真島昌利

超短い歌詞。それの繰り返し。これぞクロマニヨンロックという印象です。

ライブ映えしそうなシンプルなロックです。

歌詞の内容はエレキギターが好きなだけなのが単純ですが情熱的です。マーシーにとってのエレキギターの存在意義とかカッコ良さが爆発しています。

これはもうエレキギターへのラブソングだ。

コビーの唸るベースが熱いです。

前の曲の「ブンブンブブン」もそうでしたが、この曲でも「ウォーオーオーオーオ」と何の意味もない音を歌うコーラスが異常にインパクトがあって記憶にブッ込まれます。

“エレキギター エレキギター かっこいいぞ エレキギター しびれちゃう もう世界は俺のもの”

心の奪われ方がロックです。エレキギターにここまで奮い立たされてる人なんか見たことないです。その気持ちが叫ぶほどのロッケンロー‼︎になっちゃった。

たしかに単純だけど爆発しそうな気持ちがガッツリ伝わってくるのは事実です。

M3「連結器よ永遠に」

作詞・作曲/甲本ヒロト

タイトルを見てそんな予感がしたけど、やっぱりそうだった最高の下ネタソング。実際に聴いてみたら想像なんか遥かに超えた芸術センスにびっくりです。

突撃してくるイントロにテンションMAXです。

なんかこれすごいな。驚異的だな。間違いなくそっとやさしくあそこに刺さる。この曲だけはあそこで感じろ‼︎

一体なんの歌なのか、えっと…それ以外ないですよね。オレが不届きなのか⁉︎そんなことはないだろう。

他に連結させるものなんてないと思う。思います。思ってください。

マーシーの感情剥き出し、個性爆発のギターソロが聴けて気分が上がります。他のギタリストのテクニックをひけらかしたい長ったるいギターソロとか嫌いだけど、マーシーの感性のソロは心を奪われる瞬間がいつもある。

“いったんあいつがくわえ込んだら 終着駅まで 離さないぜ あそこ あそこ あそこ”

分かりやすい下ネタなのにバリバリのロッケンロー‼︎で迫り来るのがすごい。

“ああ もっと近くで ああ 感じたい ああ そっとやさしく ああ あそこ”

Cメロは泣かせるメロディで曲の内容からは意外性も感じます。しかしこれ文字で読むとどんだけ官能的なんだ。

これを聴いた後はいつもなぜだか…

“あいつがむきだしに なっている あそこ あそこ あそこ”

みなさん連結器は大切に。

ところであそこってそこで合ってますよね?

チーン、、、

M4「グレート」

作詞・作曲/甲本ヒロト

クロマニヨンロック全開のアレンジなうえに2分を切る演奏時間の短さでいいカンジ。

割と後から自分なりの意味が付いてくる系の曲でした。クロマニヨンズが残した余白でどんな曲にでも変化していく楽しさ。

筆者にとっては悪い意味で自分が大人になってしまった瞬間を思い出し、このままでは良くないよねと思えるグレートな曲です。

“グズグズしてたら オトナになっちまう 今すぐルール 破りたくなる”

反骨精神を掻き立てるグレートな歌詞が最高で、世の中のルールとか誰かの謎のルールを破りたくなったらこの曲を聴けば純度100%の自分になれます。

受け入れたくないルールに縛られて疲れてしまった時にオススメの1曲です。

M5「やわらかい」

作詞・作曲/真島昌利

前の曲から間髪を入れずに攻めてくる連続攻撃といった印象を受けるのが激アツです。

最高のロッケンロー‼︎が始まったぜと興奮必至なギターリフが、他人の謎のルールに付き合って沈みかけた気持ちを上げてくれます。

演奏にパワーがみなぎっています。

2分ちょっとの短い曲の中にもバキバキで長めのギターソロが存在していて、ロック聴いてる感がたまりません。相変わらずマーシーのピックスクラッチの炸裂音は芸術的です。

歌詞は短さナンバー1で5行です。

“台風が近づいて 教室の窓が鳴る君が走るよ 砂の波の上を”

