こんにちは。
『RAINBOW THUNDER』は2018年リリースのクロマニヨンズの12枚目のアルバムです。
いくら目を凝らしても耳を澄ませても私の周りにクロマニヨンズ好きはいません。どれだけ熱心に彼らの魅力を語ろうと興味を持ってはくれません。
カッコいいのに!
すげえ熱いのに‼︎
ですが、価値観を押し付ける訳にはいきません。
一つだけ確かなのは、クロマニヨンズは絶対オレにアピールしてる。
The Cro-Magnons/RAINBOW THUNDER(2018)
RAINBOW THUNDER(レインボーサンダー)は前作『LUCKY & HEAVEN』から1年後(2018.10.10)に発売された12枚目のアルバムです。
前作の『LUCKY & HEAVEN』は2017.10.11リリースでしたので、今回はほぼぴったり1年後です。私はずっと、毎年クロマニヨンズの新作を楽しみにしています。いつもの低いテンションが上がる瞬間なので楽しいです。
それに「新作を聴かずには死ねない」と生きる気力と死なない理由にもなるので、大袈裟ですがクロマニヨンズに生かされた人生とも言えます。クロマニヨンズは命を繋ぎます。
ちなみにジャケットでガッツリとアピールされた「虹雷」という文字。日本語では何と読むのかググってみても明確な答えが出てきませんでした。“こうらい”と読んでいる方もいましたが真に受けていいのかは分かりません。普通に“にじかみなり”で良さげです。
ともかく、ひとまず、レインボーサンダーと読めます。
クロマニヨンズのみんなが集まって楽しく演奏して完成したという『レインボーサンダー』です。
クロマニヨンズ、すでに12枚目のオリジナルアルバム。いつも通り特にコンセプトも決めずにみんな集まって楽しく演奏して、その時にテープレコーダーを回すというだけ。
ヒロト「その時の感想は“ああ、いいのができたな”って。毎回そうですけど。」
・レコーディングはスムーズ
・悩んだりせず楽しくやるだけ
・構成やアレンジが決まるまで演奏するのは3回ぐらい
いつも力を抜いてやっているんだなという事と、ひたむきにロッケンロー‼︎を楽しむ人たち、ロッケンロー‼︎に感動してる人たちというものすごい熱意が伝わって来ました。
だから毎回アルバムが最高で、聴いた私も熱狂してしまうんだと感じます。
『RAINBOW THUNDER』収録曲
01.おやつ
02.生きる
03.人間ランド
04.ミシシッピ
05.ファズトーン
06.サンダーボルト
07.恋のハイパーメタモルフォーゼ
08.荒海の男
09.東京フリーザー
10.モノレール
11.三年寝た
12.GIGS(宇宙で一番スゲエ夜)
全編モノラル、全12曲37分です。
本作もそうですが、どのアルバムにもクロマニヨンズにしかない音を感じ、私はその音に興奮しています。特に、やりすぎていない歪んだギター、正直者の音が聴こえる生々しいギターをいつも求めていたのです。
感情的なその音はどの曲も心を揺さぶります。時には勇気が備わり、その音だけで生きてしまえるほどのパワーをもらうことだってあります。
マーシーが使うエフェクターは1個だけ。本作のエフェクターも、その「オーバードライブ」1個だけで録音されたということです。
だから仰々しくないのだと思いました。ゴージャスなギターがジャーンと鳴るロックもいいですが、私はクロマニヨンズの方が心に刺さるし熱狂してしまいます。シンプルなサウンドは心までダイレクトに伝わります。
そんなマーシーのギターの音色やフレーズや強い個性について
ヒロト「マーシーはいい意味で不器用な人だと思うの。すごい器用でエフェクターがいっぱいあって曲ごとに全然違うプレイをするっていう人じゃなくて、“俺これしかできねえから”っていう感じ。それが余計にマーシーのキャラクターを際立たせてる気はする。」
仲間内でしか知り得ない個性の話を分かりやすく聞かせてくれるヒロトってやっぱりすごい。ギタリストとしてのマーシーを一番近くで知ってる人です。
マーシーがギターを弾くうえで心がけていることは?
