こんにちは。
『FOUR BY FIVE』は1997年にリリースされたザ・ハイロウズのミニアルバムです。
ザ・ハイロウズの特別企画盤。
アルバムタイトル「4×5」は“フォーバイファイブ”と読みます。
4曲を5人でプレイするという意味。
もしかし…なくても、ローリング・ストーンズの『12×5』にそっくりです。
とはいえ、それの劣化版ではないし、縮小版でもなくハイロウズの炸裂盤です。
心が激動する覚悟が必要かもしれません。
THE HIGH-LOWS/FOUR BY FIVE (1997)
4×5(フォーバイファイブ)は1997年5月14日に発売されたミニアルバムです。
2ndアルバム『Tigermobile』と3rdアルバム『ロブスター』の間にリリースされました。
このミニアルバム収録曲はベスト等にも入っていないので本作を入手して聴くしかありません。
全4曲という絶妙なボリュームの曲数で、シングルでもないしフルアルバムでもないけど、すべてが新曲だったというのが絶好調です。
ミニアルバムなので20分くらいで手軽に聴けるのはポイント高いです。
4曲とはいえ、抜群の聴き応えがあります。
『4×5』の音圧
少し残念なところは本作はCDでもレコードでもちょっと音圧が低めです。
ハイロウズの他のアルバムと一緒に聴くと音がかなり小さく感じます。ボリュームをしっかり上げさえすれば内容自体はひたすら豪快な音で楽しめるミニアルバムなので、爆音で聴くのが理想的。
私の検証の結果、ボリュームつまみではなくミキサーのゲインを上げる必要があります。
ミキサーを持っている場合は“GAIN”のつまみを必要なところまで上げるというのが正解でした。
それを実践した時にハイロウズが部屋にドカーンとやって来ます。
『4×5』収録曲
1. 虫
2. ハートブレイカー
3. キャブレターブルース
4. ブラブラブラ
全4曲、21分。
強烈なギターリフがとんがった凄まじいロックから、たまには気を抜くための長編お気楽ソングに、たった4曲の中にやっぱり入ってた下ネタソングまで。
小気味のいいロックが揃っているという印象。
ミニアルバムですが、ロックの魅力は網羅しています。
聴いていると心の潤いは枯渇しません。
隙間時間に猛烈にロックを楽しみたい場合にオススメです。
4曲入りなので最低でも4回は心が動きます。
激ロックです。
1997年のヒロトが語る:バンドの解散とは
ヒロト : バンドの解散?
ええと、んんとやっぱりね、バンドだけじゃないと思うんですけど、人間みんな生きていて、えっと色んな事やったり色んな事やらなかったり、やらないっつーのもひとつの行動だと思うんですけど。
そんな中で何をやりたいかとかは、限りなく100%に近く自分で選ぶべきだと思います。
ほんで、ロックンロールの素晴らしさを知ってしまった人たちというのはやっぱり、やりたい事をやり続ける、やりたい事だけをやり続ける風な生き方しか出来なくなっちゃうんだと思う。
そんで、僕はやりたい事をやり続ける・・・だけです。
それで“ジュン・スカイ・ウォーカーズ”もそうだと思う。だから解散すんだと思う。
それはアルバムを1枚出すのと同じだよ。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
ヒロトの「やりたい事をやり続ける」というのがシビレます。本当にその言葉の通りの生き方をしていて、今でもやりたい事だけをやり続ける誰よりも楽しんでいる人に見えます。
やっぱりロックの人だなと感じました。
ロックに理屈は通用しません。最高です。
1997年のリリース当時、『4×5』はCDとレコードで発売されました。
レコードの方は限定生産で、再発売もされていません。
『4×5』のCDとレコードの大きな違い
『フォーバイファイブ』のアナログ盤は7inchです。
CDは“ステレオ”ですが、アナログ盤はなんとクロマニヨンズと同じ“モノラル”。
レコードジャケットの右上には、堂々とした「mono」の文字が特別感を主張してます。
でもやっぱり音圧は低め。
ちなみに7inchですが33回転です。
CDは1枚で4曲が連続しますが、レコードの場合はA面がヒロトサイド、B面がマーシーサイドとうまい具合に作者別になっています。
盤をひっくり返すとまた違った気分で聴けるのがいい感じです。
『4×5』は爆音が合います。
CDなら音場に広がりのある華やかなステレオで、レコードなら真ん中から突っ込んでくるど迫力のモノラルで。
どっちでも、インパクトのある4曲を個性溢れる5人が全開でやってます。
ボリュームはいつもより上げ気味の熱狂的が最適。
“日本のファンだけに贈るザ・ハイロウズの特別企画盤。
4×5とは・・・4曲を5人でプレイ・・・という意味だ。”
M1「虫」
作詞・作曲/甲本ヒロト
いつもハイロウズに求めているものがここにあると感じる豪快な1曲目。
ギンギンバリバリのロックンロール。
