こんにちは。
『STICK OUT』は1993年リリースのブルーハーツの6thアルバムです。
2つの情熱、最高のロックンロールアルバム「凸(STICK OUT)と凹(DUG OUT)」の凸の方です。
「凸」はパワーです。
ブルーハーツの誠実な音楽を嫌いな人はあんまりいません。今でも1年のうちに何度かはどこかでブルーハーツの音楽を耳にします。
何度聴いても、耳に入ってきたブルーハーツの音楽はやっぱり心まで動かします。
『STICK OUT 』は30年間ずっと聴き続けた今でも私の心のベストテンに入る名盤です。
なぜなら、、、
すごくわかりやすいアルバムだからです。
「ブルーハーツだ!!!!! 買ってよかった!!」
と、発売当時はそんな風に興奮気味で喜びました。一発で好きになりました。
一回目から心が動きました。
強烈なインパクトと、猛烈な第一印象だったからです。
本作はコードネーム『凸』の通り一瞬のブレイクもなく“突出”しています。どの瞬間も勢いが突出しているのが凸と凹の“デコ”です。
『STICK OUT』でやっているのは、パンクの反骨精神のまま挑んだブレない魂のロックンロールなので、あっという間に聴き終わってしまう可能性があります。
偏見かもしれませんが、もし「リンダ リンダ」がブルーハーツのイメージだという人の場合には『STICK OUT』はアップテンポな曲のみのアルバムなのでその期待を裏切らないです。むしろ、期待を余裕で超えます。
全曲にブルーハーツという根底がある上で、曲ごとの色がハッキリとあり、会心の一撃の連続です。痛恨のミスをした瞬間は一切ありません。
本作「STICK OUT(凸)』と次作の『DUG OUT(凹)』はヒロトいわく2つで1つのアルバムです。
「2枚組だとどうしても労力を使う」私はこのひと言が胸に突き刺さりました。私の本音では2枚組だと聴くのに気が重いです。しかし『STICK OUT』と『DUG OUT』のように分けてくれると気分で選べて、結果聴き続ける2枚になりました。これはリスナーへの思いやりだと感じました。
THE BLUE HEARTS/STICK OUT(1993)
STICK OUT(スティック・アウト)は前作『HIGH KICKS』(1991.12.21)から約2年後(1993.2.10)に発表された6枚目のアルバムです。
本作リリースの5ヶ月後には『STICK OUT』と対となる7thアルバム『DUG OUT』がリリースされて“凸凹”は完成しました。
ブルーハーツの傑作アルバムです。
・シンプル・イズ・ベスト
・ブルーハーツに求めている疾走感
・パンクの反骨精神があって魅力的
・ハイテンションで馬鹿げた光を放ってる
ブルーハーツにやってほしいことを期待以上にやってくれた。
そんな風に感じます。
聴けばわかる単純明快さ、シンプル・イズ・ベストです。
全曲、メロディが抜群に冴えてます。
ただしこのアルバムはアップテンポで疾走感のある曲だけで構成されているので途中でクールダウンするところはないです。最後までテンション上がりっぱなしの聴き方が良さげです。
ブルーハーツが、ロックンロールへの真摯な態度で挑んでいます。
『STICK OUT』収録曲
1.すてごま
2.夢
3.旅人
4.期待はずれの人
5.やるか逃げるか
6.テトラポットの上
7.台風
8.インスピレーション
9.俺は俺の死を死にたい
10.44口径
11.うそつき
12.月の爆撃機
13.1000のバイオリン
全13曲42分です。
カセットテープを使っていた世代には分かりますが、46分テープでは大いに余るくらい凝縮された内容と濃密な勢いで突っ走ります。
隙がないです。気を抜いていられません。
疾走感に溢れ、ヤケクソ気味にも聴こえるブルーハーツの凄みを感じます。ものすごいテンションです。
割と目立つ“反戦的な歌詞”がいくつかあります。ダサいとかってことではなく、歌作りの上手さが際立っているので、それらの歌詞が印象に残るということです。
過去の作品の歌詞と聴き比べると人間の成長を感じる部分と、童話『長くつ下のピッピ』からの引用があったりする無垢な部分が同時に存在しています。
両立しているその部分が名盤となったポイントなのかもしれません。
それはブルーハーツに求めているものであることは間違いありません。
今回もピアノとオルガンで、後のハイロウズの白井幹夫さんが参加していて、最高のロックンロールに重要な音を出しています。
ーーブルーハーツってどんなグルーブですか?
河ちゃん「いやぁ、いいグルーブですね。」
ーーどんなとこが人気なのかな?
マーシー「いや、なんだろぉ?楽しく愉快な仲間たち。」
ーーブルーハーツもっとこういう風にしたらいいんじゃない?なんていうのはありますかね?
ヒロト「整形して、鼻をちょっと高くすると、もう100万枚ぐらいは売れると思います。」
ーーこんなことをもっとしたいっていうのありますか?
梶くん「う〜ん、もうちょっとこうカッコいい衣装を着てみたいですね。例えばこうなんて言うのかな、ビキニのパンツを履いて。」
ーードラマーとしてどうですか?
梶くん「大したことはないですけどね。練習はやってるけど上手くなりませんね。」
ーーどっちが好きなんですかね?バラード叩いてると時とアップテンポの時と。
梶くん「いやなんか別に嫌いっていうことはないです。得意というのは、やっぱ速いのが得意ですよ。」
ーーブルーハーツもうちょっとこんな音楽性広げたらみたいなことは?
河ちゃん「もう、ブルーハーツが好きですから。」
ーーベースアレンジなんていうのは?
河ちゃん「しませんね〜(笑)その場の雰囲気でやってますね。」
ーーライブ毎に結構変わっていくんですか?
河ちゃん「変わる時もありますし。でもアドリブやるとこないです(笑)」
ーー最近ギターマンとしてはなんか変化あったんですか?
マーシー「いや、ない。」
ーー新たになんかチャレンジするとかないんですか?
マーシー「ないみたい。なんかコードが少ない方がいいみたい。いっぱい出てくると覚えられないみたいで。」
ーーどんな人なんですかね?
ヒロト「ええとね、ひと言で言えばブルーハーツはボーカルのワンマンバンドです。」
ーー話を総合すると、仲悪そうですね。何がブルーハーツをまとめてるんですかね?
