こんにちは。
『ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024』は、2024年リリースのクロマニヨンズの8作目のDVDです。
今回は音源ではなく、映像での発表。
とことん勇ましく、それでいて誰一人として弾き飛ばさない歓迎ムード全開のライブ。
その瞬間の熱気が自分の部屋で楽しめる。
心の名盤:全曲レビューです。
皆さんどうぞ最後までよろしくお願いします。
私も「ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024」の静岡公演に行きました。
4列目、ヒロトとマーシーの間ぐらいの席が当選したので、至近距離に現れたクロマニヨンズに大興奮。
前の席にいた異常に高いテンションの人、右隣には大人しめに心の中で熱狂してる人。
左隣には私と同じテンションのパートナー。
誰もがそれぞれ自由に楽しんでいたのがすごく印象的でした。
会場は違えど、あの熱狂を今度は部屋で何度でも楽しめるのがこのDVDです。
衝撃が蘇ると、いつもゾクゾクします。
クロマニヨンズが凄まじきロックンロールを生でブチかます!
爆音で残る記憶の宝物。
The Cro-Magnons/ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024 (2024)
ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024(ヘイ ワンダー)は2024年9月25日に発売された通算8枚目のDVD作品です。
ライブDVDとしては7作目。
全国ツアー/全43公演の中から、3月25日の神奈川県 CLUB CITTA’公演が“完全収録”されました。
完全なので1曲もカットされていません。
17thアルバム『HEY! WONDER』の収録曲は曲順通りに全曲演奏します。
ただし、新しく人間のどうかしてる熱狂の音が追加されてるのが最大の特徴。
他にも大人気の名曲たちを多数演奏。
非常に熱狂的なライブDVDです。
なぜなら全部純粋なロックンロールだから。
それは揺るぎない勢いのあるロックンロール。ザ・クロマニヨンズがステージから大胆に放つ狂熱こそが、尽きせぬ魅力。
ツアーが終わって、たったの3ヶ月後にDVD作品としてリリースされるという仕事の早さにびっくり。
プロフェッショナルたちの情熱の成せる偉業。
数ヶ月ではまだまだ興奮冷めやらぬ最中だ。
「HEY! WONDER」のツアー終了後すぐに“ライブロス”とか言ってる変な人が沢山いたけど、私の興奮はそんな程度ではなかった。
今だって、
まだあの瞬間の興奮はそのまま残ってる。
とんでもなく熱いロックンロールを見たのだ。
間違いなく、爆音の「ザ・クロマニヨンズ」を体験したのだ。
それが一瞬で消える訳がない。
心に残る最高のロックンロールのライブです。
それと、ロックンロールは過激だぜ。
『ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024』収録内容
1. あいのロックンロール
2. 大山椒魚
3. ゆでたまご
4. ハイウェイ61
5. よつであみ
6. 恋のOKサイン
7. ランラン
8. 雷雨決行
9. 生きる
10. メロディー
11. くだらねえ
12. ダーウィン(恋こそがすべて)
13. SEX AND VIOLENCE
14. 不器用
15. イノチノマーチ
16. 暴動チャイル(BO CHILE)
17. エルビス(仮)
18. 紙飛行機
19. ナンバーワン野郎!
20. 男の愛は火薬だぜ 〜『東京火薬野郎』主題歌 〜
21. SEX AND DRUGS AND ROCK’N’ROLL
22. タリホー
23. ギリギリガガンガン
全23曲91分。
音源でなくDVDの場合は、ヒロトのMCもキッチリ収録されているのが好ましいポイント。
この人の言うことは、いちいち心に響く。
ライブ当日、私は真ん中辺からマーシーばかり見ていました。ライブが映像作品になったことで、他で起きていた瞬間が鑑賞できて良かったです。
会場では見逃してしまったヒロトやコビーやカツジの名場面までじっくり観れる。
いつもクロマニヨンズのアートワークを担当してる菅谷さんが監督した映像の撮り方も、人の心をグッと動かす傑作。
その画角にグッと来るんだという場面が何度もあるのが魅力的。
ちなみにこれ、DVDの音だけ聴くのもかなり盛り上がります。
鳴る音が過激すぎてBGMにはなりません。
クロマニヨンズが容赦なく、耳の奥まで勝手に突っ込んできます。
ついうっかり惹き込まれてしまう生のロックンロールサウンド。
今回は臨場感たっぷりの“STEREO”です。
とは言え、ほとんど真ん中から音が出てて、クロマニヨンズならではのド迫力。
私が買った【初回生産限定盤】は豪華仕様
■特製リストバンド&特製缶バッジ&28P写真集付
■デジパック仕様
薄めですが、写真集が重要です。
クロマニヨンズのステージでの勇ましい姿と、メンバーの人柄、すなわち素が写ってます。
写真集の感動的な裏表紙が外からは見えないように封入されているのが、いかすサプライズに感じました。
初回盤のケースの扱いは注意が必要です。
普通のプラケースでなく、特典の付いたデジパック仕様のため、ちょっとだけ出し入れしにくいのが難点かもしれません。
大雑把な人が乱暴に扱うと、外側の透明のケースをダメにしてしまう可能性がありそう。
ステージにはそろそろ『ザ・クロマニヨズ』が登場する時間です。
ロックンロールの楽しみ方を知ってる素晴らしきアホがたくさん来てる。
もちろん私もその中の1人。
ずっと楽しみにしていたこの瞬間が遂に来た。
「HEY! WONDER」のSEが流れる中、一番最初にマーシーが出てきた。
思わず「うわー!!」と感激の声が出てしまったヤツがいる。
コビーとカツジも続いて登場。
会場には急激に熱気が立ち込めた。ドキドキ、ワクワクを余裕で超えた激情の始まり。
一足遅れてヒロトだ。
誰もが、今から目の前でブチかまされるロックンロールにトチ狂う覚悟を決めてた。
もう帰らない それでいいんだ
ヒロト「オーライ!ロッケンローーーーーーーーーーーーーーールッ!!!!!」
飛ぶぞ!!
01.「あいのロックンロール」
作詞・作曲/真島昌利
爆音!!一音目で頭が飛んだ。
すごいんだ。その音は確実に世界を変える。
いきなりの超高速2ビートが突進するロックンロール。いくらなんでも飛ばしすぎの異常に速いのがブチかまされる。
会場は一瞬でカオス状態の狂った空間へ。
こんなの、煽り運転どころの話じゃない。狂熱同士の衝突だ。平常心を保って安全運転していられるヤツなんかいない。
私なんかどうかしてるテンション発動。
オイオイオイオイ!クロマニヨンズパワー、期待を遥かに超えてるじゃんか。
どうなってんのよ⁉︎
情熱的な真っ赤な照明、クールな青い照明、Tシャツのピンクが映える白い照明。
目にも直撃してくるいかす演出。
怒鳴り散らしてるかのようにパワフルなヒロトのボーカル。凄まじき突進力。
心のガードを一瞬でブッ壊す衝撃的な歌い方。
オーディエンスは煽られまくり。
ただでさえ速くて強烈な歌なのに、この瞬間に全振りするライブならではの凄み。
元のメロディに攻撃力が備わったみたいだ。
なんといってもカツジの爆速ドラム。
ライブ1曲目から、スピードとパワーの猛攻撃。家でCDやレコードで聴いてたのよりずっとすげえじゃねえか。
コビーのベースが攻撃的な轟音を鳴らす。
ステージの床がビビってたかもしれない。それに、なんて勇ましく頼もしい立ち姿なんだ。
右側でぶっちぎりにギャンギャン鳴らしてるのがマーシーのギター。
その歪み具合はロックンロール以外の何者でもない。この音が鳴るギターは他になし。
これまたCDやレコードに入ってたのより随分と豪快で、振り切れたテンションの時の弾き方をするマーシーに大感激。
音も弾き方も、どんだけカッコいいのよ。
ギターを高すぎず低すぎない位置に構えて掻き鳴らす姿には、いつも美しさまで感じる。
「あい あい」と、マーシーたちのコーラスもフルボリュームで会場に響き渡る。
そこには“愛してる”とか言っちゃうラブリーな「あい」が溢れていたのか?