ハイロウズロックなギターリフが強烈です。
これがメイン曲といっても差し支えないほどにインパクト絶大。
1曲目のイントロから「これこれ!」と、とてつもない期待感で興奮状態になります。
一度聴いただけで脳裏に鮮明に焼きつくハードなギターリフは、マーシーの感性でこそ輝きを放っています。
ヒロトが勢いよく歌い出したらもう・・・
ジャジャジャジャーン!と世界で一番張り切ったハイロウズが勝手に部屋にやって来る。
来ました!素晴らしく厚かましいです。
“ねえ いいじゃん いいじゃん”とか歌いながら全員でどんどん迫ってくる。なんか近い。
もう目の前にいるじゃん。
すべての音、すべての瞬間が猛烈です。
「ねえ いいじゃん いいじゃん」て、そんなに口説かれたらなんだかOKしてしまいそう。
ギターソロがマーシーらしくとんがってる。このとんがり力は唯一無二です。ちょっと長めにやってくれるし、突き抜けた人のオーラが光ってます。
ソロのラストの素早くフレットを移動する弦を擦るキュイーーッンという音が芸術的です。
この歌、ロックが遠慮なく迫ってくる。
よく聞くとギターのハウリングが鳴り止んだ最後の最後にヒロトが笑っているのが聞こえて、ロックの楽しさが飛び出してます。
ロックの純度が高すぎる。
たちの悪さは100%よりも濃厚です。
ともかく、「ジャジャジャジャーン」てゴージャスに飛び出すロックは、ハイロウズに似合いすぎてる。
歌詞 : 呼ばれてもいないのに“ねえ いいじゃん いいじゃん”と迫ってくるたちの悪い虫。
そいつは歌い出しの登場シーンでいきなり強烈に「ジャジャジャジャーン!」と暴れて飛び出します。歌詞ではそいつは呼ばれてませんでしが、私の場合はハイロウズを呼びました。
なんだかよくは分からないけど、グッと来るほど強烈だし、普通とかは通用しないロックだという事だけは分かります。
誰にでもある煩悩とか欲望のような印象は受けます。
意味が分からなすぎるのが豪快です。
だが、意味とかググるな!感じろ!
M2「ハートブレイカー」
作詞・作曲/甲本ヒロト
唸るギターが、男の色気全開。
艶やかなハーモニカ入り。
タイトルから想像したのとは全然違う衝撃。
ギターのイントロが鳴った瞬間に、その音が既に下ネタ側の世界。そんな響き方です。
「エロ」という名前のエフェクターでもあるのかと思ってしまうほどにそういう音。
ヒロトが歌い出した最初の歌詞で悟ります。
あ、これそうだ。
リズム、テンポ、アレンジ、全部その感じ。
速くはないテンポ。スピード感より色気が優先されてる。メロメロにされない人はいない。
つまらない日常ではあり得ない雰囲気に、心のアーティスティックな部分が反応します。
まったく、とんでもない音だ。
ヒロトのその世界観に、マーシーが乗る。
ボーカルと同じか、それ以上の大きな存在感を感じるギターが特徴的です。感情的なギターが歪んだ音で歌ってます。
完全にマーシーの名演奏です。
聴くとどうしてもマーシーのシブいギターの鳴り方に耳と心を奪われてしまう。
ギターソロでの“超絶”な間とか音色とかマーシーじゃなきゃこうなりません。
サビでのヒロトとマーシーのボーカルの掛け合いが胸熱です。
ヒロトは真ん中で、マーシーは向かって右側でギターを弾きながら歌っているのが音でしっかりと分かります。(レコードの場合はモノラルなので全部の音が真ん中です)
全員の演奏に歌心があります。
色気が支配するこの音は、ただならぬ。
歌詞 : タイトルから想像したのとは全然違うんですけど、待ってました。ヒロトの下ネタソングです。
それ以外の解釈ができないほどの分かりやすさ。
サビ直前の“胸のまん中に穴をあけて夜が明ける〜”の部分はなぜかロマンチックでカッコよくてすげえ魅力的です。
3番で完全に下ネタソングだと確信します。「ひきずり出してくれないか」ってそれ、男の欲望むき出しじゃないか。
うっかり、カッコいいと感じてしまった。
M3「キャブレターブルース」
作詞・作曲/真島昌利
少し重めの印象的なギターリフがビシッと鳴り響く“頑固”なイントロ。
ひねくれ者が吹いてるみたいなハーモニカまで入ってます。
ハイロウズがロックは頑固なんだと言い張ってるみたいだ。
揺るぎないリズムが強靭です。
頑丈なロックのリズムに心と体が反応して思わず踊り出してしまいます。
一音一音が粒立つロックのアレンジ。
全部の音がすべての瞬間で主張してる。
歌ったりハーモニカを吹いたり、この曲のヒロトはとても忙しそう。
ハイロウズの5人が誰よりもロックを楽しんでるのが音を聴けば分かります。
通常の精神状態を突破する瞬間があります。
耳の奥に刺さるほどのキンキンな音のギターソロが炸裂して、踊り出してる自分の体をもう制御できない。ロックが太々しい態度でギラギラに光ってる。
大人の「事なかれ主義」が外れる瞬間。
穏便ではいられない。熱狂的でいこう。