河ちゃん「僕ですね。」
この後にみんなの笑いがあって締められていました。いつも多くは語らないけど、すごく頭の回転する人たちだなと思いました。
見え方も在り方も両方がロックです。
シングル曲は10thシングル「夢」、11thシングル「旅人」、12thシングル「1000のバイオリン」が収録されています。
※自主制作シングルも含めた場合はカウント数が変わります
10枚目のシングル「夢」は1992.10.25にリリースされました。カップリングにはひとつ前のアルバム『HIGH KICKS』から「皆殺しのメロディ」「東京ゾンビ(ロシアンルーレット)」の凄まじい勢いのあるライブ・バージョンが収録されました。
11枚目のシングル「旅人」は1993.2.25リリースで、アルバム発売後のリカットシングルです。『STICK OUT』収録のものと同テイク。カップリングにはマーシー作の変拍子「台風」が収録されましたが、シングルCDのジャケットからは両A面扱いの印象を受けます。
12枚目のシングル「1000のバイオリン」は1993.5.25リリースで、こちらもアルバム発売後のリカットシングル(同テイク)です。カップリングには2曲収録されています。本作にも収録のマーシーボーカル曲「俺は俺の死を死にたい(Alternative Version)」はデモテープに基づいて製作されていて、一部の歌詞がアルバムとは異なります。3曲目「1001のバイオリン」は本作収録曲「1000のバイオリン」の豪華なオーケストラバージョンです。
3枚ともに発売当時8cmシングルCDでリリースされました。
カセットテープが発売されたのかは分かりませんが、私はどうしてもカセットが欲しかったので自作しました。
1993年の『STICK OUT』発売当時はCDとカセットテープで販売されました。
『STICK OUT』のカセットテープは割とレアで高値が付きます。買えなくて悔しいので私は自分で作りました。
オリジナル(CD、カセット)発売から24年後の2017年に限定生産ですが、とうとう念願のアナログ盤がリリースされました。リマスターも施されています。
当時の初回限定盤CDのスリーブジャケットが忠実にレコードジャケットととして再現されているのにはビビりました。いかす。
デジタルのCD、アナログの自作カセットとレコード、それぞれ耳触りや聴き心地が違いますが、根底にあるブルーハーツの魅力は何も変わりません。
たった42分間で疾走するぶっちぎりの狂熱、最高のロックンロールの始まりです。
凸のブルーハーツが全員の心を動かします。
ザ・ブルーハーツ 再起動開始!
M1「すてごま」
作詞・作曲/甲本ヒロト
いきなり最高潮なので覚悟が必要です。
遠くから段々近づいてくるキコキコと鳴る歯車のような音、今から戦争が始まるのかと思ってしまう緊張感。
いい意味で気が引き締まります。
そいつが目の前まで来たら、耳をつんざく爆音で猛烈なブルーハーツの突撃開始。
深く鋭く印象に残るイントロ。
こいつら絶対強い。いきなりのフルパワー。
ボリュームは上げといた方がいいです。
ここを薄いボリュームでかけてしまったら必ず後悔します。分厚く、鋭く、熱い音量で。
ハードロックなんかとは全然違う音の、ガツンとしたミュート奏法を多用したギター。轟音で鳴り響く熱い鼓動のようなベース。ロック然とした激しく叩きつけるドラム。
暴力的なロックの輝きに、更なる爆弾をブッ放すキーボード。
一切の迷いがない野太いロックのボーカル。こいつこそがおろしたての戦車。
シンプルだ!一筋だ!絶好調だ!
ブルーハーツの一番おいしいところ。すごく似合う。なんだかとってもしっくりくる。
引っ掛かっていた何かを振り切って、一番上まで突き抜けたという印象です。一般的や人並みなんかをとっくに突破してブッ飛んでるブルーハーツはやっぱり最高です。
極まった個性と唯一無二の感性。
無意味な勢いではなく、世界の心を動かすためのロックンロールの熱狂的な勢い。
痛いほどのドSな攻撃。
心を撃ち抜かれる魅力がありすぎる。
聴こえてくる音の凄まじさに心を持ってかれつつも、日常ではほとんど聞かないようなヤバい感じの何かを歌ってることが余裕で分かります。
テンションがどんどん高まる。心がメラメラと熱くなる。バチバチの最高潮。
誰もハッキリとした言葉では言わないことを高らかに言い放つロックイズム。
究極に太々しい正義の味方がやって来た。
歌詞は戦争が絡んでいるんだろうと解釈出来るのでバチ当たりですが、とにかく突き抜けてブッ飛んだ自己中心的で興味深いです。
私も心の奥ではこういうキチ◯イな奴に憧れているのかもしれません。
自分が正義の味方になりたいから、その理由を作るためにちょっと君がすてごまになってくれないかという超ヤバい奴です。
こういう事は実際に起きていたのでしょう。戦争に限ったことでもなく、日常生活にもあり得ることです。会社とかでも余裕であります。今の社会に生きるすべての人間に言っているんだと思いました。
なんかもうヤケクソな感じがあってシビれます。このくらいの究極まで行っていないとただの嫌味な歌になってしまうと感じます。
1曲目にこんなにめちゃくちゃな勢いといつも通りの馴染みやすいメロディをブッ放してきやがって、何度聴いても「これぞブルーハーツだ!」と熱狂的な気持ちになります。
心の鷲掴みと、心の大きな動きです。
実はあんまり言いたくないけど本音を言うと、前作5thアルバム『HIGH KICKS』でどことなく残ったわがかまりが一発で吹き飛びました。
『HIGH KICKS』には別の魅力があります。大好きでよく聴きます。それ以上に『STICK OUT』は1曲目で既に完全に突き抜けたという印象です。
ラストはフェイドアウトしますが、最後の最後にきっちりトドメを刺して去って行ったという感じが胸熱です。
ロックンロールに全振りした人たちの本気。
そいつがとてつもない勢力を持って、オレの敵討ちに出掛けて行った。
なぜならオレは誰かの“すてごま”ではないから。
歌詞 : どこの国でもそうだろうし日常で命にかかわることではないにしても、悪い意味での歌詞のような奴はいます。それをブルーハーツが思いっきり歌ってくれたもんだからスカッとしました。
社会の中でも自分の存在を確かめるために誰かを傷付けるとんでもない奴がいます。品がないし、関わるべきでもない。その人こそがオレにとってのすてごまになり得ます。
それにしても誰に言えばいいんだろうか?オレは品のない奴に言ってやりたいんだ。
「君 ちょっと行ってくれないか すてごまになってくれないか」
紳士で小心者なオレは心の中では言った。
この曲のPVではマーシーが「ドクターペッパー」のTシャツを着ているのと、ヒロトが当時よくやってたTシャツを履いているのが印象的です。ハイセンス。
この人たちってセレブで嫌味な服より、いかすTシャツが衝撃的に似合うロックな男たちです。勢いのある『STICK OUT』のイメージにぴったりです。
M2「夢」
作詞・作曲/真島昌利
ブルーハーツの10枚目のシングル。
言わずと知れたアップテンポの名曲です。
聴いたことある人も多いと思います。リリース当時はビールのCMで使われていました。
イントロなしの欲望剥き出しスタイル。
いきなりサビの猛攻撃。
こいつたち、何も隠してない。一直線に夢しか見てない音が聴こえる。すげえ!すげえ‼︎
夢の実在を証明する豪速球な勢い。
Aメロでの歪んだギターのジャッ!ジャッ!というミュート音が荒々しいパンクロックを感じさせます。
そうでありながら白井さんの軽やかなキーボードの音が入っていて、荒々しさと繊細さの両立を実現しています。
すべての音がビシッとしてる。音数の少ないシンプルなロックだけど、いらない音なんて一つもありません。一つ一つの音が絶大な存在感を放ちます。“強い”という印象。
だから耳に聞こえたというよりも、ダイレクトに心に響く特別な瞬間の連続です。
いい意味ですが、勢いだけで煽り立てるパンクとは違うロックンロールの猛々しさ。
嵐でも来てるかのような生々しい音、演奏。極端にシンプルなアレンジが生々しさを録音させたのかもしれません。