少ない言葉、短い歌詞の中にもマーシーらしい言葉のチョイスが感じ取れるのが、シンプルになったクロマニヨンズらしさなのかもしれません。

“やわらかい”

歌詞は一言しかないサビは最後に1回しかやりません。

M6「あさくらさんしょ」

作詞・作曲/真島昌利

「ありがとう」という感謝の言葉を放つ出だしからいきなり心を掴まれます。歌詞もメロディもアレンジも、これは”キター‼︎”とジワジワ胸が熱くなっていくのを感じます。

ヒロトのハーモニカも入って曲のなめらかさを引き立てます。マーシーの歪んだギターの音をいつも追いかけてしまう。

サビのメロディと歌詞が胸熱系でめちゃくちゃ好きです。この胸熱っぷりときたらもうたまらない。

“ありがとう ソロリ ソロリといく ありがとう ノラリ クラリ かわす もう十分に はやいはずだが もっとはやくと 指揮者はどなる”

意味なんてなさそうでありそうなこの歌詞を熱く響くメロディで歌うから感性をもっと解放してみようと思うのです。

“わかったんじゃない 思い出したんだ さんしょの木 植えかえる 一人 よろこび”

なんかすげー刺さります。やっぱり意味なんてなさそうですごく深い哲学的なことを歌っているようにも聴こえてきます。深くて軽やかなクロマニヨンズのおもしろい余白なとこ。

M7「草原の輝き」

作詞・作曲/真島昌利

骨太なギターリフが響くズッシリしたアレンジです。そんなイントロが鳴り出した途端にただならぬ雰囲気が部屋を支配します。

短めのサビでは突き抜けて晴れ晴れする心地よさを感じます。タイトルからイメージする景色とは裏腹に全体的には重厚です。

訳の分からない歌詞ナンバー1かもしれません。でもなぁ、訳なんてないし意味なんてない。それがロックだった。正解があるのではなく、それぞれの唯一無二な感性があるんだな。

ギターソロもどっしりした感じが好ましくてもっと聴いていたいと思いました。本作のマーシーのギターソロは全部が炸裂した感性で好きにならずにいられない。

“固体になる 気体になる オタンチンが 死体になる 水野郎”

訳の分からなさの中にもしっかり韻を踏んでる独特の感性が光ります。

“楽しいのが余興なんだ 悲しいのも余興なんだ”

否定せず肯定せず、どちらも認めているという多様性が見える姿勢が好きです。

M8「歩くチブ」

作詞・作曲/甲本ヒロト

アナログ盤はここからB面です。

曲が始まった途端にやたらとワーワー!キャーキャー!騒いでるやつらがいて萌えます。

楽しさ全開なギターリフにワクワク感が高まります。これがまたスピーカーから出てくる音が今そこのギターアンプから鳴ってる音そのまんまでビビります。カツジの強烈なドラムのリズムに耳が勝手に反応します。

自分の恥部を明るく元気に自信を持ってさらけ出している感じが最高です。突き抜けすぎていてチブが恥部になっていないという凄み。

“全身恥部 全身恥部 身体の一部が恥部じゃない 私は全部 恥部なんだ”

こんな衝撃的なことを宣言されるとは思いもしなかった。ネガティブを最大限ポジティブに告白する生き方が感動的です。

“ネガチブ ポジチブ ネイチブ プリミチブ 根がチブ 葉がチブ 実がチブ きゃあ”

