こんにちは。
『MUD SHAKES』は2020年リリースのクロマニヨンズの14枚目のアルバムです。
クロマニヨンズは問題の正解を教えてくれるわけではなくて、自分が勝手に何か重要なことに気付いてしまう場合があるって感じです。
聴けば、人生がどうでもいい“人並み”なんかに堕落しない重要な音楽。
押し付けられた価値観や、受け入れ難い人並みの中でふてくされていた心を救う、ぶち上げるロッケンロー‼︎と、心の自由。
VIVA!自由‼︎
自由よりも価値のあるものなんてない。
The Cro-Magnons/MUD SHAKES(2020)
MUD SHAKES(マッドシェイクス)は前作『PUNCH』から1年2ヶ月後(2020.12.02)に発売された14枚目のアルバムです。
間に熱狂のライブ盤『ツアー PUNCH 2019-2020』(2020.09.23発売)のリリースを挟んでの発表でした。
アルバムの説明なんか一言で出来ます。
『パンクの精神が本質にあって、いつも通りカッコいいアルバム』
みんな本当は大好きな「自由」も思いっきり感じられます。
クロマニヨンズ15年目のアルバムです。
ほぼ毎年アルバムを出してライブもやって15年目を迎えました。ハイロウズの活動が10年間だったので、コビーとカツジを交えたメンバーのラインナップがバッチリと肌に合っているんだろうという印象を受けます。
私は毎年クロマニヨンズの新しいアルバムを買うことが一年の予定に入ってるほどです。
14枚目のアルバムともなると既発の作品が結構たまってきて、ズラッと並べた背表紙を眺めているだけでも幸せな気分になります。
『MUD SHAKES』収録曲
01.VIVA! 自由‼︎
02.暴動チャイル(BO CHILE)
03.浅葱色
04.新オオカミロック
05.カーセイダーZ
06.ドンパンロック
07.妖怪山エレキ
08.メタリックサマー
09.空き家
10.新人
11.ふみきりうどん
12.かまわないでくださいブルース
全編モノラル、全12曲39分です。
ヘビを描いたジャケットがいかしていて、すぐに記憶に残りました。クロマニヨンズのアルバムの中でもインパクトがあって、いつでも思い出せるデザインです。
いつも通り、曲のタイトルにインパクトがあって一体どんな歌なのかと、裏ジャケットを見ただけでもかなりの興味をそそられます。
そしていつも通りヒロトとマーシーが6曲ずつ作詞作曲してます。
本作の構成で私がおもしろかったのは、ヒロト作とマーシー作の曲がレコードで聴いた場合にA面とB面で偏っていたことです。
これまでは割とバランスよく交互に配置されていた印象でした。『MUD SHAKES』ではA面にはヒロト作4曲&マーシー作2曲で、B面にはマーシー作4曲&ヒロト作2曲と、今までになかった構成にワクワクしました。
そのためA面はヒロト寄り、B面はマーシー寄りな印象です。それも2人それぞれの作曲した歌が連続している箇所が多いです。
いつも通りと言っても当然これまでとは違う新しい曲が全部入ってるので、アルバムとしては全然別のカッコ良さです。
何がいつも通りなのかというと“変わらないことを選んだクロマニヨンズ”の本質が貫かれています。
ヒロトとマーシー2人のロックバカ(褒め言葉です)のロックな歌作りの上手さが本作でも魅力的に炸裂しています。それがクロマニヨンズの魅力のひとつで、かなり重要なことだと感じます。楽しいです。
その音楽を好きになるかどうかは聴いて楽しいと感じることが私には大事です。楽しいのに、ノリノリなのに涙が流れる熱い瞬間もあります。感動です。悲しいのは嫌いです。
本作はいつもより音が大きいように感じます。そんなにボリュームを上げなくても、音圧が高く迫力ある音が聴こえます。ロッケンロー‼︎としてとても好ましい。悲しい瞬間なんか1秒もありません。
いつも通り楽しいコーラスがとても凝っていて盛り上がります。
今回もヒロトがハーモニカを吹きまくる見せ場が3曲あります。ライブではいつもとんでもない興奮の名場面になる。
『MUD SHAKES』リリース時に全曲配信ライブなんてのもやりました。
ヒロトとマーシーがラジオで一生懸命に配信ライブの告知をしてるのが印象的でした。
その配信ライブはDVD作品の『ザ・クロマニヨンズ ライブ!MUD SHAKES 2021』にも収録されて、思いっきり見逃した人もDVDで観れるという思いやり。
ラジオでは告知だけでなくいろんな話をしてくれた2人です。
最近びっくりしたことは?と聞かれた2人。
ヒロトはすぐにびっくりするらしく、路地とかから急に猫が飛び出してくることにすごく驚くそうです。
マーシーはあんまりびっくりすることはないらしく、ヒロトがマーシーといる時にびっくりすることは、マーシーのお腹が鳴った時ものすごく大きい音がすると言っていました。
いつも2人でクスクス笑いながら話す雰囲気が好印象です。