いや、、
そんなどうでもいい程度の事じゃない。
「あい」が超特急のロックで疾走しながら、こっちに突っ込んできたように私には聴こえた。
4人が鳴らす個性を全部“爆音”で体験した。
この場では心のガードなんて無駄です。意味がありません。そんなもの、クロマニヨンズが余裕で突き破ります。
一発目「あいのロックンロール」、そこにいた全員で炸裂した。
これぞ、ロックンロールのデッカい魅力。
それにもう止められない、最後までクロマニヨンズがブッ飛ばす。
この日、体調が全開ではなかった私は、タウリン : 3000mgをブッ込んでおいてよかったと1曲目で悟った。
ロックンロールのライブは、アホになる覚悟が必要です。
ザ・クロマニヨンズ、手加減なし。
02.「大山椒魚」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト「あー!大!山!椒!ウォーーー!!」
すげえデカくたくましい声。
間髪入れず、もちろんブッ飛ぶ勢いはそのまんま2曲目スタート。
グッと来るタイミングのカツジのカウントから、マーシーの印象的なギターリフ。
ホールでは突き上げた拳に力が込められた。
CDで聴いた時から思っていたけど、なぜか懐かしさを感じるリフだ。エモーショナル。
耳をつんざき、強く刺激する程の爆音で鳴る。
無反応でなんかいられない。
緑と青の照明が交互に切り替わって、4人のロックンロールの達人をクールに映した。
魅惑の演出にゾクゾクする。
2曲目の「大山椒魚」には、更に熱狂的空間へ全員をブチ上げる2曲目らしさがある。
ここでロックの印象が薄れたら興ざめだ。
むろん、クロマニヨンズにそんな薄い瞬間はないのだけれど。ロックンロールだからね。
ステージもホールも、ぶっちぎりの熱気。
なんだ⁉︎この異常な空間は。
自分がその中にいることに“超特大の幸せ”を感じる。
「大山椒魚」は、ライブでやると躍動感の増したメロディに大変身する。
歌に出てくる大山椒魚、こんなに俊敏な動きしてたっけ?しかも存在感まで大きくなってるじゃねえか。こいつ、そんなに堂々と生きてたっけ⁉︎
あの大山椒魚、前より随分と成長してる。
4人の演奏は機敏。
アレンジを変えた訳ではないのに、なんか全然違って聴こえる。
ヒロトなんかホールの方へ落っこちそうなくらい前のめりで歌う。
リズミカルな動きをしながらの擦り切れそうな大声が、オーディエンスの心に刺さる。
たくさんの人の心が爆発してた。
マーシーのハイテンションなギターの弾き方が印象深い。カッティングのキレには更に磨きがかかってる。
大勢の前でこんなにも振り切れたボルテージでガツンとやるクロマニヨンズ、すげえ。
オリジナルバージョンを超越する勢い。
アルバム『HEY! WONDER』のCDやレコードでは聴けないライブならではのスピード感。
だからこその熱狂的興奮。
どいつもこいつもデカい声で歌ったラストの「大!山!椒!ウォー!」の怒涛の連発には、会場に席巻する狂気を感じた。
ホールから突き出た沢山の拳と喝采の拍手がそれを証明してる。
クロマニヨンズと一緒に「ウォーーー!!」と叫んだ、飛んだ、突き破った。
ロックンロールへの熱狂に限界なし。
それと当たり前だけど、、
まだ来てもいない明日の事なんか心配してるつまらん余裕はどこにもないから。
03.「ゆでたまご」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「ゆでたまぁぁぁごぉぉぉ!」
とっくにハイテンションを突破気味。
マーシーがブチかます猛烈なギターリフ。
リフに合わせた「オイ!」のコーラス。会場全体で歌いながら、私はここぞとばかりかに高く飛び跳ねた。DVDにも凄い音で入ってる。
きっとパンクの帝王も嫉妬する盛り上がり。
ところで、このDVDは音がデカい。
実際の会場の爆音がちゃんと伝わってくる。
ステージ後ろの“HEY! WONDER”のデッカい文字が、照明の色によってピンクになったり青になったり鮮やかだ。
ロックンロールに似合う派手っぷり。
ど真ん中で全力のヒロト。
動きが大胆に大きくて、その力の込め具合にオーディエンスが反応する。
右側で華麗にギターを鳴らすマーシー。
絶妙な歪みでロックンロールの音を会場中に響き渡らせる。いい音してるんだ。
前屈みの仁王立ちでベースを弾くコビー。
曖昧さのないハッキリとしたベースの音を鳴らす。太い低音が床まで揺らす。
彼らの後ろにはドッシリとカツジのドラム。
一番後ろにいる人にも見えるくらいの大きなアクションで、デッカい音を鳴らしてる。
速すぎないテンポ。
だから余計に生音の凄みが際立つド迫力。
間奏ではマーシーとヒロトが腕をブン回す。
別に振り付きの歌じゃないし、意味なんてない。だけど楽しいからやる、それだけ!
ブンブン回す。ド派手に回す。
みんなのテンション爆上がり。こういうのはCDやレコードでは味わえない興奮。大興奮。
家で聴くロックンロールはもちろんいい。
だけど目の前で見て体験するロックンロールは、もっと、とんでもなくいい。
ライブに行く理由はいくらでもある。
爆発する生命力、ライブの醍醐味を体験したラストのギターリフと「オイ!」の猛襲。
叫んで、飛び跳ねて、拳突き上げて、みんなで大騒ぎした。
決定的な名場面、ガンギマリ!!
とは言え、どんな騒ぎ方でも自由なのがクロマニヨンズのライブなのだ。
体を大きく使って声を出して騒ぐのもよし、心の中だけで大騒ぎするのもよし。
自由!守るべきマナーはあっても、何のルールもなし。最高!
04.「ハイウェイ61」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト「どんどんやるぜー!」
イントロのライブ空間をグルグル回すようなギターのフレーズが、オーディエンスを心酔させていた。
4曲目、まだまだ図太い声のヒロト。
歌がロックンロールそのもの。全員が圧倒される程の体力にまた衝撃を受ける。
マイクを通してるとはいえ、ただの生身の人間の歌声がデカすぎる。
目の前にいる人たちの心へ向けて放つ歌。
Aメロはミディアムテンポぐらいで、コビーのベースが腰にグイグイ来るやつ。
1番のギターアレンジは割と隙間を活かしたルーズな感じが、緩めの横ノリを誘ってくる。
「キーポーン!ロッキーーン!」
グルッとオーディエンスを指差すヒロト。
それに呼応した大歓声がホールから上がる。
『HEY! WONDER』のアルバムをヘビロテして熟知していた私が期待しているのが、2番からのギター演奏。
今度は隙間をシビレるフレーズで埋めるはず。
どうやって弾くんだ⁈
ギターの知識がない私は、この曲のギターフレーズは指にパイプみたいなのを付けて演奏するものだと思っていた。
実際にはマーシーは、指でそのまま弾いていて、CDよりグッと来る音を出していた。
しかもCDにはなかったもっと激しめなのをやってくれたから得しちゃった気分。
ライブならではの、CDにはない興奮。
ここからのサビも注目だ。
なぜなら、サビでテンポが上がって突き抜けるのが特徴の歌だから。
カツジのドラムが急激にスピードを上げる。
マーシーのギターがギンギンに唸る。
コビーのベースの疾走感最高。
ヒロトの歌に力が入る。
音がまたデカくなってるぞ!
大勢のテンションが一気にブチ上がった。
跳ねてるね、今ある熱狂を全身で表現してるね、分かりやすくて最高だよ。
またマーシー大活躍のシーンがやって来た。
私がどうやって弾くのか分からなかったあのフレーズたちを、目の前でもう一度。
聴き覚えのあるフレーズまで飛び出した。
なんと、「メリーさんの羊」のワンフレーズがロックンロールにバシッとハマった瞬間だ。
尽きせぬ“遊び心”のある人だ。
マーシーのサービス精神、メガ盛。
ロックは遊びだから、こういう分かりやすく楽しいのがいい。
2回目のサビでは、もうホールの熱狂なんかぐちゃぐちゃの揉みくちゃ。
コイツたち、地球で一番カッコいいんじゃないのか⁈
ロックンロールの神様まで嫉妬してるぜ。
05.「よつであみ」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「あー!もう一発いくぜーー!」
素早いカウントからキレッキレのギター突撃。
マーシー、レコードの数倍の切れ味。
アルバムとまったく同じ曲順だけど、ライブだと迫力は10倍なんだ。だから全部が初体験の音になる。それを体験しに来た。
Aメロにあるわずかな重みと、それ以降で突き抜ける勢いのギャップが特徴的な歌。
過去の記憶と今の感情が一緒に突っ走るロックンロール。
クロマニヨンズがブッ飛ばす。
目の前で鳴る爆音、空間をカチ割るぐらいのソリッドな音だ。
マーシーの弾き方は、堅実な一撃を喰らわすダウンピッキングなんだな。硬質でキンキンで、みんなを激情させる音が出てる。
マイナーコードが心へ突き刺さる。
画角がマーシーを横から映した。客席側からは絶対に見られない横顔。ギターを弾きながらコーラスを歌う姿に感激。
数え切れない程あるけど、私には名場面。
DVDにはこういう体験できなかった特別なシーンがたくさん入ってる。
珍しく、ヒロトが歌詞を一言だけ忘れちゃったみたい。
だけどすぐに歌を繋げて、ロックンロールの勢いを絶対に途切れさせないのがすごい。
オレなら間違いなく全部がふっ飛んじまう。
ライブは瞬間がすべて。
実を言うと、私は全曲の歌詞を覚えてきた自信がなかった。
でもヒロトが全部覚えててくれたから良かった。この人、ロックンロールそのものだよ。
サビではマーシーたちのコーラスも入って歌が分厚い。
コーラスを歌ってたのはマーシーたちだけじゃない。たくさんの人が一緒に歌ってた。
新しく、激アツな歌に変身してるじゃんか。
クロマニヨンズが投げた音が“よつであみ”になって飛んできた。だから私の心は漁獲されちゃったのかもしれないけど、別にいい。
間奏ではマーシーのギターソロ。
生!今この瞬間の出来事。
ライブの場合、そのまんまの音が鳴るんだ。なんかCDで聴いてたのより“心を動かす”音が出てるから大興奮しちゃう。
マーシーの細やかなニュアンスがダイレクトに伝わってくる。
私は瞬間的に視覚をバーストモードにしてしっかりと見た。
隣で踊り狂うヒロトもギターに興奮してる。
熱い演奏にずばり一致した真っ赤な照明が、ステージの色を情熱的に魅せる。
異常に興奮した歓声が上がった。
興奮までが録画されて、DVDにもしっかりその狂熱が収録されてるから生々しいのだ。
だんだんマーシーのアクションも激しくなってきて、大きな動きの一つ一つに挑発される。
こんなに高揚したテンション、日常にはない。
自分が生きている事を実感するのもライブ。
楽しすぎる。
ライブ開始からここまでの5曲、随分ハイエナジーで来た。特に運動不足である私の体力の消耗は著しいだろう。
でも大丈夫。
オレの場合は、クロマニヨンズの演奏が始まれば、勝手にまた20倍界王拳みたいなのが発動するから。
とは言え、次の歌は穏やかなテンポだから、ちょっと落ち着いて聴けそうだ。楽しみにしていたドゥーワップ。
手拍子とコーラスはマスターしてきた。
オレに任せろ。
06.「恋のOKサイン」
作詞・作曲/甲本ヒロト
マーシーが後ろでギターのチューニング中。
オーディエンスがメンバーの名前を呼ぶ歓声が鳴り止まない。4人とも人気者だな。
チューニング中はヒロトの心の込もった、笑いまであるMCが楽しめます。
マイクの前にマーシーが戻ってきた。
ヒロト「A面最後の曲。聴いてください!いくぜーー!準備はええかーー?準備ええよ」
ドンッ!チャッ!ウーッ!