心をダメにするネガチブさえもネガティブになってねえ。宇宙史上最高にポジティブな曲だ。ポジチブと言った方が正しいか。

これを聴いてネガチブになる人はいません。

今日ちょっとネガチブになってしまった心を圧倒的なポジチブに変えたい時にオススメな1曲です。心が生きるのを諦めてしまう前に聴いてみてください。

【歩くチブ/ライブ動画】

M9「くじらなわ」

作詞・作曲/真島昌利

みんなでワイワイ歌っている感じが子供ウケしそうな楽しさです。

あっという間に終わる曲です。

なんかすげーノリノリです。心が弾みます。体が踊ります。「オイ!オイ!オイ!」とパンクらしいコーラスもキマってます。

楽しげなコーラスに歪んだロックな音が印象的です。

こんなに楽しい気持ちになれる曲とかあんまり聴いたことがない。こういうのを全力でやってくれるからずーっとファンなんだな。

“くじら ひっぱって ひっぱって ギューギュー ひっぱって ひっぱって ひっぱって”

なんかよく分からないけど曲中ずっとひっぱってます。ギューギュー、ギリギリ、ネジネジ30年ひっぱってます。

何も考えずにただひたすらロックを楽しめる単純明快な曲です。

クロマニヨンズに幼稚性を指摘する意見を度々見かけます。でもそれって幼稚性じゃなくてロックの多様性じゃないかな。何だとしてもクロマニヨンズにしか出来ない個性であるのは確かです。

音楽なんだからいいじゃない。

M10「夢のロッケンロール・ドリーム」

作詞・作曲/甲本ヒロト

アコースティック調のゆったりテンポなしみじみとした歌モノで急に感動させてくるよな、と初めて聴いた時も今でも変わらない感情になります。

アコギのイントロが始まった瞬間のその音だけでこれは感動させに来てるなってことに気付いてしまう。

かなり後ろの方から聴こえてくるコーラスが激しく感情的です。マーシーの声が聴こえている。

サビの演奏は真ん中で鳴っている澄んだアコギの音と、右側で主張してるミュートしたジャッジャッジャッとリズムを弾くエレキの音が対照的で燃えます。

“会いたい どうしても 今 すぐ 古いレコードが歌う スタンバイミー”

筆者も「スタンバイミー」が好きで、たまに古い7インチのレコードを聴いてます。ヒロトも聴いているんだろうなと嬉しくなりました。「Stand By Me」じゃなくて「スタンバイミー」なのが共感できる。

“ロッケンロール 関係ねえ ロッケンロール 関係ねえ ロッケンロール 関係ねえ 夢のドリーム”

「関係ねえ」にすごくロッケンロールを感じます。関係ねえ生き方をし始めること間違いなし。そんなに古くはない「ザ・クロマニヨンズ」というレコードが歌うロッケンロールに今日も心が癒されました。

ラストのマーシーの叙情的なギターにもう一度感動させられます。

M11「くま」

作詞・作曲/甲本ヒロト

楽しいカンジが映える曲です。くまとオレのなんかよく分からない不思議な物語です。

また来た!今度は「ババンバーン」だよ。なんか好き。

聴き取りやすく前面に押し出されたギターの音がいつでも気持ちをアゲアゲな方に持ち上げてくれます。

筆者にとってはこの曲が朝起きた時に勝手に頭の中でかかってることが多いです。頭の中のレコードプレーヤーが選曲したこの曲をしばらく放心状態で楽しんでます。

歪んだ音の演奏はパンクの魂です。

“くまのふとん乾燥機 冬眠あけには 側頭部に寝グセ”

この歌詞になんかすげえほっこりしました。くまのその寝グセに萌える。

“くまと俺 ほんとうに 逢えて良かった 絶滅の前に”