『MUD SHAKES』のレコーディングについても興味深い話を聞けました。
レコーディングはバンドによっていろんなやり方があるけど、クロマニヨンズの場合は“クロマニヨンズ専用のスタジオ”にメンバーと川口さんというエンジニアの方とマネージャーの6人が集まって作業するということです。
レコーディングが始まって終わるまで、スタジオにその6人しかいない状態で、、、
ただ演奏して、録音する。
それだけです。
ヒロト「どうですか?そんな事がこんなに楽しいんだよと僕たちはいつも思っています。」
マーシー「はい。」
やっぱり多くは語らない人たちですが、誠実に話していたから少ない言葉でも胸が熱くなりました。余計な事までは話さないけど、誰よりも楽しんでるのは余裕で伝わってきました。
シングル曲は19枚目のシングル「暴動チャイル(BO CHILE)」が収録されています。
カップリングにはマーシー作のスカッとするほどポップでキャッチーなメロディの「東京ブキズキ」が収録されました。本作『MUD SHAKES』には未収録。
シングル発売当時、7インチアナログ盤も同時発売されました。もちろんmonoです。
アルバム発売当時、アナログ盤も同時発売されました。いつも通り豪華な「60年代E式フリップバック」仕様。クロマニヨンズ得意のmonoで180g重量盤のレコードです。
自分たちがカッコいいと納得した上で発売してるので、やっぱりいい音してます。
さて、そろそろ心を自由に解き放つ時間だ!
M1「VIVA! 自由‼︎」
作詞・作曲/真島昌利
アルバム1曲目は明るいシンガロングな歌です。
再生ボタンを押して音が出た瞬間に「お!」と心を反応させるギターリフはキース・リチャーズっぽくて、いきなり好きです。
いい具合の音圧。少し耳を圧迫するぐらいのロックンロールな音圧。感動的。
心はすでに自由。
間奏ではザ・フーも感じます。ロックで遊んでるなと思わせるいかす演出です。
求めていたもの。これこれ!と納得するロッケンロー‼︎遊び心が溢れてる。しかも自由。
「自由は最高」と歌い出すもんだから、世間というどうしようもないしがらみの中に生きてる日常の心が騒ぎながら喜んでます。
途中で行進し始めるアレンジが強そうです。最高な自由への凄まじき大行進な威力。
この歌のすべての瞬間がハイライト。
一瞬たりとも心の不自由なんかありません。
何かを成し遂げた喜びの結末が用意されたようなエンディングも素敵です。
歌詞 : 「自由は最高」という歌い出しからもう不自由なんて宇宙の塵です。“ランララ ランララ ラーン”という歌にものすごい自由を感じます。楽しい気持ちが爆発してます。オレはもう自由です。
自由は最高だけど、この歌も最高です。
「VIVA!」自由万歳‼︎このアレンジ、この演奏、この歌、それに輝きを放つ歌詞、これでもまだ自由になれない人はあんまりいないと思います。自由の音しか聴こえません。
楽しいな!一緒に歌おう。
M2「暴動チャイル(BO CHILE)」
作詞・作曲/甲本ヒロト
クロマニヨンズの19枚目のシングル。
2曲目でグッとスピードが上がって猛烈な勢いがつきます。
フェードインのドラムからハーモニカが入って、すでにこの歌のハイライトを聴いているよう。ヒロトのハーモニカが炸裂して、テンション上がらない人はいないんじゃないかと思うほど。
心が暴れ出すほどの勢いとロッケンロー‼︎の強さを実感します。これぞロックンロールの破壊力。
コビーとカツジの低音もブイブイ響いてロックンロールにさらわれそう。
大人になっても諦めきれていない心を突き動かされるような気分です。やらない大人ではいられなくなる。
人と違ってもそのままの自分でいるのが一番幸せだなと感じます。他の誰かじゃなくて自分の感性を大事にするべきだ。この歌を聴いたらそんなことを強く思いました。
オレは間違っていない。
まだ2曲目なのに名曲シングルの激アツっぷりに、シビレすぎた興奮が熱狂的。
歌詞 : 「あきらめたふりしても 夢がむきだしだぜ」すごい共感しました。大人の私もやっぱり隠れてるつもりだし、あきらめたふりもしてるけど、夢はむきだしで暴れてるような気がします。溢れ出しちゃってる自分の本当の夢の存在を感じてしまった歌です。
ロックンロールにさらわれたい。クロマニヨンズは確実にさらっていく。アルバムが終わるまで戻って来れない。アルバムが終わっても戻らなくたっていい。自由。
M3「浅葱色」
作詞・作曲/甲本ヒロト
イントロからガッツリ心を掴まれるコーラス、痛快にブッ飛ばすロックンロール。
明るくて楽しい雰囲気。歌を聴くとヒロトだからこその、とても重要なことを言ってるのに気付きます。
この歌に熱くならない心の中学2年生なんかいない。歌詞にも演奏にも聴こえてる音にも力がある、勇気が湧いてくる。
胸に響く熱いBメロは燃えるのに、感情が揺さぶられて涙が落っこちそうなメロディです。
すげえカッコいい!