マーシーの澄んだ音色のギターが“チャラーン”と静かに鳴る。
恋の魔法がかかるチークタイム。
ミラーボールが回る。
今から起こるすべてから、目を離す訳にはいかない「恋のOKサイン」始まり。
家で練習してきた私の手拍子とコーラス、とうとう本番の日。大丈夫、上手くできてる。
だから胸を張って言います。
「私も曲の一部なのだ。」
この曲の重要な部分を、みんながそれぞれのテンションで“自主的”に担当してた。
クロマニヨンズだけでは出来ないからね。
ヒロトがステージからここにいる全員に、恋の魔法をかける歌をうたってる。
しっとりしてる。
マーシーとコビーのドゥーワップのコーラスがダンディーにキマる。これ難しいと思う。
後ろではカツジが面白い動きをして、あまりにもしっとりしすぎないムードを作る。
落ち着いたこの曲で、バカ騒ぎする人はいない。それよりも誰もが魔法に魅了されてた。
なんという素敵な空間なんだ。
画面にはミラーボールが映った。
ヒロトがOKのサインを出したら、マーシーが弾く恋心全開のギターソロ。
マーシーがメロディを弾き始めると、ヒロトが自慢げに「マーシー!」と紹介するのが印象的。みんなに聴かせたかったんだな。
魔法のかかった恋心のメロディが、会場中にトキメキを響かせながら、滑らかに鳴る。
ん〜もう!たまらん!今ある恋が進化しそう。
隣にいるパートナーにまた新しく恋しちゃったような、トキメク気持ちになったじゃんか。
まったく、感情のままにギターを弾くから心を優しくしちゃう音が出てるんだ。こんなにもロマンチックな音で素敵なメロディを聴かせてくれるとか、、、マーシーはなんていい男なんだ!
カッコ良すぎて涙が出るだろ。
ヒロトは可愛げのある変なダンスで盛り上げてた。あの動き方も最高だった。
自分の感情のリミッターが解除されたような感覚がある。マーシーの鳴らす一音ずつに心がハート付きで“うわー”とときめいちゃう。
感情が忙しいぞ。
あれ⁉︎おかしいな。やっぱり全然落ち着いてなんて聴けねえじゃんこれ。
クロマニヨンズだもん。仕方ないよ。
曲の後半も常に何か起こりそうな雰囲気がありつつ、淡々としたテンポで進んでいく。
歌に感情移入したヒロトの「今夜!」という歌詞に力が入った場面。
感極まったオーディエンスの歓声が上がる。
人情溢れる歌いっぷりには感動しちゃうよね。大勢の人の心がグッと来てたよ。そんなの余裕でわかった。
まだハイライトが残ってる。
私が楽しみにしていたラストのギターソロ。
1回目のソロのメロディよりも“強い魔法”がかかった、ときめいた恋心の演奏を披露。
うわー!やべえ!オレ、目の前で今この瞬間の生演奏を体験しちゃってる。
これ、家で何度聴いても毎回ときめいたあのギターソロだぜ。
たった数メートルの距離に本物のマーシーがいて、今弾いたギターの音が、そこに置いてあるアンプから鳴ってるのを目撃してる。
カッコ良すぎ!当たり前だけど本物。感動!
心の本音まで爆音で鳴りやがった。
ライブが始まってから、もう何十回目なのかも分からない感極まる場面。何ヶ月も前から名場面になると思ってた。
CDやレコードより、心に残る音を聴いた。
私だけの、記憶の宝物。
『HEY! WONDER』の“A面”終わり。
この後は過去のアルバムから何曲か楽しませてくれて、ロックンロールの勢いが更に増す。
07.「ランラン」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「準備ができらなんかやるぞぉ!準備できたぞー!なんかやるぜーーーーーー!」
オレ:なんかって何だろうー!楽しみー!
すぐに尋常じゃない事が起こる予感に、勇ましく盛り上がるオーディエンス。
カツジのカウント「1、2、3、4!」
イントロなし。
歌「ラーーァアァン ラーン!!!」
ジャキジャキのギター!
うわー!「ランラン」やってくれるのか!
ここでの「ランラン」はグッと来た。
他の人たちもそう感じたのか、トチ狂ったテンションが1秒で戻ってきてびっくり。
そうならない場合なんてあり得ないけど。
まだ新めの一つ前のアルバムの歌が、更なる勢いを増して、存在感抜群にブッ飛んだ。
度を超えた疾走感で突っ走るロックンロール。
クロマニヨンズ、強気だぜ。
私は残りの体力について、弱気になってる場合じゃない。どうかしてるテンション発動。
五感でわかる会場の異常な盛り上がり。
なんだこりゃ!ここにいる全員が、また今が1曲目みたいなテンションじゃねえか。
クロマニヨンズのパワーも戻ってないか⁉︎
マーシーのブラッシングの音がブッ冴えてる。
アンプからの生音って、想像以上に迫力があって全身へ強刺激を与えてくる。
「ランラン走る」とか「かかとはウルトラジェット」とか、ロックンロールも突っ走ってるし、誰も止まってられない。
マーシーなんか足を蹴り上げた。
ロックンロールはゾクゾクするぜ。
すっかり熱くなったカツジが、サビへ突入するためのカウントを「1、2、3、4!」と声に出して叫ぶもんだから、思わず飛び跳ねた。
キャッチーなサビが“夜明け前の公園”を駆け抜けていく。
何度聴いても誠実な歌詞が心へ響く。
みんな気分は疾走してる。
極端に熱く、激しく、たくましく。
人間の底力が今この場所に集結してるみたいで熱気ムンムンのカオス状態。
笑っちゃうぐらいの強烈な衝撃だ。
それに、楽しむってことの大正解が間違いなくここにはあった。
クロマニヨンズの激走を見た。
生きてて良かった。
クロマニヨンズからこんなにも猛烈な生命力をブッ込まれて、明日生きるのやめようなんて考えるヤツはいない。
その前向きな心が、次の歌では覚悟を決めて、苦難に立ち向かう事を決行する。
08.「雷雨決行」
作詞・作曲/甲本ヒロト
私が体験した静岡公演では、ここが「エイトビート」でした。あとはDVDと同じです。
あの時は見られなかった「雷雨決行」の演奏。
どちらも大名曲。どっちにしてもマーシーの熱いギターソロ入りのロックンロール。
ヒロト「どんどんやるぜーー!」
期待が上限を突破する。
5発の音を叩きつける印象的なイントロ。
心を直撃したパワフルなその音。
決行する覚悟が鳴ってる。
鳥肌と共にまた涙が溢れそうになったじゃんか。どんだけ激情させんのよ。
大歓声が上がる、どの人も興奮しちゃってる。
真ん中では激しい動きをするヒロト。
絶対に引き返さず突き進む名曲「雷雨決行」にふさわしい力が込もってる。そういうとてつもないパワーをブッ放つ歌だ。
ただの歌じゃない、ロックンロール。
ヒロトの力の入った動きがそれを示してる。
マーシーが歪んだコードストロークを弾き始めたのと同時にヒロトが太く歌い出す。
もうね、この時点で神曲。
歌とギターのみの1番では、後ろでカツジがボクサーのような激しい動きをしてる。
よく見たら左側でコビーもそれやってた。
すげえノリノリだなぁ、私も楽しい。
ギター弾きながらそれ見て笑ってるマーシー。
シンバルの一撃でバンドサウンド突撃開始。
オーディエンスの高らかに突き上げられた拳がこれまで以上に多いぞ。人それぞれ「雷雨決行」に激情しつつ、決意表明してるみたいで心へ刺さる。こういうのが見たかった。
尽きせぬ情熱を決して諦めさせないメロディ。
固い友情か、揺るがない恋心が「雷雨決行」の中に燦然と輝いてる。
どちらにしても、合言葉は雷雨決行。
いつでも心を動かす歌詞だ。
マーシーの激アツなギターソロの時にオーディエンスが、「オイ!オイ!」と本来は入ってないコーラスを勝手に歌ってる。
なんてカッコいいヤツらなんだ。
こいつたちのコーラスセンス良すぎ。
実は私も、家でDVDを観ながら一緒に勝手に歌ってたその一人。
間奏中はヒロトがオレたちを見張ってた。
歌の後半もヒロトが本気で歌ってるのが表情や声や動きから伝わってくる。
何度も観ると燃えて泣きそうなんだが。
爆発しちゃった“熱狂”という音が入ることによって、もう一回というか、また新しく名曲になることがある。
そんな魅力がクロマニヨンズのライブには、たくさん存在してる。
さあ!ふたつの心が立ち上がった。
相棒とオレも引き返す訳にゃいかないぜ。
ライブでやり続ける限り、「雷雨決行」がどんどん逞しくなってく。
この先で心が底に落ちた時は、このロックンロールがまた頼もしい腕でグイッと引っ張り上げてくれる。
そういう特別なのを体験したのだ。
09.「生きる」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト「“生きる”いくぜーーー!!」
ワン、ツー!!