・カッコいい音でギターを弾く
・あんまり音を多く使わない
・もっとスカスカでいい
今回のアルバムでも最初はギターを重ねていたけど「これいらないね」って消したりして何曲かで最終的に取っ払った音があると。
私がいつも求めている音はこれだ!と納得しました。嘘のない、余計な装飾もない誠実な音が心の奥にまで刺さっていると感じます。マーシーにしか感じない情熱的なギターソロなんか聴けたら、私のいつもの低いテンションが急に上がって激情してしまいます。
マーシーはギターソロを弾きたがらない⁈
ヒロト「僕は毎回自分の曲でギターソロを1、2曲は入れてもらいたいんですけど、本人があまりソロを弾きたがらないんで(笑)。もうちょっとソロあったほうがいいんじゃないかな。毎回いいソロ弾いてくれるんです。」
マーシー「あんまり、そうですね。弾きたいか弾きたくないかって言われたら弾きたくない(笑)。」
すごい本音です。想像したこともなかったです。私はあの心が熱狂してしまうギターソロ聴きたいのが本音です。だって他のギタリストとはカッコいいと感じるところが全然違うんだもの。心に響く直接的なカッコ良さです。
ソロを弾きたくないことに対してヒロトは
ヒロト「そうすると僕、歌いっぱなしなんです。いいんですけどね。」
すごくヒロトらしいし、それはそれで楽しいと思いました。どれもクロマニヨンズです。
マーシーは歌も歌いたくない⁈
THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWSではメインボーカルを取る曲もあったけどザ・クロマニヨンズではコーラスに徹している。自分で作った曲を自分で歌いたいと思うことはないのでしょうか?
マーシー「そうですね。“歌いたいなあ”ってなることはあまりないです。」
『ましまろ』では歌っているけど、真城めぐみさんに言われるから?
マーシー「そうですそうです。“ここはマーシー歌いなよ”とか余計なこと言いやがって(笑)。」
ではヒロトはマーシーに歌えと言っているのか⁉︎
ヒロト「最近はないですね。ていうか何も考えてない。マーシーが“曲できたよ”ってスタジオに持ってきて、俺が歌詞カードもらって歌うだけ。何も考えずにそれが行われているんで、もしマーシーが“俺も歌いたいんだ”って言えばすんなりそうなると思うけど。」
ここまでの話だと、マーシーさんは歌いたくないしギターソロも弾きたくない人ということになってしまいますが(笑)とインタビュアーに突っ込まれて。
マーシー「うん(笑)、ただバンドでワーッてやっていたいだけなんです。」
アルバムを聴いていてマーシーの声が聴こえてくるとすごく興奮するし、やってやるぜって気力も湧いてくるし、何よりずーっと私の憧れです。カッコいいです。
何はともあれ自分たちが一番しっくり来るスタイルで演奏したロッケンロー‼︎をいつでも聴かせてくれたら私はそれが何より嬉しいです。
ラジオに出演した際に今回の『RAINBOW THUNDER』はどのようなアルバムなのかと聞かれていました。
マーシーの答えは
「素晴らしい」
の一言だけでしたが、私もその通りだと感じます。本人たちがそう思っていなかったらリリースしません。
たくさんあるクロマニヨンズのアルバムの中でも特に突き抜けた印象と、振り切れた魅力が突出した作品です。
鋭い切れ味も心に突き刺さってきます。
今回もまたインパクト絶大なクロマニヨンズ流の凝ったコーラスも聴かせてくれます。
それとクロマニヨンズは手拍子が上手い‼︎
いろんな要素や思いや経緯があって出来上がった『RAINBOW THUNDER』は、やっぱりクロマニヨンズにしか出せない音と雰囲気を出している唯一無二だと感じます。
日々、世間なんかの仕打ちに落ち込んでしまいがちな心に希望のレインボーサンダーと、問答無用のロッケンロー‼︎をぶっ込んでくれるアルバムです。
何かの答えを教えてくれる訳ではないけど、楽しくなれる何かにいつも気付かせてくれるバンドです。