曲を聴き終わるとこれが最後の歌詞に繋がっていくんだなとなんとなく分かりました。

最後の歌詞には油断をしていたら腕利きの散弾銃とかが出てきてちょっと焦る場面もあります。

【くま/YouTube音源】

M12「タリホー」

作詞・作曲/甲本ヒロト

クロマニヨンズの1枚目のシングル。

でもこちらは別バージョンです。

初めてこのアルバム収録の「タリホー」を聴いた時に違和感を感じました。何かが違う。何かが足りないという違和感です。

それはBメロのマーシーのコーラスが排除されてしまっていることでした。

というわけで、よりシンプルになった「タリホー」がここでは聴けます。

わかりやすいギターリフが特徴的なシンプルなロック。ギターソロなしの初動力重視。

アレンジ、メロディ、歌詞が名曲のたたずまいを醸し出しています。ずっとライブでやり続ける1曲になりました。

“ほんとうのとき 教える時計 おもいをはかる 温度計 涙の記憶 消えたりしない 漂っている 赤道か”

名曲にはこういう感性を揺さぶる歌詞、言葉のチョイス、配置が余裕で揃っているから心に刺さってしまいます。

“わいタリホー さめタリホー 氷もほっときゃ 流れるぜ”

「タリホー」って何だ?とか考えないのが多分ロッケンロー‼︎なんだと思います。

マーシーのコーラスがないとスッキリしすぎていると感じてしまうので、私はシングルバージョンのが好きです。

【タリホー 動画】

発売当時はデビュー曲らしい、ヒロトとマーシーらしい曲、そしてシングルだなと感じました。3曲入りのシングルでしたがすべての曲にそう感じてアルバムへの期待を高めてました。3曲目の「クロマニヨン・ストンプ」なんか強烈で、マーシーの掛け合いボーカルと超絶シャウトがたまりません。

M13「まーまーま」

作詞・作曲/真島昌利

Aメロから「まーまま」と歌うコーラスが強烈でインパクトあります。

何も小難しくない演奏のストレートで極限までシンプルなアレンジが光ります。「タリホー」のあとにこのシンプルな曲はすごく合っていてアルバムの流れとして最高です。「タリホー」から次の「土星にやさしく」までのラストスパートが熱いです。

ひたすら明るく元気な雰囲気に簡単なコードストロークのみのギターがパンクで好きです。

歌詞はマーシーの詩人な感性が炸裂していてかなり好きです。

“星が流れる 音を聴いてた 月が満ちてく 音を聴いてた夜露でびしょびしょで”

これめちゃくちゃマーシーだなって心の中のどっかが反応しました。マーシーはよく一般的な耳では聞こえない音を聴いています。

“100ワットでは まぶしすぎるぜ 30ワットくらいで ちょうどいい感じにみえる 明るすぎるぜ”

音楽もそうだよねとか思いました。リスナーの想像の余白がないすべてを語る100ワットな音楽より30ワットくらいがちょうどいい。

M14「土星にやさしく」

作詞・作曲/甲本ヒロト

アルバムラスト曲にしてこのリズム最高です。これは盛り上がります。

このアレンジ、この演奏、この歌に加速した高揚感が土星までブッ飛んでく。胸熱度全開な分かりやすいギターソロが輝いています。

地球じゃなくて土星なのがクロマニヨンズらしさが爆発しています。

厚みのあるリズムなAメロから突き抜けた感じのBメロへブッ飛んでくマーシーのギターが耳の奥まで直撃してきて心に響きます。

“お日様の近くまで 連れてってあげる あたたかいだろ 土星 土星”

なんというやさしさなんだ。この曲にはあり得ないほどのやさしさを見せつけられました。やさしさのスケールが違うし、人並みな思考なんてどこにも感じられない。

“愛は土星を救う 土星にやさしく”

私は例のあれが好きじゃない。24時間テレビが安売りしているけど、愛は地球を救うのか⁈愛は土星を救う!