疾走感のあるイントロが鳴り響く。
ヒロトの言葉通り「いくぜ!」って勢い。
クロマニヨンズが、誰かの「生きたくない」を必ずブッ覆す。
障害も困難も全部乗り越えて、生きて今日ここに来た素晴らしきアホどもを称え、更なる応援歌として鳴り響くロックンロール。
おい!おいー!こんなにとんでもねえ勢いで突っ走ってくロックンロール見た事ねえ。
爆走と言える。
勢い余ったマーシーが足を蹴り上げて、私の「生きたくない」を吹っ飛ばしてくれた。
生のロックンロールだ!!すげえーー!!
ヒロトの表情に熱意が見えた。
生きるって、ヒロトみたいに瞬間にすべてをブッ込むことだろ。
ライブは、生きてることを極端に実感させる。
この瞬間を精一杯に生きるロックンロールが「出会うものすべてを 待っていた」とここにいる全員を歓迎した。
誰かの“生きる”を根底から認める歌だ。
三億年か四億年は鳴り続ける。
間奏ではマーシーが、勢いに乗って体を鮮やかに回転させる。
ロックンロールは華やかだ。
ワン、ツー!
わずかにうつむき加減の仁王立ちで、堅実にベースを鳴らすコビーの男前っぷり。
空間ごと振動させるその低音こそが、とんでもない疾走感の正体。
頑丈で激しいドラムを叩くカツジ。
絶妙な抑揚を効かせつつも、連打部分なんか凄まじい音が出ちゃってる。
前の3人より一歩後ろにいるのに、ドラムの叩き方が大きいから一番目立ってることがよくある。この人のエンタメ性が重要なバンド。
歌のメロディにも、一緒に突っ走ってしまう疾走感がある。
覚えやすいし、生きる気力を取り戻す芯の強いメロディ。頑丈だから折れる事はない。
事実、この場にいる誰の心も折れてない。
むしろ生きる気力が躍動してる。
そんなの周りを見れば誰にでも分かる。
4人とも激しめのアクションと、人力で鳴らす爆音で演奏した。
私の心:「やっぱりこれも新しく名曲だ。」
切り替わる照明にいちいちグッとくる。
曲のアレンジに合わせて、暗めにしたり煌びやかにしたりクールにしたり。
照明担当の人、ロックが一番カッコよく見える照らし方を熟知してる。
こりゃ、バカ騒ぎするのも無理ない仕掛け。
むしろ、そのための煽りだな。
カメラマンは更に磨きのかかったエモい画角ばかり撮ってくれてる。
素晴らしいライブだし、最高のDVD作品だ。
ワン、ツー!!
勢いがありすぎて一瞬で終わっちゃった。
こんなに短い歌だっけ⁉︎
心を奪われる瞬間の連続だったんだな。
クロマニヨンズを好きでよかった。こんなに奮い立つ気持ちや熱い感情はここにしかない。
すごいぜ!クロマニヨンズ!
この後は、いよいよ最高のB面へ突入する。
トキメキすぎてハートにヒビが入る。
10.「メロディー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト「準備できたー!B面いくぜーー!!」
ティリッティリッ!ティリッティリッ!
個人的には『HEY! WONDER』のアルバムの中で一番グッときた曲。遂にライブの勢いで聴ける瞬間がやって来た。
心に直接鳴り響くメロディーだ。
だから、何のきっかけも取っ掛かりもなくても、精一杯自分の道を生きたいって思ってしまうのです。
初めてラジオで流れたのを聴いた一回だけで、印象に残り覚えたメロディー。
初視聴の時から生命力がみなぎっていた。
私はすべての思いをブッ込んで見た、聴いた。心を全開にして「メロディー」を感じた。
一音目から私のハートにヒビが入る。
歌は心を前進させるサビ始まりで、いきなり会場のテンション最高潮。
青い照明がピンクのTシャツを躍動的に見せる。「メロディー」に合った“光”の色。
前屈みになり、思いっきり歌詞の気持ちと、まっすぐに栄光へ向かうメロディーに力を込めて歌うヒロト。
ここにいる全員に強い生命力を与えてる。
2番に突入するとライブの醍醐味!マーシーのギターの弾き方がCDとは違う。
ギター1本、一発勝負だから当たり前か。
こういうところに、今日来てよかったという感情の興奮がある。早い話が刺激的。
ヒロトが拳を握りしめるシーン。
やっぱりみんなに「メロディー」の積極的な力を見せたいんだ。前に出たくなる歌だもんね。
誰もが“片道ぶんの力”で、今日ここにやって来たのがわかった。
ホールにはほとんどの人の拳が上がってる。
もちろん私も、同じ気持ちで拳を突き上げて「メロディー」に感情移入した。
ギターソロがまたドラマチックなんだ。
マーシーが爆音のギターで、誰かの怖気付いてしまっていた心を、自主的に一歩前へ向かわせるメロディーを弾く。
ギターが奏でる物語は、心へ響いた。
ソロ終わりでハーモニクスを鳴らした直後に、ギターから両手を離すアクションが私の感性を鷲掴み。
その瞬間を見れたという奇跡。
またまた来てよかったとテンション爆上がり。
3番にはコビーとカツジとマーシーの力強いコーラスが入って、ヒロトが歌う恋心のメロディーの誠実さを強調する。
思わず拳にも気持ちにも力が入ってしまうよ。
画面に映ったすごく感情的な歌い方と、エネルギーに満ちたマーシーの表情が印象的。
「無限にあなた」と歌ったヒロトがホールに向かって手を伸ばす。
絶対オレに歌ってくれた。
ライブを体験してはっきりしたこと。
「メロディー」には特別な“光”を感じる。
私にとって「メロディー」とは生命力です。
これを生で体験する事を生きる希望にして、体調不良の絶望感を突破しながら今日までやって来た。
あの時に自分が望んだ未来が実現した。
しかもクロマニヨンズとの距離すげえ近いし。
この瞬間に生きていて、目の前のクロマニヨンズから「メロディー」の生命力と、エネルギーをまたもらって帰る。
このメロディーが生きる力になる。
うわー!最高ーーー!!!
ヒロト「B面!最高ーーー!!!へェーイ!」
11.「くだらねえ」
作詞・作曲/真島昌利
間隔を空けずB面2曲目へ。
何か「ただならぬもの」を降臨させそうな、ドラムの怪しげなリズムが始まった。
ジャッ!ジャッ!
両脚を広げてズシっとマーシーが弾く。
暗めの青い照明が、儀式のような日常的でない雰囲気を感じさせる。
すかさず、「エイッ!」とか「ヘイッ!」と、合いの手を入れてるロックンロールに興奮したヤツらが勇ましい。
独特なダンスをするヒロト。
こりゃ本当に、何かとんでもなくヤバいものを降臨させちゃうぞ。
ドッシリとしたテンポ。
へこたれたスピーカーやイヤホンでは、音割れしてしまうくらいの衝撃音が鳴る。
ヒロトが「くだらねえ」と、ビシッとした発音で繰り返し歌う。
一切の曖昧さがなく、くだらねえと断言する。
徐々に感化されてるオーディエンス。
こいつたちが爆裂する瞬間がすぐに来るから、一緒に体験しよう。
カァーーーッ!!!
強烈にビブラスラップが鳴り響くと同時に、照明が一気に明るくなってステージもホールも覚醒する。
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
激しいバスドラの猛襲で、会場ごと凶暴形態への変貌が完了した。
カツジの鬼教官の如きドラムスティックでのカウントが合図になって、急激なスピードアップ & 心への衝撃の激しさ増大。
ロックンロールがブッ叩く。
スピードを上げたロックンロールに勢いづいたアホ共の、ただならぬ“狂気”が降臨した。
狂ったテンション、ハイエナジー。
積極性のない一般的な目で見たら、おぞましい異次元かもしれない。
怒り気味の赤い照明の中で、ヒロトが今度は凄まじい勢いと攻撃力を携えて「くだらねえ」と何度も繰り返す。
これぞ“激情”のロックンロール。
くだらねえ不快な相手を打ち負かすためのパワーになる程の怒りまで感じる。
もちろん誰も怒ってはいなかったけど、瞬間的な戦闘力は高かった。
ギュルルルルーーーッ!!と過激音が飛ぶ。
マーシーのピックスクラッチが炸裂しながらサビへ突撃。無色の照明がステージをはっきり認識させてる。
コーラスも入って過激さ最高潮。
ギンギンだー!