すごく音がいいようにも感じます。録音がいいのか、ブルーハーツの魂が熱いのか私には分かりませんが、とにかくここにしかないもの。普段あんまり感じない熱狂的なこと。
一切のインチキがない。
オレの夢がだんだん大きくなって、どんどん近づいてくる。本物の夢はキラキラしてる。どうでもいい誰かに潰される気もしない。
夢があるって輝いてる。そんな音がこの歌から聴こえてきます。マーシーが見て、叶えようとしてる夢がオレの中に入ってきた。
マーシーと同じ気持ちだ。熱くなった。
当たり前ですが、この歌すごく人間らしい。
ヒロトの歌は夢に向かって全力でぶん投げるロックンロールの直球ストレート。小手先の変化球など必要ない頑丈なストレート。
この歌声は本物の夢だけは叶えさせる。
2分半の短い曲ですが、歌詞カードを見ると意外にも歌詞は長いように感じます。胸熱な2分半のメロディにそれだけ凝縮されているということだと感じました。
歌詞の中に“借り物の時間”という表現があってすごく深いなと思ったマーシーらしい言葉です。とても惹かれます。印象に残ります。
例外なく誰でも必ずいつか終わりが来る人生とは“借り物の時間”なのかもしれません。
よくこんな表現できるよねって尊敬するのと同時に、そのカッコよさに嫉妬してます。
『STICK OUT』の場合、全曲でそうですが、マーシーがギターで何を弾いているのか分かりやすいのがアルバムの素晴らしいポイントです。
余計な装飾なしのシンプルなアレンジ。
最大限にストレートすぎるロックンロール。
だから心が感じる部分でも分かりやすいです。こういうのってロックンロールが持っている、つまらない世界を照らす馬鹿げた光だと感じます。
歌詞 : 人間らしさが溢れていて好感が持てました。自分の夢に向かって生きているけど、やっぱり人間だから時々ビビってるのは誰でもそうなので共感しました。
感情が、すごくリアルに伝わりました。
オレもビビりながら夢を育てよう。
他人と自分という相対的な思考では夢は叶わない。
ラストのサビの繰り返しは、めちゃくちゃに欲望を剥き出しています。むしろこういう絶対的なものこそが夢なんだ。
夢に向かっての猛突進。世間の目という無意味な障害物を突き破る一撃必殺。
ヒロトは言っていました。他はすべて捨てた場合、夢「は」叶うと。金はあきらめたか?生活を捨てたか?ということです。その代わり、“夢”は叶う。
M3「旅人」
ブルーハーツの11枚目のシングル。
当時のこの曲のPVではおっぱいの上をラジコンの戦車が走っていて、そりゃあ盛り上がったものです。ブルーハーツのにやけ顔が面白い。PVのサブタイトルには“放送禁止バージョン”と付いていました。
生きる人すべてが「旅人」だし、超難解で超単純な“人生”というものに直結してる歌。
これまで生きた自分の道をなんとなく振り返りつつ、一度止まってしまった人生を前に出すための応援歌でもあります。
結局、今でも信じてるのは自分の心を動かされた強烈な何か、、、ロックンロール。
ロックが転がりまくるイントロに溢れる爽快感。
もう今そこで立ち止まってる場合じゃない。止まってしまった何かをブルーハーツが動かす起爆剤。
ロックンロールが始まった!
どちらかと言うとピアノが主体の軽やかなロックンロールです。
惹きつけられる印象的なメロディ。キャッチーさがある。このメロディを受け入れられない人はいないだろう。覚えやすさもある。
突っ走りたくなる爽快なアレンジ。これを聴きながら鬱々しい気分になれる人はきっと1人もいない。心も体も軽くなるはず。
繊細かつ力強い演奏がオレの心を余裕で動かす。この魂で奏でる演奏を聴いて、ロックンロールとかダセーと言ってしまう人をあんまり見たことがない。
まだ誰も通っていない道をぶっちぎりに飛ばすボーカル。どこまでも突き抜けるスタイルの歌に1mmも心が動かない人にはオレは会いたくない。
“ジェリー・リー・ルイス”スタイルのピアノの音の端々がバシッとキマる。
この曲で弾くマーシーのロックンロールなギターは印象的で、歌よりもギターの音の方に耳が集中してしまうことがよくあります。
チョーキング多用の長めで熱いギターソロに旅人たちの強い信念を見た。
マーシーが弾くといつもぶっちぎりのロックンロールになるのが凄いです。
ギターの音に心を奪われながらもストーリー性のある歌詞は興味深く、味わい深く自分の中に入ってきて、自分の人生と重なった瞬間に爆発します。
軽やかな聴き心地でありながら、とても深い歌詞のギャップは今聴いてもスリリングさが突出しています。
強烈なインパクトがある。
炸裂する勢いもある。
第一印象は幸せな感触だった。
初めて聴いた時から気になっていた音がありました。途中で何かがサンプリングされているのが聴き取れます。
ヒロトにとってのレコードの存在意義を熱く歌った直後に確実に聴こえるその音は、どうやらTHE WHOの「My Generation」です。
そいつがオレにロックンロールの魔法をかける。
「旅人」にロックンロールの凄まじき初期衝動を感じます。
何かに憧れるのはいい事だと、この歌のすべての音が語っていました。私はロックンロールに憧れました。
キレイには生きれなくても、自分の人生を全開でやろうと思えます。
歌詞 : 毎日を生き抜いているすべての人の後ろには、さっき出来たばかり道があります。歩いてきた道には自分がコツコツと積み上げた実績が確かに存在します。
これまで生きた全部の自分に誇りが持てて胸が熱くなりました。
歌詞はすごく記憶に残るし、憧れる生き方だなと今でも思っています。
みんなを幸せにするほどの強烈なインパクトと第一印象はブルーハーツが持っています。私はそれに憧れています。
今までに聴いたこともないド派手な歌詞に、心の繊細な部分が強刺激を受けました。
残念ながら「旅人」のPVは公式チャンネルにはありませんでした。はじめから“放送禁止バージョン”だったし、もっとも現在では乳首はやっぱりダメみたいです。残念です。
当時はテレビでも放送していた記憶があります。
M4「期待はずれの人」
作詞・作曲/甲本ヒロト
一発で覚えるほどのインパクトがタイトルにあります。
どんな感じの人なんだろう⁈と興味津々です。
今度は正義のヒーローではなく“期待はずれの人”を主人公にするという、ヒロトにしか表現出来ない世界観に胸を撃ち抜かれます。
私にとっては最強のヒーローで目指すもの。
長めのイントロにドラマがあります。
人に期待させるほど明るくて飛び跳ねる感じの打撃の連発で期待開始。4回繰り返して4倍の期待を持たせたところで、気が変わる。
少しだけ重みが出ています。やっぱりやめようとしてるのかもしれません。その直後、完全に気が変わって、誰の期待にも応えない自分のみ優先するロックンロールになります。
心に刺さる最高の期待はずれアレンジ。
力んでいない、いい具合に力の抜けたスタイルのヒロトの歌に、期待はずれへの期待が高まります。
曲の雰囲気のどこかにおとぼけな感じが出ているのは期待通り、というより期待以上。とは言え、一本筋の通ったロックンロール。
人間が真心でブッ放すロックンロール。
一番言いたいことは、聴けば聴くほど心が軽くなるということ。
誰かの期待を生きることの無意味さに気付いてしまう。それ、すげえダセーって思った。
いいところにすごくいいタイミングで熱いコーラスが入って、感慨深さまであります。
多くの経験を積み重ねた5人の演奏から「ブルーハーツ」を極めた音が聴こえてきます。ロックンロールを奏でる情熱たちのように感じました。
なんか、すげえ上手い。いや、カッコいい。
ロックがロールする胸熱なギターソロあり。マーシーがギターを弾いたその瞬間のキラキラな音がビンビン飛んできます。
録音なのか、マスタリングなのか、ブルーハーツの凄みなのか分からないけど、面倒くさい世界にそびえ立つギンギンバリバリなロックンロールの音が鳴っています。
この歌から学んだのは、誰かの期待に応える必要なんかないということ。
期待はずれの人、それは幸福度の高い人並みはずれの人。
もしかしてこれ、オレにアピールしてる?