シングル曲は17枚目のシングル「生きる」が収録されています。
カップリングにはマーシー作のミドルテンポで共感必至な歌詞が強烈なインパクトを放つ「時のまにまに」が収録されました。本作『RAINBOW THUNDER』には未収録。
シングル発売当時、7インチアナログ盤も同時発売されました。もちろんmonoです。
アルバム発売当時、アナログ盤も同時発売されました。レコードもmonoで、巨大なジャケットが猛烈に異国なインパクトを放つ「60年代E式フリップバック」です。手に持つとズッシリなので180g重量盤です。重くてぶ厚くて固いやつ。反りはするかもしれないけど、絶対に折れません。
このレコードを聴いている私の心だって反りはするかもしれないけど、絶対に折れません。ロッケンロー‼︎は心の支えになります。
M1「おやつ」
作詞・作曲/真島昌利
再生ボタンを押していきなり明るく楽しげな音が出てきて「楽しむ 楽しむ」と歌い出す超ポジティブな印象です。
楽しい音しか聴こえないアップテンポで絶好調なアルバムスタート。
うんざりする日常には癒される3時のおやつが必要です。ポジティブな思考に切り替える、哲学成分も含むみんな大好きな3時のおやつ。
みるみる気力が湧いてきて自分の果てまで楽しんでやると前向きになれます。
人生は落ち込むんじゃなくて楽しむんだよなと心が気付いてしまいます。
“手に入れて失って始めから”という歌詞には勇気付けられました。強くてニューゲームが出来るのも、やり直せるのも人生だなと。失ったものは大きいけど、今から手にするものはもっと大きいかもしれない。
誰にでも分かる「おやつ」という軽やかなタイトルから想像も出来なかったほどの深い歌詞が刺さります。
歌詞 : 「おやつ」を聴いていたら、果てを知らずに、果てまで行かずに落ち込んだり悩んだりしていた自分を奮い立たせたくなりました。ここはまだ果てじゃない。もっと果てまで。
もっと楽しめ自分!何度でもはじめから!
そのうちどっかに辿り着く気がします。
さて、3時のおやつを食べよう。
好ましいのはロールケーキ1本食い。
M2「生きる」
作詞・作曲/甲本ヒロト
クロマニヨンズの17枚目のシングル。
「生きる」ことをワクワクさせるための黄土色のサファリルック仕様。
1曲目の流れを汲んだかのような明るく軽快な音が自然な繋がりを感じさせます。
心を躍らせるアップテンポで、突き抜けてるなぁ!もう後ろなんか向けない。
何かに突き動かされてる気配がビンビン伝わってきます。
すごくワクワクするような生きる気力が湧いてくるけど、頑張りすぎなくてもいいんだよと、出来る範囲でいいんだよとあったかい言葉をかけられてる気がします。
私が勝手に思っていたクロマニヨンズのテーマのひとつである「生きる」ことがそのままタイトルになった哲学的でさえある名曲。
サビではクロマニヨンズがオレの両隣にそっと寄ってきて、生きるための最高のロッケンロー‼︎を鳴らしてくれる。
歌詞 : この歌を初めて聴いてから「黄土色のサファリルック」が異常に記憶に残りました。私の記憶に絶大なインパクトを与えました。映像があった訳ではないのにクッキリとハッキリとです。
虫が好きなヒロトだからこそのインパクトです。
この歌に救われた心がきっとたくさんあると思います。そっと寄り添って、何もない今の自分を肯定してくれるような優しさを感じます。
クロマニヨンズに救えない命なんかあってたまるか。オレは辛くても絶対に“生きる”ぞ‼︎
M3「人間ランド」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロトの感性でしか思いつけないタイトルにまずヤラレます。
独自の目で客観的に見た人間の世界の歌。
ディズニーランドの隣に存在してる世界か⁉︎
何やら怪しげなイントロの音に心を奪われます。このイントロは只事ではない。その後はエモい系のアレンジで心を掴まれる。後ろにはアコギも入ってていい感じ。
人間であるオレが同じ人間を客観的に見るという斬新な視点とかあったんだな。