ヒロトの言葉だ。クロマニヨンズの音だ。
短めのギターソロがぶっちぎりの音でオレの胸の奥の方を熱くしてきた。今ならホームランが打てそうだ。
傷つくことさえ恐れないこの歌に感動して、覚悟を決めてたくましく立ち上がる心がたくさんあると思います。
そんな強さがあるのに「パダン パダン」というコーラスが柔らかくて、限界は超えるなよ!それじゃ死ぬから、と優しく寄り添ってくれるような思いやりまで感じます。
歌詞 : 無傷のまま死なない、ヒロトの歌詞だ!と胸が熱くなった瞬間です。虫好きなヒロトはボロボロになった蝶々を見ると嬉しくなると言っていました。頑張ったんだなと、ただ見るのが好きらしい。
人間が生きるための強さがある。聴けば勇気づけられます。胸が熱くなります。少しだけ強くなれます。
浅葱色という色のチョイスも個性的で、歌詞にする言葉としてもカッコいいです。青と緑の中間ぐらいの色でしょうか。
M4「新オオカミロック」
作詞・作曲/甲本ヒロト
演奏のキレの良さが光るロッケンロー‼︎
タイトルもカッコいいし、ロックが始まった!と誰にでも分かるイントロにシビレます。
“俺は”とか“僕は”じゃなくて「私は」と歌い出すのが印象的でワクワク期待も高まったし、インパクト大でした。
その後はもうとにかくキレッキレ。
コーラスもキレッキレ。マーシーのギターソロもとんがった音でデッカい音でキレッキレ。音もフレーズもロックを主張してて、聴きたかったギターソロです。後半で吹くヒロトのハーモニカもシャープな音でキレッキレ。何これ!
もうだらけた心ではいられないじゃんか。
この切れ味は野生だ。自由な心も感じる。
突然、吠えたくなってしまう野生の歌。
これをロック以外の違う音楽に聞こえる人はいない。そのくらい強烈です。ギターソロあり、ハーモニカソロあり、ロックあり、ロールもあり、ロックンロール最高です。
歌詞 : 割と抽象的ですが、音として聴いた場合はすごく心に入ってきます。「私」と歌わず、もしも“僕は”だったら心を掴まれていませんでした。ヒロトの歌詞ってやっぱり人の心を掴みます。
Bメロがまた心を奪っていく心地よいメロディとアレンジで印象的です。ロック以外のどうでもいい事を考えながら聴き逃してしまう訳にはいかないポイント。
この後はキラキラで筋の通った頑固なロックのサビで、自分のテンションが上昇するのを感じられます。
まだ4曲目を聴いただけなのにかなりの満足感です。なんかオレ満たされてるなぁ。
M5「カーセイダーZ」
作詞・作曲/真島昌利
マーシーの感性による言葉遊びが楽しい、働く私たちへの応援歌。
特撮ヒーローを彷彿とさせる強烈なタイトルにヤラレます。でもそのヒーローは類稀な存在ではなく、日々の中で一生懸命に働いてお金を稼ぐ自分のことです。
重く激しいカツジのドラムから開始して、力強くヒロトの歌が入るアレンジが激アツです。カツジのドラム凄すぎ!