これからは期待はずれの人になろうと、空気読みたくない誠実な自分を思いやれます。
大人になるほどに、社会の仕組みが分かっていくほどに、期待はずれの人になりたい気持ちって増大していくんじゃないでしょうか。
それは正解だと思いました。
疲れた、嫌気がさした、空気読めない、誰もが感じてるそんな憂鬱を「期待はずれの人」が軽く吹き飛ばしてくれます。
誰かの期待には応えない、添わない、もてなさない。ただのわがままな人ではなく「期待はずれの人」です。救いのロックンロール。
日本に古くからある“おもてなし”の心を私は否定も肯定もしません。どうでもいいです。
むろん、『STICK OUT』は私たちの期待をはるかに超える。
ラストはフェイドアウトせず、ビシッと締めるのが「期待はずれの人」の自己重要感に合っていてスッキリです。
歌詞 : 憧れます。なかなか出来ないのが本音ですが、こんな人を目指しています。
相手の話は聞いてない人ならそこら辺に沢山いるけど、ブルーハーツが歌っているのは、それらの「普通」なものとは違う何か特別感が突出しています。
「普通」はいりません。それつまんない。
一度誰かの期待に応えると、その期待に応え続けなければなりません。そんなものはとめる必要があります。
これは最高な期待はずれです。
脳がビビり、心がガツンと動きました。
むしろ「期待はずれの人」もまた、ヒーローだと確信しました。強烈な光を放ってます。
オレは、可能を“不可能”にする素敵な男になりたい。
M5「やるか逃げるか」
作詞・作曲/真島昌利
イントロは爽快なピアノが気持ちいいです。
南の国にぶっ飛びます。
この曲も戦争を意識してはいるだろうけど、決して重くはなくもっと気楽な感じで伝わってきます。
お前はやるか?逃げるか?そんな究極の問いを投げ掛けるピアノロック。
もちろんジャキジャキのギターも、ブイブイ言ってるベースも、キビキビしたドラムも心の奥まで衝動的にぶち込まれます。
これは、“やる” ためのロックンロール。
しかし、不条理でくそったれた世界からはカッコ良く逃げるための教訓ソング。
自分の心が病んでしまいそうな手遅れの世界から“逃げる”という選択を“やる”ことは決して恥ではありません。きっと正解です。
南の国へ日焼けしに行くのか、ダイエットしに行くのか、それとも戦争に行くのかという、平和の中ではあまり意識したことのないものがテーマです。それは愛する人のためと平和を守るためなのかという内容。
興味深いのは、この歌の主人公は戦争に行く意義をあんまり感じていません。
そのようなテーマですが、曲調からは重いという印象ではないです。
気のせいかもしれないけど、この曲のアレンジは抑制が効いていて、無意味に突っ走りすぎていない落ち着きを感じます。
私にとって安っぽくないヒロイズム。
そこが好感度高いし、「やるか逃げるか」の天下一品な特徴です。
ですが、アップテンポのロックンロールでノリノリであることは間違いないです。
無駄に力まず、絶妙な力加減のヒロトのボーカルは歌の世界が入ってきやすいというプロフェッショナルの魂。
この歌でのヒロトとマーシーのボーカルの掛け合い部分が、初めての視聴から30年経った今でも私の胸を熱くさせます。鋭くエモい。
この曲でもミュート多用でジャキジャキなギター、そうかと思えばとても滑らかで煌びやかなメロディを弾いたりします。マーシーの個性的な音。
後から気付いたのは、強烈な何かを一番強く伝えるためにほんの少しだけ抑えたロックンロールのテンション。
その絶妙なテンションが、世間の不条理な不意打ちを木っ端微塵に打ち砕くエネルギー。
サビで何度も投げ掛けられる「やるか逃げるか」という問いに100%で答えたい気持ちは理屈では説明できません。
ブルーハーツはいつもロック聴いてるだけのオレまで歌の世界に巻き込んで行く。
聞こえないフリなんて出来ない。
オレに言ってるよね?
おい!聞こえねえフリしてんじゃねえよ、、、お前だよ!そこの、お前だよ!
ブルーハーツはそうは言っていないけど、「やるか逃げるか」からそれ以上の情熱を感じます。
歌詞 : 気楽さや軽やかさと、気掛かりや重苦しさという相反する両方があると感じます。
割と考えさせられるテーマではありますが、あまりにも深く考えるとロックンロールが楽しめなくなるので注意が必要です。
とは言え、ロックンロールはやわなものではないので激情した気持ちのままいつまでも楽しんでいられます。
「やるか逃げるか」言いたい事はこれだよね?マーシー。
私はそんな風に感じました。
どっちも選べるけどあなたはどうする?ってことだと感じました。日常でも新しいことを始める時なんかにビビってしまう気持ちにこの曲が合います。
M6「テトラポットの上」
作詞・作曲/甲本ヒロト
勢いは一切の減衰をしない。
高速でギンギンバリバリのヘッドバンガー。
さっきの歌でわずかにあったテンションの抑制なんて余裕で解除されます。そんなもの効きません。無意味です。
ちょっと疲れたとか言ってられない。まだ始まったばっかり。ロック以外の事は考えられないし、考える必要もない。いらない。
そんな瞬間だけが存在します。
なのでそこら辺にいつも転がってる何かくだらないことをブッ飛ばす可能性があります。
これぞブルーハーツに求めている本物の勢いと突き抜けるための加速度。
次の曲が「台風」ですが、この歌から感じるのも心の中にやって来た猛烈な台風です。
パワーのある演奏という、弾丸の数々がひたすら撃ちまくられる。音がすごい。
速い!強い!容赦ない!
ギターはコードのみ、ハードでストロングなイントロには相当な疾走感があります。
小難しくないアレンジにパンクの反骨精神を感じます。単純なことを世界で一番の情熱で演奏するブルーハーツは唯一無二です。
この曲のギターは、コードぐらいなら弾ける私でも弾けてしまえます。ただしマーシーのような激情の音は出ません。
他の誰かがやったのならダサくなってしまいそうだ。感性が違うし、ロックへの狂熱度が違いすぎる。
サビでの演奏の打撃感にはシビれます。万が一、ここでヘッドバンガーにならない人は少数派かもしれない。
あんまり意味の分からない歌だけど、瞬間ごとの音に動きのある生命力を感じます。
なんかずーっと突っ走ってるという感じの猛烈な勢いと高すぎるテンションで、たったの2分半くらいを駆け抜けていきます。
ただのテンポではなく、こういう異常な魂の勢いがあってこそ、疾走感という言葉が快感に思えます。
無敵で素敵で加速度的なロックンロール。
ここには“普通”がない。人並みはずれた情熱と熱狂の凄まじき音がある。
そこにオレの激情がある。
ロックへの真摯な態度を見せられたから。
なんといってもこの曲のインパクトは、マーシーの神技“ピックスクラッチ”の強襲です。激情のジェット音がしつこいくらいにギュインギュインぶっ飛びます。
芸術的でカッコ良すぎて心に響く。
1stアルバムで聴いたマーシーのピックスクラッチの音とは随分違う印象です。もっとすごくジェット音になってます。上手すぎる!