外でイヤホンなんかつけてこの歌を聴きながら散歩してると、ついつい体がリズムにノッてしまいます。割と大きな体の動き。
でも人の目なんか気にしなくて大丈夫。ハイロウズのロックはそんなの気にしてません。
この曲にノッてる体と気持ちは幸せです。
おかげで私の心身も快調です。
ラストには鼓膜を直撃するキンキンした音の鋭利なギターが暴れ出します。
その音は人の心を動かす鋭さ。
凄まじいエンディングに、憂鬱は完全に吹き飛んだ。
ドギツイ感じのロックだった。
歌詞 : 汗まみれになって自分自身でマシンのメンテナンスをする様子が楽しげ。
緊張感もあっていい感じです。
キャブレターをいじくると歌う、自分のマシンを自分で整備するDIY精神が冴えてます。
いい音を出して快調なエンジン。
どうやら整備はうまくいったみたいです。
その後はなんか多分すげえ速い。
M4「ブラブラブラ」
作詞・作曲/真島昌利
7分を超える長編ですが気楽な感じ。
個人的には、気楽な気持ちになれる超重要な1曲です。
聴くとあんまり忙しくせずに、たまには気楽に自由にブラブラしようというスイッチを入れてくれます。
浮遊感のある楽しげなイントロ。
既に大きな自由を感じます。
この曲はドラムの音が左チャンネルにだけあって、聞き慣れていない耳触りが新鮮に響きます。古いジャズなんかではよくあります。
アナログ盤はモノラルなので真ん中です。
それは一撃必殺です。モノラルのミックスだとまた印象がすごく変わります。
空想的だと感じる軽やかなメロディ。
心がふわっと軽くなった実感があります。
どの瞬間の音にも自由なブラブラ感があって、聴きながら1mmぐらいなら体が浮きます。本当です。
マーシーのスライドギター(?)とチョーキングのエネルギーが「ブラブラブラ」の溢れてる自由な雰囲気を決定しています。曲中ずっとそいつがあっちこっちブラブラしてます。
ヒロトのボーカルも弾む心のままで軽やかに歌うスタイル。
自由なこの歌を聴きながら歯を食いしばる人はいません。不要な力が抜けていきます。
軽くなった気持ちは余裕で空も飛べそうです。
美しい言葉と真実の言葉が空想的なメロディに乗って頭の上でクルクルと、お前もやれと誘ってます。
ブラブラしたい。
自分で選ぶ自由よりも価値のあるものなんてない。
歌詞 : 自由とそのための責任が感じられる内容に共感します。
自立している大人は意外と少ないのかもしれないと思いました。
経済的、精神的に自立していればブラブラしていられますが、働きもせずダラダラしてるだけとは違います。ブラブラです。
“他人から見れば ボーッとしてるだけ”という歌詞がすごく好きです。
他人から見ればそう見える人ほど自分らしく楽に生きていて、しかも割とお金も稼げている人が多い気がします。
そう見えてないとダメなのかもしれません。
大人はほとんどの事を自分で選べます。
みんなが何をやりたいのかを自分で選びたくなったところでアルバムはおしまいです。
ヒロトもマーシーも自分で選ぶべきだという事を言っていました。
それは“人並み”を目指すより楽しそうです。
ハイロウズのロックンロールはいつも楽しい事だけを歌います。
ロックがまた大事なことを言いやがった。
ハイロウズ最高!ロックンロール最高!
5人の凄まじい名演が傑作だったハイロウズのミニアルバムでした。
超絶ロックに下ネタソング、人目を気にせず踊り出すキンキンなロック、ブラブラしてて自由なリズムと、たった4曲にロックの楽しさを目一杯に詰め込んでくれました。
すげえ濃いです。
ボリュームは始めからガツンと来るほど上げておいた方がいい。
ミニアルバムという事で気軽ではあるけど、内容に軽率さはありません。
つまり、満足度高いです。
全4曲20分をあえてイヤホンで聴いてみるのもオススメです。スピーカーでは近所迷惑なほどの爆音にしなければ聴こえない音が割と入ってます。
2020年にアルバムのアナログ盤が再発売されましたが、ミニアルバム『4×5 』は復刻されませんでした。
その企画で発売されたのは全オリジナルアルバム8枚と編集盤である『flip flop』シリーズ2枚の10作品です。シングル盤(7インチ、EP)は一切復刻されていません。
『4×5』のアナログ盤のモノラル音源を聴いてみたい場合は、中古レコード店とかヤフオクなんかで探すしかないです。
CDはステレオのメリットが最大限に活かされているのが特徴です。
未開封Tシャツコレクション
このTシャツがいつのツアーのグッズなのかまったく覚えていませんが、マーシーがライブで着ていたのは記憶にあります。
鮮やかなオレンジに矢印というデザインが楽しい感じです。
マーシーはすごく似合ってました。
こちらもいつのツアーのグッズか覚えていませんが、未開封のリストバンドもあります。
2つあるとハイロウズの⇅になる優れもの。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。