たった2分19秒のロッケンロー‼︎
私は相変わらず働くのは嫌いなんだけど、お金を稼いで「稼いだぜ!」って言いたくなりました。その後で“カーセイダーZ”と名乗るヒーローになりたい。
迫り来るクロマニヨンズの演奏に良い意味で圧倒される。
歌詞 : マーシーが作ってヒロトがこの歌をうたってくれるという事実が胸熱で、働く日の応援歌にしか聴こえません。
2番からも不快な仕事に耐えながらもお金を稼ぐ勇ましい姿がヒーローのように聴こえます。そいつの名前は、
「カーセイダーZ」
今日も“稼いだぜ”と誰もが満足できるほどの給料を払ってくれよ。頼むよ、日本。そして働く人みんなが“カーセイダーZ”と名乗れたら幸せな国になるかもしれない。
この歌の“赤い顔で”でという言葉がすごく印象的です。これは「カーセイダーZ」、そのヒーローの名前と同じくらいインパクトがあります。
“赤い顔”に共感してるからなのかもしれない。頑張った証の誇らしい“赤い顔”です。
今日も「稼いだぜッ」と言いたい。
M6「ドンパンロック」
作詞・作曲/甲本ヒロト
オートバイの歌。映画館の歌。そこに揺るぎない本音の恋心が入ってくる素敵な歌。
イントロを聴いただけでもうどっかに出掛けたい心になってくる。そんなロックのワクワク感もあり。
懐かしいポップスのようなノスタルジックな雰囲気が魅力的です。
少し肩の力が抜ける心地よさ。のほほんとした柔らかさもあって感動的です。
速すぎず、激しすぎないアレンジはテンションMAXというより、少し緩めた斜めな感じ。だからこそ歌詞の内容に引き込まれやすく、前の曲までと違った熱さに感動します。
急に恋心を掴まれたような気分です。
クロマニヨンズってどのアルバムにも勢いだけじゃない、こういうちょっと違うところをガッツリと掴まれる歌が入ってるんだな。
なんていかす流れのアルバムなんだ。クロマニヨンズの曲順はいつも心を掴みます。レコードだとA面のラストがこの歌なんて、よく分からないけどとてもいい気分です。
歌詞の世界はすべてにインパクトがあって惹き込まれるけど、その中でも特に強烈に胸が熱くなる恋心が私は好きです。
歌詞 : 「急に 会いたくなる」この気持ちってきっと誰にでもあるし、聴いてると同じ気持ちになってしまいます。それに歌詞のリズムが快感です。文字では伝わらない心地よさです。
続く歌詞もトキメキがあってドキドキします。私が言ったらクサいだけの言葉になってしまうだろうし、それよりも恥ずかしさがあって言い出せません。心で思ってはいます。
それをヒロトときたら、恥ずかしげもなく堂々とトキメキながらハッキリと気持ちのまま歌う。やっぱりカッコいい。尊敬します。
M7「妖怪山エレキ」
作詞・作曲/真島昌利
訳の分からないタイトル最高です。
心が楽しくなる歌ナンバーワン。
めちゃくちゃ軽快で心が踊り出すイントロです。今回はどうもイントロだけで心を掴まれる曲が非常に多いです。びっくり!
演奏の歯切れの良さが心地いいです。
踊りやすいテンポ、踊りたい気持ちを叶えてしまう楽しいコーラス。気分最高です。
“ジュビドゥワ”とか楽しくない訳がない。しかも全力でやって楽しませてくれる。
マーシーのカッティングギターが踊る前のちょっとある照れる心を突き破ります。
コビーの弾むベースにドゥワップなコーラスが楽しい1曲。至るところに入っているコーラスは凝っていて特徴的です。
マーシーが結構歌ってる。ギター弾きながらずっと歌ってる。大変そうだ。でも最高だ。
サビの「ヤッホー」はヒロトの後にマーシーの歌声でやっぱり山彦になるんだけど、それをハウると表現しているのがロッケンロー‼︎だなと感動しました。ライブだとマーシーの力強い歌声に興奮する名場面です。
訳の分からないタイトルからは想像も出来なかったほどに心に刺さる歌詞が、心にドッシリと腰を下ろしていきやがります。
歌詞 : 山エレキとか意味の分からないこと歌っておきながら、急に重要な哲学的なことを歌うので心を撃ち抜かれました。しかもメロディが抜群にいいです。これだけじゃない、まだあります。
歌詞のように、くらべるもんじゃない事ってたくさんあるから改めて意識した瞬間でした。自分と他人を比べてもしょうがないです。違う人間だから比べるもんじゃないです。
「ヤッホー」とマーシーのコーラスがフィードバックして楽しいサビは気分最高潮です。踊り出してしまうエレキの誘惑。