こんなにも自分の心が動く音は滅多に出会えません。ギター弾きたくなりました。
歌詞はヒロトが好きな魚釣りがテーマになっている印象を受けました。釣りの道具のことを歌っているのだと思います。
この曲のアレンジはすごく単純ですが、歌詞はとても難解です。作ったヒロトは何も考えてはいないのかもしれません。もしかしたら単純すぎて難解なのか⁈
子供の頃にテトラポットの上に立ってみたいという気持ちが私にはありました。個人的には、なんとなくそんなことを思い出したりするノスタルジーも存在します。
「テトラポットの上」が始まると必ず、頭をブンブンに振りたい衝動に駆られる。
ロックンロールに意味なんかない。
意味とかググるな!感じろ!!!!!
歌詞 : 特に釣り好きではない私にはピンと来ないのが正直なところです。プラスティックは釣具であるルアー?カーボンロッドは釣竿?30ポンドのラインは糸の太さでしょうか。釣り好きには当たり前のことなのかもしれません。
あまりにもロックの意味を求めたり、ググったりするのは楽しくないです。自分が感じたまま聴くことだけが楽しいはず。
意味なんかより、激動の勢いでこの歌を感じろ!オレはヘッドバンガーを感じる。
「20世紀の〜」の一節にはすごく感銘を受けました。それはなぜかというと20世紀の終わり頃にブルーハーツも私も始まったばっかりという事実になぜか興奮したからです。
自分にとっての「テトラポットの上」のハイライトです。深く記憶に残ります。
この歌を聴くと長い歴史の中では、今の自分にある問題なんか大したことじゃないと心が軽くなりました。
それはまた心が動いたということ。
M7「台風」
作詞・作曲/真島昌利
ブルーハーツの11枚目のシングル。「旅人」とカップリング(両A面)。
そろそろ少しのブレイク? いや、なし!!
まさに台風の勢い。地球史上最大の台風がやって来る。
超シンプルな演奏。誰にでも弾けてしまうコードのみのギターがラモーンズ風で心は激情します。
そんなシンプルなアレンジで地球史上最大の台風をブルーハーツが吹き荒らす。
イントロは地球史上最大の台風の到来を徐々に実感するフェイドイン。ストロングなドラムが一撃ごとに何かをブッ壊しながら近づいてきた。
既に備える暇はなし。全員が記録破りな台風に巻き込まれることになります。
そんなイントロで感じるのは、好ましく望ましい疾走感。
到着してしまった台風に一瞬にして巻き込まれます。パンクの強勢力が加わって、全速力と破壊力も抜群なやつ。
アレンジとしてはすごくシンプルなパンク。
装飾なし。むしろ、台風が余計な飾りを吹き飛ばしていく。記録破りの勢いがあります。
問答無用の速くて強引なパンク。
私は楽器演奏の事はよく分かりませんが、そんなに難しい演奏ではないと感じました。ただし、コピー出来たとしてもブルーハーツの熱狂まではコピー出来ないので、同じ強引さや熱さは出せません。
誰か1人でも違ったらいけない。この4人でなければ出せない台風の音。
突き抜けたロックイズムだけが出す凄い音。
止められない、逃げられない、観測すら出来ない一撃必殺。
曲がらない一直線!歪まないストレート!完全に我が道のみを行く。
猛威を振るう2分半のすべての音、歌、言葉、ニュアンスが刺激的です。耳を刺激し、脳を直撃し、その強引さに心も動きます。
揺るぎないブルーハーツの態度。
心への莫大な好影響を残し、一瞬で去っていくストロングソング。
この曲のギターもコード弾きのみです。聴くのが面倒くさいと感じる事はマーシーはやってません。
マーシーほどシンプルなコードストロークを熱く、しかも美しく弾けるギタリストはいません。よくあるテクニック自慢の難しい演奏はカッコ良さも分かりにくいので、私はこういうのが最大限に好きです。
この曲のドラムの打撃音は圧倒的です。
「台風」を録音した日は強い勢力を伴った気分だったのか、ヒロトのボーカルが台風のような破壊力を持っています。
曲にバッチリ合っている歌心です。凄まじいボーカルは唯一無二の感性だし、歌い方なのかその日の気分なのか、曲によって表現性が違うのも『STICK OUT』の聴きどころです。
とてつもなく激しい台風のことを歌っています。ブルーハーツの「台風」が、汚れた世界を洗い流すほどの勢力。
心の奥にこの歌の何かが刺さったオレは、それ以上の勢いで、台風になって駆け抜けながら聴きたい曲です。
歌詞: これガチなやつだ。何⁈この歌詞すげえ!擬人化した台風にインパクトありすぎる。
こういうの好き。台風は逃げ足速くてめちゃくちゃに強引だけど、表現は繊細で美しい。
ブルーハーツの演奏はそれを超える疾走感と存在感を放つ威力です。
「声のでかいやつが笑う」の部分は深い意味を考えたことはありませんでしたが、最初から記憶に残った歌詞です。そんな人は多いような気がしてます。
いつだって世界は声のでかい奴が笑います。
最近になって思うのは、いつもでかい声で笑っているそいつは、実際には魅力なんかなく
ただ声がでかい“だけ”なんじゃないかということ。
今日も声がでかいだけの品のない奴が笑ってる。
オレはそいつに不快感を覚えながら、史上最大の高笑いだ。
M8「インスピレーション」
作詞・作曲/河口純之助
河ちゃん作曲で、心に描いた何かを仕上げるためのひらめきソング。
心地よい疾走感あり。
一部の歌詞を河ちゃんが歌うのもいい感じ。やっぱりアルバムのどこかで河ちゃんの歌声が聴けるのは嬉しいです。
今回も河ちゃんのメロディセンスの良さに感動します。
明るく軽快なイントロは素直に心が躍ります。そこには一切のネガティブはなく、ポジティブで楽しい気持ちしか存在しません。
求めていたパンクロックが始まった。
優しく繊細な心はきっと鷲掴みにされます。
妙な重さはありません。心が軽くなり、行きたい所までぶっ飛んで行ける分かりやすいパンクアレンジで美メロ。
冴えたキャッチーさに気持ちが高揚して、これまで自分の中になかったインスピレーションが降ってきそうな予感。ラッキーな予感。
すべての楽器の音がドライブする快感。
ドライブ感のあまりの心地良さにトリップが加速しそう。でも大丈夫、悪い幻覚なんかは見えません。素敵なインスピレーションが降ってきます。
アルバムで一番のポップなパンクという印象です。初めて聴いた時から強く記憶に残りました。そのぐらいメロディに親しみやすさがあります。
この曲は、心にスッと入ってきます。
がなり立てていないヒロトのボーカルは思いやりを持ちながら真っ直ぐです。
河ちゃんのファルセットのコーラスは曲に柔らかさを与えています。ブルーハーツの無条件な優しさに包まれる感覚。
Aメロで聴こえてくるアコギの自然な音がいい感じです。生きてる人間が放った音という幸せを感じる音。
マーシーのバシッとキメるメロディアスなギターソロはパンクロックの心地良さ。意識をそらせないほど一音一音が粒立ちます。小難しいことはしないけど、もっと難しい究極の単音弾き。マーシーの感性がなければ成り立たない。
ギターソロ直後は河ちゃんがボーカルを取るパートです。リードボーカルのヒロトとは全然違う声質の歌声にハッとするスリリングな瞬間。河ちゃんならではのその歌詞への説得力もあります。