すげえー!ストレスなんかすっ飛ばす快感。
切り替わった青い照明の下の最前線でマーシーがソロをブチかます。
これがまたグッとくるのよ。
マーシーが激情のメロディを振り切れた感情で弾くから、激しく熱くなっちゃうのよ。
鋭利な音が会場中に轟いてる。
変な薬よりよっぽど効くぜ。ガンギマリ!!
日常のストレスがブッ消えた私は、力一杯の盛大な拍手を送った。
コビーのベースが轟音での激走にて、常に全身に巨大な振動と低音の迫力を与えてくる。
自分の部屋では体験できないド迫力のブレない音が出るんだから。
激情のロックンロールをみんなが感じてた。
首の骨が折れるんじゃないかってぐらいに、ヘドバンしてるヤツもいた。
この狂気じみた空間は、宇宙一のカオス。
ギンギンのロックンロールが、世の中の「くだらねえ」ことを叩きのめした。
クロマニヨンズがくだらねえとぶった斬った。
私に見えてる世の中にも「くだらねえ」ことが非常に多いから、心底スッキリしたぜ。
バーーーーーカ!!!
12.「ダーウィン(恋こそがすべて)」
作詞・作曲/甲本ヒロト
間髪入れず、カツジが跳ねるドラムのリズムを空間に響かせ始める。
躍動的なピチピチのフレーズをマーシーが弾くと、オーディエンスの体が軽くなったみたいに浮き上がった。
ん?んん⁉︎
この人たちちょっとだけ床から浮いてない⁈
フリフリした音色と弾んだリズムには、私の心軽やかで愉快なテンションが出現する。
あれ?なんだかふわっとした。
さっき熱くなりすぎた気持ちを和らげてくれる可愛らしさのある楽しい曲だ。
クロマニヨンズの親しみやすさが表立つ。
誰でも感じやすく、ノリやすく、絶対に受け入れてくれる歓迎ムードを4人が作る。
だから大丈夫、自由に行こう、どうぞ。
ヒロトが生物の進化について楽しげに歌う。並外れに細い体をくねくねさせながら歌うから、柔らかな雰囲気が会場に広がった。
だからゆらゆらしながら楽しめる。
定期的にチャチャッと手拍子が入る。私は練習を鍛錬にしてこなかったから、タイミング間違えがち(笑)
すこぶる興味深いんだよね、この歌詞。
メロディはキュンとするぐらい可愛らしいし、アレンジは体が浮くほど軽快だし。
それをご本人たちによる生演奏で体験するという贅沢の極み。
リズミカルにギターを弾くマーシー。
ピチッとした革パンを履いた両脚がリズムに乗る。ロックスターの細さ、美脚だ。
「ウワウワウッ チュッチュッチュルッ」
私が一発で大好きになったコーラス。コミカルな動きをするヒロトに親近感が湧く。
ちょうど私もそういうノリだった。
サビは急にエモーショナルになって、腕を突き上げたくなる。
実際、ほとんどの人がそうなってた。
クロマニヨンズから感じることってやっぱり強いんだな。
ヒロトの歌にも、マーシーの「アーー!」と歌うコーラスにも力が入る。
ロックパワーが心の奥まで入って来たぜ。
ハイテンションのマーシーが、ジャカジャーン!とギターを弾いた腕を振り上げる。
ワオ!ロックンロール!
決して「愛」という殺し文句で誤魔化すことなく“恋こそがすべて”だと言い切るまっすぐな姿勢に惹かれる。
たくさんある愛には魅力がないもの。
恋だろダーウィン。
クロマニヨンズが「恋こそがすべて」と、命の根源を会場に撒き散らした。
納得!異議なし。
どちらかと言えば、緊張感のほぐれる演奏にキュンキュンした。
心軽やかでふわふわしちゃうという、この歌の決定的なイメージを確信させる、説得力のあるライブバージョンだ。
すっかり魅了されちゃった。
私はこの曲のマーシーのギターの弾き方にばかり注目していた。
その時、隣のパートナーが大きな声で笑った。どうやらヒロトが面白い事をやったらしい。
人それぞれに見た場面と見逃した場面がある。
つまり、ライブは瞬間しかないのだ。
ヒロト「イェーーーッイ!」
13.「SEX AND VIOLENCE」
作詞・作曲/甲本ヒロト
シンバルを叩き耳をつんざくカツジの素早いカウント。
ヒロト「ツー、スリー、フォー!」
ムードが激変するスリリングさが魅力。
過激なロックンロールにしか似合わないタイトルを散々繰り返す凶暴な一撃をブッ放す。
高速テンポ、ほとばしるエネルギー。
ギラギラの鋭い緑色の照明。
ロックンロールの凶暴さに感化されたオーディエンスの熱狂が飛ぶ。
すべてが攻撃的に見えるから、私も強気なテンションで挑んだ。
まずコビーのベースがヤバすぎる。
聴いた事のないブッ飛んだ音が出ているのと、ゴリ押し感のあるベースのフレーズが、みんなの全身全霊に突っ込んでくるからだ。
容赦のない図太く、分厚い刺激。
『HEY! WONDER』ナンバー1のアグレッシブさを誇るベースラインが、何倍にも攻撃力を増してる。
コビーが勇ましく弾く。
ベース、こんなにも心にぶっ刺さる音が出るんだな。コビーの個性が鳴らしてるんだ。
誰だって踊り狂いたくなる。
何度も繰り返される「SEX AND VIOLENCE」というフレーズ。本物のロックンロールバンド“クロマニヨンズ”にしか似合わないぜ。
Aメロは情熱的な赤い照明で突き進む。
その後は激しく切り替わる色に、ロックンロールのギラつきを感じて常にハッスル状態。
怪しげなムードの漂うBメロを経て、瞬発力を爆音で突き刺すサビへ。
イヤホンで聴くと分かりやすいかもしれないけど、急に音がとてつもなくデカくなる瞬間があって、聴覚への刺激大暴走。
私のお気に入りの間奏でも想像以上の興奮が待っていた。
鋭いギターソロが空間を切り裂く。
攻撃的なメロディを弾きながらコーラスを入れるマーシーがとても印象深い。
誰かの心の闇まで切り開いて、その隙間からギラギラした強い光をブッ込んでた。
続いてヒロトのハーモニカソロ。
ヒロトが全身を使って吹く激しいフレーズが、ヤケドする程の熱を会場へブチかました。
コビーとカツジの強靭なリズムがそこにあるからこそ、鋭さや熱さが際立つのだ。
ギターとハーモニカの2段階の衝撃。
誰もが熱狂を突き破ったに違いない。
間奏中もひたすら繰り返される「SEX AND VIOLENCE」のフレーズ。
キラーワードだ。
それにこの曲は、苛烈なビート。
ロックにだけあるアウトローな魅力。
オーディエンスは決してイキってる訳じゃなく、リアルな猛者になっていた。
緑と赤の照明の色がキレッキレに切り替わるのが、ライブの瞬間から今でもずっと印象に残ってる。
ギラギラのロックンロールを体験した。
自分が強くなった気分であるし、帰り道でもこの話をしたぐらいの大きな衝撃だった。
14.「不器用」
作詞・作曲/真島昌利
マーシーがギターを持ち変える。どうやら新調したらしい“グレッチ”のギターだ。
柔らかく伸びやかな音が鳴ってた。
テレビのCMでも流れる名曲。
軽やかなアレンジで、いいことがありそうなロックンロール。
準備中はヒロトがまた面白い話をしてくれるし、思いやりのハーモニカも披露してくれる。
ヒロト「そしたら、え〜、B面の5曲目やらせてください!いくぜーー!!」
一切の嫌な重みのない軽快な演奏が始まる。
マーシーの心地よいグレッチの音色と、ヒロトの心軽やかなハーモニカが響き渡った。
いきなりみんな癒されただろう。
むしろ、既にいいことが起きてる実感をしちゃってるね。
そういう気持ち、そんなのすぐに伝わってきたよ。名曲を生演奏で体験してるんだもの。
またCDやレコードとは全然違う耳触りをしてるライブならではのサウンドに感激。
ヒロトのこの歌い方は人情が溢れてる。
だから心へ直撃する。
マーシーが一人でコーラスを入れる。メロディに厚みが出て、私はなんだか優しい気持ちになった。
聴き心地も、目に映るクロマニヨンズも、すごくサラサラしてる。
激情のライブの癒しポイント。
この曲のベースはピックじゃなくて、指で弾くのか。だからふんわりした音が鳴るんだな。
軽快なテンポが心を開かせる。
心の自由までそこにある。
例えるなら、上機嫌で足取りが軽い時の感じそのまんま。
ライブだと、目の前でその雰囲気が一際精細を放ってる。
お陰で疲れてた足も軽くなったよ。
わあ!クロマニヨンズの魅力である歓迎ムード全開の演奏だ。心は開放して大丈夫。
サビの歌詞の通り「いいこと」が起こらないヤツなんか一人もいない。
流暢なグレッチのギターの音もそう言ってる。
だから素直に信じちゃうよ。
“いいことがきっとある”
ライブ中に他人の顔なんて見てないけど、誰もが心からの笑顔だっと思う。
間奏には驚異の歌心を聴かせるハーモニカ。
ソロを吹き終えるとすぐに歌に戻るヒロトに、尽きせぬエネルギーを感じた。
歌声はたくましく、深い人情まである。
人の心を動かす達人。
激情するというより、クロマニヨンズがそっと差し出した思いやりにうっとりした。
マーシー側からもコビー側からも映す画角が胸熱で、いろんな瞬間が楽しめる。
満面の笑みで“シェー”のポーズのヒロト。
拍手喝采。全員を笑顔にさせたよね。
これなら明日も明後日もずーっと、いいことがありそうだ。
次の曲で『HEY! WONDER』のアルバムは終わっちゃうから、最後の歌は「とっとく」と、ヒロトが盛り上げる。
怒涛の名曲“連続攻撃”で尋常じゃない。
狂った勢いで突っ走るから覚悟が必要です。
ひとまず水分補給をしといた方がいい。
間違いなく、、、
飛ぶぞ!!!