これは楽しいかもしれない。
歌詞もメロディもアレンジも深く興味をそそります。普通じゃない。「普通」、そんな言葉はこの曲には合わない。
歌詞 : 強烈です。普段はこの歌詞のような視点で世界を見れません。この歌を聴きながら世界を見てみると、人間てたくさんいます。その中にそれぞれの個性があって、全然違う感性もあって、自分に近い個性や感性を好ましく感じるのかもしれません。
カッコいいなと憧れるのも自分とそんなに遠くない感性なのかもしれません。私の感性は熱狂的にクロマニヨンズが好きです。
“本物に会える 本物が笑う”
ライブ間近の私の心境が歌われていました。本物が目の前で生演奏でやってくれるなんて胸熱です。
M4「ミシシッピ」
作詞・作曲/真島昌利
「ドン!ドン!ドド!ドン!」なドラムから始まる短めのイントロは何かやってくれそうな期待で胸が高まります。
ギターのフレーズがすごく印象的です。記憶に残ります。心に広がります。
Doo-wop(ドゥーワー!)っとしてて問答無用で、すべての意味を覆す切り捨てソング。
Aメロの軽快な音が楽しい気分にしてくれる。めちゃくちゃ明るい雰囲気に心がどんどん軽くなっていきます。
男の色気がバッチリ出たマーシーのギターソロと、感情が全開されたヒロトのハーモニカソロの2本立てにテンションが上がる。
歌詞 : 何ひとつ上手くいかない毎日には意味を求めがちですが、そんな思考を完全に覆してくれました。すべてに意味をつけるのは楽しくない。楽しくない状況なんか問答無用に切り捨てたい。
いちいち意味があったら忙しい。この音色に乗って、ありもしない意味なんか飛んでいってしまえ。
ギターソロを弾きたくないと言っていたマーシーですが「ミシシッピ」にはカッコいいギターソロがしっかり入っています。
マーシー「“君、もうちょっとソロ弾いたら?”って周りの人からずっと言われてて(笑)。」
それとギターソロがないとヒロトはずっと歌っていなければならないと分かってはいるようです。
ヒロト「大変なんです。例えば1時間半のライヴでソロがなかったらずっと歌ってるんです(笑)。マーシーが酷いのはさ、自分の曲にギターソロをあまり入れないで、“ここはハーモニカソロを入れよう”って言うんだよ。そうしたら俺は歌ってすぐハーモニカ吹いて、酸欠になりそうで(笑)。」
この人たちっておもしろいです。関係性も話し方もすごく興味を惹かれます。オレがファンなだけという可能性もあるけども。
M5「ファズトーン」
作詞・作曲/真島昌利
イントロで澄んだギターの音色が心を捉えた後は、スカのリズムが体を躍らせます。
共感しやすいメロディや分かりやすいギターソロがクロマニヨンズらしくてすぐ好きになった曲です。
今回はいつにも増して心を捉えるメロディが揃ってる。
すごくいいです。これを聴きながらネガティブになったり、落ち込んだり出来なくなる。曲の楽しさや明るさとか、クロマニヨンズの強さが気持ちの一番底を持ち上げてくれる感じがする。
散歩しながら聴いたら軽い足取りで普段は行かないとこまで楽しく歩いていける感じ。
ラストの“ラララララ”がさっきまであった悲しみなんか放り投げて遠くまで歩いていけるいい感じ。
歌詞 : 軽快なスカのリズムで歌われる歌詞に、差し当たって心の上の方にあった悲しみなんかただの役たたずに変わりました。心が軽くなります。
輝きながら心に入ってきた歌詞、「虹の味の水」これを飲んだら心がすっかり晴れそうです。スカのリズムとか詩的で美しい歌詞とか、落ち込んだ気持ちを救ってくれる1曲。
マーシー本人談としては、この曲は最初に作った時から適当にスカのリズムをギターで弾いていたら、いつの間にかできていたという感じだったということです。
M6「サンダーボルト」
作詞・作曲/甲本ヒロト
イントロなしの乾いた感じが胸に突き刺さります。完全に心の奥の方に刺さる歌で、アコギが泣かせるミディアムテンポ。
一瞬で心を奪われるだろうと悟ります。