ラストのサビではヒロトと河ちゃんの掛け合いボーカルが胸熱です。いつ聴いても何度聴いても心が何かを感じてます。
胸熱ソングの金字塔的な展開です。
コーラスの作り方とかドンピシャすぎる。歌い方とか上手すぎる。間違いなく曲のカッコ良さを倍にしてる。
曲中に“神様”という歌詞が出てくる部分はヒロトはあえて歌っていません。そこは作者である河ちゃんが自分で歌いました。
その歌詞を歌わないのがとてもヒロトらしいと私は納得しました。
しかしメロディは心を動かされるほど抜群です。いい意味で何かが心に引っ掛かるほどに美しいメロディ。
YouTubeで視聴した動画では、ヒロトが歌ったらもっといいんだけど、なんか自分が歌ってたという河ちゃん本人のコメントがありました。
本人が言うことには、河ちゃんが“神様”と歌うから、結構ディスられたそうです。
分かりやすいメロディで一度聴いたら頭から離れなくなる人も多いはずです。
「インスピレーション」はどの瞬間もキラキラしてます。
努力なんて誰だってしてる。大切なのはインスピレーション。
歌詞 : 歌い出しとラストで歌われるサビ。とてつもないキャッチーさのあるメロディに乗って歌う「インスピレーション」という言葉は強く記憶に残ります。
どんなに小さくても全部大事なインスピレーション。突然やって来たインスピレーションは、放り投げるべきではないと思いました。
どっかから降ってきたそいつには大切なメッセージが含まれている場合がほとんどです。
「神様ならば〜」は河ちゃんボーカル部分。
私は神様よりロックンロールが好きです。
ロックンロール以外は興味ありません。
M9「俺は俺の死を死にたい」
作詞・作曲/真島昌利
『STICK OUT』、随一のショック。
激しい動揺を与える凄まじい刺激のマーシーボーカル曲。
何人もの人の平常心を逸脱させる衝撃。
いくらなんでもこのタイトルはブッ飛んでいます。正気の沙汰ではない。
インパクトがありすぎる。強すぎる完全な主張。頑固なロックンロールのパワー感。
“生きたい”とは言っていないのが「詩人」だなと心がピンと来ました。
マーシーが声を張り上げて歌うロックンロールの激情スタイル。魂の超絶シャウトが心を撃ち抜く熱狂スタイル。
ヒロトの狂人的なハーモニカ入り。
この曲には童話『長くつ下のピッピ』が登場して歌の世界観を引き立てています。それが自分の主張を更に確固たるものにします。
ギターのイントロは、誰かの傲慢にゆっくりと確実にトドメを刺すための独特なテンポ。
そいつは他人のテンポに合わす気など一切なし。傲慢なテンポに感化されたオレも誰かに合わす気などなし。
アレンジは古き良きロックンロールをイメージさせます。
ハーモニカ、ギター、ベース、ドラム、キーボードの総攻撃のゴージャスさが光ります。
絶対にマーシーが歌うべきだったロックンロールの太々しさと猛々しさ。
一言で表すと、そそり立ってる。
勢いでブッ飛ばすパンクスタイルとはまた違っています。テンポはそこまで速くはないです。パンクの荒々しい勢いというより、もっとその瞬間の魂の熱さが突っ込んでくるような感じ。
しゃがれ声のロックのボーカルが強く、激しく、全開で胸に刺さります。
絶大なパワーで歌っているのは、曲げることの出来ない主義主張。
ギターでぶん殴られたような打撃力。
“人並み日本”をひっくり返すような衝撃力。
マーシーが命を削りながら叫ぶ熱狂的な瞬間がずっと続いてる。その中でも、いつもの10倍激しいシャウトはヤバすぎる。
間奏のギターソロは信じられないけど、マーシーの声のシャウトと共にギターがシャウトしてる。
この辺までくるとなんだか、自分の譲れないもの、曲げられないもの、信じているものがカッコ良く思えてくる。
聴き終わると、同調圧力を自分という傲慢でぶっ壊すような破壊力がオレに備わった。
ラストは、時間は立ち止まりはしないということを繰り返してフェイドアウトします。
今この瞬間を自分の傲慢で生きようと決心しました。
いつかオレもジジイになる。
歌詞 : 自分らしさを追求していて共感できます。他人の感性や価値観なんて気持ち悪いです。
ですが、オレという傲慢でなら生きたい。
マーシーが歌詞でよく表現するけど、頼むからほっといてくれという主義主張を感じるので100%の共感です。
安定を求めると心が不安定になります。
10代の頃に初めて聴いたこの歌詞は、ものすごい影響力と破壊力がありました。40代になった今でこそ多少の抑制は効くものの、あの頃に聴いたこの歌詞は抑えられない強い衝動に駆られました。
カッコいいロックの世界を見た。
これで確信しました。タイトルの裏を返せば自分らしく“生きたい”ということです。
M10「44口径」
作詞・作曲/甲本ヒロト
激しい主張の後の異質なウキウキアレンジ。
スカッとする拳銃の歌。
オレに与える衝撃と強い印象。個性的。
10曲目に来てもまだまだやってくれます。
むしろ、オレの体力と気力が持つのかの方が心配になる。ずーっと心が高まりっぱなし。
最初から最後まで圧倒的な親しみやすさを携えながら、ずっとブッ飛ばすアルバムとかよく作れたよねって敬意を持って思った。
それで、初めて聴いた時から既に30年も経ってるんだけど、テンションが上がる超個性的な魅力は何も変わっていない。
一番の魅力は勢いは炸裂しつつ、すごく軽快であることです。体が勝手に踊り出す小刻みなリズムが心地いい。
歌詞カードには記載はないですが、曲の特徴的なメロディで「チュッ チュルルル〜ル」と歌う、ヒロトの突き抜けたリズム感の歌心が楽しく響きます。
そのメロディが「44口径」のハイライトにもなってます。
一度聴いたら忘れない強烈なメロディ。
それはやっぱり衝撃的に記憶に残ります。アルバム自体が衝撃的なものなのに、その中でも群を抜いて強烈です。
誰もがロックンロールの強く眩しい存在感を認めざるを得ない瞬間。
イントロなし。絶大なインパクトを持って耳から入って心に届きます。
聴いた人の記憶力にまで働きかける。
その軽快さのあるリズムにこれまでとは異質な音を感じて一気に気分が変わります。イントロからAメロは、意識を持っていかれるほどに鮮やかで引き締まったすごく明るい音だからです。
独特のカッティングギターが冴えます。跳ねるベース、軽やかさのあるドラム。乗り遅れる人はいないノリやすさ。
音の入り口である耳を音速で通り抜けて、思わず心が反応する響き。
ものすごい強い意識を持って聴いても、必ず歌の楽しさに飲み込まれるブルーハーツの揺るぎない存在感。
サビに入るとパンクロックの豪快な勢いでブッ飛ばす。煌びやかなキーボードの音が、突然に広がりのある音場に変身させてる。何も滞らない感じが心地いい。
Aメロの軽快さとサビの豪快さのギャップは聴きどころです。
小気味の良いロックンロールと豪快なパンクロックのハイブリッドを実現してる。誰かの心を動かすためのいいとこ取りが成功した。
短めの間奏にギターソロあり。楽しげなメロディを分かりやすくマーシーが弾く。ギターソロなんて短くていいのかもしれないけど、もっと聴きたいと思った。