ラストに入ってる怪しげな声はきっと妖怪たちの何か企んだ笑い声を、山で録音してきたものだろう(笑)
M8「メタリックサマー」
作詞・作曲/真島昌利
またもやカツジの重く激しいドラムからスタートしてギター、ベース、ボーカルが絡んでいくアレンジにロックのカッコ良さが光ります。
カツジが細かいリズムを刻むシャープな音が聴こえてきます。この重いバスドラの音はアルバム最強の音圧かもしれません。こんな音出せるんだ。すごい。
ちょっと違うタイプのロッケンロー‼︎が来たなという印象です。
間奏ではヒロトのハーモニカも炸裂します。それも軽いノリではなくズッシリしてて心に響きます。
アルバムで一番重厚で頑固な音がします。とは言え、重すぎず硬すぎないクロマニヨンズ流の良い加減。2分半の潔さ。
8曲目ぐらいに入ってるとアルバム全体がよりカッコ良くなるタイプの歌。
そのリズムは強烈で、『MUD SHAKES』を聴いた日の次の朝には心のレコードプレーヤーが勝手にこの曲を再生するほどのインパクト。
歌詞 : そんなに意味はないように感じるけど、タイトル通り“メタリック”をイメージさせる音と“サマー”を連想させる麦茶や蝉といった言葉が歌詞通りまぶしく輝いています。
でも最後に何だか衝撃的な歌詞が出てきて「メタリックサマー」自体のインパクトが絶大になりました。
“ズベ公と俺は まっぱだかだった”
え?ズベ公って⁉︎一体なにがあったんだよ⁈
すべてを語らない美しさを感じました。
M9「空き家」
作詞・作曲/甲本ヒロト
イントロから独特のハーモニカ。
もうすでに普通じゃねえ。ワクワクする。
アップテンポではないブルースのテンポ。でもテンションは高い。そしてまた曲が短い。
只者じゃないブルースなロックだ。すげえ。
強烈だなあ。歌ってることも強烈だから一言も聴き逃したくないし、気を抜けない。
演奏とかコーラスのテンションから、楽しんでやってる音が聴き取れて、またクロマニヨンズを好きになりました。
9曲目に来て、今回やたらと音がいいんじゃないのかと急に感じました。クロマニヨンズが熱いだけかもしれない。もしかしたらいつも通りかもしれない。
ヒロトらしい歌詞が意味が分からなくて素敵です。だから単純に体と心をリズムに任せて浸るのが最高です。そういうのが強烈です。
自分にしか分からないような歌を作って演奏するという“自由”に心を奪われます。
異才を放つというか、唯一無二というか、なんでこの人たちこんなに強烈なの⁈
歌詞 : この世はイス取りゲームだと歌う3番はすごく意味深でハッとしました。最後に来て一瞬の隙を突き、核心を突いたような衝撃が人間としての私の心に刺さりました。
この世はすでに空いてるところがなくてイス取りゲームになってるように見えます。そこではない抜け道やひっそりと存在していたブルーオーシャンを見つけた人の一人勝ちなような気もします。
意味の分からない強烈な歌かと思ったら、意味深で猛烈な歌でした。
M10「新人」
作詞・作曲/甲本ヒロト
誰かに応援してほしい時のベストチョイス。
この曲もイントロのギターのフレーズからすでに好きな感じだ。ジャキジャキしてる。
その音がまたどうしようもなくオレの心の中に入ってくるんです。
エモいと感じるアレンジに一瞬で惹かれます。
キラキラに明るい音ではないちょっと切なさのある音が心を掴んできます。
だけど激しさと熱さも同時にあるのが特徴的。マーシーが魂で弾く情熱的なギターソロもあり。
新人さんの一生懸命さをここまで見抜いて応援してる歌なんてこれまで世界になかった。
普段はミスについイラっとしがちだけど、頼りない新人さんの一生懸命さを肯定し、応援したくなる思いやりの歌。
クロマニヨンズは新人ではないけど、歌詞の内容のような足りなかったものなんてこの歌にはひとつもありません。
歌詞 : すごく共感します。新人さんなのかは分からないけど、よくお店の人に怒ってるじいさんや嫌味を言ってるばあさんを見かけるけど、それ老害にしか見えないし、ハラスメントにしか聞こえないからやめろ。第三者から見ても気分が悪いよ。
うるせー、ダセー、面倒くせー。
私もこの歌を聴いて自分を自問自答してから、穏やかな気持ちを持とうと決めました。
オレだって最初は新人だった。今でも新人さんと大して変わらないかもしれないけど。