心の深くを刺激するロックの感動、人間の心に涙を誘う突き抜けソング。
こういうのクロマニヨンズ上手いんだよな。
ヒロトの歌い方とかマーシーのギターの弾き方とかコビーの抑え気味のベースとかカツジの表現豊かなリズムとか、感動しちゃうよ。
泣かせるメロディとアレンジがたまらなく、心の深くにサンダーボルトが突き抜ける。
確実にオレの『RAINBOW THUNDER』のベスト3に入ります。
歌詞 : 「突き抜けていく〜」私の心にぐっさりと刺さってしまって、長めの放心状態になりました。突き抜けるってことに憧れを持っているのだと思います。
サビはめちゃくちゃに心を捉えるメロディ。なんかよく分からないけどジーンとくるアレンジ。大事な思い出を蘇らせるテンポ。いくら強がっても隠しきれない刺さったまんまのサンダーボルト。名前のように呼んでしまう。
自分の中に歌と同じ気持ちがあって、重なって涙が流れてしまうんだな。心の共有です。
本作の中ではゆったりめの曲です。
ヒロト本人談によると、何年も前からあった曲で駄作だと思っていたけど、ちょっといじればバンドに持って行けるという気配を急に感じたそうです。そうしたらほとんどいじらないで駄作のまま持って行くことになり、こんな感じになったというのが経緯です。
オレには完全に名曲です。記憶の中にそっとあって、胸の奥がうるっと来てて、心のレコードプレーヤーがスッと再生してる感じ。
M7「恋のハイパーメタモルフォーゼ」
作詞・作曲/甲本ヒロト
いきなり4人の歌声だけで始まるインパクト。コーラスは更に強烈なインパクト。
ブイブイ踊れるアップテンポ。
『RAINBOW THUNDER』にはクロマニヨンズに求めているものが至る所に存在してる。
かかってこーい‼︎な気分になりました。
ひたすら明るいロッケンロー‼︎ひたむきに恋するロッケンロー‼︎眩しく猛烈な恋心。
曖昧さのないストレート、完全な直球をブン投げてるラブソング。
ラブソングっていいね!
すごく強い気持ちが最高に好ましいです。真っ直ぐで無敵感があります。爽やかさもあり、聴くと熱い勇気が満ちてくる。
歌詞 : ハイパーな変身を遂げてて、聴くとテンション上がります。自分の中の恋心に気付いてしまった時はこの感じになります。共感です。
「河川敷 桜の道〜」の一節は一つしかない恋心を感じます。
記憶力は人それぞれ違うけど、思いが強いほどいつまでも忘れないものです。二人が歩いてる瞬間の二つの心が桜のように鮮やかで美しい色に見えました。いいね。素敵だ。
その時の色とか匂いとか少ない言葉とか、私も何度でも思い出すことがあります。それは二人で歩いたからです。
“かかってこい!”のコーラスが強烈なこの曲です。そのコーラスについて本人談による解説がとても面白く、興味深いです。
ヒロト「あれはひとりで曲を作っている時から入っていたんですよ。みんなに曲を聴かせる時からやっていて、“何をやってるんだろう?”って思っていたと思う。でも、みんなでやると楽しかったですね。本気でかかってこられたら困りますけど(笑)。」
M8「荒海の男」
作詞・作曲/真島昌利
自分の奥に潜む荒ぶる魂をすくっと立ち上がらせる一撃ソング。
イントロのギターリフだけで男臭さを感じられる。アルバムの中でも一際個性を放ってるヘヴィーなアレンジが荒れ狂うロッケンロー‼︎でインパクトあり。
今回は異常にマーシーのギターがカッコいいような印象を受ける。
荒ぶるパワーがあって、沈んでいた気持ちがゆっくりと、でも力強く奮い立ってきます。自分をブチ破って、ブチ上げるパワーがあります。
オレは聴いて興奮しただけなのに随分と男らしくなってしまった気がする。小柄で細身なオレでさえも荒ぶる存在感を放ってデカくなってる、、、ような気がする。
歌詞 : 雰囲気だけで急に心の奥に存在してる荒ぶる魂が勇ましい顔つきで立ち上がります。静かに荒れ狂うというのが自分にとても近い性格で共感しました。
強く大きく自信を持って今日を生きられるようなパワーがみなぎっています。一撃必殺。