この曲に異質な雰囲気を感じる要素には、いろいろと好ましいギャップが生じているからということも感じました。
アレンジは軽快さと豪快さのギャップ。メロディと歌詞は覚えやすさと難解さのギャップで楽しめます。
ともかく、感じたままに聴くのが一番楽しいのは明白。
間違っても、2分ちょいの個性的なロックの意味とかググりながら聴くなんてしない方がいいと思います。
それつまんない。ロックはもっと太々しい。
歌詞 : 二丁拳銃を撃ちっ放すガンマンの世界です。ヒロトはよくガンマンの曲を作る印象があります。
「44口径」を作った時にヒロトは、常識や先入観なんかのそれら全部を二丁拳銃で弾き飛ばしたいと考えたのかもしれません。つまらない世の中では、そんな気持ちはほとんどの人にあると思います。
ヒロトのハイセンスなメロディに乗るとすごく楽しげに聴こえてくる歌詞です。
少なくともオレのネガティブだった気持ちは弾き飛ばした。
サビでは拳銃をブッ放したけど、それは“行ったきり”というところに潔さを感じます。
自分にとって不必要なものをすべて二丁拳銃で片付けたいガンマンの道理を聴いた気がする。
この曲のメロディは覚えやすいけど、深いと感じる歌詞には難解さもあるように思いました。自分が感じたままに聴くしかないです。
聴くとスカッとすることだけは間違いない。
M11「うそつき」
作詞・作曲/真島昌利
不条理な世の中の下手な嘘を暴く誠実なロックンロール。
音はハードめな聴き心地です。
アルバムで一番の強固な態度で挑む、躍動感みなぎる突進。
硬質な音が爆音で鳴り響くシンプル・イズ・ベストなパンクアレンジ。ブルーハーツの魂入りのこのアレンジは頑丈に出来ています。
ただのつまらないシンプルではありません。極端なシンプルを豪快にやります。ゴリ押し感さえあるパワフルな演奏。
この曲の耳触りは特殊な感じがします。
確実に繊細なキーボードの音が聴こえるからもう少しやんわりするかと思いきや、ひとまずそれは置いといてハードです。
白井さんも含めた5人の魂が爆裂してる。
この人たちの瞬間ごとの炸裂っぷりはすごいな。人の手で奏でた楽器はこんなにゴリゴリで頑なな音が出るんだなと思った。
屈強な精神のバンドが、人力の音で頑強にブッ放す、堅牢な仕上がり。
意志が堅固なギターはコードのみの潔さ。ある程度の長さのある間奏も訳の分からない速弾きとかしない。コードのみで圧倒する。
この曲の演奏に難しいこと、分かりにくいことは一切なし。
『STICK OUT』の攻撃的な勢いがある。
直感的にはひたすらブンブンしてる。マーシーが常にブーンブーンというフレーズを弾いているからそう感じるのかもしれません。
豪速球な演奏に乗ってヒロトが数々の嘘のつき方を歌っていく。
マーシーの言葉に痛いところを突かれたような、でも納得してしまう心理学的な歌詞が胸の奥にずっと残ります。
チクリとする人、ほっとする人、いろんな感情があると思います。
「うそつき」を聴いて、悪質な嘘をつこうと考える人はほとんどいません。むしろ私は、今はホントになっていない何かを成し遂げようと決心しました。
今すぐ“ホント”を言うためにブルーハーツが殴り込んできた。
下手な嘘をつき続ける保守的な気持ちに襲い掛かる。
本物のうそつきにはこの歌は聞こえない。
私の本音を言うと『STICK OUT』の中でこの歌が一番最後に心に入ってきました。すぐには心に残る強い何かを見つけられなかったからです。
もしかしたらシンプルすぎた可能性もあるけど、今はバッチリ心の中に存在しています。
最初からオレにアピールしてたっぽいです。
歌詞 : サビで歌う「せめて100年はばれない たいした嘘をつく」という言葉に続く展開にダサい“うそつき”よりも誠実さを感じました。
もしも嘘をつくのならトコトン。何かをやるのならトコトン。そしてやり切る。
それはもう嘘ではなく、真実です。
嘘をホントのように話す人と、ホントを嘘のように語る人がいます。まったくの逆に見えるけどそれは案外、似た者同士です。
鋭い矛盾が印象的な部分もあり、胸にぐっさりでした。きっと誰もが思い当たる。
この歌詞はマーシーの感性でなかったらピンと来ないだろうなと思いました。日常はこの歌詞そのまんまなのでほとんどの人が経験していることです。
こういう気持ち、分かります。共感します。
M12「月の爆撃機」
作詞・作曲/甲本ヒロト
マーシー「やるよー!!!やっちゃうよーー!!!!!」
ブルーハーツの名曲です。
胸が熱くて熱くて相当ヤバいやつ。
素直な気持ちだけで言うと、カッコいい歌だなと思った。
シングル曲ではないけど、ブルーハーツの代表曲です。それくらいの大きな存在感がこの歌にあります。
ラスト2曲は特別に胸熱な展開です。その最高な流れが、私にとっては『STICK OUT』のハイライトになりました。
ヒロトの熱いメッセージ性のある歌詞が軽すぎず、重すぎず絶妙です。
聴き心地や感触は名曲の佇まい。
タイトルがカッコ良すぎる。なんか知らないけど、画数の多い漢字がタイトルにたくさんあるとすげえ強そうです。
一発で記憶に残る熱狂的なギターのイントロは、凄まじきラストシーンの始まりを告げてます。
この激アツなロックンロールに意識が向かない人はきっといません。イントロで既に心を掴まれる魅力があります。
誰もがとっくにコクピットの中にいる。薄い月明りに向かって爆撃機で突進するんだ。
おいおい、なんだオレのこの興奮は⁈
何年経ってもそんな初期衝動はそのまんま。
演奏はすごく激しいのに決して雑ではない。その態度がロックンロールへの敬意と愛情にも聴こえました。
リスナーに疾走感を感じさせるのがすごく上手い人たち。この歌が静止して聞こえる人はいない。テンションが下がる人もいない。
ヒロトのまっすぐな歌は迂回せず、心に直接響きます。
「月の爆撃機」はコーラスも一切なしの一発勝負、どストレート。だからこそ、ど真ん中で受け取るべきです。
最高なロックンロールのメロディに乗っかったメッセージ性を強く含む歌詞が心の中まで光りながら入ってくる。すごく胸が熱い。
感化される。影響される。気付かされる。
孤独こそが強いんだぜってことかもしれないし、もしくは1人の時間を大事にしろよってことを歌ってるのだと私には聴こえます。
なんかこの歌、、、すげえ光ってる。
ヒロトがこの歌を作り始めた瞬間から、既に名曲だったんだと思う。
1番の終わりで心を爆撃するマーシーのピックスクラッチが炸裂して、突き抜けるハイテンション。
この曲では、マーシーはギタリストに徹して大活躍。
イントロのギターはかなり印象的でした。
間奏ではキラキラな胸熱メロディのギターソロも、真摯な態度で弾きます。
おそらく、ベテランも初心者もギタリストの全員が憧れた月の爆撃メロディ。
これはヤバいです。よくある長ったるくて、何やってんのかも分からない自己満足のやつじゃなくて、心を揺さぶるギターのメロディが胸の真ん中を撃ち抜きます。
マーシーの情熱。ギターの歌心。
その情熱の激しさに、何やってんだよ人間はと心が猛反省し、誠実な心が戻ってきます。
ブルーハーツの洗練された感覚、優れた感性と表現力を感じた。
すべての瞬間が本気だった。
ロックンロール最高!!