15.「イノチノマーチ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
絶対にすげえやつをブチかましそうな雰囲気が溢れちゃってるクロマニヨンズが映る。
ヒロト「準備ができたらなんかやるぞ。準備できた、なんかやるぜーーー!!!」
豪快な一撃をぶっ放す。
ジャーーーーーン!!!!!
今この瞬間の“イノチ”の音が鳴り響いた。
「イノチノマーチ」実は、やってくれるような気がしてた。期待してた。嬉しーい!
こういう特大の楽しみ方があるので、ライブ参加前にセトリ情報なんかは一切取得しないようにしてます。
あんなもん私にとってはただのテロです。
そんな事より、ここに無限のファンファーレを鳴らすぞ!
「飛び出すぜ 心はどこへ」ヒロトが歌い出した一言目で、自分の内側でひっそりとしてた生命力が、体の外側に飛び出した。
会場は一瞬で生きてるエネルギーが充満する。
可愛らしさを感じる親しみやすいメロディだけど、放たれる音も、クロマニヨンズの動きもキビキビしてる。
ホールは生き生きとした無数の拳。
私なんか勝手に活力が湧いてきて、思いっきり今この瞬間を楽しめる。
“イノチ”の源の如きヒロトのボーカル。
それを躍動的にするマーシーたちのコーラス。
楽しいとか、嬉しい気持ちがダダ漏れしちゃってるオーディエンス。私と一緒だ。
画面に映る後ろ姿、というより突き上げた腕だけでその楽しんでる心が見える。みんなの命が朗々と鳴ってる。私も同じ体験をした。
心が動き、精一杯の声で返したBメロ。
ヒロトが歌う「聞こえたか」
オーディエンスが答える「聞こえるよ」
ここには美しいファンファーレが鳴っている。
自分は今、ここにしかない奇跡的な空間にいるんだと実感した。
ギュイーーーン!とマーシーのピックスクラッチのジェット音が目の前で炸裂。
ダイナミックなサビへ突入。
全員のテンションが一気に飛躍する。
ロックンロールに感化された抑えきれない感情を隠しとくとか、内緒にしとくとかは断じて無理なこと。
誰だって炸裂しちゃっていい瞬間。
もちろん心の中だけでもよし。
クロマニヨンズはルールなんか用意していないし、自由しか認めていない。
だから最高の居心地だ。
ライブという生で体験した「イノチノマーチ」は、家で聴いていた音源よりも随分と疾走感に満ちていた。
ヒロトもマーシーもコビーもカツジも本物がそこにいて、歌い方や演奏の仕方が丸見え。
こんなにも惜しみないエネルギーが入魂されているんだな。
「イノチノマーチ」の本当の姿を見た。
いつまでもライブでやり続けてほしい名曲。
クロマニヨンズとオレたちみんなで、無限のファンファーレを鳴らしたのだ。
16.「暴動チャイル(BO CHILE)」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト「どんどんやるぜー!!」
ノンストップで「暴動チャイル」のイントロのドラムをカツジが叩き始める。
踊り狂うためのリズム。
マーシーのチョーキング、コビーの太いベース、ヒロトの激しいハーモニカがセッションし始める。
CDでは聴けないライブのスペシャリティ。
ヒロト「最後まで、ブッ飛ばしていくぜ!」
あまりにブッ刺さって、思わず「カッコいい」とハート付きの本音が出ちゃったヤツがいた。
隠しきれない子供心のワクワクを、ヒロトが弾んだハーモニカで奏でるイントロ。
煌めく照明の中、はしゃいで踊るマーシー。
ここは遠慮など無用の自由空間。
何でもありの楽しさに、自分がなぜクロマニヨンズを好きなのかを理解しちゃった。
クロマニヨンズの4人は、お互いの音に熱狂してるんだ。
それで私は、その熱狂が鳴らすロックンロールに魅了されているんだな。
コビーのベースが合図になってバントサウンドでブッ飛ばしてく。
それをきっかけにまたテンションが上がるのよ。マーシーの激しいカッティングが、けたたましく鳴り響く。
ヒロトが歌い出した数秒後、カメラがマーシーの方へ向いた。
ギターを感情的に弾く姿が勇ましい。
アンプからは衝撃的な爆音。
マーシーが前に出てきて、ホールを煽りまくる。誰かを指差して更に煽る。指されたヤツはラッキーだ。
こんなの興奮せずにはいられない。
マイクの前にマーシーが戻って、全員で歌うサビ。暴れながら突き破ってく破壊力が新しく爆誕してる。
ロックンロールの勢いに視界がチカチカしちゃってるぜ。頭がブッ飛ぶ。
クロマニヨンズ、一切の容赦なし。
間奏での狂気じみた歓声。
興奮しすぎた誰かの奇声まで上がった。
平常心というつまらないものが一つもない、カオス状態のド真ん中。
ライブでしか体験できない激しい演奏。
こういう信じられないような状態を実現するには、ステージとホールの熱狂のぶつかり合いが必要なのだ。
むしろ、正面衝突した時ぐらいの熱気。
とんでもなくヤバいヤツらだぜ。私もその中の一人。それを誇りに思う。
こいつらどうかしてる。トチ狂ってる。
ロックンロールが大好きなんだな。
最高じゃん!
マーシーのカッティングと、ヒロトのハーモニカが更なる激しさと疾走感を増して、最後まで駆け抜けていった。
ライブでテンポは上がってたにしても、、
「暴動チャイル」ってこんなに過激な歌だっけ⁈すごいぜ!本気だぜ!クロマニヨンズ!
我に返るというのが不可能な瞬間の連続。
まだまだロックンロールの勢いは1秒たりとも止まらないから、思いっきり飛べ!
17.「エルビス(仮)」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「やるぜー!!」
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
カツジのパワフルでキレのいいバスドラ。
コビーが頭の上で手拍子を始めた。
それに興奮したオーディエンスの手拍子までもが鳴り響く。尖った音をした手拍子だ。
既にまた、制御装置のぶっ壊れた異常な煽り合いが始まってる。
オレだって引き下がる訳にはいかない。
ロックンロールに熱狂したい。
帰れなくなってもいいから、一歩でも前に出てフルパワーを出したい。
その理由は、すかさず弾き始めたマーシーのギターが心にぶっ刺さるんだ!
1番を歌ったヒロトが猛烈に叫ぶ。
「イェーーーーーッイ!!!」
もうロックンロールの勢いは地球を飛び出す。
突き抜けたテンションでのマーシーのアクション。鋭い動き、華麗な足捌き。
マーシーファンの気持ちが激情しちゃう。
4人とも惜しみないエネルギーの放出っぷり。
激しくドラムを叩くカツジが映ったり、ワイルドに轟音ベースを鳴らすコビーが見えたりで、胸熱シーンばかりを確実に捉えた映像がセンス良すぎる。
「エルビス(仮)」の度を超えた勢いが伝わる。
熱いのはクロマニヨンズだけじゃない。
オーディエンスも「オイ!オイ!」とフルパワーで最大限の反応で応戦する。
この演奏のベースは、曖昧さのない直撃音で鳴るから、コビーの優れた技術的な面と、ロックンロールを前進させる情熱まで聴こえる。
その音が背中を押すし、テンション爆上げの起爆剤になるのだ。
間奏では鋭いカッティングを弾きながら前に出てきたマーシーに大絶叫。
コビーまで前に出てきた。
地球での出来事とは思えないほどの熱狂的な歓声が、会場に狂った熱気を充満させた。
これは見事に刺激的で、私も衝動のままにテンションMAXの瞬間を楽しんだ。
ヒロトなんかもっと前、ステージから落っこちそうなくらいのところまで来てダイレクトにオーディエンスへ向けて歌う。
特に前の方のヤツらなんかトリップ状態。
ライブ以外ではあり得ない高揚しまくった自分のテンション。胸が破裂しそうだ。
最高の喜びを感じるから体験した方がいい。
DVDの映像でも、テンションのその異常事態は伝わってきた。あの瞬間と何も変わらない。
奇跡的なライブの熱が映ってる。
機敏で激しいアクションが目立つクロマニヨンズの4人。
猛烈な勢いに熱くなった自分を唐突に実感。
終盤でモニターに乗っかって「オイ!オイ!」と叫ぶヒロト。反則級のリアリティ。
つまり、映像ではなく、部屋で生のライブを体験してちゃってる。
18.「紙飛行機」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「まだまだ、紙飛行機いくぜーー!」
ロックンロールの紙飛行機を発射する。
ジェット機並みの爆音を轟かせながら、圧倒的なスピード感にてブッ飛ぶ。
滑走路など不要。いきなりカッ飛ぶ並外れ。
カウントの後、早速ステージ前方に出てきて疾走感のあるイントロを弾くマーシー。
またしても誰かを指差した。
テンションたけえぇぇ!