あのテレビよりこの曲の方がやさしい。

【土星にやさしく/official動画】

アルバムはラスト曲終了後に短い無音部分のあとクロマニヨンズ版「バットマンのテーマ」が収録されています。こういうサプライズ的なものはロックバンドに必要だなと思いました。

決して落ち着いた音楽という感想は抱かない、最初の突撃の勢いや熱量重視なアルバムだと感じました。

この人たち、いつまで経っても落ち着きのなさはピカイチですね。大好きです。

1stアルバムからここまで自由奔放だとはさすがです。他では聴こえないロックの楽しさが心でバッチリ聴き取れます。

難しいことは考えずに単純に楽しむと、何回でも聴けてしまうクロマニヨンロックなアルバムです。43分という手軽さもあり筆者は続けて2回聴く場合があります。

これを聴いた次の日の朝はアルバム収録曲のどれかが脳内再生されている現象にハッとして、また聴きたくなってきます。

単純すぎて難しいと感じるからこそ強烈なのかもしれません。

当然ですがアルバム発売当時(今でも)はその単純さに賛否両論ありました。しかしこの人たちは「受け入れられない」という考え方さえも受け入れるという究極の自由なんだと思います。

大事なのは自由にやろうってことです。

こういう人たちこそが世の中の本当の多様性を実現するのかもしれません。

忘れてたけど、今が2022年だからクロマニヨンズってもう16年もやってるんですね。そりゃウチの棚にクロマニヨンズのレコードとかCDとかいっぱいあるわけだ。

初回限定盤の特典

CDの方のシングル「タリホー」とアルバム「ザ・クロマニヨンズ」には初回特典としてそれぞれDVDが付いてました。

シングル「タリホー」特典DVD

☆ザ・クロマニヨンズ出現映像(8分)

アルバム「ザ・クロマニヨンズ」特典DVD

☆初ライブ映像、バックステージの模様(18分)

ところでマーシーはクロマニヨンズになってからギタリストに徹していてメインボーカルを1曲もやっていません。それも含めクロマニヨンズというシンプルなバンドということなのかもしれません。筆者にはやっぱり寂しい気持ちがありますが、そんな時は『ましまろ』を聴いています。

一ファンとして。

ありがとうございました。

それではまた。

※クロマニヨンズはサブスクがありません

-ザ・クロマニヨンズ
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執筆者:


  1. あおい より:

    ついに来ましたね!1stの具体性もへったくれもない歌詞たちが最高に輝いてますね。 
    この間発表されたニューアルバムが、タイトルだけ見るとこの頃の雰囲気を思い出させるもので尚更ワクワクしてます 今後も感想楽しみに待ってます!!

    • UME より:

      あおいさんこんにちは。
      いつもありがとうございます!
      クロマニヨンズはおもしろいですよね。感じることがたくさんあります。ポジティブで、聴いてるとどこまでも歩いて行けそうです。
      ニューシングル&アルバムとツアーも楽しみです。最近公開されたアルバムジャケットもめちゃくちゃいい感じですでに感激です。
      クロマニヨンズのアルバムすべてレビューするので、またよろしくお願いします。

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M☆MUSIC

『2023』

昨年はとてもたくさんの方々に読んで頂き深く感謝申し上げます。
いつもありがとうございます。

個人的には、穏やかな心を脅かす苦悩と戦いながら、世間の謎のルールをなぎ倒しながら進んできました。ホームランは打てなかったけど、楽しいと感じた瞬間はたくさんあったので「I am OK」です。

どうせ1年前より成長してます。

2023年もまたマイペースで焦らず慌てず頑張らずいきますのでよろしくお願いします。

また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。

健康に心穏やかに、ロッケンロー‼︎

M☆MUSIC / UME

【クロマニヨンズNEWS】

【クロマニヨンズNEWS】

2022年12月14日に26枚目のシングル「イノチノマーチ」が発売されます。7inchアナログ盤とCDも出ます。

《stereo》

1. イノチノマーチ 2. さぼりたい

これは楽しみが出来ました‼︎
「さぼりたい」とかこの人たちらしいですね。レコード買おう!と言いつつ多分CDも気付いたら家にあるパターンだな。いつものことだ。許してくれ。

ニューアルバム「MOUNTAIN BANANA」の発売も決定しました。

2023/1/18発売決定!