ミスを怒られると萎縮してしまうけど、応援してもらえたらものすごく嬉しいです。
M11「ふみきりうどん」
作詞・作曲/真島昌利
なんと言っても訳の分からないタイトルのインパクトです。一般的な感性では絶対に思い付かない。
始まった途端に出てきた音にヤラレそうな雰囲気が漂います。ゆったりテンポの胸熱系。
踏み切りを連想させるカウベルの音が印象的です。
オレは踏み切りが上がるのを待ってる気分。
ラスト2曲はゆったりめで熱く聴かせるのでクールな気持ちになる場面とは違います。飛び跳ねながらノリノリな気分というよりは、求めている自由な心を感じる名場面です。
感性炸裂、感情爆発のギターソロに熱くなった心は撃ち抜かれます。
マーシーもやっぱり自分にしか分からない歌を作ってオレたちに自由な心を提供してきた。「ふみきりうどん」なんてオレは食べたことがないし、知らない。
マーシーの言葉のリズムとヒロトの歌い方がとても心地よく聴こえます。私にはそれがこの歌の最大の特徴です。
この曲の歌詞はすごすぎる。意味が分からない。言葉も何かを伝える文章としては繋がっていないように感じる。でもそれがアルバムの中の絶大な存在感になっています。
とにかく目に入ったものを唯一無二なマーシーの感性で表現したような印象を受けます。
とっても好きだ。
歌詞 : 意味が分からないけど、とても美しい歌詞だ。言葉のテンポとリズムが良すぎる。
ロックに意味なんて求めるものじゃない。ロックの意味なんてググるものじゃない。
そんなもの、、、
感じろ!!!!
ふみきりうどんて何だ⁈カラーテレビが降っているってどういうことなんだ⁉︎
そんなもの、、、
感じろ!!!!!!
M12「かまわないでくださいブルース」
作詞・作曲/真島昌利
ひと言で表すなら「主張」です。最高です。
アルバムのラスト曲は緩やかな気持ちになれるのが好印象です。
すごく興味をそそられる内容で、ラストもゆったりテンポで心に聴かせます。
歌い出しは“やなこった”といきなり拒否から入るその誠実さに心を打たれます。
「シュビドゥワ」なコーラスも緩やかな気持ちを誘う柔らかさ。
マーシーのほっといてくださいという気持ちがばっちり表現されてるスライドギターが聴けます。
この歌、私の気持ちを代弁してくれてる。みんなで頑張ろうとかが嫌いな私は歌詞に相当な共感をしました。私には協調性はありません。そんな私はこの歌が心の名曲です。
同調圧力なんかない方がいいです。
そして人並みを出来ない自分を認める応援歌。アルバムラストにも感じる心の自由。
一番の自由を感じたのはこの歌です。
この歌から感じるぐうたらな感じやだらけた感じが、うるさい世間の謎のルールをぶっ壊してくれました。
このぐうたら加減こそが本当の人間な気がする。
歌詞 : ないほうがいいものって結構存在します。もういいっていうものも沢山あります。それに対しては確かに“かまわないでください”しか言いたい事はない。
「きょうみもない、どーでもいい」この歌詞なんか、そのまんま私だったので共感を超えて同化しました。誰にでも好きにはなれない事だってあるからしょうがないです。
私が世の中にいつも言いたい気持ちを代弁してもらって、すっかり日々の鬱憤が晴れたところで、アルバムはおしまいです。
「ロックの天才」なんて言葉では浅はかすぎる。そんなもんじゃなくてもっとすごいロックのバカだ。天才なんて似合わない、そんなことはとっくに飛び越えてるし、そうじゃなくてもっと楽しいことです。
そんなロックバカたちの熱いロッケンロー‼︎にすっかり心が自由になったクロマニヨンズの14枚目のアルバムでした。
「最高のロックンロールを体験した」というのがありのままの感想です。
ぶち上がった心が“ありのままの自分”を誇らしげに自慢してる。
心がいつも求めているものは“自由”です。アルバム1枚でそれを差し出してくれて、叶えてくれるクロマニヨンズが大好きです。
自由は最高!楽しいな!
オレは人並みなんか目指していないし、そんなものどうでもいい。それは幸せではないからいらない。
悪いけど、オレは馬並みがいい。
かまわないでください ほっといてください。
VIVA! VIVA! 自由‼︎
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。