M9「東京フリーザー」
作詞・作曲/真島昌利
イントロなし、いきなりの高揚感で盛り上がり必至のアップテンポなアレンジ。
サビから始まる爆発的な雰囲気がいい感じです。
勢いとエモーショナルのハイブリッドで熱くなってしまう。アップテンポで激しめのロッケンロー‼︎この感じ、心の中学2年生が激情しないわけがない。
マーシーがよく言っている人間が使いこなす「言葉」のことが歌われていて興味深いし共感します。言葉が凍るとかそんな感じの内容に思い当たる節が自分にもあり、すごくイメージしやすい。
アップテンポなアレンジは、忘れたい失敗談なんかをカチンカチンに凍らせてどっかにぶん投げてくれる勢いあり。
でも本音が歌われる歌詞は、後でゆっくりとかして、かじかんだ心を燃え上がらせてくれる熱を持った救いもあり。
歌詞 : 何か余計なことを言ってしまったのか、失敗してしまったような印象を受けました。言葉は難しいです。私の場合は言葉が足りない方で失敗してあっという間に心が凍りついてしまいます。人間同士の基本である「会話」がとても苦手です。
時間をかけてゆっくり心をとかすのがいいかもしれない。そういうことはきっとある。
“オイオイオイ”のコーラスがやっぱり印象的です。
これはコビーがそう言い出して、やってみたら楽しかったから採用したということです。クロマニヨンズってメンバーみんながウキウキでいろんなアイディアを出すんですね。
アルバムを聴いて楽しいと感じるのは、そんなところからも熱が私に伝わってきてるんだなと思いました。
M10「モノレール」
作詞・作曲/甲本ヒロト
ハーモニカ入りで楽しい気持ちになれるギンギンバリバリのロックンロールスタイル。
またしても印象的なギターのフレーズが炸裂して心に響きます。ギターソロなんかギンギンにとがった音を聴かせてくれます。
だけどなんか柔らかい雰囲気があって、落ち着くような歌です。
ここまでエモかったり激情したりで熱くなりすぎた心が、少し違った方向に向いてクールダウン出来るような感覚が私は好きです。
印象的なコーラスとか楽しい感じがクロマニヨンズらしさに溢れてます。単純明快に楽しめるこういうの好きです。
“あるわな”と歌うコーラスは強烈です。
落ち込んでグダグダしてた心もモノレールに乗ってワクワクしてる。
オレは聴いただけなのに嫌なことバシバシやっつけてくれるクロマニヨンズが大好き。
歌詞 : 聴いていると本当に嫌なことがひとまわりして楽しい気分になってきます。クロマニヨンズが滑らかに走るモノレールに乗せてくれます。それはきっと理想の場所行きです。
この曲もまた印象的なコーラスを聴かせてくれました。
ヒロト「4人でひとつのマイクに向かってワーッと歌ってる時、何とも言えない楽しい打ち上げ感があるんです。メロディーがあっても、ただワーッとシャウトするだけでも、4人で肩組んでやってる感じがいいんですよ。男の世界。」
演奏にはそれぞれの役目があるけど、コーラスは全員が同じことをやるから部活感があって楽しいと言っていたのがクロマニヨンズらしく感じました。
M11「三年寝た」
作詞・作曲/甲本ヒロト
タイトルが強烈すぎて、一回で覚えて忘れることはない衝撃。
尋常じゃない。度を超えてる。そこがいい。
世界で一番うっかりしすぎた人。何よりも自分の眠気優先な人。他力本願だし人任せで素晴らしい。その自分優先ぷりに救われる心はきっとたくさんあると思います。
うっかりしちゃった日の自己肯定ソング。
何も隠さずはっきりした主張が印象的な頑固なロッケンロー‼︎自分を曲げない強靭な1本の柱が立ってるのが心に刺さるロッケンロー‼︎
途中から転調するところにクロマニヨンズのカッコ良さと独創性を感じました。共感しやすいメロディとロックなアレンジもいつもクロマニヨンズに求めてるものです。
歌詞 : 「三年寝た」って、これまで私が聴きてきた音楽の中でも相当のインパクトを持った衝撃でした。曲のアレンジとヒロトの歌が、うっかりに拍車をかけてます。尊敬するほどのうっかりっぷりだな。