なんだ、オレの心を爆撃しに来たのか。
歌詞 : この曲には孤独こそ最強の戦略だという至高の学びがありました。ブルーハーツのロックンロールでしか気付けないことはたくさんあります。
残念ですが、ロックンロールは学校では教えてもらえません。学校で教えてもらえる程度のことは、たいしたことない。
恐れを知らずに我が道を行くこの存在感。
「行く道は変わらない」と言い切っている強くて大きな覚悟。誰かの意見によって変えられる程度の覚悟じゃない。
決定している意志は曖昧さがなく断言しているから、同じような誰かの心を動かせます。
ラストの歌詞はドラマチックな締め方で印象深くて、30年経った今でも心のレコードプレーヤーが再生し続けています。
今この瞬間、オレの心は爆撃機に乗ってぶっ飛んでる。
M13「1000のバイオリン」
作詞・作曲/真島昌利
ブルーハーツの12枚目のシングル。
ヒロト「今日はどうもありがとう!」
アルバムのラストにふさわしい名曲です。
『STICK OUT』の心揺さぶるラストシーンは聴き逃せない。
『凸』の途切れないパワー感を総括するような説得力があるラスト曲。
イントロなしで、サビからブッ放す感情的なライブ映えアレンジ。
いきなりのサビで熱く聴こえてくるのは、弾きまくらない控えめなエレキ、芯のあるアコギ、小気味のいいベース、確固たるドラム、鮮やかなキーボード、ロックンロールのボーカル。
この5人なら普通は出来ないことを成し遂げてしまう。
本物の名曲はなんか聴きやすいとか、この部分がとかそんなことではないと思います。言葉もメロディもアレンジも演奏も、それからその瞬間の狂熱も、すべてが突き抜けた場合だけ。
何かがすごく溢れてる。全部がすごく光ってる。ロックンロールに熱狂してる。
サビの後は何度も心を掴むギターリフ。
ギターの音が語るロックンロールの堅実さ。憧れた私も覚えて弾いていました。私でもそれなりには弾けるフレーズです。しかし私が弾いても圧倒的に何かが足りません。
ロックンロールが全然足りません。マーシーからはロックンロールが溢れています。
豪快なアレンジの中に光る繊細なギター。
音として聴こえてくるギターは豪快です。でもその感性が心に届くほど繊細です。
アレンジは突き進む疾走感がある。ヒマラヤほどの巨大な存在感もある。
耳が本気を出して歌を聴く。心が奪われる。普段は閉ざしてる心が全開してる。ロックンロールがオレの心を開け放った。
名曲は心を奪われている間に一瞬で終わってしまいます。
今オレは、道なき道をぶっ飛ばしてるブルーハーツの勇姿を見てる。
この歌はなんてドラマチックなんだ!
歌詞とかメロディってことじゃなくて、この歌にあるすべてが揃ってのこと。
サビの歌詞は比喩表現といえばいいのか、マーシーにしかない言葉の世界が感動的に表現されています。どんな言葉よりもズッシリしています。ロックンロールはやわじゃない。
人それぞれに何かを感じ、全員の心がちょっとでも動くはず。いや、結構動くはず。
オレは何かを悟ってしまいそうだ。
ラストのサビはヒロトとマーシーのボーカルの掛け合いがたまらないです。こういうのマジで胸熱です。いつ聴いても何度聴いても、胸が熱く高まります。
この人たちなんでこんなにカッコいいの⁈
ロックンロール最高!!!!!
長めのアウトロの演奏は、美しいエンドロールが流れているような感慨深さです。
ひとつの最高なアルバムを聴き終える一歩手前の、燃えるような、震えるような、新しい自分が今ここにいるような、ここにしかない感動が心地いい。
さあ、また自分を生きて行こう。
歌詞 : 大きい!凄まじい!ビシッとしてる!
心に刺さる!!! 突き抜けた!!!!!
サビはすっかり有名なフレーズ。その言葉の選び方はマーシーにしか出来ません。歴史に残るズッシリ感。
唯一無二がいつもここにあります。
「1000のバイオリン」から生きること、それにとてつもない生命力を感じます。
溶けたアイスクリーム、過去は既に完了したこと、そして今を生きることに繋がっています。
すべての言葉が詩的で、美しい小説でも読んだような気分でもあります。ロックンロールの歌詞っておもしろいなと感激しました。
それはオレが生きる気力にもなってしまう。
この歌は、、、生きる人間だ。
ロックンロールに生かされてるということはあるでしょう⁈
ブルーハーツの存在感は抜群です。揺るぎない。他にない。聴かなくなることはない。
心をポジティブにする名盤としていつも聴きたくなります。
他の何かでは代用は効かないと納得したところでアルバムはおしまいです。
これは本気だ。
最高のロックンロールアルバムの“凸”の方。
聴けば分かる単純さと猛烈な疾走感にシビれたブルーハーツの6枚目のアルバムでした。
『STICK OUT』を30年聴いてきた今でもやっぱりそんなに変わらない感想になります。
「ブルーハーツがブルーハーツの姿のまんまの、熱狂的なテンションで作ったアルバム」
だから今聴いてもカッコ良さはまったく無くならない。感じる魅力も当時のそのまんま。
とは言え、他のアルバムがテンションが低いって意味ではないです。
アレンジも録音も原点回帰したようなストレートなパンクだと感じました。シンプルなロックンロールの勢いが、熱狂に変わります。
全曲アップテンポ+シンプルなパンクロックに強気なキーボードが入っているという感じの、攻撃的な音がするアルバムです。
この名盤から私が学んだことは、自分がやりたくないことはやらずに生きるということ。
ブルーハーツは熱狂的なパワーをブッ放したこの直後に、もうひとつの情熱のロックンロールを静かに落ち着いて発表して、『凸凹』を完成させました。
次は、凹の『DUG OUT』を聴いてください。
落ち着きますが、大いに心が動きます。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。