ヒロトは真ん中で腕をブン回してる。
これは絶対、、、飛ぶぞ!!
もう18曲も歌ってるのに、ヒロトのパワー、全然減ってないんですけど。
だから一言ずつが心へ突き刺さる。
疲れなんかまったく感じさせないし、ヒロトのやってる事すべてが、ロックンロールそのものに見える。
むろんロックンロールに熱狂しながら、誰にも“疲れた”という概念自体がないんだけど。
「もっともっと」という好奇心のみある。
豪快でありつつも、繊細なフレーズの飛び交うギター。感情的な爆音にゾクゾクする。
いつも家で聴いている「紙飛行機」は、こんなにエモくない。
ライブならでは、この瞬間“限定”の音。
すべての事柄が1回しかないのがライブだ。
サビへ入ると「揺れて 乱れて 紙飛行機」の歌詞に合わせて、腕をゆっくり左右に振る光景が美しい。
紙飛行機、たくさん飛んでるね。
曲の勢いに乗ってジャンプするマーシー。
サビの後、マーシーがグルグル回ってロックの煽り運転を見せつける。
そのまま前に出てきてオーディエンスを興奮させた。この日、マーシー側にいた人は何度もサプライズをもらったね。
こういうの、現場では信じられないくらいの大興奮が起きるんだから。
とことん魅せるロックンロール。
畳み掛けるカツジの連打からのラストのキメの瞬間は、幽体離脱しちゃいそうなくらいのガンギマリだった。
クロマニヨンズ、なんて事しやがった!
こんなのありか!
会場にはみんなが放った心の紙飛行機が、無数に飛び回ってる。
初期の名曲が随分と感情的な演奏になった。
その確証となる音と映像の記録。
私の宝物。
19.「ナンバーワン野郎!」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「もう一発、もう一発やらせてください!」
ハーモニカ、ギター、ベース、ドラム、みんなの好奇心を煽るセッションが始まる。
この時点で「ナンバーワン野郎!」だということに誰もが気付いて飛ぶ準備は完了してた。
ヒロトのカウントが「ナンバーワン野郎!」をブッ始めさせる。
ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー!
イェーッイ!
イェーッイ!!
どちら様もヤケクソ気味のテンション。
ロックンロールの神様さえも、感情を抑えきれずに「イェーッイ!」と大騒ぎしてたはず。
ダダダダッ!!ダダダダッ!!
パンチの効いた強烈なアタック音で、全員が突撃開始。
どいつもこいつも最高調の弾けっぷり。
フルパワーで叫ぶ!跳ねる!トチ狂う!
ステージもホールも、力の入り方がこれまでの更に一線を越える。
爆裂する空間、熱気ムンムン。
クロマニヨンズ激しすぎ!
こんなのどうかしてるって!
マーシーの噛み付いてくるギターがギャンギャン唸る。
ロックの狂気に満ちたヒロトが狂った激しい動きをしてる。
1番だけですっかり熱狂をも突破してしまったオーディエンス。クロマニヨンズよりも、どうかしてる。
私も指でナンバーワンを表しながら、何度も全開で飛びまくる。
わかったことが一つあった。
最高の褒め言葉としての「アホ」がたくさん来ると、ロックンロールのライブが100倍の楽しさになるんだな。
おいおい、この空間、、、異常だぞ。
まったく知らない他人のことも好きになってしまう程の、胸熱な雰囲気。
こういうのを求めてた。
それが実現してる。本当にあったんだ。
だからその場にいれた人、DVDを観れた人はとてもラッキーです。
こんなのここにしかないという体験だからね。
DVDで、この奇跡的な瞬間を何度でも感じられるなんて、サービス良すぎ。
カツジがデッカくドラムを叩きながら大声で叫ぶ。突進力抜群のコビーのベースが唸る。マーシーが歪んだギターを響かせてフルボリュームのコーラスを歌う。
直球の歌をうたいながらヒロトが暴れる。
間奏ではヒロトがハーモニカを猛々しく吹く横で、マーシーが猛烈にシャウト。
瞬間ごとのブッ飛んだテンション。
最後までクロマニヨンズが突っ込むし、ぶっ飛ぶし、眼力とか一挙手一投足が、心を刺激しっぱなし。
ここでは何を見たのか、何を感じたのか、何が起きたのか。つまりそれは、、
ライブ会場で、生きる人間の底力を見た。
私が感じたことの結論としては、激しい衝動に駆られるのだ。
その衝動でナンバーワンになっちまう。
断言します。
ここにいた全員がナンバーワン野郎だ。
20.「男の愛は火薬だぜ 〜『東京火薬野郎』主題歌 〜」
作詞・作曲/真島昌利
“とっといた”ヤツが遂に演奏される。
アルバム『HEY! WONDER』、最後の曲。
男の色気が溢れ出る渋いロックンロールだ。そんでこれ、ライブだとマーシーがすごい。
弾きまくる!
CDにもレコードにも入ってないギンギンのギターフレーズが、ギガ盛りで提供される。
つまり、エモいということ。
架空の映画の主題歌が、目の前で現実のロックンロールになる。
ヒロト「やろう。男の愛は火薬だぜーー!!」
イントロはカツジのタイトなドラミングが、ラストにふさわしい締まり具合を感じさせる。
マーシーが色気のあるギターリフを弾く。
続いて、たくましいコビーのベースが入って一気にグルーブ感が出た。
昭和の光景を感じさせる言葉をヒロトが歌う。
真っ赤な背景のよく似合う、雰囲気に酔わせるミディアムテンポ。
なんだかマーシーのギターが強烈な音を出してる。フレーズは鋭く、寡黙な男の色気たっぷりといった感じのロックサウンド。
CDではもう少し控えめだった気がする。
それがこの瞬間には最前線で唸ってる。
画面に映ったオーディエンスの背中からは、歌に酔いしれる感情が見えた。
そうそう、この演奏は激しく暴れるというよりも、心の奥へグッサリ刺さる人情溢れるものだった。
どの瞬間もハイライト。
間奏はマーシーの魅せる、聴かせる、惚れさせるギターソロ。哀愁の漂うソロからのイントロと同じギターリフ。
ミディアムテンポながらも尖った音で鳴る。
映像にもマーシーがバッチリとフィーチャーされてる。
その場の特別な空気感は伝わるはず。
ミラーボールが映し出されて、映像に古めかしい雰囲気が醸し出されると、グッと来た。
もちろんリズムに体はノッてるんだけど、聴き入ってるとか、魅了されてるという人がほとんど。
今回のロックンロールのライブの中でも独特のムード。大胆に魅了されるという魅力。
終盤が特に魅力的だった。
マーシーが弾きまくる。
この弾き方は、ライブに来てたギタリストの人からは大絶賛されたと思う。
あれ?そんなフレーズ、CDに入ってた⁈おいおい、なんかすごいんだが!と、私は感激しながら魅入った。
もうすぐ『HEY! WONDER』が終わっちまう。
畳み掛けるラストの盛り上げ。
最後の一音がキマる瞬間を、誰もが見逃すまいと注目したはずさ。
ロックンロールの最高のキマり方。
17thアルバム『HEY! WONDER』のありのままの姿を体験した。
同時に『HEY! WONDER』が名盤であることを再認識。
ヒロト「ありがとう!楽しかった!」
マーシー「またね〜」
おどけるヒロト。
手を振るマーシー、コビー、カツジ。
その後、私にとっての事件も起きた。
それは、マーシーがステージから去っていく時、絶対にオレを指差したのだ。
本当さ。
ライブ本編は終了。
私はクロマニヨンズに最大限の気持ちを込めた拍手を送った。
鳴り止まない歓声と拍手。
ちょっとだけ座って休むけど、アンコールはどの歌やってくれるかな?とかほとんどの人が考えてるから。
ザ・クロマニヨンズを、もう一度ステージに呼ぶのだ。
やってくれ!騒げるアンコール。
21.「SEX AND DRUGS AND ROCK’N’ROLL」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ここからアンコールに応えてくれます。
今回のツアーグッズであるカッコいいピンクのボーリングシャツを着た4人が再登場。
アンコールの演奏をする前に脱いで裸になってしまうけど。
ヒロト「騒いで帰ってくれよ。」
一発目はシングル「あいのロックンロール」のカップリング曲。
まだ演奏されていない事には気付いてた。
これをやらない訳がない、ひたすらタイトルを繰り返すだけのパンクロック。
ライブの高揚感と、アンコールの無謀な勢いでブッ飛ばせ!!