最後の方で歌われる部分の表彰式みたいなアレンジが楽しいし、クロマニヨンズにしか表現できない音。完全にみんなを讃えています。まだ寝るのがすごい人。
起きれない朝のテーマソングでもある。
冬の寒さや春の絶妙な暖かさが眠気を誘う二度寝、三度寝起きれません。千度寝、万度寝まではいかないにしてもうっかり三年寝ちゃいそう。
心の葛藤と共に布団の中で一時間、すっかり太陽が昇ってる。
そろそろ起きてコーヒーを淹れて寝起きの放心状態を楽しみます。
そう言えば、私はうっかり会社に行くのを忘れちゃったことがありました。まぁいいか。
M12「GIGS(宇宙で一番スゲエ夜)」
作詞・作曲/真島昌利
始まった瞬間にライブハウスにブッ飛ぶクロマニヨンズのロッケンロー‼︎アルバムラストを盛り上げるアップテンポ。
オレの耳と心に永遠のウルトラミラクルを起こす爆裂ソング。
ライブの緊張感と高揚感をいつだって感じられる生きてる歌。
本番前の緊張感に興奮してるマーシーが見れます。そして本番でブチかまされた熱い魂が聴こえてきます。
ステージに立って演奏する側の心情とか興味深いです。とは言え、バンドもオーディエンスもロッケンロー‼︎の熱狂は同じです。
全員の熱狂がぶつかり合い、受け止め合い、炸裂し合って宇宙で一番スゲエ夜になったんだな。
歌詞 : ステージに上がる直前のマーシーの心境がダイレクトに伝わりました。その緊張は特別感に溢れ、突撃する覚悟をしてる顔が見えました。
すべてが炸裂した瞬間です!熱い、ミラクル、スゲエ、一番!自分が今ライブハウスでクロマニヨンズのギグに熱狂しているとしか思えません。スピーカーやイヤホンから宇宙で一番スゲエロッケンロー‼︎が聴こえてくる。
「GIGS(宇宙で一番スゲエ夜)」というインパクトのあるタイトル。ライブハウスの景色が浮かぶようなカッコよくテンションの上がるタイトルです。
マーシー「70年代の終わり頃にパンクが出てきた時、パンクの人たちってライヴのことを“ギグ”って言ってて。たぶん、ほとんどの日本人が初めてライヴすることを“ギグする”って聞いたんじゃないかな。」
オレも見た!感じた‼︎ 宇宙で一番スゲエ夜‼︎‼︎
すっかり熱くなってしまいました。
いい感じの緊張感と、手に汗にぎる興奮と、クロマニヨンズとオレの一体感に包まれたところでアルバムはおしまいです。
ラストはバッチリとオレの心を明日に繋ぐ希望に変えてくれて終わるのが嬉しいです。
マーシーはギターソロを弾きたくないとか言っていたけど、いつにも増してギターのフレーズがカッコいいと感じ、興奮し、熱狂したクロマニヨンズの12枚目のアルバムでした。
クロマニヨンズにしか出来ない個性的な12曲のロッケンロー‼︎で、勢いのある突き抜けたアルバムだなという印象を受けました。
感動と興奮と熱狂が同時に迫ってきた。
一番近くで、凄まじきあの虹雷を見た‼︎
レインボーサンダーにシビレてる。
聴き終わると、何かが弾けて飛び散った肯定的な自分が存在してる。
人生、上手くいくことの方が少ないけれど、悩んでいるよりただひたむきにクロマニヨンズに熱狂してる時間は、本来の自分を取り戻せてる楽しい瞬間。
そんな瞬間がたくさんあったら幸せです。
だからオレにも、、、
“少しだけ わけてくれ 三億年か四億年”
明日もクロマニヨンズを聴こう。
きっと“永遠のウルトラミラクル”が起こる。
かかってこーーーい‼︎‼︎
クロマニヨンズはロックンロールが好きな理由も、レコードが好きな理由も、それらがなくならない理由も本当は分かっていないと言っていました。なんで好きなのか、なくならないのか説明は出来ないと、なんとなく好きなんだとヒロトが言っていたのにはとても共感しました。私もなんとなく好きです。
アナログはなくならいとヒロトが言い切っていたことにも私は自分の経験や好みから納得しました。
明確に他と何が違うのか説明は出来ません。
ありがとうございました。
また読んで頂けるとものすごく嬉しいです。
それではまた。