今回はレコードとCDが出ます。前作の「SIX KICKS ROCK&ROLL」はCDのみの発売だったので楽しみです。

《mono》

<収録曲>
1.ランラン
2.暴走ジェリーロック
3.ズボン
4.カマキリ階段部長
5.でんでんむし
6.一反木綿
7.イノチノマーチ
8.ドラゴン
9.もうすぐだぞ! 野犬!
10.キングコブラ
11.さぼりたい
12.心配停止ブギウギ

曲名だけでクロマニヨンズとすぐわかるこの感じは…ワクワクですね。

40代、人より物が好きです。

私は普段ものすごくテンションが低く、多分シャコタンよりも低いです。
そのためすぐに人を不安にさせてしまいます。

よく怒らせてしまいます。

そんな私ですが、熱狂することもあります。

クロマニヨンズを聴くと、急にテンションが天国よりも高いところまで爆上がりしてしまいます。

申し訳ないけど、これでいいのだ。

“かえられないぜ オレなとこ”なのだ。

非常に都合の悪い男 : 本音に忠実なだけ

好きなもの:レコード・オーディオ・本
嫌いなもの:老害

好きなマンガ : モンモンモン(つの丸)

好きな言葉 : コンプリート
嫌いな言葉 : みんな我慢してるんだから…

最も疑わしい言葉 : 当たり前

頑張らない、努力しない、成長しない。
ね、ダメでしょ?
実はこれこそが最強の成長であって幸せな人生の始め方です。

自由よりも価値のあるものなんてない。

小学生の時にブルーハーツの「青空」に心を鷲掴みにされてから30年以上の音楽好きです。その頃に生まれて初めて買った音楽は「真島昌利/アンダルシアに憧れて」の8cmシングルCDでした。今考えるとそれが多大な影響力を持った『繊細な感性の音楽』との出会いでした。今でも大事にしています。繊細な感性というのは自分の中の邪魔者なんかではなく他にはない活かすべき強みだという真実をそれらの音楽が教えてくれます。

レコードなんか物体としての特別感が最高で、余裕で死なない理由になります。

レコードとかカセットとか、やたらと重くてデカいレコードプレーヤーとかリバースしないカセットデッキとか、A面が終わったらそこまで行ってひっくり返さなきゃいけない唯一無二な輝きを放つノスタルジーに浸っていたい。

古いだけのものは嫌いで、最新型では物足りなくて、感性に刺さるものだけに囲まれていたい。

「最近なんか疲れちゃってる人へ」

気楽な日曜日の昼間なんかにビールでも飲みながら聴いていってください。

【アントン・カラス/ハリー・ライムのテーマ】

【恋の伝説に愛はいらない】

『松坂慶子/愛の水中花』

“これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛”

『THE HIGH-LOWS/愛はいらない』

“恋の伝説に愛はいらない”

「恋愛」という言葉がオレは嫌いだ。

オレはどうしても一緒にしたくない。

愛はどこにでもあって誰に対しても向けられるありふれた感情。

恋はひとつしかない心とキラキラな気持ち。

愛さえあれば不倫は出来る。

だけど恋心がなければ恋にはならない。

恋の先にあるのは愛じゃなくて、終わらない恋だ。

愛に成り下がってしまった恋心ほど無情なものはない。

愛の安売りはどこでもやってるけど、恋のバーゲンセールはどこもやってない。もしも、やってると豪語する人がいたとしたら、それは「恋」じゃなくてただの「愛」だ。

求めた愛はどこまで行っても、いつまで経っても満たされない。

心に芽生えた恋はどこへ行っても、どこまで行ってもいつもドキドキしてる。

「愛」など「恋」の劣化版にすらなれない。

【ましまろ/ずっと】

“恋の謎だけは 解けないでほしい ずっと”

【THE HIGH-LOWS/愛はいらない】

“恋の伝説に愛はいらない”

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