ヒロト「なんかやるぜーーーー!!!」
カツジの素早いカウントから小気味よいイントロ爆走開始。
既にただならぬ勢いがステージから出てる。
短いイントロの直後に、激しく踊っていたヒロトが猛烈に歌う。
「イェーーーッイ!!SEX AND DRUGS AND ROCK’N’ROLL!!」
いきなりの異常なテンション。
マーシーもコビーもカツジも、ヒロトと同じく攻めたテンション。
クロマニヨンズに負けていられないオーディエンス。こいつらも全開だ。そこにある勢いに率直に影響されてる。
真正直な素晴らしい光景。
叫ぶし、飛ぶし、突き上げた拳で思いっきり空間をブン殴るし、こいつらの熱狂を止められるヤツなんか世界に1人もいない。
もし例えるなら、余力なんか残して生き延びるよりも、使い切ってくたばっちまう方を望む熱いヤツら。
最後の1秒を後悔せず、満足気に笑う人。
そういうのが画面にも映ってる。
この曲の勢いに合うチカチカした照明が、疲れ知らずの感情を煽ってきて頭が飛んだ。
しかも前の3人なんか、裸で何も隠さずに、やる気という感情剥き出し。
極端にシンプルなアレンジだからこそ、尚更勢いが表立つ。
つまり、ライブに求めていた疾走感そのもの。
ヒロトが高らかに拳を上げて歌う。
自信満々だ。
唯一無二のロックンロールだもの、太々しい態度が好ましい。
真っ赤な照明の下で腕もブンブン回す。
とんでもない声量。
だから1秒毎が心の中心にブッ刺さるんだ。
タイトルを歌うだけの単純な歌詞だから、うっかりして覚えてこなくても一緒に歌える。
演奏を始める前にヒロトが言ってた。
黙って心の中だけで騒ぐんでもいいって。ロックンロールだから、みんな自分の自由なやり方で楽しんでって。
全員の存在を認めてるんだ。
不親切な世の中で透明人間にされてしまった私でも、クロマニヨンズなら楽しめる。
誰でも参加できるのが、クロマニヨンズのライブの大きな魅力。
もちろんその演奏にも大いなる魅力がある。
元々かなり速いロックンロールが、ライブで更にスピード感を増したし、太く強靭な音に変身してた。
目の前の生演奏を体験すると、曲の本来の姿を感じるということ。
ライブで感じた熱気は、生きる気力になる。
そういう希望のエネルギーなら、いつだってクロマニヨンズが差し出してくれる。
ただし、ライブだと100倍で来るから。

22.「タリホー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト「オーライ!!タリホーーー!!!」
不滅のメロディ、始まるよ!
ライブでやり続けるクロマニヨンズの1stシングル。18年も積み上げた情熱を経て、随分とエモーショナルになった「タリホー」を一発ブチかましてくれる。
腐ったトレンドに成り下がらない“普遍的”なギターリフをマーシーが弾き始める。
たくさんの人の熱気で溢れ返る。
この瞬間に誰かのマネなんかしなくていいのだ。それぞれが自由に楽しめばよし。
ヒロトは狂ったようにまた腕をぶん回す。
とにかく力強くまっすぐに歌う。
その真摯な態度がオーディエンスの心へ突き刺さる。ヒロトの表情や言葉やメロディに、誰もが魅了されていたもの、涙出そうだ。
上半身裸のマーシーが前に出てきた。
エモーショナルなギターのフレーズをガツンと披露する。その爆音が、心の奥にあった弱さを、何歩でも前に出る強さに変えた。
腕を突き出してロックンロールに感動してるのは、全員といっていい。
熱くなって楽しんでるクロマニヨンズとオーディエンスが画面に映る。
奇跡的な光景が記録されている。
華やかでありながらも、猛烈に真摯なクロマニヨンズが心へ響いた。
サビはやっぱり想像以上に盛り上がる。
圧巻の大合唱。
当然、心の中だけの大騒ぎも含まれる。
一段とまた情熱的に進化した「タリホー」を体験した。シングル発表当時より、明らかに熱狂した心の数が増えてる。
だから唐突に歌詞が腑に落ちる場面もある。
“形は変わる 自分のままで”
オーディエンスの溢れ出しちゃうそういう気持ちが、ギターアレンジをエモーショナルに変えたのかもしれない。
人の感情をダイレクトに刺激するギターフレーズばかり。
「タリホー」がものすごくドラマチックな歌になったとも感じる。撮影したカメラマンの、人情溢れる撮り方も一役買ってる。
早い話が“本物”の「エモい」ってこと。
決して、毎日変わるどうでもいいトレンドなんかが隣に並べるものではない。
爆音で心へ鳴り響いているのは不滅のメロディで、心に残るのは明日になっても変わらない大きな感動。
揺るぎない記憶の宝物。
とんでもない熱量をぶっ放す演奏だ。
終盤でもヒロトが腕をぶん回して、ロックンロールならではの勢いに興奮した歓声がたくさん上がる。
ブンブン回す。ワアワア叫ぶ。
ロックンロールのもっとも純粋なかたち。
23.「ギリギリガガンガン」
作詞・作曲/真島昌利
ヒロト「ありがとう!今日は最高!今日は最高ー!!今日は、最高!ギリギリ!ガガンガーーン!!!」
もう体力がギリギリだけど、余力なんかいらねえからガガンガンといくぞ!
ただし、本物のクロマニヨンズは「ギリガン」なんて変な歌はやってなかったから。
「ギリギリガガンガン」だ!!
熱狂の随分先まで盛り上がるライブ。
ラスト、全員でぶっ飛ぶぞ。
帰りの体力残しとかなきゃなんて考えてる腰抜けはいない。
真っ赤な照明が「ギリギリガガンガン」というタイトルから感じる情熱に合ってる。
後ろのライトが歌詞の夕陽に見えてロマンチックだ。
凄まじい疾走感のみが会場を支配してる。
4人の演奏が激しい。剥き出しという言葉しか合わない。感情まで全部見えちゃってる。
オーディエンスも勇ましい。私もブッ飛んでる中の1人。こっちも興奮が丸見え状態。
うわー!もうどうにでもなれ。
今が最高だから他のことなんてどうでもいい。
こういうすべてを突破した自分になるためにライブに来た。
クロマニヨンズは毎回それを実現させる。
記憶していられないほどの衝撃なんだ。
ここにしかない唯一無二の衝撃で、日常ではあり得ない自分の気持ちの状態や、ライブ空間の熱量に当てはまる強烈な言葉なんかないくらい。
一つだけ断言できるのは、
“特別な快感”であるってこと。
ヒロトがモニターより前に出てきて叫ぶ、爆発した感情のままに転げ回る。
ラストのキメの直前、オーディエンスの湧き上がる歓声と最大限の拍手。満足気な表情。
この瞬間の気持ちはイキイキしてる。
間違いなくここに存在しているのは尽きせぬエネルギー。
最後の最後の一撃がバシッとキマッた。
やり残したことはなし。
今日は最高!!
ロックンロール最高ーーー!!!
ヒロト「ありがとう、楽しかったー!またやりてー!また絶対やろうな、ロッケンローーーッル!!!」
マーシー「またね〜」
やり切った光る笑顔で、感謝の心を込めながらステージを後にするクロマニヨンズ。
ありがとう!
また絶対来るよ。
すげえ楽しかったーーーーー!!!!!
90分、跳ねっぱなしの腕は突き上げまくりで体力は尽きました。
しかし生きる気力はみなぎっています。
ステージにはクロマニヨンズの体温の予熱。
楽しかった。最高だった。悔いなし。
私は絶対にまたクロマニヨンズのライブに行くことに決定した。だから途中で生きるのやめちまう訳にはいかない。
さあ、荷物を持って出口へ向かおう。
どの人も汗びっしょりで生命力が溢れ、イキイキとした満足気な表情ばかり。
すげえいい顔してるね!
みんなが、「明日からも生きてやる」と自分で決めたところで、ロックンロールのライブはおしまいです。
自分は参加していないこの日の公演を体験したのと同じ気分になってる、クロマニヨンズのライブDVDでした。
『ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024』 のDVDをセットして、画面に映った瞬間から部屋がライブ会場の熱気へ。
この衝撃を家で観られるのは、とてもラッキーなことです。
ただしDVDを観るのも体力が必要みたい。
実際のライブ後は、体力なんか残っていなくてヘトヘトなんだけど、帰りの道がまた楽しいものなのだ。
ライブの余韻というよりも、まだあの瞬間の衝撃が続いている感じ。
人生の素晴らしきビッグイベントを体験した。
ありがとう、クロマニヨンズ!
体験した人にしか分からないかもしれないけど、心から「ありがとう」と言いたいのです。
最後に、私が一番感じていること。
「ザ・クロマニヨンズ」は、目の前のライブを体験するのが最高です。
その衝撃は、必ず生きる理由になるから。
結論:熱狂的な瞬間の連続こそが、ロックンロールのライブだ。
ザ・クロマニヨンズ最高ーーー!!!
“極上”という、一番上を意味する言葉のみが合う、一生ものの価値があるライブ。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。